国では福島県産食材などをごちゃまぜにして放射性物質を検査するMB方式の検査を実施しています。8月22日にほぼ1年前の昨年(2013年)8月、9月のストロンチウム90の検査結果がようやく発表されました(2)。福島県浜通りでは1キログラム当たりのストロンチウム90濃度は
前々回(2012年8・9月) 検出限界値未満(2)
前回(2013年2・3月) 0.033ベクレル(2)
今回(2013年8・9月) 0.065ベクレル(3)
で急増です。検査は1年前までしかないので不安です。以下に初回検査も含めこれまでの経緯を示します。

図-1 MB検査によるストロンチウム90濃度推移(福島県)
ただ1年前の値なので、現在はもっと高いと思います。
<余談>
もし値が検出限界値未満であれば多くの食品でストロンチウム90は少ないとみれるのですが、いろいろな食品をごちゃまぜにして測定するMB方式でそれなりの値がでると、特定の食品で高濃度のストロンチウム90が含まれており高濃度含まれている可能性があります。嗜好は人間によってまちまちので、MB方式による調査は平均的なリスクを示せても最大のリスクを示すものではありません。MB方式の検査は購入した食品を12のグループに分け、セシウム濃度を測ったあとセシウム濃度が1キログラム当たり0.5ベクレル以上のものについてのみストロンチウム90濃度を測るそうです(3)。ストロンチウム90とセシウム濃度に相関があることを前提にしているようです。でも相関などはありません。
以下に東京電力が測定した福島第一原発沖合2km(T-S7)のお魚の放射性セシウム濃度とストロンチウム90濃度の相関を示します。

※(5)を転載
図-2 セシウム137とストロンチウム90の相関
でもカルシウム濃度とは関係ありそうです。

※1 (5)を転載
※2 カルシウム含有量は100g当たりのmg
※3 「クロソイ」はメバル族である。
図―3 カルシウム含有量とストロンチウム90濃度(T-S7地点)
明らかにカルシウムが多くなると、ストロンチウム90濃度が高くなっています。2013年8月、9月で中通りで検査されたのは食品群7の有色野菜と食品群5の豆類です。中通り(福島県中部)の有色野菜群では1キログラム当たり0.067ベクレルストロンチウム90が見つかっています(3)。有色野菜はトマト・カボチャ・ホウレンソウ・ニンジン等みたいです。これらの食品のカルシウム含有量はそれ程は多くありません(13)。

※ (6)より作成
図―5 色々な食品のカルシウム含有量
牛乳が心配です。以下に年代別、男女別の1日あたりの牛乳の消費量を示します。

※(4)より作成
図―6 牛乳の年齢別、男女別摂取量
中学生の摂取量が多く、主因が牛乳にあるなら「中学生」は他の3倍のリスクを負うことになります。
そしてもうひとつ心配な事は福島第一原発事故後はフクシマ産の家畜飼料は利用が制限されましたが(9)、その後は解除しています。

※(8)で作成
図―7 福島県産畜産飼料の自粛状況(2014年9月時点)
福島県域の大部分で制限付きながら利用可能になっています。驚いたことに福島第一原発から30km圏内の場所でも全ての制限がいつのまにか解除されています。いったい何を基準しているか分かりません。これでは放射性物質濃度が増えても不思議ではありません。
福島産牛乳は高濃度のストロンチウム90を含んでいる可能性があり検査すべきだと思います。でも(=^・^=)は検査結果を知りません。そんな事としたらフクシマ産牛乳が売れなくなる?人の健康より、福島原発事故の影響を小さく見せる方が大事みたいです。これでは食べて応援あの世行って感じです(9)。(=^・^=)は
「行かない」「買わない」「食べない」
のフクシマ3原則を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないみたいです。

