福島第一原発では地下水バイパスと称し、敷地内からくみ上げた水を海に流しています(1)。そこにはトリチウムと呼ばれる放射性物質が含まれています。7月20日に福島県いわき市では海開きが行われました(2)。海流からしてトリチウムが直撃すると思うのでが、トリチウムって安全なんでしょうか?

※(3)を引用
図―1 福島県いわき市の海開きを伝える福島県の地方紙(福島民報)
東京電力は福島第一原発構内から地下水を汲み上げ海に出しています(1)。そこにはトリチウムと呼ばれる放射性物質が含まれています(4)。

※(4)を転載
図―2 福島第一原発の地下水バイパスのトリチウム累積放出量
福島県沖では、海流は北から南に向かって流れています。いわき市は福島第一原発の南側にあるので、トリチウムが直撃しそうです。

※(5)を転載
図ー3 海開きしたの福島県の海水浴場と海流
トリチウムが心配です。そこで(=^・^=)なりにトリチウムが安全か危険か調べてみました。
1.トリチウムとは放射性の水素
私たちの身の回りの物質は概ね分子からできていますが、分子は1または複数の原子からできています。原子は中心に+電気(荷)をもった陽子と電気(荷)を持たない中性子があり、外側を―電気(荷)を持った電子からできています。
普通の水素は1個の電子と1個の陽子でできていますが、トリチウムは1個の電子と1個の陽子の他に2個の中性子を持っています。

※(6)を転載
図ー4 普通の水素とトリチウム
普通の水素は安定で自然に変化するとこはありませんが、トリチウムは不安定で自然に殆ど光速に近い電子とニュートリノを放出して、ヘリウムに変化します。半分のトリチウムがヘリウムに変化するのに約12年を要します。でも24年たつとなくなるかと言えば半分の半分の4分の1は残ります(6)。
2.トリチウムは安全―東京電力―
東京電力はトリチウムは安全であると主張しています。理由は以下の2点です。
①トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に小さい。
②トリチウムは概ね「水」して存在し、特定の器官に溜まることなく直ぐに体外にでる。
トリチウムの出すエネルギーは0.0186MeVで、セシウム137の出す放射線のエネルギー1.174MeV(7)の60分の1程度です。
※1MeVはおよそ6兆分1ジュールないしは26、000兆分の1Cal(キロカロリー)です((8)より(=^・^=)が計算)。
人間の体の60%は水分で(9)、体重60kgの人は36リットルが水になります。体重60kgの人は2リットルの水をとるとすと18日(36÷2)で水は入れ替わります。誤ってトリチウム入りの水を飲んでも直ぐに体の外にでて行きます。東京電力の資料によれば、1ベクレルを摂取した場合
セシウム137では0.013マイクロシーベルトの被爆をしますが
トリチウムでは0.0000183マイクロシーベルトの被爆をしますが
です。東京電力は
「○セシウム-134、137に比べ、単位Bqあたりの被ばく線量(mSv)は約1,000分の1」
と主張しています(6)。ただ(=^・^=)が計算すると700分の1ですが・・・・
3.ベータ線とガンマ線の影響は同じ?
放射線には幾つかの種類があります。同じエネルギーでも影響が違うとも思えるのですが、トリチウムが出すベータ線もセシウム137が主に出すガンマ線もシーベルト換算においては同じ影響があるされています(10)。一方では
「放射線の生物学的効果を表す指標をRBE(Relative Biological Effectiveness,生物学的効果比)というが、いろいろな生物学的指標についてのトリチウムβ線のRBEは表2のように示される。基準放射線をγ線とした場合のRBEは1を超える報告が多い。」
なんて記載もあります(11)。
4.DNAに取り込まれるので危険
DNAは遺伝を司る物質で生物の設計図のです。設計図が壊れてはとんでもないことが起こります。DNAの構造をみるとセシウムやストロンチウムあるいはカリウムはありませんが、水素は確りあります。

※(11)による。
図―5 DNAの分子構造
トリチウムはDNAに取り込まれるので、他の放射性物質より危険であるととの主張があります。すなわちDNAに取り込まれたトリチウムが放射線を出すときにDNAその物を壊すとの主張です(12)。特に遺伝に対する影響が心配されているみたいです(13)。
5.福井や玄海では?
以下に2010年の原発毎のトリチウム廃出量を示します。

※(14)にて作成
図―6 トリチウム廃出量
トリチウムの排出は福井県南西部(嶺南)と玄海で多くなっています。このあたりで異常がなければ問題はないと思います。特に福井県南西部(嶺南)は、概ね風は海側から陸に向かって吹き、直ぐに山にぶつかります。

※(15)にて作成
図―7 福井県南西部の地形

※(16)を転載
図―8 大飯原発近傍のアメダス(小浜)の2011年3月15日から29日の風向き分布
原発から放出されたトリチウムはトリチュウム蒸気となり雲にを形成し、風に流され山にぶつかり、トリチウム雨となり田んぼに貯められやがてトリチウム混入米ができると思います。

※ (=^・^=)の想像図
図―9 福井嶺南トリチウム米
放射線影響研究所は広島・長崎で遺伝的な影響がなかった証拠の一つに性比に異常がなったことを挙げています(17)。一方、福島では避難の遅れた計画的避難区域が全村で指定された飯館村では、2011年3月以降に懐妊した赤ちゃんが生まれる2011年12月位から急に、女の子だけが生まれるようになりました(17)。でも避難してしばらくからは回復しています。

