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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

原子力ムラは津波想定を低くしていた?―島崎委員退任会見―

9月18日に原子力規制委員を退任する島崎邦彦委員の退任会見がありました(1)。その中で2002年に彼が実施した津波想定(たぶん(2))ついて、 退任会見の25分過ぎくらいから
 「2002年の時にかなりの圧力が発表にかかったてことは事実ですし、その後、高名な地震学者お二人からご批判を受けましたけれど、そのお一人は(原子力)保安院の方で地震のトップをされている方、もう一人は(原子力)安全委員会でトップをされている方、だけど私、当時はそうゆうに二つでやっていることすら知らなかった。<中略>防災会議があって、まあー、結局防災会議が通らない事になってしまって<中略>本来であればあの席で私は席を立ってやめると、こんな事はやってられないと云って、声を大にすべき時であったにも関わらず、私はまさに人生最大の負け犬ぬなって、しっぽを巻いてそのまま黙ってしまったわけです。」
と発言されています。(=^・^=)には島崎氏が想定した津波高さを原子力保安院(当時)と原子力安全委員会(当時)が批判して、無理やり津波想定を低くしたとの発言に聞こえるのですか?
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※(1)をキャプチャー
 図-1 退任会見で「負け犬」と発言するの島崎邦彦元委員

 以下に2002年に島崎氏が想定したと思われる津波高さを示します。
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 ※(2)を抜粋・加筆
 図-2 2002年の津波想定

 ほとんど2011年3月の津波被害に似ています。以下に福島第一原発付近の想定を拡大します。
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※(2)を抜粋・加筆
 図―3 2002年の津波想定(福島第一原発付近)

なぜか、福島第一原発付近の想定が消えています。さらに2011年2月(原発事故直前)の内閣府の資料では、福島原発沖だけが津波の原因となる地震が消えています。
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 ※(3)を抜粋・加筆
 図―4 2011年2月の津波想定

 なお溯上高と津波の高さについては以下を参照ください。
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 ※1 (4)を抜粋・加筆
  ※2  縦横比を変えています。
 図―5 溯上高と津波の高さ

東京電力で福島付近の津波調査をした、故・吉田 昌郎(よしだ まさお)氏は、政府事故調の事情聴取で
「20mの津波といったときには、基本的に(福島第一原発は)廃炉にしないとだめです。あの立地だと、根本的にだめす。」
と証言しています(5)。なんか福島第一の部分の予測を外して、危険性があるにも関わらず放置できるようにしたと思います。そして東京電力は
「今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした」
と主張しています(6)。
 東京電力、政府がタッグを組んで、不都合な津波予測を無理やり取り消させ安全とは言えない福島第一を放置した気がします。事故ったら吉田調書にあるように
「日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9がくるということを事前に言っていたんですか。」
と平然と言う。
 島崎邦彦氏は地震学会の会長も務められた地震学者です(7)。その方は2002年にマグニチュード9がくるということを言っています(2)。
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  ※(2)を抜粋
 図ー6 「マグニチュード9」を想定した2002年の島崎元委員の資料