※(10)を引用
図―8 福島県はきゅうりやブドウのシーズン(11)(12)、でも福島産でなく他県産が載っている福島市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(2)
食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定結果(平成24年9・10月、平成25年2・3月調査分) |報道発表資料|厚生労働省(3)
食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定結果(平成25年9・10月調査分) |報道発表資料|厚生労働省(4)
畜産の情報-調査・報告-牛乳・乳製品の消費動向に関する調査等について -2009年2月(5)
めげ猫「タマ」の日記 福島県沖シラス漁再開―ストロンチウム90は9ベクレル?―(6)
五訂増補日本食品標準成分表 [第2章](7)
安全な畜産物の生産に向けて[PDF:3.48MB](8)
平成26年度 牧草・飼料作物モニタリング検査結果 - 福島県ホームページ中の「平成26年産牧草・飼料作物の利用判断状況 [PDFファイル/77KB]」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島産食べて応援、あの世行き(10)
ヨークベニマル/お店ガイド(11)
東京都 JA全農東京-月報 野菜情報?産地紹介?2014年5月(12)
食べ頃カレンダー(13)
有色野菜 とは - コトバンク
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- 2014/09/16(火) 19:56:01|
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| コメント:6
こんばんは。
いつも感謝して、記事を読ませていただいています。
この様な資料の存在を知らなかったので、とても参考になりました。
リファレンスの2,3を見ると、測定方法のところに、
「合計 14 の食品群に分別し、食品群 ごと に混合・均一化したものを M B試料とした。
15地域×14食品群=210試料
このうち放射性セシウム合計0.5Bq/kg以上となったものだけストロンチウム、プルトニウムを測定」
とあります。
食品群が違うものを混合はしていないようにも取れます。
この書き方がわかりにくくて、何とも分からないのですが、どうなんでしょうか。
表のところに、食品群の欄があって、平成25 9,10月の福島県だと食品群7,5,7,11とあり、有色野菜、豆、肉卵しか、ストロンチウム、プルトニウムを測ってくれてないんでしょうか。
それと、リファレンス2の、去年(H25年)2,3月の福島浜通りの果物、セシウム含有量、すごいですね。
スーパーで10種類くらい果物を買って、混ぜたら、セシウム合計9.3Bq/kgなんですね。
福島県の他の地域も、結構高いですね。
この季節の果物って何でしょうか、柑橘類でしょうか。すごく高いように感じました。
全体的に、食品の中で、セシウムとストロンチウムの相関がとれていないようにも見られるので、セシウムが高い物だけストロンチウムを測る、という分析の仕方であったとしたら、ストロンチウムが高いものを見過ごしてしまうような気がしました。
牛乳とか、チーズとか、カルシウムの多いものは、それだけでストロンチウムを測ってくれたらいいのに、と思います。
- 2014/09/16(火) 22:02:51 |
- URL |
- 身内に被爆者がいたもの #sZKzWtFs
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身内に被爆者がいたもの 様
コメントありがとうござい売ます。ご指摘の部分に注意を払っていませんでした。本文には影響ないと思いますが、<余談>部分は成立しません。ご指摘ありがとうございます。このようなご指摘があってこそ(=^・^=)の記事の品質は保持できると思います。<余談>部分は早々に書き換えました。
- 2014/09/16(火) 23:53:59 |
- URL |
- mekenekotama #-
- [ 編集 ]
チェルノブイリは貧困のため、汚染されていない食物が無く、子供達は牛乳を大量に飲んでしまったが為、病気の子供を大量に作り出してしまった。
フクシマは日本全体が裕福だったので、子供達に汚染された牛乳などを飲ませずに済んでいた。
しかしこれでは何の意味もなくなってしまう。わざわざ後から汚染された食べ物や飲み物を与えて、どうするんだ!
これでは福島県は自分で自分の首を絞めているようなものだ。
そして日本という国自身も自殺行為を行っているのと同じだ。
あ~あ、チェルノブイリよりも遅れて被害が増えるぞ。中央の官僚や政治家は自分達には関係ない、と白を切り徹すんだろうなぁ。
そして佐藤雄平も逃げちゃうし、残された子供達だけが被害者になるんだ。
これじゃまるで水俣の再現じゃないか!
- 2014/09/17(水) 04:44:26 |
- URL |
- hotaka43 #mWyI0ZzU
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ストロンチウム90関係のデータが見られなかったので、「タマ」さんの日記は大変貴重です。ところで厚生労働省医薬食品局食品安全部の測定では福島の食品中のSr90濃度が増加しているのに、「事故以前の摂取量の範囲内に収まっていたので問題なし」としているのが理解できません。しかも事故前は「Sr90は検出されず(2の*)資料」としているのですから、問題ないはずはありません。厚生労働省はもっと詳細な測定を行いデータを公表すべきです。
- 2014/09/20(土) 19:26:06 |
- URL |
- nssankaido #kK3v0D.U
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