5月12日に福島県は「美味しんぼ」に対する見解を発表しました(1)。(=^・^=)なりに点検したらら、極めて非科学的な内容です。福島県は以下の見解を述べていますが、(=^・^=)が調べた限りでは科学的な根拠がありません。
①「放射性物質の農産物等への吸収抑制対策」⇒放射性物質でなくセシウム吸収抑制対策
②「米の全量全袋検査」⇒精度を担保するデータが一切ない。
③「基準値内の安全・安心な農林水産物のみが市場に出荷」⇒福島県が見つけらない汚染食材が他で見つかっている。
④「除染をしても汚染は取れない」⇒事実である
⑤「福島はもう住めない、安全には暮らせない」⇒事実である
⑦「60%以上の着実な空間線量率の低減」⇒自然減衰と計測器の人為的な操作で下がった。
以下に詳細を記載します。
1.福島県が実施しているのは放射性物質抑制策でなく、セシウム抑制策
放射性物質の基準は、現在はセシウムしか定められていません(2)。これについて厚労省は「放射性セシウムを代表として設定しています。」と述べています(3)。でも原発事故ででた放射性物質はセシウムだけではありません。以下に、福島第一原発付近の外洋(南側放水口付近)の放射性物質濃度の推移を示します。

※1(4)を引用
※2 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(5)
図―1 南側放水口付近の放射性物質濃度推移
ストロンチウム90由来の放射性物質を示す全ベータが多く見つかっています。福島県は見解(1)の中で
「これまで国、県、市町村、生産団体、学術機関等が連携・協力しながら、農地等の除染、
放射性物質の農産物等への吸収抑制対策の取組」
と述べていますが、「放射性物質の農産物等への吸収抑制対策」ならば、セシウム以外の放射性物質についても効果のある対策を実施していなければ「嘘」になるます。しかし、福島県が実施している放射性物質抑制対策は
①カリウムを多めに撒く
②ゼオライトによる土壌改良
であり(6)、セシウム以外には効果がありません。逆にセシウムが見つからなくなるので、他の放射性物質のリスクが増えます。
2.精度を担保するデータがない「米の全袋検査」
福島県は見解(1)の中で
「米の全量全袋検査を始めとする県産農林水産物の徹底した検査の実施などにより」
と述べています。
福島県はお米の検査を、「全袋検査」との名前の簡易な検査と、「詳細検査」の二本立てで実施しています(8)。2013年度米の2013年10月23日現在の検査数は
全袋検査 7,463,557件
詳細検査 425件
で殆どが全袋検査です(9)。全袋検査は簡易検査なので(8)、精密検査との比較データを公表して初めてその精度が担保されますが、(=^・^=)が調べた限り福島県の比較データを見つけられません(8)。検査映像などから、1キログラム当たり75ベクレルを超えたものを精密検査に回しているようです。以下に福島県が2013年度産米で福島県の精密検査結果を示します。

※(9)を転載
図―2 福島県産米精密検査結果の分布
検出限界未満(ND)の物があります。簡易検査である全袋検査で1キログラム当たり75ベクレル以上の値が出たのに精密検査では検出限界未満(0)です。誤差は75ベクレル以上です。基準値は1キログラムあたり100ベクレルなので、まともな検査とは言えません。
3.基準外の出荷が否定できない福島県の検査実績
福島県は見解(1)の中で
「
基準値内の安全・安心な農林水産物のみが市場に出荷されております。」
と主張しています。この主張を担保するには、最低限でも
・福島県の検査は基準超の食品を見つける能力がある
ことが必要です。福島県の過去の実績はそのような能力が福島県の検査にはない事を証明しています。
福島県いわき市沖で2月28日捕れた取れたユメカサゴから基準値を超える1キログラム当たり
110ベクレル
の放射性セシウムが見つかりました。

※(10)より転載
図―3 ユメカサゴから110ベクレルを報じる福島ローカル局(FTV)
不思議な事に福島県はこれまで158件の検査をしていますが、うち151件からは放射性セシウムがみつからず、最高値は1キログラム当たり25ベクレルです。以下に過去1年の福島県産ユメカサゴの推移を示します。

