昨日から今日(9/29)にかけて、福島第一原子力発電所の原子炉温度が1、2、3号機の100℃以下になったとのニュースが流れていました。本当なのかなと思い東京電力発表のデータみたら100℃以下でした。でも理論的に今の注水量では、水温を100℃以下にするのは無理だと思います。100℃以下では、水の蒸発はごくわずかです。水が沸騰することができません。だとすると、冷やすのことができるのは、水があったまった分だけです。今日の注水量(1号機3.8m
3/h、2号機9.9m
3/h、3号機9.9m
3/h)では、水の蒸発なしには原子炉の熱を取り去ることができないからです。
温度計は大丈夫でしょうか?東京電力の説明では温度計はほぼ正しいといっています(1)。根拠は、温度計は熱電対(温度が高くたなると、温度に比例して高い電圧がでる素子で、電圧を測ることで温度がわかります)を使用しているそうです。断線か短絡しか故障モードがないのでどちらにしても、温度が測れなくなるが、今は測れているのでほぼ正しいとのことです。漏電はないのでしょうか?もし漏電があれば、温度はデータとして出てきますが、低い値になります。
仮に正しく測れたとしても、原子炉につけられた温度計は原子炉内の水温より低くでるのではないでしょうか?「冷温停止」なら、原子炉内の水の温度が100℃以下でなくてはならないと思います。なぜなら、水が沸騰せずに穏やかに原子炉を冷やすことができるからです。
計算の詳細は以下の通りです。
①水の温度が1度上がると、1kgあたり4200Jの熱を奪ったことになります。原子炉注水前の水温は、回りと同じと思うで20℃くらいだと思います。すると、100℃まで80℃ありますので、水1kgで奪える熱は336,000Jになります。1m
3/hの注水で奪えるワット数は、
336,000×1000÷3600=93,333W=0.093333MW
になります。
②原子炉から出る熱は、東京電力が依然にグラフを公表しています(2)。そこから読むと、
1号機 0.7MW程度
2号機、3号機 1MW程度です。
③①に注水量をかけて、奪えるワット数を計算すると
1号機 0.35MWで、原子炉から出る熱流量の半分以下でしかありません。
2号機 0.92MWで、原子炉から出る熱流量とほほ同じですが、100%の水がうまく冷却に使えたとはとても思えません。
3号機 0.99MWで、原子炉から出る熱流量とほほ同じですが、100%の水がうまく冷却に使えたとは思えません。原子炉のなかはぐちゃぐちゃの状態になっているのは明確だと思います。しかもその詳細な状況は分かりません。それでいて水をすべて冷却につかえただの考えられません。相当の割合の水は冷却に使われることなく、メルトダウンでできた原子炉の「穴」から漏れ出していると思います。報道をみていると、100℃以下の状態がしばらく続けば「冷温停止」になるような言い方をしています。でも、冷温停止をゆうなら、いろいろな事を検討し、「冷却水の沸騰」が起こって起こらないことを確認すべきだと思います。2号機の原子炉建屋の5階から湯気が立ち上っている東京電力発表の映像があります(3)。メルトダウンした核燃料のある地下で、沸騰が起こってないなんて「猫」は考えられません。
―参考にしたサイト様―
(1)
・第2回 9月17日(土)「原子炉圧力容器・原子炉格納容器の計測機器の状況」(2)
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_110526_01-j.pdf(3)
•福島第一原子力発電所 2号機 原子炉建屋5階(ZIP 18.0MB)
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- 2011/09/29(木) 21:06:45|
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