東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(3月23日から28日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.汚染水タンクボルトにさび 付近で高線量検出
3月21日午前中のパトロールにおいて、福島第一原発のH4北エリアのマンホールのボルト1箇所に錆があることを下請けさんが見つけました。付近の放射線量はベータ線が毎時150ミリシーベルト、ガンマ線が毎時0・15ミリシーベルトです(2)。東京電力は「汚染水漏れはない」と言っていますが、翌22日には、ベータ線が毎時40ミリシーベルト、ガンマ線が毎時0・01ミリシーベルトまで下がっているので(3)、汚染水がしみだし高い放射線量が出たあと流れていって薄まったと考えるのが普通ですね。以下に参考までに福島第一原発のタンクのエリア図を示します。

※(5)およびGoogle Mapで作成
図―1 福島第一原発のタンクエリア図
2.モバイル式水処理装置から汚水漏れ
3月25日午前10時20分頃、福島第一原発3号機付近の汚染水を処理してたモバイル処理装置が、汚染水漏れを起こしました。漏れた汚染水からは1リットル当たり
セシウム134 1200ベクレル
セシウム137 3500ベクレル
(セシウム合計 4700ベクレル)(6)(7)
ストロンチウム90由来の全ベータ(8)が530万ベクレル
見つかったそうです。

※(7)を引用
図―2 モバイル処理装置から漏れた汚染水
3.多核種除去設備(ALPS)がまたダウン
福島第一原発の汚染水処理の最終段を担う装置して多核種除去設備(ALPS)の試験運転が実施されていますが、先週に続き、今週もダウンしました。

※(1)を転載
図―2 福島第一原発の汚染水処理の流れ
多核種除去設備(ALPS)はA,B,Cの3系統の処理系とA,B,C,Dの4つのサンプリングタンクがあり、サンプリングタンクから汚染水タンクエリアの反対側のJ1エリアのタンクに汚染水を送っています(7)。(図―1に示す通り、ALPSは北側にJ1エリアのタンクは南側にあります)。以下にここ2週間の主なトラブルと多核種除去設備(ALPS)の系統を示します。

図―3 多核種除去設備(ALPS)の構成と近々のトラブル
これまでの経緯は以下の通りです(6)(7)(8)。
3月17日 B系統の出口から処理水を回収
3月18日 処理水から1リットル当たり、1400万ベクレルと1100万ベクレルのストロンチウム90等に由来する全ベータを確認、処理を停止 3月19日 移送先のJ1タンク群も汚染されていることを確認
3月24日13時頃 A系、C系の運転を再開
3月24日19時頃 サンプルタンクCより汚染水漏れを確認(サンプルタンクCには3月18日発見された処理されない汚染水が混じっている)。

※(9)を引用
図―4 サンプルタンクCから漏れだした汚染水
3月24日19時頃 A系、C系の運転を停止(運転全面停止)
3月25日 A系、C系の運転を再開
3月27日 A系出口の処理済みの水の「白濁」を確認、A系の運転を停止
多核種除去設備(ALPS)は当初は2012年夏には「稼働」する予定でした。でも最新の予定を見ると少なくとも2014年4月中は「試験運転」が続きそうです。

(a)当初予定 (b)最新予定
※(a)は(1)を転載、(b)は(7)より作成
図―5 多核種除去設備(ALPS)の当初予定と最新予定
このまま行ったら2年は遅れそうです。福島第一原発事故から3年しか経っていないのに!このペースで他の廃炉作業も遅れたら当初計画の30~40年の計画(1)は、大幅に遅れ、今、生きている人は誰も廃炉の完了を見れない気がします。
4.汚水漏れの犯人は「迷宮入り」
2月20日に福島第一原発では汚染水タンクからの汚染水漏れが発生しました。何者かが、汚染水漏れ直前に満水のタンクに汚染水が流れ込むように弁の設定を変えたことが原因です(10)。