※(10)を集計
図―4 福島県沖ユメカサゴの放射性セシウム濃度の推移
福島県は、基準超えがあるにも関わらず、見逃していたのです。
以下に福島産品の福島県と他県との検査結果の比較を示します。
表―1 福島県の検査結果と県外の検査結果の比較
※1 2013年、14年1月17日までの厚労省の発表(1)を集計
※2 検査はゲルマニウム半導体検出器による精密検査について比較
※3 表中の全数NDは、全ての検査で放射性セシウムが見つからなかった事を示す。
※4 (11)を転載

概ね同じ福島産品を他県で検査すると10倍の値になります。
福島県の検査能力には疑問がり、福島県が検査したからといって
基準値内の農林水産物のみが市場に出荷されてる保証はありません。
4.除染されるのはほんの一部だけ
福島県は見解(1)の中で
「「除染をしても汚染は取れない」との表現がありますが、本県では、安全・安心な暮らしを取り戻すため、国、市町村、県が連携して、除染の推進による環境回復に最優先で取り組んでおります。」
と述べていますが、「除染をしても汚染は取れない」との表現は事実です。
(=^・^=)は以前、除染廃棄物を貯蔵する中間貯蔵施設の容量を見積もったことがあります(12)。本容量はセシウム137で170兆ベクレルです。福島にセシウム137は1、000兆ベクレル程ばら撒かれていますが回収されるのが1部の170兆ベクレルで、残りの約830兆ベクレルがそのまま放置されることになります(11)。
5.「福島はもう住めない、安全には暮らせない」は事実
福島県は見解(1)の中で
「「福島はもう住めない、安全には暮らせない」など、作中に登場する特定の個人の見解があたかも
福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現があり大変危惧しております。 」
と述べていますが、(=^・^=)は福島県の主張は福島が安全であるかのような誤った印象を与えかねない表現があり大変危惧しております。
避難地域外の市では放射線汚染が酷い福島県二本松市では2011年3月以降に死者数が増えたままになっています。

(a)福島県二本松市 (b)宮城県(震災犠牲者を除く)
※1 (12)を転載
※2 二本松市は震災犠牲者も関連死もありません(12)
※3 宮城県は震災犠牲者を除く
図―5 二本松市と宮城県の死者数の推移(震災犠牲者を除く)
以下に、福島県の合計特殊出生率の推移を示しますが、

※(13)を転載
図―6 福島および隣県と全国の合計特殊出生率推移
被災3県中、福島県だけが大幅にダウンしています。
死人が増えて、子供が生まれなくなった福島を「もう住めない、安全には暮らせない」と表現するとのは正しい表現です。
6.60%以上の着実な空間線量率の低減、実は自然減衰と計測器の人為的な操作で下げた。
福島県は見解(1)の中で
「国、市町村、県が連携して、除染の推進による環境回復に最優先で取り組んでおります。その結果、平成23年8月末から平成25年8月末までの2年間で除染を実施した施設等において、除染や物理的減衰などにより、60%以上の着実な空間線量率の低減が見られています。」
と述べています。
でも、福島県の除染は全然進んでいません。福島県が主張する2013年8月時点の住宅除染は計画約25万戸に対し約5万戸しか終わっていません。

※(13)を集計
図―7 福島県の住宅除染の進行状況
何故、低くでるようになったかと言えば以下の2の要因です。
①半減期による自然減衰
放射性物質は半減期があり、放置しても徐々に減っていきます。ただし、半減期は長いものとや短いものなどがあります。以下に半減期から計算できるセシウム134と137由来の放射線量の推移を示します。

※(14)を転載
図―8 セシウム134由来と137由来の放射線
この効果で概ね40%の低減効果があります。
②測定器の人的操作
福島県が発表する福島市の放射線量は
2012年12月の0.8μSv/hから
2013年5月連休明けには0.36μSv
で約半分に激減しました。理由は
・計算式の補正などの調整
・測定器を放射線量の低い道路際に移す。
・測定器周りの除染
です(15)。すべてが人為的操作です。