<余談>
 図ー2を見ると南相馬市(当時は合併まえなので、原町市、小高町等(8))から福島第二原発が立地する楢葉町までの津波想定が消えています。共同通信は発表している被災者名簿(9)をみるとこの地域で740名の方が亡くなっています。もし、津波想定が出ていれば助かった方もいたはずです。安全とは言えない原発を放置するために津波想定に圧力をかけた方々の責任は重大です。
 いま同じような方々が、実際より低く出るように人為的に操作された空間線量(10)(11)や食品中のセシウム濃度(10)を根拠に
 「フクシマは安全」
だと主張しているみたいですが、(=^・^=)は信用しません。
 この件について毎日新聞は
「島崎氏は、地震学者として東日本大震災を予測できなかったことを「私は負け犬」と悔やみ、「3・11以降広がった科学への不信を取り除きたいという思いで務めた」と振り返った。」
と報じています(12)。この記事を読むがり、東日本大震災を予測できなかったことを「私は負け犬」になるように読めるので、(=^・^=)に理解とは違っています。以下に関連部分を文字に(=^・^=)が落したもの(多少に間違いがあるかもしれませんが)を記載しますので、各自でご判断いただれば幸いです。
「記者
 すいません朝日新聞の「カワハラ」と申します。先生、先ほど、その2年でところで3.11あとに地震学、地震学者としての後悔みたいなものが多くあったと思うんですけれども、それであと2年、人生は2年だと思った時に、やっぱこの仕事をやろうと決めた理由を一つ教えていただきたいのと、もう一点はあとその自然現象とは分からないものが多い地学、まあ理学の中でそれを工学とゆう原子力発電という使う物のの難しさというのをどうゆうふうにお考え、お感じになったかとゆうのを教えてください。
島崎委員 
 ごめんなさい難しい質問で。最初の方をもう一回いっていだけますか?
記者   
 3.11のあとから
島崎委員 
 あのー、なぜやろうかと思ったからですけれども、これはあのー、沢山の反省が3.11にあります。それはですね、あのー、石橋先生の様に原子力の事を早くから勉強されいて、原発の震災があるんだと唱えられていていらっしゃいました。僕は実は石橋先生とは同級生なんです。大学で親しくおりました。であのー、大変偉い方だと思いますし、ご立派だと思います。しかし、あのー、原発の事をやるかるからには、原発のなんか非常に外から見て難しい炉の仕組みだとかなんだとか、いろんな事があって、これをいちいち配管がどうなっているとか、それにもの凄い沢山の数のアルファベットの略語がついていて、なにがなんだか分からないような、それを外からやるというのは結構な時間と労力がいる訳ですけれども、僕は当時大学で学生を抱えていましたので、これは到底できないと思っていました。それで何回かいろんなやり取りがあるんですね。あの、こうゆうことやりませんかっておさそいを受けて、あるところまで行くと失礼しました云って話がなくなるだとか、ある意味、自分自身原子力から遠ざかっていたこともあるし、遠ざけられていたこともあるのではないかと思います。で、あの、そうゆう意味で非常に不勉強、原子力に対して関心をもたず、何処に原子力の発電所があるのかも知らず、かつそこで津波が何メートルになっているかも知らず、それで私は日本海溝沿いに津波地震が起こという予測を長期予報部会で部会長の立場で作っていたわけです。ですから3.11以降、如何に自分がそれを知らず、あるいはあえて勉強せずに放っておいて、それがもしもっと早く分かっていたら、実際、あの最初の段階でそれ2002年の時にかなりの圧力が発表にかかったてことは事実ですし、その後、高名な地震学者お二人からご批判を受けましたけれど、そのお一人は(原子力)保安院の方で地震のトップをされている方、もう一人は(原子力)安全委員会でトップをされている方、だけど私、当時はそうゆうに二つでやっていることすら知らなかった。それほど、誰がトップなのかなんにも知りませんでした。それほど私は無知であって、あのー、本当に申し訳ないというか、はじず、恥じるべき存在であったと思っています。もし、その時、いろんか事を知っていて、もう一寸、社会の仕組みとかそうった事に注意を払っていたならば、あの、あの、津波による2万人近い犠牲者を出す前にもっと声を上げていたに違いないと思います。実際、あの、防災会議があって、まあー、結局防災会議が通らない事になってしまって、ある意味、声を上げてもしょうがない状況になったんですけれでも、本来であればあの席で私は席を立ってやめると、こんな事はやってられないと云って、声を大にすべき時であったにも関わらず、私はまさに人生最大の負け犬ぬなって、しっぽを巻いてそのまま黙ってしまったわけです。でそうゆう事をすべて思うとまた原子力に関してはい色々な噂を聞くと、これはやっぱりやるべきだと、こういう事です。それで自然現象の難しさですけれど、それは自然現象の難しさではないいんですね。要するに、あのー、我々の科学でも1+1が2になるところは有るわけです。勿論、研究の最前線は確かにどっちに転ぶか分からないというのは、それはどの科学分野でも同じです。だけども科学があるからには必ずその基礎があって誰が見ても同じ結論になるところが有るわけです。で、この原子力の場合で、そこが難しいのは我々が調査して示すのではなくて、事業者(電力会社)が調査をする点が難しい分けですよね。我々としては1+1は2所で判断すれば分かるわけです。ですが1+1が2とういい観点じゃないような所を示されも、じゃそれじゃ結論はでませんねと、それじゃ、安全だとは安全というか活動性がないとは言えませんねというふうにしか答えられないので、みなさん難しいと思われていますけども、これは仕組みそのものであって、事業者が全然活動性がないと10人中10人が言えるようなトレンチを掘られれば、これまさに1+1は2の世界で、あ、活動性ありませんねと個人的に原子力に対してどうゆう意見を持とうが、そこは一致する訳です。それが一致できなれば学者として失格です。以上です。よろしい」

(=^・^=)注記
 文中に出て来る「石橋先生」は石橋 克彦(いしばし かつひこ)氏だと思います(13)。 

―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)原子力規制委員会 委員退任会見 (平成26年9月18日)
(2)予測された日本海溝津波地震 想定されなかった津波被害
(3)発表資料 - 国土地理院
(4)気象庁 | 津波について
(5)めげ猫「タマ」の日記 福島原発事故は吉田所長の自作自演?
(6)今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした|東京電力
(7)島崎邦彦 - Wikipedia
(8)南相馬市 - Wikipedia
(9)東日本大震災(亡くなった方々)
(10)めげ猫「タマ」の日記 原発事故から3年半―「安全」を偽装する福島県―
(11)めげ猫「タマ」の日記 福島県楢葉町の被ばく線量は1mSv以上!でもモニタリングポストの値はからは0.5mSv
(12)原子力規制委:「私は負け犬」退任会見で島崎委員長代理 - 毎日新聞
(13)石橋克彦 - Wikipedia
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  1. 2014/09/19(金) 19:35:25|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