※(11)を転載
図―6 汚染水漏れを起こしたときの弁の状態
東京電力は犯人捜しをしたのですが、結局は見つからなかったそうです。これからは相談(密告?)窓口を設け広く情報を募るそうです(12)。事実上の「迷宮入り」宣言です。汚染水漏れを引き起こした弁操作が「過失」よるものか「悪意」によるものかすら分からないみたいです。これからは「悪意」も想定した対策が必要になると思いますが、大変!たとえば「安全の為にたとえ休憩時間中も1人で行動しないように」なんてお触がでたら、トイレに行くのも監視付?
5.サイドブレーキをかけたまま「運転」し、クレーン停止
福島第一原発4号機では核燃料プールからの燃料取り出しを行っています(13)。3月26日午前9時30分頃、4号機使用済燃料プールからの構内用輸送容器の取り出し作業中に、原子炉建屋天井クレーンにて故障ランプが点灯し停止しました(14)。サイドブレーキを掛けたままクレーンを運転し、モーターに余計な負荷がかかり安全装置が働いてクレーンを自動停止させたそうです(15)

※(16)をキャプチャー
図―7 サイドブレーキをかけた為にクレーンが停止したと報道する福島ローカル局(FCT)
幸い停止した時は、クレーンは核燃料棒を吊るしていなかったそうです。核燃料取り出し作業はもとっとも注意を要する作業です。ここで、こんなポカミス起こして、福島第一原発って大丈夫ですかね?
6.殉職者第一号
3月28日14時過ぎに福島第一原発で掘削した穴に入り点検作業をしていたら、ブロックが崩れ落ち作業員さんが下敷きになり、17時22分に亡くなりました。亡くなられた方のご冥福を祈る共に、彼(50代男性)の死を無駄にならないように、今後の廃炉作業が安全になることを祈るばかりです(17)。

※(18)より引用
図-8 事故が起こった「穴」
以下に死亡事故の位置を示します。

※(17)とGoogle Mapで作成
図―9 死亡事故位置
東京電力の3月28日の会見(18)を聞いていたら、この工事を請けおったのは「東双不動産」です。「東双不動産」のHP(19)を見る限り東電100%出資の会社ですが、東電の社宅や寮などの福利厚生施設の管理を主にしていた会社みたいです(20)。原子力には「素人」の会社です。こんな会社を動員すればリスクが高まるのは明らかです。それでも東電は動員し、死人を出しました。福島第一原発はそこまで切羽住まっている感じです。
<余談>
4月から福島原発20km以内にある田村市立都路中学校等が再開されるそうです(21)。福島原発はトラブル続きなのに、原発の近くの学校を再開して大丈夫ですかね?それとも安倍出戻り内閣は、たとえ子供でも「国家」の為に犠牲になるはしかたがないと思っているのですかね?

※(22)をキャプチャー
図-10 安倍出戻り内閣が殺すかもしれない田村市都路の子供達
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(3月3週)―汚染水対策の要のはずが 放射性物質取り除けず-(2)
2014年3月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(3)
2014年3月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(4)
福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ|東京電力(5)(4)中の「中長期ロードマップの進捗状況 2014年3月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第4回事務局会議)【資料1】プラントの状況(1.51MB)PDF」
(6)
2014年3月25日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (7)(4)中の「中長期ロードマップの進捗状況 2014年3月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第4回事務局会議)【資料3】個別の計画毎の進捗状況(13.3MB)PDF
(8)
2014年3月27日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (9)
東京電力 写真・動画集| 多核種除去設備 サンプルタンクC 側面マンホール部の漏えい確認時の水の滴下について(10)
第12回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|原子力規制委員会(11)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(3月1週)―ALPSまた停止-(12)
2014年3月26日福島第一原子力発電所H6エリアタンクからの汚染水の漏えいに関する調査について(PDF 27.0KB) (13)
福島第一原子力発電所4号機からの燃料取り出しの進捗状況|東京電力(14)
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力(15)
2014年3月28日福島第一原子力発電所の状況(記者会見資料)(PDF 111KB) (16)
福島中央テレビ [FCTニュース](17)
2014年3月27日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(18)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 掘削作業中における作業員の被災について(19)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力(20)
東双不動産管理株式会社|双葉郡楢葉町(21)
学校案内 | 田村市立都路中学校 - 田村市教育ポータル(22)
田村市都路町の古道小と岩井沢小、避難先で最後の卒業式
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- 2014/03/28(金) 20:25:27|
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