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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島・安達太良山、山開き―行っても安全?―

 日本100名山のひとつ、福島・安達太良山が5月15日に山開きをしました(1)。行っても安全が気になる所ですが、(=^・^=)なりに調べると以下の覚悟が必要です。
 ①それなりの被ばくをする覚悟
 ②放射性物質に降られる覚悟
 ③セシウムを食べる覚悟
そして、安達太良山のある福島・安達地区では原発事故後から葬式(死者数)が増え、原発事故前年度の2009年度と5年目の2015年度を比較すると
 2009年度 1,064人
 2015年度 1,232人
で18%増えています(2)。
 福島県二本松市は福島県北部の内陸にある市です。
事故から5年2ヶ月経っても汚染が広がる福島
※1(4)の数値データを元に(5)に示す手法で5月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(6)による
 ※3 安達地区は「安達広域行政圏」を略し、区域は(7)による
 図-1 福島県二本松市と安達地区

 福島県には3つの日本100名城(鶴ヶ城、二本松城、白河小峰城)(8)と6つの日本100名山(飯豊山、吾妻山、安達太良山、磐梯山、会津駒ヶ岳、那須岳)があります(9)。このうち二本松城と安達太良山は福島県二本松市にあります(8)(9)(10)。日本100名城と100名山を併せ持つ市町村は福島では二本松市だけです。調べたわけではありませんが、全国的にも珍しいと思います。他にも温泉などもあり、色々な観光施設がコンパクトにまとまっている市だと思います。
事故から5年2ヶ月経っても大部分で除染が必要な二本松市
 ※1(4)の数値データを元に(5)に示す手法で5月1日時点に換算
 ※2 観光施設は(11)による
 図-2 福島県二本松市

 5月15日に安達太良山の山開きが行われ、ミズあだたらコンテストが行われました(1)。
2016年も綺麗なミズ、準ミズあだたら
※(12)を引用
 図-3 2016年のミズあだたらと準ミズあだたら

 しばらくシーズンが続きそうです(13)。出かけて良いか心配です。図-1にしめすように福島県二本松市は避難地域を除けば福島県内でも汚染が酷い市です。西側は避難地域に接しています。図―2に示す様に二本松市の市域の大部分は国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(14)を超えています。安達太良山に出かける場合は
 二本松インター⇒ロープウエイ⇒登山道⇒山頂
が楽そうなコースです(13)(15)。以下に登山ルートを示します。
事故から5年2ヶ月経っても大部分で除染が必要な安達太良山登山ルート
 ※1(4)の数値データを元に(5)に示す手法で5月1日時点に換算
 ※2 登山ルートは(16)による
 図-4 安達太良山ロープウエイ利用の登山ルート

 図に示す通りロープウエイを中心に除染が必要な毎時0.23マイクロシーベルトを超えています。まだ登山道もそれなりの放射線量があります。安達太良山に出かけるなら、それなりの「被ばく」を覚悟する必要があります。
 以下に安達太良山登山ルート付近の2014年11月に対する15年11月の放射線量の増減を示します。
放射線量が増えフォールアウトが疑われる安達太良山登山ルート
 ※1(5)(17)の数値データを比較し作成
 ※2 登山ルートは(16)による
 図-5 安達太良山ロープウエイ利用の登山ルートでの放射線量の増減

 放射性物質は、放射線を出しながら、最終的に安定した物質へ変化すると放射線を放出しなくなります(18)。減り方は放射性物質の種類で違いますが時間と共に減っていきます。でも図―5に示すように安達太良山の登山ルートや登山ルートに向かう道路では逆に増えています。安達太良山山頂でも上昇しています。上から流れ落ちることはなく、空から降ってきたことになります。安達太良山に出かけるなら、放射性物質に降られる覚悟も必要です。
  以下に福島県の農業生産額を示します。
福島県最大の郡山市の農業生産額
 ※(19)を集計
 図-6 福島県の農業生産額

