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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一原発汚染水(8月3週)―福島第一原発港湾内の汚染魚のセシウムは下がらず―

福島第一原発の7月4週(8月11日から8月17日)の状況を纏めてました。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
 ①外洋からは相変わらずセシウム等の放射性物質が見つかる
 ②地下水バイパスの排水のトリチウム濃度は上昇中
 ③止まらない海岸付近の井戸水の放射性物質濃度上昇

1.福島第一原発港湾内の汚染魚のセシウムは下がらず
 今週も外洋からセシウムなどの放射性物質が見つかっています。以下に1リットル当たりの値を示します。
 ①5,6号機放水口北側(4)(5)
  セシウム137   0.67ベクレル(8月11日採取)
  全ベータ      8.7ベクレル
 ②南放水口(4)(5)
  セシウム137   1,4ベクレル(8月11日採取)
  全ベータ      14ベクレル
 以下に外洋の観測点位置と放射性物質濃度を示します。
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 ※(4)(5)にて作成
 図ー1 福島第一原発近傍の外洋での放射性物質濃度

また南放水口付近の放射性物質濃度推移を示します。
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  ※1(4)(5)を集計
  ※2 NDは検出限界未満(放射性物質が見つからない事)を示す。
 図―2 南放水口付近の放射性物質濃度の推移

低下している様子がありません。

東京電力は昨年(2013年)7月22日に、福島第一原発から海への汚染水漏れが継続していることを発表しました(6)。それから1年が経過し、東電は、いろいろな対策によって海への中に流れる放射性物質の量は減ったと発表しました。放射線汚染の酷い原子炉建屋近くの汚染水を汲み上げて海に流せはもっと減らせるとのおまけまでつけて(7)。
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 ※1 (億Bq/日)は1日当たりの放射性物質の海洋への放出量(ベクレル)を示す。
 ※2(7)を抜粋・加筆
 図―3 放射性物質の海洋放出量の見積もり

港湾内で取れたお魚の放射性物質の測定結果を発表しました(6)。でも図―2を見る限り濃度は下がっておらず、減っているとは思いません。今週、東京電力は福島第一原発港湾内で取れた魚のセシウム濃度を発表しました(8)。そこで過去分(9)も含めお魚のセシウム濃度を集計してみました。
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 ※(8)(9)を集計
 図―4 福島第一原発港湾口のマコガレイのセシウム濃度推移

下がっている様子がありません。別の魚種でも下がっていません。
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 ※(8)(9)を集計
 図―5 福島第一原発港湾内のムラソイのセシウム濃度推移

海洋への放射性物質の流出が減少すればそこに棲むお魚のセシウム濃度だって下がっていいはずです。でも下がっている様子がありません。東電は1年間色々と対策をとったようですが、効果は見ててない感じです。見ムラソイからは1キログラム当たり8万5000ベクレルのセシウムが見つかっています。ももっとも東電の発表にはおかしなことが一点あります。トリチウムは概ね放射性の「水」の形で存在し、除去することは困難です(10)。東電は放射性物質を除去した後に海に流すとしていますが(7)、トリチウムは除去できないので、トリチウムまで大幅に下がるとは(=^・^=)には思えないのですが、東電の資料では大幅に下がっています。

2.地下水バイパスの排水のトリチウム濃度は上昇中
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(11)。汲み上げた水は放射性物質濃度海に流すのですが、その濃度が上がっています(12)。
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 ※(12)を集計
 図―6 地下水バイパス排水のトリチウム濃度推移

 地下水バイパス用の井戸の山側(西側)では汚染水漏れをここしたタンクがあり、タンクと地下水バイパス用井戸の間に東京電力は井戸を掘り地下水の放射性物質濃度を観測しています。
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 ※(13)(14)より作成
 図―7 地下水バイパス山側の井戸の放射性物質濃度

 高い濃度の放射性物質がみつかています。そのうち地下水バイパス井戸に到達し濃度を上げそうです。以下に地下水バイパス井戸No5の放射性物質濃度の推移を示します。
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 ※(15)を集計
 図―8 地下水バイパス井戸No5のトリチウム濃度推移

 基準値以下ですが、どんどん上昇しています。地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算したら1300億ベクレルに達しました。
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 ※(12)を集計
 図―9 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量

3.止まらない海岸付近の井戸水の放射性物質濃度上昇
 東京電力は福島第一原発の海岸付近にも井戸を掘り地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下に示すように高濃度の汚染水が見つかっています。
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 ※(5)を集計
 図―10 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

この中で(=^・^=)No1-17井戸の全ベータ濃度です。以下に推移を示します。
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この中で(=^・^=)No1-17井戸の全ベータ濃度です。以下に推移を示します。
 ※(5)を集計
 図―11 No1-17

ぐいぐい上昇しています。やがては海に流れるでしょうね!

<余談>
 今日(8月17日)は福島は「海閉い」です(16)。
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 ※(17)をキャプチャ
 図-12 福島県いわき市の海開き宣言

 海開きから今日まで、福島の子供達は北は北海道から南は沖縄まで全国各地の海にいったようです(18)(19)(20)
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 ※(21)を転載
 図ー13 福島でなく新潟の海にいくと答える福島県の小学生

東京電力さんへ
  来年も海開きができるように頑張ってくださいね!
<8月18日追記>
 海水浴のお客さんは去年の3割減だそうです(A1)
 brg140818c.gif
 ※(A1)をキャプチャー
 図ー14 福島県いわき市の海水浴客3割減を報じる福島県のローカルTV(FCT)

しかたのないことです。東京電力さんへ。来年はもっともっと多くの人が福島の海で安心して泳げるようにしねくださいね!


―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)<めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(8月2週)―今週も外洋からセシウム―/a>
(2)
報道配布資料|東京電力
(3)サンプリングによる監視|東京電力
(4)(2)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(5)(3)中の「1~4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング」
(6)2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB)
(7)2014年8月11日海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(訂正版)(PDF 940KB)
(8)2014年8月15日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 88.9KB)
(9)報道配布資料|東京電力の各月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内> 」
(10)めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素
(11)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(12)一時貯留タンクの運用状況|東京電力
(13)(3)中の「H4エリア周辺観測孔」
(14)(3)中の「H6エリア周辺観測孔」
(15)(3)中の「揚水井の分析結果」
(16)いわきの海開きについて|いわき市
(17)いわきの海開き宣言
(18)八重山の海を満喫 福島の高校生ら | 八重山毎日新聞社
(19)小樽に福島の児童たちの笑顔-市民と交流、海や山を満喫 - 小樽経済新聞
(20)福島の子 元気いっぱい|社会|新潟県内のニュース|新潟日報モア
(21)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(8月3週)―福島第一原発港湾内の汚染魚のセシウムは下がらず―

(A1)いわきの海水浴客 去年より3割近く減少

 
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  1. 2014/08/17(日) 20:35:14|
  2. -
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