東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(6月20日から27日)もしっかりトラブルが起こっています。
今週、特に目立ったのは汚染水対策のトラブルです。東京電力は地下水バイパス(2)、凍土壁、多核種除去設備(ALPS)など(1)がありますがどうもうまくいっていません。
1.地下水バイパスの水位は下がらず
地下水バイパスは地下水を汲み上げる事によって福島第一原発の原子炉建屋付近の地下水位を下げ、建屋内への地下水の流入を抑えるものです。汲み上げた地下水は海に流すことになっていますが(2)、6月21日に海に流し初めてからカ月が経過しました(3)。地元紙の福島民友さんの報道によると、下がるはずの地下水位が下がってないそうです(3)。地下水バイパスは1~4号機建屋に1日約400トン流入する地下水量を100トン程度減らせるとの触れ込みで始まったのです(3)。そのためには水位を6m程度に低下する必要があります(2)。以下に地下水位観測点の水位をします。

(a)水位 (b)観測点
※(4)より作成
図―1 原子炉建屋付近の水位
殆ど変化がなく、高い所は9m以上です。もっとも暗雲はこれだけではありません。地下水を汲み上げる井戸の一つNo12のトリチウム濃度が基準値を超えてどんどん上昇しています。

※(6)を転載
図―2 地下水バイパスNo12のトリチウム濃度
2.汚染水は地下深くに浸み込んでいた。
東京電力の説明によると、福島第一原発の地下は地下水を通す地層(透水層)と地下水を通さない地層(難透水層)が重なり合ってできているそうです(7)。

※(7)より作成
図―3 福島第一原発の地下構造
従来の説明では、一番上の「上部透水層」には放射性物質は漏れているが、そのしたの「下部透水層」には間の「難透水層」に阻まれ放射性物質は行っていないとの説明です。ところが深い井戸を掘って「下部透水層」の地下水の水を調べたら放射性物質の一種のトリチウムが見つかったそうです。
以下にトリチウムが見つかった井戸の位置と濃度(最高値)を示します。

※(7)およびGoogle Mapにて作成
図―4 地下深くから汚染水が見つかった井戸の位置
これまでなかった「無い」と下ところに汚染水が見つかれば、いろんな対策の見直しをせまられるかも?
この発表は6月24日に行われましたが(7)、翌日は決勝リーグの切符のかかったワールドカップ、コロンビア戦(8)。あまり大きなニューズにはならなかった気がします。東電の意図を感じるのは(=^・^=)だけですかね?ワールドッカプ日本代表の米国フロリダ合宿に、福島県広野町産の米を持ち込まれたそうです(9)。「福島産食べて応援、予選落ち」なんてのは書き過ぎですね!
3.凍土壁は凍らず
(=^・^=)は従前、流れている水が凍らないように、地下水の流れが速いと凍土壁も凍らずに失敗するはないかと記事を書きました(10)。現在、工事がすすんでいる凍土壁とは別に(11)、東電は原子炉やタービン建屋から漏れ出でて、地下道(トレンチ)に溜まった汚染水を凍土壁で塞ぐ計画をたてていました(11)。地下道にパッカーをいれ、パッカーともども凍らせて地下道を塞ごうとするもです(12)。以下に概念図を示します。

(a)概念図 (b)イメージ
※(11)を引用
図―5 地下道(トレンチ)に投入されるパッカーのイメージ
報道によると、
「凍結液を流し始めて一カ月半もたつのに、ほとんど凍っていない。」
そうです。また
「実際の現場では水の流れがあり、凍る前に水が入れ替わってしまうのが原因だった。」
だそうです(13)。こんなんで凍土壁は大丈夫ですかね。それにしても「流れ」がるとゆうことは今も地下道(トレンチ)を通じて汚染水が海に流れ出ているみたいです。そっちも心配!
<余談>
今週は福島第一原発の汚染水対策の「凍土壁」、「地下水バイパス」及び多核種除去設備(ALPS)のうち、「凍土壁」と「地下水バイパス」の問題が発覚しました。先週は多核種除去設備(ALPS)がトラブルを起こしました。このまま行ったら福島第一原発の汚染水対策は「予選落ち」なんてことになりません。そのうち、「海に流すしかない」なんて居直ったりして・・・・
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(14:55 2014/06/20月週)―ALPSにまた遅れ-(2)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(3)
地下水位の変動なく 海洋放出1カ月、効果見通せず(福島民友ニュース)(4)
福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ|東京電力中の「2014年6月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第7回事務局会議)
【資料3-2】滞留水処理(2.75MB)PDF 」
(5)
「平成26年度第3回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について|東京電力中の「地下水バイパス運用開始について(PDF 494KB)PDF」
(6)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(6月4週)―地下水バイパスは2週連続新記録-(7)
2014年6月24日福島第一原子力発電所タービン建屋東側(海側)下部透水層の水質調査状況について(PDF 831KB)(8)
日本1―4コロンビア | 国内外ニュース | 福島民報(9)
東京新聞:W杯代表に福島米 日本代表専属シェフ 西芳照さん:スポーツ(TOKYO Web)(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の凍土壁は税金の無駄遣い?(11)
第23回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会中の「資料1」
(12)
第10回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|(13)
東京新聞:「凍土壁」早くも黄信号 地下トンネル、汚染水抜き難航:社会(TOKYO Web)
6月28日追記
地下水バイパスの効果が出ないことは福島の方も気にされてるようです。

※(A1)を引用
図-6 地下水バイパスの効果が「見通せず」と1面トップで報じる福島県の地方紙(福島民報)
(A1)
福島民報(6月28日閲覧)
スポンサーサイト
- 2014/06/27(金) 19:05:52|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0