文部科学省は2月28日づけで、 新しい「放射線副読本」を公表しました(1)。その内容を見たのですが、野菜や果物では基準越えが見つかっていないない(2)とか、福島県品を買わなないのは「いじめ」だとか(3)沢山のデタラメが書いてありました。
その中で「(2)風評被害、いわれのない偏見・差別」の項の最後に「全国の原子力発電所で運転が
停止されたことにともなって、企業や家庭において電力の使用が制限される」なんて記述がありまいた。(=^・^=)の記憶では、発電所が被災して計画停電や使用制限がなされたことはありますが、原発停止によって「電力の使用が制限される」ことはなかったはずです。ありもしない事実を教えようとする文部科学省ってまともですかね!
以下に経緯を示します。
2011年3月11日 東日本大震災および福島第一原発事故発生
・多くの発電所が被災(3)(4)
・福島第一、第二(東電)、女川1,3(東北電力)、東海第二(日本原電)停止(3)(4)
・各地で停電(原因は送電網の被害)(3)(4)
2011年3月14-28日
・東京電力で輪番停電実施、原因は東日本大震災で発電設備が被災しため(4)
2011年7月1日 東北電力・東京電力管内に対し前年同期の最大電力量から15%削減した電力量を上限とた「電力使用制限令」(電気事業法第27条に基づく)を7月1日(4)。この時は柏崎刈羽は稼働中
2011-12年冬 関西電力と九州電力に節電目標を設定(法的拘束力なし)(4)
2012年夏 節電目標および節電要請あり(法的拘束力なし)(4)
ここまでを纏めると、電力使用制限令が発令された7月1日以前に電力使用制限令の対象となったのは東北・東京電力管内のみですが、原因は「原子力発電所で運転が停止されたこと」ではなくて、東日本大震災で発電設備が損傷をうけ使えなくったからです。以下に東北・東京電力管内での残った柏崎刈羽原子力発電所の定期検査開始日(発電が停止した日)を示しますが、電力制限令が発令された2011年7月1日には、3.11に動いてた柏崎刈羽原発は全て動いていました。
表―1 柏崎刈羽の定期開始日と電気出力
※(5)(6)より作成

「全国の原子力発電所で運転が
停止されたこと」にともなって、企業や家庭において電力の使用が制限される」ことなどありませんでした。電力の使用の制限されたのは発電所が震災で使えなくなったからです。
<余談>
この副読本で勉強される生徒さんへ!
「原子力発電所で運転が停止されたこと」によって何処で電力の使用が制限されたのか。」先生に聞いてみてください。貴方の街では起こらなかったはずです。
従前の記事で
福島産不買=福島に対するいじめ
との論旨展開をしてます。「(2)風評被害、いわれのない偏見・差別」の項で「全国の原子力発電所で運転が停止されたことにともなって、企業や家庭において電力の使用が制限されるなど」と記載しているので
原発反対=原子力事業者(ムラ)に対するいじめ
とのロジックを展開しようとしている気がします。
新しい「放射線副読本」のデタラメぶりは本稿だけではありません。これまでの記事と今後の予定を示します。
1.これまでの記事
①
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その1―野菜・果物は基準超えなし―②
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その2―いじめが起こった―③デタラメ、新しい放射線副読本その3―原発が止まって電力制限―(本稿)
2.今後の予定(暇な時に記事にします)
①「放射性物質が多量に降った地域では、多くの住民が自宅からの避ひ難を強いられました。」(はじめに―1ページ)―当初の避難指示は放射線量に関係なく原発からの距離でされた(8)
②「様々な分野で放射線が利用されています」(はじめに―1ページ)―近々の流れは放射線を利用しない方向に向いている。―しかし本文中には一切の利用例がない。かくのが難しいと思います。
③「水素が爆ばく発する事故が起こり、原子炉ろ内に閉じ込めておくべき放射性物質が大気中に大量に放出されました。」(福島第一原子力発電所事故 2ページ)―2号機からの放射性物質が汚染に寄与したの見方が強いが(8)、2号機は水素爆発していない。
④「風に乗って北西や南西の方角を中心に広い地域で地上に降りました。」(放射性物質の放出-2ページ)―東京電力の推計(9)よれば、東側に流れたセシウムの量が多い。ただし東側は海なので調査ができないなだけ!
