東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、8月3週(8月10日から8月15日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.凍結止水断念?
福島第一原発では、タービン建屋からのトレンチ(地下道)漏れた汚染水を回収するために、タービン建屋とトレンチの間を凍らせ、水の流れを遮断する作業を行っています(2)。

※(3)をキャプチャー
図―1 タービン建屋、トレンチ間の凍結止水工事の概要
ところが凍結を開始してもなかか凍りません(2)。そこで氷やドライアイスを投入したのですが、やはり凍らなかったみたいです。福島からの報道によると「凍結」して止水するのをあきらめそうです(4)。

※(3)をキャプチャー
図―2 「地下トンネルの「氷の壁」断念を検討」と報じる福島県のローカルTV(FTV)
でも、この工事は点の工事です。

※(5)を転載
図―3 凍土壁の工事位置
でも本番の凍土壁は違います。
※(5)を転載
図―4 本番の凍土壁の工事範囲
凍土壁が効果を上げるには全体が凍る必要があると思います。東京電力は会見でいろいろと言い訳(6)をしているようですが、本番の凍土壁も怪しいと思います。もう一つの汚染水対策である「地下水バイパス」もいまのところ上手く行っていないとの情報しかありません(2)。
2.1日45億ベクレルのストロンチウム90を排出中
東京電力は福島第一原発から海に排出している放射性物質の量を示す資料を発表しました(6)。グラフから読み取ると45億ベクレルのストロンチウム90が海に排出されています。

※(7)を転載
図―5 ストロンチウム90の1日当たりの排出量
1ベクレルのストロンチウム90では0.028マイクロシーベルトの被爆をします(8)。3億ベクレルなら8,400ミリシーベルトの被爆になります(0.028×3億÷1000)。人は7、000から10、000ミリシーベルトの被ばくをすると人が死ぬようです(9)。福島第一は原発事故から3年半近くなっても未だに毎日15人程を殺せる毒物(ストロンチウム90)をばら撒いているようです。
3.お粗末な「浄化設備」
東京電力は地下水バイパス井戸より近い原子炉建屋に近いサブドレン井戸からも地下水を汲み上げて海に流す計画を進めています(1)。

※(1)を転載
図―6 東電が提案した新たな汚染水排出ルート
たた原子炉建屋に近い分だけ、放射性物質濃度が高くそのまま流せないので「浄化」して出すそうです。その浄化装置の構造を東電が発表しました(7)。

※(7)を抜粋
図―7 地下水用浄化装置の概要
心臓部になりそうなのが「吸着塔」です。そこで「吸着塔」の構造を見てみました。

※(7)を抜粋
図―8 「吸着塔」の構造
セシウム(Cs)、ストロンチウム(Sr)とアンチモン(Sb)しか除去できません。他の放射性物質は垂れ流しです。類似の装置としてタービン建屋からくみ上げた汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)がありますが、こちらは62種類です(10)。
4.またも油漏れ
8月12日午前9時55分頃、J4タンクエリアに置いてあるトラッククレーンから油が漏れが見つかりました。漏れた油は、トラッククレーンの作動油で、コンクリート上の地面に約10cm×約30cmに広がり、消防署の検査で「危険物の漏えい事象である」と判断されました(11)。
最近の油漏れ実績を記載します。
①5月29日、福島第一発電構内の免震重要棟駐車場に戻った際に、車から油(エンジンオイル)が漏れ、その後、消防署に通報したそうです。
②5月29日、福島第一発電構内企業厚生棟駐車場で、車から油漏れ、その後、消防署に通報
③6月6日、福島第一原発構内登録センター西側道路上で、下請けさんが使っている車が燃料配管からのガソリン漏れ
④6月17日、5号機残留熱除去系海水ポンプ(A)のモータ下側の軸封部から油が漏れ、消防署に通報したそうです。
⑤7月3日午前6時頃、福島第一発電所内協力企業厚生棟前の路上で、下請けさんが使ってしいる車がエンジンオイル漏れ
⑥7月7日午前10時43分頃、固体廃棄物貯蔵庫第3棟付近において、仮置きされている発電機から油が漏れ(本稿)
⑦7月12日午前11時51分頃、福島第一原子力発電所構内の体育館付近に置いてある車の下から油漏れ(以上(5))
⑧8月12日午前9時55分頃、J4タンクエリアに置いてあるトラッククレーンから油が漏れ(本稿)
一寸、間隔(1ヶ月)空きましたが、油漏れはなくならいみたいです。
<余談>
今週も汚染水対策がらみのトラブルです。このままいったら、福島第一原発の汚染水対策は大幅に遅れそうです。(=^・^=)は福島第一原発内の汚染水を可能な限り(安全なレベルまででないですよ!)浄化して海に流すことが現実味を帯びてきた気がします。福島第一の敷地がタンクが一杯になれば(12)それ以外の対策はありません。
明日、福島県いわき市の海水浴場は明日(8月17日)が最終日です(13)。明日が福島の海で泳げる最後の日になりませんように!
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―今週も下請けさんが倒れる―(2)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月4週)―地下水バイパスで地下水位は下がらず―(3)
福島のニュース 福島テレビ(8月14日ひる放送) (4)
凍結止水断念の恐れ 第1原発トレンチ、作業完了できず(福島民友ニュース)(5)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(7月2週)―台風でもトラブルが無い事がニュースに!(6)
【8月14日】東京電力 記者会見 - 2014/08/14 17:30開始 - ニコニコ生放送(7)
2014年8月11日海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(訂正版)(PDF 940KB) (8)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島のセシウムは200万人分の致死量(10)
多核種除去設備|東京電力(11)
2014年8月12日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後5時現在】 (12)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発のタンクの中の汚染水 50万トン突破(13)
いわきの海開きについて|いわき市
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- 2014/08/16(土) 19:40:48|
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| コメント:2
いつも貴重な情報をありがとうございます。
東電の発表は、小出しにばらばらで分かりにくいですが、めげ猫さまがまとめて下さり、分かりやすいです。汚染水のコントロールがまるで出来ていなくて、まともに浄化もせずに海に流そうとしているとは!!!あきれてしまいます。
氷やドライアイスに気を奪われていましたが、もっと深刻で重要なことが分かりました。
本当に、感謝いたします。
- 2014/08/16(土) 20:39:39 |
- URL |
- なう #-
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小出氏などの発案のように、もう少し海への放出を遅らせる為にタンカーへの積み込みを提言するべきではないでしょうか?金目の問題ではないです。命の問題です。
尚、先生等はもう水は止めて金属で覆う方法に代えるべきと発言しています。最早石棺しか方法はなさそうです。
後は地下水処理なんですがねェ、、。
- 2014/08/16(土) 22:34:47 |
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- hotaka43 #mWyI0ZzU
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