福島第一原発の地下水バイパスが5月21日に放水を始めて、3ヶ月が過ぎました。当初は3mの地下水位の低下を見込んでいたのですが、実際は30cmです。

※1(1)を元に作成
※2 OP:小名浜港を基準とした海抜
図-1 水位観測孔の地下水位
でも、昨年(2013年)に発表した資料では概ね3m低下するとしています(2)。

※(1)(2)を元に作成
図―2 地下水バイパス稼働前に提示した地下水位低下予測
東電は30cm下がったので効果ありとしていますが、どう見ても効果なしです。
福島第一原発では汚染水を汲み上げて保管していますが、汚染水が日々増えています。

※(3)を集計
図―3 福島第一原発内の汚染水総量
(=^・^=)なりに集計すると約60万トンを超えました。このまま行けばいずれ敷地に保管できなくなり、海に流すが溢れさすしかないと思います。

※(4)を転載
図―4 福島第一原発の敷地を埋める汚染しタンク
汚染水の増加を押されるのは福島第一原発の廃炉作業では緊急の課題の一つです。そこで、汚染水の元なる地下水を事前に汲み上げ海に流す地下水バイパスを4月9日より実施しています。

※(5)を転載
図―5 地下水バイパスの概要
東京電力は現在の地下水位観測孔の位置で、地下水バイパスの効果によって3m程度の水位低下が実現でき、地下水位が6m前後になると従前に主張していました(2)。

※1(1)(2)より作成
※2 小名浜港を基準とした海抜(OP)で示す
図-6 地下水バイパス稼働後の水位予測
でも図―1に示す通り約8、9mです。
東京電力は地下水バイパスの効果によって30cmの水位低下があったと主張しています(1)。福島は7月28日に梅雨明けしました(6)。図-1に示す通り観測孔A,Bは梅雨明けととも水位の低下がみられます。なんか地下水バイパスの効果というよりは梅雨明けの効果って感じです。
<余談>
東京電力は汚染水対策として
①地下水バイパス
②保管している汚染水からある程度の放射性物質を分離して保管する多核種除去設備(ALPS)
③原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲い地下水の流れを遮断する「凍土壁」
④海岸に「壁」を作り海への汚染水の流れを止める「海側遮水壁」
⑤タービンや原子炉建屋近傍の汚染された地下水を海に流す「サブドレンによる汲み上げ」
などを計画しています。このうち地下水バイパスは既に記載したとおり「効果」が出ていません。多核種除去設備(ALPS)は、トラブル続きで(8)、2年半以上の遅れが確定しました(9)。多核種除去設備(ALPS)の処理は昨年(2013年)の3月末から始まりました(10)。この装置では「濃縮塩水」と東電が呼んでいる汚染水を処理するものですが(11)、減っている兆候がありません。

※(3)を集計
図―7 増え続ける多核種除去設備(ALPS)の処理前の汚染水
「凍土壁」(12)について言えば、同じように「凍結」して汚染水の流れを止めようとした地下道の止水工事はあえなく失敗しています(13)。東京電力の会見(14)を聞いていると、凍土壁を実施するためいは「地下道」の止水工事が必須みたいですし、工法が同じなら「凍土壁」だって失敗する可能性が高いとも思います。これについて東京電力は「事前の試験で上手くいっている」と会見で主張していまが(14)、「地下道の凍結」も事前の試験では上手くいっていました(13)
「海側遮水壁」は汚染水が溜まっているタービン建屋(3)の海側に「壁」を作って汚染水の流れを止めるものです(14)。

※(14)より作成
図―8 海側遮水壁の概要
そんな事をしたら、内側に流れ込んだ地下水が溜り噴出していまいそうです。

図―9 遮水壁設置後の水の流れ((=^・^=)の想像)
「サブドレンによる汲み上げ」の概要を以下に示します。

※(16)を転載
図―10 「サブドレンによる汲み上げ」の概要
原子炉建屋に近い分だけ汚染が酷いと思います。東電は「地下水」だと言っています(14)が、福島の漁師さんは
「地下水ではなく汚染水だ」
と言っているようです(17)。
東電はどの対策も問題なく、上手く行きそうなことを言っていますが(14)、(=^・^=)は問題だらけだと思います。結局はマシな汚染水から順次、海に流すしかないとおもいます。流すとき福島の方は反発し、安倍出戻り総理や東電は「安全」だと主張すると思います。だったら、「福島」以外の海に流せばいいと思うのですが、(=^・^=)の住む街の海に流そうとするなら
「福島の危険なゴミは福島でなんとかしろ」
と猛反対します。
なおNHKは地下水バイパスについて
「建屋に流れ込む地下水を1日およそ100トン減らすにはこの井戸の水位を数十センチから1メートル下げる必要があり」と(18)、しっかり「嘘」報道をしてます。

※(18)をキャプチャー
図-11 「水位を数十センチから1メートル下げる必要」と「嘘」報道するNHK
図―2に示す通り3mの水位低下が必要です。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況 2014年8月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第9回事務局会議)【資料3-2】滞留水処理(2.94MB)PDF 」
(2)
【資料2】汚染水問題に関する各対策の実施状況(1.27MB)PDF (3)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」等
(4)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス3ヶ月、効果無し(5)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(6)
めげ猫「タマ」の日記 福島、梅雨明け―原発ゼロの夏は乗り切れる(7)
汚染水対策|東京電力(8)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(14:55 2014/06/20月週)―ALPSにまた遅れ-(9)
target="_blank" title="めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―ALPSは2年半遅れ―">めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―ALPSは2年半遅れ―(10)
多核種除去設備(ALPS)におけるホット試験の開始について|東京電力(11)
多核種除去設備|東京電力(12)
陸側遮水壁|東京電力(13)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月4週)―地下道は凍結できないので、詰め物をします―(14)
【8月28日】東京電力「中長期ロードマップの進捗状況」に関する記者会見 - 2014/08/28 18:00開始 - ニコニコ生放送(15)
めげ猫「タマ」の日記 8月には福島第一原発の地面から汚水が噴出しそう(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―今週も下請けさんが倒れる―(17)
県漁連 説明会開催を容認 第一原発地下水放水 | 県内ニュース | 福島民報(18)
原発地下水バイパス効果見えず - NHK福島県のニュース
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- 2014/08/29(金) 19:31:49|
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