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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

デタラメ、新しい放射線副読本その8―暫定基準は守られた―

 文部科学省は2月に新しい「放射線副読本」を公表しました(1)。そこには事実と異なる内容や事実を誤解されてる内容が沢山含まれています(2)~(8)。(1)食品安全に関する基準(6ページ)に
「厚生労働省は、食品中の放射性物質の暫ざん定規制値(事故後の緊きん急的な対応として定められた規制値)を設定し、暫定規制値を超える食品が市場に流通しないよう出荷制限などの措そ置をとってきました。暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと一般的に評価され、安全性は確保されていました。」
と記載しています。これではまるで
 ①暫定基準は守れている。
 ②暫定基準で健康は守られ、新基準など実施する必要がなかった
みたいです。でも(=^・^=)の知る限り、「暫定基準」は守れななったし、「暫定基準」では長期的な健康を維持することは無理でした。

1.暫定基準は守られたか?
 ①福島セシウム汚染牛問題
  セシウム汚染牛問題の発端は2011年7月8日に厚生労働省が福島県南相馬市産の牛肉から国の基準を大きく超える1キログラム2、300ベクレルの放射性セシウムが見つかったことだと思います(9)。見つけたのは産地の「福島県」でなく、出荷先の「東京都」です(9)。その後も福島産をはじめとする牛肉から、福島県外(主に消費地)の検査で次々と暫定基準超えのセシウム汚染牛肉が見つかりました。以下に福島産牛肉のセシウム濃度の推移を示します。
brg140323a.gif
 ※(10)を集計
 図―1 福島県産牛肉のセシウム濃度推移

 図に示す通り、福島県以外の検査で高い濃度の放射性セシウムが見つかっています。なぜこのようなことが起こったといえば、福島県が手を抜いたからです。厚生労働省は「都道府県が検査できる量は限られる」(11)と弁護していますが、東京都はできました。東京都にできることが、福島県に何故できなかったが、未だに説明はない気がします。
 福島県はセシウム汚染牛肉の流出を処置するチャンスがあったと思います。2011年3月31日の発表で、基準値を超える牛肉が見つかっています(12)。しかしその後再検査しOKなので(13)、出荷制限はしなかったみたいです。経緯を以下に示します。なおベクレル数は全て1キログラム当たりの値です。
 2011年3月15日 検査用に肉を採取
 2011年3月31日 モモ肉の検査結果判明 合計510ベクレル(セシウム134 210、セシウム137 510)
 2011年4月1日  別のモモ肉を採取し検査⇒検出限界値未満
            サーロインでも検査⇒検出限界未満
で2対1で検出限界未満で出荷制限は実施しなかったみたいです。それでもおかしなところがあります。2011年3月に福島県は283件の検査を実施しています。そのうち281件はサンプル採取から3日以内に終わっています。でも当該の牛肉(福島県天栄村産)と二本松市産の牛肉だけが16日もかかっています。この間、なにかあったと想像するのが普通です。
 福島県が最初の暫定基準超へが見つかったとき、検査間違いにせず確り調査していれば福島汚染牛の市場流出は止められたはずです。でも何もしませんでした。
 福島汚染牛問題は多くの人の記憶にのこったようです。
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  ※(14)を引用
 図―2 回復しない福島県産「畜産物」の売り上げ

 多くの人が福島県産品を正しく恐れることを忘れ、福島県産農産物の売り上げは回復しています(14)。でも福島汚染減牛を出した畜産物だけは別物のようです。福島県はやたらと「風評被害」を主張するみたいですが(14)、原因は福島県の対応の不味さです。

  ②セシウム汚染乾し椎茸
  2012年2月に茨城県産乾し椎茸から暫定基準を超える1キログラム当たり2、080ベクレルの放射性セシウムが見つかりました。原因は産地(茨城県)が乾し椎茸を全く検査していないためです(15)。

 以上に記載とおり、産地は「暫定基準」を守るための努力をしていたようには思えません。ただ「安心・安全」を宣伝するために適当な検査を実施してただけす。体質は今も変わらない気がします(16)。

2.暫定基準は大丈夫?
 ①ICRPの基準
  ICRPは放射線に対する基準値として
    a)非常状況での避難参考レベル 年間1~20ミリシーベルト
    b)計画状況での被ばくに設定する拘束値 1ミリシーベルト未満
  を定めています(16)。放射線の基準については色々な意見がありそうですですが、ICRPの勧告で考えるしか現状はないような気がします。
 
 ②暫定基準値での年間被ばく量
  特定の放射性物質を1ベクレル口に入れたら(経口摂取したら)、どれだけ被ばくするか係数が決まっています。1ベクレルの摂取に対して
   ヨウ素131  0.043マイクロシーベルト
   セシウム134 0.019マイクロシーベルト
   セシウム137 0.013マイクロシーベルト
   セシウムの平均では 0.016マイクロシーベルト
です(17)。人間は水を1日2リットル(キログラム)とることが望ましいそうです(18)。1年で730キロです。セシウムの暫定基準値は1リットル当たり200ベクレル(19)でした。すると基準値ギリギリの水を1年間飲みつけると、
 2.34ミリシーベルト(730×200×0.016÷1000)
程、被ばくします。この他ににも食べ物があるので、セシウム数ミリシーベルトは行きそうです。この値は、ICRPの「非常状況での避難参考レベル 年間1~20ミリシーベルト」は満足しましが、「計画状況での被ばくに設定する拘束値 1ミリシーベルト未満」は満足しません。原発事故直後の「非常状況」ではしかたのない基準ですが、長期的には基準値の改定が必要でした。長期的にみれば
「暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はない
なんてことはありませんし
一般的に評価され
なんてこともないと思います。
 今の基準値について言えば、高すぎるとも低すぎるとの両方の意見があると思います。(=^・^=)の考えは、輸入品を50%と仮定するのはおかしいと考えています。基準値はカロリー当たりのベクレル数でなく、重量当たりのベクレル数で規定しています。私たちが食べる輸入食品は、大豆、小麦などの穀類、油脂、砂糖あるいはナッツ類など重量の割にカロリーの高いものが多い気がします。一方、国産品は大根、キャベツといった野菜、お魚、肉など重量の割にカロリー低いものが多い気がします。その点を考慮して基準値を決めるべきだったと(=^・^=)は考えています(21)。