二本松市の農業生産額は福島県第三位ですが、一位、二位の郡山市、福島市は人口30万人規模に対し、二本松市の人口は6万弱(20)と小規模な市なので、非常に農業が盛んな所です。福島県二本松市では地元の食材を使った『安達太良カレー』を提供しているそうです。牛肉、豚肉の他に玉ねぎ、にんじん等の地元産野菜が具材に使われているそうです(21)。以下に二本松市産牛肉の検査結果を示します。
急上昇した二本松市産牛肉のセシウム濃度
 ※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
 図―7 二本松市産牛肉のセシウム濃度

 しばらくは検出限界未満(ND)が続いていたのですが、4月以降にセシウムが見つかるようになりました。基準値(22)以下ですが最大は1キログラム当たり51ベクレルです。
 以下に二本松市産ワラビ(栽培)のセシウム濃度を示します。
上昇が続く二本松市産ワラビのセシウム濃度
※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
 図―8 二本松市産ワラビ(栽培)のセシウム濃度

 図に示す通り年々、セシウム汚染が酷くなっています。今は基準値以下ですが、そのうち基準値を超えるかもしれません。二本松市産野菜は継続的な検査が必要です。以下に二本松市産玉ねぎの年ごとの検査数を示します。
年3回以下の検査が続く二本松市産玉ねぎ
 ※(22)を集計
 図―9 二本松市産玉ねぎの検査回数

年3回以下の検査が続く二本松市産人参
 ※(22)を集計
 図―10 二本松市産人参の検査回数

 図に示す通り昨年は共に1件、2013年は検査無しです。とても継続して検査しているとは言えません。検査をすり抜けてセシウム汚染食品が市場にカレーの具材に使われる可能性を否定できません。
 厚生労働省の発表(22)を見ると二本松市産豚肉は原発事故直後は福島県の他に新潟県が検査していました。以下に検査結果を示します。
新潟県検査に比べ低く出た福島県の二本松市産豚肉検査結果
 ※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
 ※3 原発事故後1年を集計
 ※4 日付は発表日
 ※5 凡例は検査先を示す
 図―11 二本松市産豚肉のセシウム濃度

 図に示す通り新潟県が検査した二本松市産豚肉からは概ねセシウムが見つかっていますが、福島県の検査は殆どが検出限界未満(ND)です。新潟県の検査に比べ低く出ています。
 以下に宮城県が検査した宮城県産スズキと福島県が検査した宮城県に隣接する福島県相馬地方(新地町、相馬市、南相馬市)のスズキの検査結果を示します。
宮城産に比べ低い福島産スズキの検査結果
 ※1(22)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(セシウムが見つからない事)を示す
 ※3 日付は捕獲日
 ※4 凡例は検査先を示す
 図―12 スズキのセシウム濃度

 図に示す通り宮城県が検査した宮城県産ヒラメからはそこそこセシウムが見つかっていますが、福島県が検査した相馬地方のヒラメの検査は25件全てが検出限界未満です。汚染源がある福島で低くでるのはおかしな話です。このような事例はクロダイでもあります(24)。また、茨城県が検査した茨城産ブリや千葉県が検査した千葉県銚子産ブリからはそこそこセシウムが見つかっているのに、福島県が検査した福島産ブリは23件全てで検出限界未満(ND)との事例もあります(25)。
 もっと怪しいのはカレーに使われる米です。福島県二本松市産のお米は福島県産米全数全袋検査で安全が担保されてる建前になっています。まず、簡易的なスクリーニング検査を実施し、ある値(スクリーニングレベル)を超えたものは従来と同じ「詳細検査」を実施して適否を判定します(26)。以下に二本松市産米の全量全袋検査の結果を示します。
50(Bq/kg)を超えても詳細検査が無い二本松市産米の検査結果
 ※(27)を引用・加筆
 図―13 福島県二本松市産米の全量全袋検査

