東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、7月3週(7月20日から7月26日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.汚染水タンクは中古品
7月23日に福島第一原発で使用されている汚染水タンクに中古品のタンクがあることが報道され(2)、中古品であることが発覚しました。

※(3)をキャプチャー
図―1 中古品のタンクが使用されていると報道する福島のローカル放送(FTV)
これに対し東京電力は
①「汚染水貯留用タンクの耐用年数については、新品、中古品に関わらず、汚染水を5年間貯留することができる」
②「漏えいの発生したタンクは、中古品ではありません。」
と主張し、中古品タンクが使われてることを認めています(4)。
2.凍土壁は凍らにので、氷で冷やします
福島第一原発では、タービン建屋からトレンチ(地下道)が海に向かって伸びています。いまその地下道のは汚染水が溜まっているので、凍土壁の技術を使い「地下道」とタービン建屋の接続部4か所を凍らせ、タービン建屋と「地下道」の汚染水の行き来を遮断する計画です。

※(4)を転載
図―1 凍土壁の工事位置
このうち2号機の立坑Aは4月28日から凍結を開始しましたが、7月1日なっても凍りついていないそうです(6)。以下に立坑Aを南北に切った断面の様子を示します(7)。

※(7)を引用
図―2 2号機立坑Aの温度分布
高い所では17℃程度あります。以下にS2地点地下3mの温度の温度推移を示します。

※(7)(8)より作成
図―3 立坑A S2地点地下3mの温度推移
1度は3.1℃まで下がったのですが、また再上昇です。
そので東京電力は氷を投入して冷やすことを始めました(8)。

※(9)を引用
図―4 凍らされるようと「氷」が投入される「凍土壁」工事現場
氷で凍らすことってできるんですかね?アイスボックスに氷を入れてそこに飲み物ををいれても冷たくはなりますが、凍ることはないような…。
3.汚染水漏れの原因は分からず
先週、福島第一原発5号機で水漏れが見つかりました。

※(1)を転載
図―5 水浸しになった「福島第一原子力発電所5号機原子炉建屋5階オペレーティングフロア」
7月22日に詳細が発表になりました(10)。水漏れは既に止まってるようですが、どうして水漏れの原因については発表がありませんでした。原因不明みたいです。でも、漏れた水を回収してそのまま動かすそうです(10)。
4.二週連続の「火事」
先週も火事がありましたが(1)、今週も「火事」がありました。
7月25日午前8時50分頃、構内地下貯水槽No.1北東側に設置されている仮設の発電機が煙を出しているのを下請けさんが見つけました。消防署に通報したそうです(11)。

※(12)を引用
図-6 煙を出した発電機
5.下請けさんが熱中症
7月25日午前11時頃、サブドレン集水設備設置工事を下請けさんが、体調不良になり救急車で運ばれました(10)。「熱中症」だったそうです(13)。このところ、体調不良者がケガ人が続発しています。近々では以下の通りです。
5月 8日 下請けさんが、脳内出血。
5月10日 下請けさんが、車に乗ろうとし、車のドアに右手薬指を挟み骨折。
5月12日 下請けさんが、クレーン転倒の為ケガ(双葉郡楢葉町にある資材ヤード)。
5月19日 下請けさんが、パトロール中に転んで右足を骨折。
5月27日 下請けさんが、汚染水タンクの工事中に転んで骨折。
5月28日 下請けさんが、体調不良になりドクターヘリ出動。
6月 6日 下請けさんが、体調不良になり救急車で搬送。
6月28日 下請けさんが、足を滑らせ骨折(以上(14))
7月25日 下請けさんが、熱中症になり救急車で搬送(本稿)。
大丈夫ですかね。でもなぜか全員下請けさん。
6.地下水バイパスの水位は下がらず
東京電力では汚染水の増加を抑える為に、汚染水の元となる地下水を汲み上げ海に直接流す地下水バイパスを実施しています(15)。流入量を下げるには流速を下げる必要があります。でも下がっていないことが明らかになりました(16)。

※1(16)を抜粋
※2 OPは小名浜港を基準とした海抜(17)
図―7 福島第一原発原子炉建屋付近の地下水位
また、以下に観測点を示します。

※(16)を抜粋
図―8 原子炉建屋付近の地下水位観測点
落差をΔhとすると流速vは
v=√(2gΔh)
で計算できるそうです(18)。福島第一原発のタービン建屋内の水位は概ね海抜(OP)3mにコントロールされています(19)。

※(19)を集計
図―9 福島第一原発建屋内地下水位
すると地下水位と流速の関係は以下の通りになります。

※(18)の式で計算
図ー10 福島第一原発の建屋入口での流速と地下水位
東京電力は地下水バイパスで、日量400トンの地下水を25%減の300トンに減らせると主張しています(15)。観測用井戸Cの地下水位は9.5m程度で推移しています。流速はを25%下げるにはあと3m低い海抜(OP)6.5mしてやる必要がありますが届く気配がありません。当然、日々の流入量も減ってません。

※(20)を転載
図ー11 地下水バイパス稼働後の汚染水増加量(日量)
<余談>
福島第一原発では、けが人、火事を繰り返しています。汚染水対策の凍土壁も地下水バイパスも上手くいっていません。ただし、放射性物質の垂れ流しは確実に実施しているようです(21)。いつか破局が来そうです。(=^・^=)は福島原発80km圏内には入れません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月3週)―福島第一で火事―(2)
福島第1原発:汚染水タンクに中古品 東電は未公表 - 毎日新聞(3)
福島のニュース 福島テレビ(7月23日ひる放送) (4)
平成26年7月23日付(朝刊)毎日新聞1面「福島第一原子力発電所 汚染水タンクに中古品」について(変更)|東京電力(5)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月2週)―台風でもトラブルが無い事がニュースに!(6)
特定原子力施設監視・評価検討会|会議|原子力規制委員会中の7月23日
(7)
第25回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会中の「資料12,3号機海水配管トレンチ建屋接続部止水工事の進捗状況について[東京電力]【PDF:1.7MB】別ウインドウで開きます」
(8)
2号機トレンチ凍結止水対策における氷の試験投入について(PDF 221KB)(9)
東京電力 写真・動画集| 2号機トレンチ凍結止水対策における氷の試験投入について(10)
2014年7月22日福島第一原子力発電所 5号機原子炉建屋5階弁ボックス内における水溜まりの発見について(訂正版)(11)
2014年7月25日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(12)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所構内に設置されている仮設発電機からの発煙について(13)
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力(14)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(7月1週)― けが人を誤診(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(16)
中長期ロードマップ|東京電力中の「汚染水処理対策委員会 2014年7月25日(第13回)【資料2-1】地下水バイパス稼働状況・効果分析(1.37MB)」
(17)
福島原発の汚染水をよく知るため、O.P.とサブドレンを理解しましょう | 3.11東日本大震災後の日本(18)
水力発電所の出力と有効落差の関係(19)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(20)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス3ヶ月、効果無し(21)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(7月3週)―福島いわきは海開き、上流の福島第一は垂れ流し-
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- 2014/07/26(土) 19:32:46|
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