⑤「暫定規制値を超える食品が市場に流通しないよう出荷制限などの措そ置をとってきました。」(食品安全に関する基準―2ページ)―セシウム汚染牛肉やセシウム汚染乾し椎茸など、多くの暫定基準値を超えた食品が市場から見つかり(10)(11)、一部は食されている。
⑥「福島県では「ふくしまっ子体験活動応援事業」により、子供たちが心身ともにリラックスした環境の中で、自然・環境、生活・歴史文化、スポーツなどの体験活動
や移動教室に参加しています。」(福島県の未来を担う子供の育成に向けた取組-8ページ)―、「ふくしまっ子体験活動応援事業」は宿泊費と活動費・交通費を補助する事業である(12)。
⑦「◆波のように伝わる放射線」(原子から出る放射線-9ページ)―光をエネルギーの塊(粒子)する概念「光量子」の概念(13)を無視している。
⑧「放射性物質が放射線を出す能力(放射能の強さ)を表すには「ベクレル(Bq)」(放射線・放射能の単位ー10ページ)―ベクレルは1秒間にでてくる放射線の総数を示す単位(14)であり「強さ」よりは「量」である。
⑨「放射性物質から離れれば放射線量も減ります。例えば、距離が 2 倍になれば受ける放射線量は、4 分の 1 になります。」(放射線から身を守るには―11ページ)―
点ならば正しいが福島のように面的に汚染された場所では適応できない。
⑩「ICRP では、100mSv を受けたとすると、がんで亡くなる可能性がおよそ 0.5 %増加する」(放射線量と健康との関係―11ページ)―ICRP勧告は0.5%でなく0,55%である(15)。
最後に、「福島」では原発だけでなく多くの発電所が使えなくなりました。でも電力の使用制限も計画停電も実施もされませんでんした(4)。これは必死に頑張った被災地東北の電力会社の皆さんと、節電に真摯に向かい合った被災地東北の皆様が生み出したものだと思います。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
新しい放射線副読本について:文部科学省(2)
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その2―いじめが起こった―(3)
全ページのダウンロードはこちら (5.7MB) - 東北電力(4)
東日本大震災による電力危機 - Wikipedia(5)
発電所データ集|原子力|東京電力(6)
発電所の概要|原子力|東京電力(7)
福島県ホームページ - 組織別 - 区域見直し等について中の「避難指示等の経緯(PDF:985KB)」
(8)
福島第一原発事故による放射性物質の拡散 - Wikipedia(9)
【120524】東北地方太平洋沖地震の影響による福島第一原子力発電所の事故に伴う大気および海洋への放射性物質の放出量の推定について|TEPCOニュース|東京電力(10)
めげ猫「タマ」の日記 セシウム汚染牛肉の出荷が始まる。(11)
めげ猫「タマ」の日記 幼稚園の給食に1,400ベクレルの乾しシイタケ!-これは犯罪だ-(茨城県産)(12)
ふくしまっ子体験活動応援事業(13)
光子 - Wikipedia(14)
ベクレル - Wikipedia(15)
(ICRP)2007年勧告(Pub.103) - 原子力規制委員会
スポンサーサイト
- 2014/03/11(火) 20:06:38|
- -
-
| トラックバック:1
-
| コメント:0
文部科学省は2月28日づけで、 新しい「放射線副読本」を公表しました(1)。その内容を見たのですが、野菜や果物では基準越えが見つかっていないない(2)とか、福島県品を買わなないのは「いじめ」だとか(3)沢山のデタラメが書いてありました。 その中で「(2)風評被害、いわれのない偏見・差別」の項の最後に「全国の原子力発電所で運転が停止されたことにともなって、企業や家庭において電力の使用が制限さ...
- 2014/03/13(木) 10:13:02 |
- 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟@沖縄