 図に示しように1キログラム当たり50ベクレルを超えるのが出ています。福島産米の全量全袋検査は「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」に準拠することになっていますが(26)、「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」ではスクリーニングレベルは1キログラム当たり50ベクレルとなっています(28)。当然ながら詳細検査に回されるべくですが、図ー13に示すように詳細検査の検査数は「0」で実施されていません。二本松市産米の全量全袋検査は「規定」に反した運用が行われています。
 福島産米の全量全袋検査は福島原発事故後に福島県のみに導入された新しい検査です。原発事故前から実施されている詳細検査との比較データがあって初め精度が担保されます。(=^・^=)はこの5年間、データを探し続けているのですが見たことがありません。福島県の担当課のHPを見ても(29)、掲載されていません。(=^・^=)は以前に福島県の公表データ等から測定誤差を推計した事がありますが(30)、1キログラム当たりで基準値が100ベクレルに対し、測定誤差は少なくとも75ベクレルあるとの結果を得ています。福島県産米は検査されていないと同じだと思います。
 以上を纏めると福島県二本松市産食材は
 ・セシウム汚染が酷くなっている物がある。
 ・殆ど検査されていない物でも「安全」とされ出荷される。
 ・信頼できない検査で「安全」とされ出荷される
等の特徴があります。このような特徴がある限り、二本松市に出かけ外食するときにはセシウムも食べる覚悟が必要です。
 これでは地元の福島県二本松市や周辺の皆様の健康が心配です。以下に二本松市が属する安達地区の年度別の死者数を示します。

原発事故後に増えた安達地区の葬式
 ※1(31)を転載
 ※2 元データは(20)
 図―14 安達地区の死者数(葬式)の推移

 原発事故後から葬式(死者数)が増え、原発事故前年度の2009年度と5年目の2015年度を比較すると
 2009年度 1,064人
 2015年度 1,232人
で18%増えています。偶然に起こる確率を計算したら0.05%なので、偶然との主張は無理があります。
 一方「会津」では
 2009年度 4,007人
 2015年度 4,143人   
で3%増えていますが、統計的な差はありません。航空機モニタリングの数値データ(5)の平均を取ると
 安達地区 毎時0.36マイクロシーベルト
 会津   毎時0.06マイクロシーベルト
で、安達地区の放射線量が大幅に高くなっています。
 以上を纏めると、安達太良山登山には
 ・それなりの被ばくをする
 ・放射性物質に降られる
 ・セシウムを食べる
覚悟が必要であり、安達太良山のある福島・安達地区では原発事故後から葬式(死者数)が増え、原発事故前年度の2009年度と5年目の2015年度を比較すると18%増えています。 

<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表①)とこちら(ブログ図表②)を参照ください。
図-1に示す様に福島には除染が必要な場所が広く広がり、放射能汚染リスクが原発事故から5年2ヵ月以上経ても残っています。これを福島の方がどう受け止めるのか興味がある所です。
 福島県が力をいれている野菜にトマトがあります(31)。5月17日に疑惑をもたれている東京都の東京都の舛添要一知事が福島県いわき市のトマト栽培施設を視察されたそうです(32)。
いわき市のトマト栽培施設を視察する東京都知事
 ※(33)をキャプチャー
 図―15 いわき市のトマト栽培施設を視察する舛添要一知事

