京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(5月17日から24日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.ALPS全系統ダウン
多核種除去設備(ALPS)ではセシウム以外の62種の放射性物質(トリチウムを除く)の除去装置で(2)、福島第一原発の汚染水をこの装置に通すと、汚染水内の放射性物質を大幅に減らすことができます。

※(3)を転載
図―1 多核種除去設備(ALPS)の概要
ALPSにはA系、B系、C系の系統があります(2)。先週末まではこのうちA系統とC系統が動いていたのですが、今週はこちらも止まってしまいました。
5月17日の定例のサンプリングA系統の水に白濁があり、カルシウム濃度が高いこが分かり、午前9時00分、処理運転を停止しました。この水からは1リットル当たりで
全ベータ 240 ベータ
が見つかっています(3)(4)。
5月20日の定例のサンプリングにおいて、C系統の水に白濁があり、カルシウム濃度が高いこが分かり、処理運転を停止ししました(7)。
以下にここ2ヶ月の多核種除去設備(ALPS)のトラブルを示します。
3月17日 B系統の出口から処理水を回収
3月18日 処理水から1リットル当たり、1400万ベクレルと1100万ベクレルのストロンチウム90等に由来する全ベータを確認、処理を停止
3月19日 移送先のJ1タンク群も汚染されていることを確認
3月24日13時頃 A系、C系の運転を再開
3月24日19時頃 サンプルタンクCより汚染水漏れを確認(サンプルタンクCには3月18日発見された処理されない汚染水が混じっている)。
3月24日19時頃 A系、C系の運転を停止(運転全面停止)
3月25日 A系、C系の運転を再開
3月27日 A系出口の処理済みの水の「白濁」を確認、A系の運転を停止
3月29日 C系での汚染水処理を停止して、ポンプの洗浄を行ったのですがポンプの流用が元に戻らず(12)。
4月16日 見張りをせずに洗浄作業を行い水をあふれさす(13)
多核種除去設備(ALPS)はトラブルだらけです。多核種除去設備(ALPS)は当初の予定では2012年の6月くらいには稼働するはずでした(13)。最新の予定を見ると2014年6月までスケジュールが伸びています。福島原発事故後3年しか経ってないのに2年遅れが確定です。

(a)当初予定 (b)最新の予定
※(a)は(13)を転載、(b)は(15)を一部引用
図ー2 多核種除去設備(ALPS)の当初予定と最新スケージュル
2.今週もけが人
5月19日午前11時45分頃、福島第一原発G4タンクエリアにおいて、パトロール中の下請けさんが転んで右足を骨折しました。急医療室にて医師の診察を受けた後、救急車で運ばれたそうです(6)(7)。先々週は脳内出血、先週は車のドアに指を挟んで骨折とか、大型クレーンが転倒して怪我などが起こっています(1)。これで3週連続です。福島第一原発ってどうなっているんですかね。(=^・^=)は下請けさんに言いたいは、汚染水漏れより人身事故の方が問題だとゆうことです。
3.排水工事をしたら汚染水が増えた
5月19日、汚染水対策の為に「孔」4か所を掘っていたら、箇所の孔より地下水と思われる水が流れ込む音がし、集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)と集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)間のトレンチ内部の水位が同日午後0時から同日午後4時の約4時間で2461mmから2606mmに上昇しました。
5月20日午前0時5分、集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へのトレンチ(地下道)内部の「(汚染)水」を移したそうです。水を採取して調べたら1リットル当たりで
・高温焼却炉建屋-プロセス主建屋間トレンチ滞留水(立坑付近)で
セシウム134:370万ベクレル
セシウム137:1000万ベクレル
・高温焼却炉建屋-プロセス主建屋間トレンチ滞留水(掘削口付近)で
セシウム134:48ベクレル
セシウム137:150べクレル
の放射性物質が見つかったそうです(7)。
4.汚染水は敷地内に捨てます。
汚染水タンクエリアの堰内ないから抜いた汚染水のうち「基準値」を超えて排水できない汚染水はこれまで、鋼製角型タンクや地下貯水槽等に貯めていましたが、逆浸透膜処理装置(RO装置)を設置し放射性物質の濃度を減らした汚染水のうち放射能濃度が運用目標値以下の汚染水について、5月21日午後1時22分から午後4時12分まで、福島第一原発の敷地内へ散水したそうです。散水量については約73m
3。今後も同じことをするそうです(8)。
敷地にばら撒いてたら、地下や表面を流れ最後は福島の海に行くんですね。(=^・^=)は福島のお魚は食べません。
5.堰から汚染水漏れ
5月22日午前10時50分頃、福島第一原発内のH4タンクエリアの堰内雨水をH2北タンクエリアに設置してある500tタンクに移していら、移送用ホースが汚染水漏れを起こしました。下請けさんが見つけたそうです(8)。もれた水は約4m
3で、1リットル当たり
全ベータが16ベクレル
ストロンチウム90が6ベクレル
見つかったそうです。ホースを福島第一原発の作業員さんが踏みつけたのが原因だそうです(9)。
6.焼却炉建屋の水位上昇は止まらず
4月14日、福島第一原発の汚染水処理で、使う予定のない仮設ポンプ4台が動き、本来移送されるはずのない建屋に汚染水を送っいたことが発覚しました(10)。ポンプを止めて汚染水の誤移送は止まったはずですが、誤って汚染水を送った建屋の一つの「焼却建屋」の水位(水の深さ)が少しづつ上がっています(4)~(11)。以下に水位と誤移送ルートを示します。