<余談>
 生徒さんへ
 先生に「暫定基準って守られたのですか?」とか「暫定基準で問題なかったんですか?」、また「一般的に評価されとは、だれが評価したんですかって?」を先生に聞いてみてください。
 福島原発事故後に適切な「暫定基準」が設定され、「きちっと守れた」など主張はいうまでもなく幻想です。
 ①また事故が起こっても十分に対応できる。
 ②現在の基準は「暫定基準」より大幅に下回っているので、基準超えを食べても問題ない。
みたいな言い方です。安全とは言えないセシウム汚染地帯の食品をなぜ、「安全」と強弁するかとえば、福島原発事故の影響を小さくみせて原発の再稼働をやりやすくするためだと(=^・^=)は思います。

 新しい「放射線副読本」のデタラメぶりは本稿だけではありません。これまでの記事と今後の予定を示します。
1.これまでの記事
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その1―野菜・果物は基準超えなし―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その2―いじめが起こった―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その3―原発を止めて電力制限―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その4―放射線量が高いから避難―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その5―放射線はいろいろ使われている―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その6―放射性物質拡散は水素爆発で起こった―
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その7―放射性物質は西側に広がった―
⑧デタラメ、新しい放射線副読本その8―暫定基準は守られた―本稿―

2.今後の予定(暇な時に記事にします)
①「福島県では「ふくしまっ子体験活動応援事業」により、子供たちが心身ともにリラックスした環境の中で、自然・環境、生活・歴史文化、スポーツなどの体験活動
や移動教室に参加しています。」(福島県の未来を担う子供の育成に向けた取組-8ページ)―、「ふくしまっ子体験活動応援事業」は宿泊費と活動費・交通費を補助する事業である(22)。
②「波のように伝わる放射線」(原子から出る放射線-9ページ)―光をエネルギーの塊(粒子)する概念「光量子」の概念(23)を無視している。
③「放射性物質が放射線を出す能力(放射能の強さ)を表すには「ベクレル(Bq)」(放射線・放射能の単位ー10ページ)―ベクレルは1秒間にでてくる放射線の総数を示す単位(24)であり「強さより」は「量」である。
④「放射性物質から離れれば放射線量も減ります。例えば、距離が 2 倍になれば受ける放射線量は、4 分の 1 になります。」(放射線から身を守るには―11ページ)―
点ならば正しいが福島のように面的に汚染された場所では適応できない。
⑤「ICRP では、100mSv を受けたとすると、がんで亡くなる可能性がおよそ 0.5 %増加する」(放射線量と健康との関係―11ページ)―ICRP勧告は0.5%でなく0,55%である(25)。

―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)新しい放射線副読本について:文部科学省
(2)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その1―野菜・果物は基準超えなし―
(3)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その2―いじめが起こった―
(4)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その3―原発を止めて電力制限―
(5)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その4―放射線量が高いから避難―
(6)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その5―放射線はいろいろ使われている―
(7)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その6―放射性物質拡散は水素爆発で起こった―
(8)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その7―放射性物質は西側に広がった―
(9)食品中の放射性物質の検査結果について(第121報) |報道発表資料|厚生労働省中の「(別添9)(PDF:34KB) 」
(10)報道発表資料 |厚生労働省中の「食品中の放射性物質の検査結果について」
(11)【セシウム汚染牛】なぜ検査をすり抜けた?+(1/2ページ) - MSN産経ニュース 
(12)食品中の放射性物質の検査結果について(第19報) |報道発表資料|厚生労働省中の「別添10」 
(13)食品中の放射性物質の検査結果について(第20報) |報道発表資料|厚生労働省 中の「別添5」
(14)福島県ホームページ - 組織別 - ふくしま復興のあゆみ中の「平成26年2月14日発行  [PDFファイル 15,975KB]」
(15)めげ猫「タマ」の日記 放射性セシウム濃度が基準値を超える食品(シイタケ)が、販売された。産地は何も対応していない! 
(16)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2013年)―「国産品=安全」が幻想に過ぎない事を証明した産地の対応― 
(17)PDF] 2007 年ICRP 勧告(Publ.103) 
(18)めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト 
(19)ミネラルウォーターのおはなし - 重松貿易株式会社
(20)新しい基準値について | テストサーバ ふくしま新発売。 
(21)めげ猫「タマ」の日記 食品の新基準―2ミリシーベルトは被ばくをする。 
(22)ふくしまっ子体験活動応援事業
(23)光子 - Wikipedia
(24)ベクレル - Wikipedia
(25)(ICRP)2007年勧告(Pub.103) - 原子力規制委員会
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  1. 2014/03/23(日) 20:22:16|
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