※(18)を転載
図―10 福島県飯舘村の赤ちゃん誕生数
以下に福井県各地の10歳未満の子供さん男女別の人数と、トリチウムの放出量の関係を示します。

※(19)を転載
※トリチウム放出量は2002年から11年合計
※性比とは女の子100人対する男の子の人数(4)
図―11 福井県での10歳未満の性比とトリチウム放出量
トリチウムをいっぱい出す原発がある町ほど、男の子が少なっています。以下に数表をしめします。
表―1 福井県各地区の性比の集計結果

玄海ではどうしょうか。玄海原発の1号機は1975年にできたので、40年近く経ちますが、4号機は1997年でまだ17年です(20)。徐々にトリチウムの影響が増えていったともいます。以下に玄海町の年齢階層別の性比(女性100人対する男性の数)を示します。

※(21)中の玄海町を集計
図―12 玄海町の年齢階層別の性比
若年者になると男性の割合が減っています。このデータは統計的には有意と言えませんが、可能性を示唆すると思います。
<余談>
以上のデータでトリチウムが安全と言いきるのも、危険とも結論づけるのは無理なような気がします。(=^・^=)が主張したいのは
「『安全』とは言えない物を環境中に出していいのか?」
東京電力の説明は水としてトリチウムを取り込んだ場合です(6)。水素はデンプン、砂糖なのど栄養素にも含まれています。植物は水、二酸化炭素と光を使ってデンプンなどの炭水化物を作ります(22)。トリチウム入りの水で育った稲はトリチウム入りの米を実らせます。
トリチウム混入食品の安全性が実験的に確かめられているかと言えば、そうでもなさそうです。分かっているのは、水としてとうった場合より体に長く留まり、被ばく線量が高くなることだけみたいです(23)。また水素と同じ性質なのでDNAに取り込まれることがあります。この点はセシウムやストロンチウムと違います(23)。DNAに取り込まれれば時限爆弾ととして作用して、遺伝的障害や癌を起こすかもしれません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(2)
砂浜に歓声 元気到来 いわき勿来・四倉海水浴場海開き | 県内ニュース | 福島民報(3)
福島民報を7月21日に閲覧
(4)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(8月3週)―福島第一原発港湾内の汚染魚のセシウムは下がらず― (5)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(6月4週)―地下水バイパスは2週連続新記録-(6)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて 平成 ... - 東(7)
セシウム137 - Wikipedia(8)
電子ボルト - Wikipedia(8)
水web - 水とカラダ - 人間の体の60%は水(9)
人間が1日に必要とする水の量は?(10)
シーベルト - Wikipedia(11)
トリチウムの生物影響 (09-02-02-20) - ATOMICA -(12)
DNAの中にまで入り込むトリチウムの特別な危険性(13)
昭和58年 原子力委員会月報28(9)国立遺伝学研究所(14)
参考資料>トリチウム 日本の発電用原子炉トリチウム放出量 (2002年~2011年度)(15)
地理院地図(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島の教訓が生かされていない大飯原発-少なくともオフサイトセンターは(17)
原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 - 放射線影響研究所(18)
めげ猫「タマ」の日記 女の子しか生まれない福島県川俣町(19)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムの放出量が多いほど男の子が少なくなる福井県(20)
玄海原子力発電所 - Wikipedia(21)
佐賀県:推計人口/平成24年度 (2012年度)中の「第3表 市町別・年齢別人口(平成24年10月1日現在)【EXCEL(252キロバイト)】」中の玄海町
(22)
光合成 - Wikipedia(23)
学位論文要旨詳細(24)
めげ猫「タマ」の日記 女の子が多い福井県おおい町の子供達
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- 2014/08/19(火) 19:30:22|
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| コメント:3
私はトリチウムが怖くって・・・。事故を起こしていない原発でも、その周辺では子供の癌が多い。原発の煙突が100メートルも有るのは、トリチウムを遠くに飛ばして従業員が濃いトリチウムを吸わないようにするためだと。
α線やβ線は、止まる場所で細胞に対し大きな破壊を起こす・・・。
エネルギーが小さいから大したことないと言う人があるが、いろいろ考えるともの凄く怖い。
取り除くに莫大なお金がかかるから、大したことない、平気だと言っているんだろう。
私はやっぱ、凄く怖いです。
- 2014/08/19(火) 20:20:32 |
- URL |
- なう #-
- [ 編集 ]
こんにちは。
この記事はトリチウムのことで知らなかったことをいろいろ教えてもらえて、勉強になり、ありがとうございました。
水の形でトリチウムを体内に取り込んだら、プロトンの交換で、体内の色々な物質の活性水素の部位がトリチウムを取り込んでしまいそうですね。
そして、「トリチウム混入米」のように、有機結合型を含んで取り込んだら、もっと体の中から出にくくなりますよね。
また、リファレンスの(12)は意味深い内容ですね。
DNA中で、トリチウムからヘリウムへの変換による損傷に、元素変換効果が関係しているなど(12)、なるほどと思いました。
海外ではダウン症の増加などもあったのですね。
世界中でたくさん放出されてしまったけど、実のところ限りなくグレーなんですね。
そして、図11の福井県、図12の玄海町の男女比は驚きでした。
通常は男の子が少し多いと聞いているのですが。
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi511.htm#j1
安全かどうかわからないものが、環境中に人工的に増やされていくのはすごく嫌です。
- 2014/08/22(金) 07:27:42 |
- URL |
- 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
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