(a) 焼却建屋の水位 (b)誤移送のルート
※1 (a)は(1)に(4)~(11)を追記
※2 (16)を転載
図―3 焼却建屋で増え続ける汚染水と誤移送のルート
7.「東電社員様は逃げていた」は秘密保護法施行前の駆け込みリーク?
朝日新聞が福島原発事故の政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)の内容をすっぱき、東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた東電社員様の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反て逃げ出していたとのことです(17)。その後に二号機が白煙を上げ、福島が放射性物質に襲われ(18)、すくなくとも人が住まない方がいい場所になったと思います。

※(18)を引用、加筆
図―4 2011年3月15日前後の経緯
これについて、安倍出戻り内閣は相当に怒っているようです。内閣官房のHPに「吉田元所長の上申書」なるものを掲載し(19)、吉田氏は調書の公開に同意していない旨を強調しています。原発の安全審査をみていると(20)、万が一にも事故っても待機している要員が原発に駆けつけ、対応にあたるので大事故にならないとしていますが、本当に駆けつけるのですかね。一斉に逃げたりして・・。
昨年12月13日に「特定秘密保護法」が公布されました。公布から1年以内に施行すること(21)になっているので、間もなく施行されるとおもいます。その前の駆け込みリークですかね!
<余談>
遁走した東電社員様を非難するのは間違っていると思います。だれもが他人に対し死ぬかも知れない危険な行為を強要することしてはいけません。危険を感じたら逃げるのは「当然」の権利です。逃げるか残るかは各個人がそれぞれに判断するしかないと思います。でも、安倍出戻り総理や特定秘密保護法を担当した森雅子大臣は、福島産品を食べない行為は「風評被害」と非難しています(22)。国民を犠牲にしても、原子力ムラを守りたいようです。「特定秘密保護法」の真の目的は「福島原発事故」の隠ぺい?
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(5月2週)―二週連続のけが人-(2)
多核種除去設備 (ALPS)|東京電力(3)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(4月3週)―みんな頑張っている、でもトラブル続発-(4)
2014年5月17日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (5)
2014年5月18日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (6)
2014年5月19日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (7)
2014年5月20日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(8)
2014年5月21日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(9)
2014年5月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (10)
2014年5月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (11)
2014年5月24日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在 (12)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(4月1週)―雨が降れば汚染水タンク堰から汚水漏れ-(13)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(4月3週)―みんな頑張っている、でもトラブル続発-(14)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(3月3週)―汚染水対策の要のはずが 放射性物質取り除けず-(15)
平成26年度第2回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について|東京電力中の「多核種除去設備について(PDF 1.98MB)」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(5月1週)―増え続ける焼却建屋の水位―(17)
福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明:朝日新聞デジタル(18)
1. 福島原発事故はなぜ起こった(19)
吉田元所長の「上申書」の公表について - 内閣官房(20)
新規制基準適合性に係る審査(原子力発電所)|政策課題|原子力規制委員会(21)
特定秘密の保護に関する法律 - Wikipedia(22)
めげ猫「タマ」の日記 原発事故から1000日―拡大する福島安全神話
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- 2014/05/24(土) 20:29:11|
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