※(15)を転載
図―9 測定器を人為的に操作して低下した福島市の放射線量
この結果、福島県が発表する放射線量は大きく下がっています。

※(16)に加筆
図ー10 福島県が
発表する放射線量
1時間当たりで
2011年9月 1.03マイクロシーベルト
2013年9月 0.33マイクロシーベルト
で、約70%減です。一方、自然減衰で40%減で、これを測定器の人為的操作で半分したので、こちらの効果も約70%です。福島原発事故から3年が経過しましたが、この間、国も福島県も効果がる放射線量の低減策は実施していません。その代わり、測定器を人為的に操作して放射線量の測定値を下げています。
でもこれからは放射線量はなかな下がりません。さすがにこれ以上の人為的操作は無理だと思うし、もう一度実施したら福島県は信用を失うと思います。図ー8をみてわかるように、これまで減少していたセシウム134由来の放射線はなくなりつつあります。今後はなかなか減らないセシウム137由来の放射線が残ります。
<余談>
福島県の見解を見る限り、「事実関係」に対する論理だった反論はないような気がします。その代わり「総じて本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾であります。」
ような感情的な反発を強く出しています。論理だった反論をせず、感情的な反発を強く打ち出すのは、福島県が抱えている問題は「風評被害」との論点では論理だった反論が不可能だからだと(=^・^=)は思います。この事実は、福島県が抱えている問題が「風評被害」でなく「放射性物質汚染」であることを明らかにするものです。
福島県は見解の最後に
「今後も本県の正確な情報の発信に努めながら、復興に向けて全力で取り組んでまいります。」
と述べていますが、福島県からの正確な情報発信はあり得ないと思います。こんな福島県に(=^・^=)は怖くて近づけません。(=^・^=)はフクシマに対し
「行かない」「買わない」「食べない」
のフクシマ3原則を決めています。これは(=^・^=)だけではないみたいです。

※(17)を引用
図―11 福島県産品が殆どない福島県相馬市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
週刊ビッグコミックスピリッツ「美味しんぼ」に関する本県の対応について - 福島県ホームページ及び同URL中の「■出版社へ申し入れした内容
・「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号における 「美味しんぼ」について [PDFファイル/143KB]」
(2)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(3)
よくある質問|厚生労働省(4)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(5月1週)―雨が降ればセシウムが海に流れ出す-(5)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
農作物放射性物質低減対策の取り組み - JA伊達みらいのホームページ(7)
めげ猫「タマ」の日記 放射性セシウムが見つらなくても安全とは言えない福島県産食材?(8)
水田畑作課 - 福島県ホームページ(9)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー(10)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2月)―ユメカサゴは基準超え、でも福島県は公表せずー(11)
めげ猫「タマ」の日記 福島県のセシウム検査の値は他県の10分の1(12)
めげ猫「タマ」の日記 3年経っても福島県二本松市の死者は増えたまま!(13)
めげ猫「タマ」の日記 8割以上の放射性物質の放置を決めた福島除染計画(13)
除染情報サイト:環境省(14)
めげ猫「タマ」の日記 20mSv/年で帰還OKと原子力規制委―でも大丈夫?(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島市の放射線量激減―測定器をいじっただけ―(16)
ふくしま復興のあゆみ - 福島県ホームページ中の「 平成26年4月28日発行 [PDFファイル/6.58MB]」
(17)
ヨークベニマル/お店ガイド
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- 2014/05/12(月) 19:48:09|
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一丸でなんてやってないよね。逆に資金や雇用不安などで出たいけど出れない人の方が多いと思うよ。旦那や親は残ると云い、奥さんは子供の為に出たいと思っている人々沢山居る筈だよね。そんな旦那達だって、避難先に雇用や住まいを提供してくれるシステムが有ったら出て行くさ。残るのは爺さん婆さんだけだな。
そんな事になったら困るのは役人共と政治屋だけ。
おっと忘れてた!天下り先の電力会社を筆頭にしたムラ人達が居たな。だから奴ら笑っちゃう位必死だよね。
- 2014/05/13(火) 20:25:40 |
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- hotaka43 #mWyI0ZzU
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