東京電力等は2011年12月に、福島第一原発の廃炉計画を発表しました(1)。福島第一原発事故から3年半が経過したので、計画通り行っているか(=^・^=)なりに確認したら、現時点(2014年9月)である程度は動きが見ているはずの11項目中、計画通り実施できたもは3項目だけで、多核種除去設備等は当初の2年半遅れになってます。廃炉まで30~40年と東京電力は主張していますが(2)、このペースで遅れれば倍の80年はかかりそうです。もっとも廃炉を廃棄物を処分場に移して放射性物質が殆ど無い状態すると定義したら、永遠にできません。(=^・^=)の住む街も含め、福島第一原発ゴミを引き受ける街などないと思います。
1.格納容器内の部分的な観察
当初の計画では、2013年度末(今年3月)に終えることになっていましたが、最新の計画(3)を見たら
いつのまいか、2年遅れの2015年度末に延びていました。
2.汚染水対策関連
東京電力では汚染水対策を福島第一事故処理の重要なテーマにあげています。以下に2011年12月当時と現状の状態を示します。

※(5)(6)(7)(8)より作成
図―1 福島第一原発の汚染水処理の流れ
2011年12月時点と変わったことは「多核種除去設備(ALPS)」の試験運転が開始されたことと、これにともない「処理水タンク」なるものができたことでしょうか。
①現行処理施設による処理
2012年度末を目途に信頼性を向上させた水処理設備を導入するはずでした(1)。でも現在も3年まからあった第二セシウム吸着装置や淡水化装置が使われていますので(7)(9)、この項目はいつのまにか消えてしまったと思います。
②循環ループの縮小
福島第一原発には全長4kmにもなるループ状に引きまわれた汚染水の配管があります(10)

※(11)を転載
図―2 原子炉冷却のための配管引き回し
このような長大な仮設配管はそれ自体が汚染水漏れの危険がありますし、実際に汚染水漏れを起こしています(12)。そこでループを小さくし配管そのもを減らし汚染水漏れのリスクを減らそうとするののですが、当初の予定では2012年12月頃までには完了するはずでしたが(1)、最新の計画表では2015年3月頃になっています(13)。ただし、工事が始まったとのニュースを(=^・^=)は知りませんので、もっと遅れると思います。2年以上の遅れです。

※(13)を引用
図―3 循環ループの縮小
③滞留水の減少
原子炉建屋やタービン建屋に溜まっている汚染水を徐々に減らす計画ですが、この計画はいつの間にか消えたみたいです。そしてタービン建屋の水位は殆ど変化していません。

※(14)を集計
図―4 福島第一原発タービン建屋の水位
④多核種除去設備(ALPS)
多核種除去設備(ALPS)は色々な種類の放射性物質を汚染水から分離する設備ですが、少なくともトリチウムは分離できません(15)。当初は2012年夏くらいには完成予定でした、最新の日程では2014年12月になっています(16)。2年半程度の遅れです。
⑤遮水壁構築
海側遮水壁構築は福島第一原発の海側に壁を作って、海への汚染水の流出を食い止めようとるものです(17)。

図―5 海側遮水壁
東電は今年(2014年)9月に完成すると主張していますが(17)、完成していません。汚染水の流れを止めれば汚染水が「壁」の内側に溜まるので、そのうち地面から吹き出しそうです。防止するには汚染水を汲み上げればいいのですが、汲み上げた汚染水の行先が無いみたいです。(=^・^=)の評価は見通し立たずです。
⑥港湾内の被覆
放射性物質で汚染された福島第一原発の港湾内の土がそのに流れないように覆う工事です(18)。いまのところ当初予定の2014年中に完成しそうです(18)。
3.核燃料プールからの燃料取り出し
①1号機瓦礫撤去
核燃料を取り出すには邪魔な瓦礫を撤去する必要があります。当初の計画では瓦礫撤去を2014年中に始める予定でした。1号機から瓦礫を撤去するにはカバーで覆われているので、カバーの解体が必要です(19)。ところが、放射性物質が飛散する心配があるので地元(南相馬市等)の了解が得られません(20)。(=^・^=)の評価は「見通し立たず」です。
②2号機除染開始
福島第一原発2号機は「爆発」しなかったので(21)燃料取り出し装置がそのまま使える可能性があります。ただ放射性物質に汚染されているので、除染が必要です。当初は2014年度の初めに除染を開始する予定でしたが、未だに始まっていません。除染装置の試験完了予定が2015年度末なので(22)、速くて2016年度初めの開始になります。2年遅れは確定したと思います。
③3号瓦礫撤去
3号機の瓦礫撤去完了予定は2014年末に終わる当初予定と変わりません(24)。ただ瓦礫撤去作業中に燃料プールに「物」を落としてしまったので、少し遅れるかもしれません。
④4号機
予定より少し早い2013年末から核燃料の取り出しが始まり、2014年中に終わる見込みだそうです(25)
<余談>
現時点(2014年9月)で当初予定では動きが見えていなければならない11項目を点検すると
①2年以上の遅れがあるもの4項目
②見通しが立たないも、あるは計画が実施されていないもの4項目
③ほぼ予定通りに実施されているのも3項目
で、全体としては大幅な遅れです。廃炉の30~40年を東電は主張していますが(1)、このペースでいったら70~80年かかりそうです。ただし廃炉を廃棄物を処分場に移して放射性物質が殆ど無い状態すると定義したら、永遠にできません。(=^・^=)の住む街も含め、福島第一原発ゴミを引き受ける街などないと思います。
廃炉廃棄物の処理計画も含めた計画の見直しをする時期にきていると思います。でも関係者は絶対にしないと思います。まともな計画を立てれば、相当な長期間の設定せざるをえなくなり政治問題化しそうです。原発が大好きな安倍出戻り総理が騒ぎそうです。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力(2)
福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況 2014年8月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第9回事務局会議)」
(3)(2)中の「【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB)」の12ページ目
(4)
汚染水対策|東京電力(5)
2011年12月21日 福島第一原子力発電所の状況(記者会見資料)(23.4KB) (6)
12月21日福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第26報)(7)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第167報)|東京電力(8)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(3月3週)―汚染水対策の要のはずが 放射性物質取り除けず-(9)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第12報)|TEPCOニュース|東京電力(10)
福島第一原子力発電所の現況|東京電力(11)
めげ猫「タマ」の日記 遅れが目立つ福島原発事故処理-原子炉冷却改善は2年遅れ決定!(12)
めげ猫「タマ」の日記 今日(1/29)に福島第一原発で14か所で水漏れ-低温による凍結だと言ってるけど-(13)(2)中の「【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB)」の20ページ目
(14)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(15)
多核種除去設備|東京電力(16)(2)中の「【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB)」の12ページ目
(17)
海側遮水壁|東京電力(18)
2014年9月11日海水放射線モニタの設置と海底土被覆工事につい(PDF 622KB)(19)
1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力(20)
第一原発1号機 建屋カバー】解体開始時期見えず 粉じん飛散懸念 地元市町村と調整難航 | 東日本大震災 | 福島民報(21)
2号機の事故の経過|福島第一原子力発電所事故の経過と教訓(22)(2)中の「【資料3-6】燃料デブリ取り出し準備(6.27MB」の15ページ
(23)(2)中の「【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB)」の1ページ目
(24)(2)中の「【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB)」の12ページ目
(25)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月5週)―核燃料プールに落し物(26)
燃料取り出し|東京電力
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- 2014/09/15(月) 19:54:19|
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