福島第一原発の3月4週(3日20日から3月27日)の状況をまとめてみました。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
①外洋2カ所などがらストロンチウム90由来(2)の全ベータやセシウム
②海岸近くの井戸から1リットル当たり2万ベクレルのセシウムと66万ベクレルの全ベータ
③地下水バイパスの上流では、地下水の濃度が上昇中
④雨が降ると上昇する排水路の放射性物質濃度

※1 東京電力の発表(4)(6)を元に作成
※2 値は1リットル当たりのベクレル数
図―1 3月4週発表分の最高値
1.外洋から放射性物質
東京電力の発表によると、港湾外側の2カ所の海水から、ストロンチウム90に由
来する全ベータなどの放射性物質が見つかりました。海水1リットル当たりで
北側の5、6号機放水口北側(3月24日採取)
全ベータ 11ベクレル
南側の南放水口付近(3月24日採取)
全ベータ 15ベクレル
です(6)。以下に南側の南放水口付近の海水の放射性物質濃度の推移を示します。

※1(6)(7)より作成
※2 NDは検査出限界未満を示す。
図―2 南側放水口付近の海水の放射性物質濃度推移
2.海岸の井戸から2万ベクレルのセシウム(新記録)
海岸の近くに掘られたNo1-6井戸から1リットル当たり1万9600ベクレルのセシウムと66万ベクレルの全ベータに汚染された汚染水が見つかっています。

※(7)(8)(9)より作成
図ー3 No1-6井戸のセシウム濃度推移
どんどん上昇している感じです。図―1を見てわかる通り、この井戸は海の傍にあります。そのうち、海に流れ出しような(あるいは今も流れだしているかも)気がします。先週から外洋で全ベータが見つかるようになっています。
上昇しているのはこの井戸だけではありません。南側のNo1-14井戸も全ベータ濃度やトリチウム濃度が上がっています。

※(7)(8)(9)より作成
図ー4 No1-14井戸の放射性物質濃度推移
3.地下水バイパス始動決定!上流ではトリチウム濃度上昇中
トリチウムは放射性水素で実態としては放射性の「水」として存在します。これについて東京電力は1リットル当たり6万ベクレルまで問題ないとしています(3)。
一方、トリチウムは放射性セシウムやストロンチウム90と異なり、DNAに取り込まれる危険があり、シーベルトで測った同じ被ばく線量でも影響が大きいとの意見もあります(10)(11)。(=^・^=)はどっちが分かりませんが、とりあえずトリチウムの濃度が上昇している井戸水があるので報告します。
福島第一原発では今年(2013年)8月に汚染水タンクから300トン程の汚染水漏れが発覚しました(12)。そこで、汚水漏れを起こしたタンクの傍に井戸を掘って地下水の放射性物質濃度を監視しています(13)、その井戸の3つのE-3でトリチウムの濃度がじわじわ上昇しています。以下にトリチウム濃度が上がった井戸と最高濃度を示します。
3月20日に採取したE-3井戸の水から1リットル当たり4,700ベクレルのトリチウムが見つかりました(新記録)。

※(13)を集計
図ー4 E-3井戸のトリチウム濃度推移
さらに今年の2月20日に別のタンクから新たに100トンの汚染水漏れが見つかりました(14)。東京電力はタンクの傍に新しい井戸(G-2)を掘り、地下水の放射性物質濃度を測定していますが、ぐいぐい上昇し、トリチウム濃度が1リットル当たり7,000ベクレルに達しました。

※(15)を集計
図―5 G-2井戸のトリチウム濃度推移
この井戸の海側(下流)には地下水バイパス用の井戸があります。地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(16)。福島県の漁業組合さんが3月25日に受け入れを決め(17)事実上始動しました。でも大丈夫ですかね?地下水バイパス用の井戸のトリチウム濃度も上がっています。

※(18)を集計
図ー6 地下水バイパス用井戸No12の推移
4.雨が降れば流れ出す福島第一原発の放射性物質
福島第一原発では3月20日に雨が降り、21日には排水路から全ベータが見つかっています。一緒に放射性物質が流れ込み、海に流れないか心配です。以下に福島第一原発付近のアメダス観測点「浪江」の降水量と、排水路中のC-2観測点および排水路の出口付近のT-2の放射性物質濃度を纏めてみました。

ました。
※(19)(20)で作成
図―7 福島第一原発の排水路の放射性物質濃度と降水量
雨が降った翌日の21日には全ベータがピークに達っしています。でも、この排水路は雨水が流れ込まないように「蓋」をしたんですが(1)。

※(1)を引用
図ー8 蓋がされた排水路
<余談>
東京電力は昨年(2013年)7月22日に福島第一原発から今も海へ汚染水漏れが継続していることを発表しました(21)。その後もタンクからの汚染水漏れが発覚しています(12)(14)。地下水バイパスを経由して海に漏れないか心配です。「これで福島のお魚は食べれない」なんてことがないように頑張ってくださいね!
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(3月3週)―3年経っても止まらい汚染水流出-(2)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(3)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素(4)
報道配布資料|東京電力(5)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果(6)(5)の「1.海水(港湾外近傍)」の3月26日付発表(3月26日に閲覧)
(7)
2014年3月14日タービン建屋東側における地下水および海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 1.15MB) (8)(5)の「3.地下水(1~4号機護岸)」の3月26日付発表(3月26日に閲覧)
(9)(4)の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(10)
めげ猫「タマ」の日記 女の子が多い福井県おおい町の子供達(11)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムの放出量が多いほど男の子が少なくなる福井県(12)
第3回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|中の「資料1H4タンクエリアにおける漏えいについて」
(13)(4)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果 (H4エリア周辺)」を集計東京電力]【PDF:2.0MB】」
(14)
2014年2月20日福島第一原子力発電所H6エリアタンク上部天板部のフランジ部からの水の漏えいについて(再訂正版)(PDF 807KB)(15)(4)中の「福島第一原子力発電所構内H6エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H6エリア周辺)(PDF 37.9KB)」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月2週)―180万ベクレル-(17)
東電、稼働手続きへ 第一原発地下水バイパス 県漁連が計画受け入れ | 県内ニュース | 福島民報(18)(4)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(揚水井)」
(19)(4)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)」
(20)
気象庁|過去の気象データ検索(21)
2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB)
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- 2014/03/26(水) 20:30:34|
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