 福島産は「安全」だとし、福島県が「風評被害」と呼んでいる福島産を避ける行為(34)の払拭に協力するそうです(33)。この様な方が福島産は「安全」といっても説得力を持たないとおもいます。それでも 福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(35)。図ー14に示す様に福島県いわき市では美味しそうなトマトが実ってます。でも福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
他県産はあっても福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
※(36)を引用
 図―16 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様も見習い「フクシマ」は受け入れません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)ミズあだたら 山田さん(宮城)大賞 関本さん(福島)準大賞 | 県内ニュース | 福島民報
(2)めげ猫「タマ」の日記 福島・安達広域行政圏の2015年度の死者数は18%増、会津は別、対2009年度
(3)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会((4)(3)中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成27年9月12日~11月4日測定) 平成28年02月02日 (KMZ, CSV)」
(5)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線
(6)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(7)福島県 - Wikipedia
(8)日本100名城 - Wikipedia
(9)日本百名山 - Wikipedia
(10)二本松市 - Wikipedia
(11)福島県観光ホームページ 統計資料一覧 - 福島県ホームページ
(12)二本松を元気に!市長の新野です(平成28年5月) - 二本松市ウェブサイト
(13)二本松観光協会/安達太良山
(14)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(15)福島県・磐梯朝日国立公園 あだたら高原
(16)地理院地図|ヘルプ
(17)(3)中の福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (KMZ, CSV)
(18)放射性物質の半減期|東京都環境局 その他について
(19)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(20)福島県の推計人口(平成28年4月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(21)あだたら高原グルメロードあだたらカレー参加店 - 二本松市ウェブサイト
(22)報道発表資料 |厚生労働省
(23)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(24)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(5月2週)―宮城のクロダイから50ベクレル、福島はND―
(25)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(5月3週)―栃木の学校給食に基準超のセシウム汚染タケノコ、栃木県は基準超無しと広報―
(26)全量全袋検査 - Wikipedia
(27)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報
(28)食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について |報道発表資料|厚生労働省
(29)水田畑作課 - 福島県ホームページ
(30)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー
(31)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(32)舛添知事、福島県視察「復興に都も努力」 高額支出疑惑には陳謝:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(33)ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2016年5月17日(火)放送」
(34)
(35)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(36)平尼子店 | マルト - 店舗情報
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  1. 2016/05/18(水) 19:53:28|
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コメント

いつもありがとうございます

いつも貴重な情報をありがとうございます。
今となっては、福島県内での放射能の危険性を喚起してくれるのは、貴ブログのみとなりました。
非常に貴重なブログですので、いつまでも存続することを強く願います。
そのためにも、継続的な収入は不可欠だと思いますので、Googleアドセンスや忍者などの広告をご検討ください。
なお、福島大学の教員などの有志が運営しているのでしたら、それらしいことを示していただけると、応援のしがいがあります。
今のままですと、応援したくても、何もできません。
  1. 2016/05/19(木) 03:05:33 |
  2. URL |
  3. ふく #2B3L1McM
  4. [ 編集 ]

Re: いつもありがとうございます

ふく様
お問い合わせありがとうございます。以下に回答します。
Q1> 今となっては、福島県内での放射能の危険性を喚起してくれるのは、貴ブログのみとなりました。
A1>福島には「危険な物」、「危険かどうかわからない物」、「安全な物」の3つがあると思います。福島を「安全」にするためには危険な物」、「危険かどうかわからない物」を明示する必要がありまあす。最近の報道を見ると「危険な物」、「危険かどうかわからない物」を含め「安全」にされている感じがします。こうした発信がなされる限り、(=^・^=)はブログをやめる気はありません。
Q2> 継続的な収入は不可欠だと思いますので、Googleアドセンスや忍者などの広告をご検討ください。
A2>当然ながら生活を維持する定期的収入は十分に手立てを取っています。
Q3> 福島大学の教員などの有志が運営しているのでしたら、それらしいことを示していただけると、応援のしがいがあります。
A3>あまり(=^・^=)の正体を明かしたくないのですが、福島大学とは無関係です。(=^・^=)と福島の関係を言うなら、(=^・^=)の住む街には多くの方が福島から来ていただきました。大切な隣人です。これが動機かもしれません。
Q4> 今のままですと、応援したくても、何もできません。
A4>これまでの応援を感謝しております。(=^・^=)への応援は
・記事に疑問があったらその旨をコメントする。批判の無い記事は精度が確保できません。この件について過去に不適切な対応がたっとことをお詫びします。
・アクセスを宜しくお願いします。
・もし、ブログを運営しているようであればリンクをお願いします。

  1. 2016/05/19(木) 20:24:12 |
  2. URL |
  3. mekenekotama #-
  4. [ 編集 ]

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