とても重い記事ですね

こんにちは。
全体に考えさせられるし、余談のところ、とても重く感じました。

島崎氏は、東日本大震災を予測できなかったことを悔やんでいるのではないように取れますよね。
それなのに、新聞になると、全然違った風に伝えられてしまう、恐ろしいですね。

本来だったら、どこに原発があって、いくつあって利害関係がどうなんていう情報は、地震や津波の予測に影響するのは変ですよね。
逆ですよね。
島崎氏は日本海溝(東北沖)の津波予測を作っていて、原子力関係者からかなりの圧力がかかって、その時社会の仕組みを知らなかった、その社会の仕組みって、、、恐ろしいです。
それに対抗しようとしたら、『席を立ってやめると、こんな事はやってられないと云って、声を大に』するしかなかったってことですよね。
科学者なのに、議論とか、検討とかじゃなく。
地震や津波の予測の方が、(ここに高い津波が来るなんて予測したら原発推進に不利)なんて余計な利害関係より絶対に優先されることなのに。
そんな風な「優先順位が逆」なのは、汚染のある食べ物や汚染水、被曝の評価と、いわゆる風評被害の関係とかも同じだと思います。
いろいろな安全性の評価が、1+1=2じゃないようなところで、訳の分からないけむに巻いたような方法ででっち上げあげられるのは嫌だなあ。
川内原発の火山についても、なんだか似たような構造にならなければいいですね。
この記事、たくさんの人に読んでもらいたいです。
  1. 2014/09/21(日) 18:21:04 |
  2. URL |
  3. 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
  4. [ 編集 ]

身内に被爆者がいたもの様

 コメントありがとうございます。朝日の誤報が尾をひいてるんですかね?普通ならマスコミが飛びつきそうな会見内容ですが
  1. 2014/09/22(月) 22:36:24 |
  2. URL |
  3. mekenekotama #-
  4. [ 編集 ]

尾を引いているとしたら、やっぱり新聞って相当信用できないです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140918-00000130-mai-soci
こっちも、「原発事故を防げなかった反省」って書いてあるけど、結果的にそうなったけど、当時島崎氏の仕事は、「地震、津波の予測をすること」で、「原発事故を防ぐこと」は、別の人の仕事だったんじゃないかなあ。
なんで、地震や津波の専門家が、一企業の工場がどうなるかなんてそこまで、とも思いますが。
本来、地震や津波の予測をする人は、「原発について無知」でかまわなかったんじゃないでしょうか。
本来の仕事をちゃんとさせてあげれば、それで構わないわけだし、余計な仕事が増えれば、本業がおろそかになってしまう。
当時原子力の専門家は他にたくさんいたわけだから、原発が持つかどうか考えるのは、島崎氏が圧力をかけられたその場にいたその人たちの仕事と思うんだけど。(いろんな意見があるとは思いますが)

島崎氏の本来の仕事を妨害した人たちは、責任を追及されないのですね。
  1. 2014/09/23(火) 12:25:15 |
  2. URL |
  3. 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
  4. [ 編集 ]

貴重な情報をありがとうございます。
科学者の中には、政治や政策に自らの身も心も売り払い高い地位を手に入れようとするタイプと、1+1は2と言うように科学的知見を大事にしようと言うタイプが有るのですねぇ~~~。
イチエフの吉田所長は、英雄だと思っていましたが、東電のウソと誤魔化しの汚さを持っていたとは、残念です。
兎にも角にも清廉な学者が、恥知らずな権力者を打ち負かすには、私たちが、ちゃんと知って応援することかなと思いました。勉強になりました。
  1. 2014/09/29(月) 12:19:57 |
  2. URL |
  3. なう #-
  4. [ 編集 ]

島崎邦彦氏が地震の揺れの過小評価の可能性を指摘

夜中にコメントすみません。
いつも記事を読ませていただいております。わかりやすくありがとうございます。

島崎邦彦氏が大飯原発差し止め訴訟に関して、国の地震動の評価手法が他より1/4程になると。

http://www.asahi.com/articles/ASJ674HRRJ67PTIL013.html

関電の方は「国の方法で評価して過小評価じゃない」って言っているみたいで、そもそも国の評価がだめだったから専門家が指摘しているのに。
また握りつぶすのでしょうか。
そして、また事故が起これば、こんな地震が起きるなんて誰が言った、と。
そして、一部の新聞たちは地震学者に責任をなすりつけるみたいな恐ろしい記事の書き方をするのでしょうか。
国は気に入らない評価をする専門家はやめさせればいいし、電力も一部の報道も、嘘つき放題湾曲し放題で誰も罰せられないのですから楽でいいですよ。
  1. 2016/06/08(水) 02:09:04 |
  2. URL |
  3. 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
  4. [ 編集 ]

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