東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、9月3週(9月14日から20日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.汚染水漏れのタンクの弁は壊れていた
9月9日午前10時30分頃、Dエリア内D5タンクに設置されている止め弁の当たりから汚染水漏れが見つかりました(1)。以下にDエリアの場所を示します。

※(1)を転載
図―1 汚染水漏れタンク位置
汚染水漏れを起こした「弁」を取り外し調べたら「亀裂」あったそうです(2)(3)。これでは汚染水の流出が防げないので「原子力規制委員会」に通報したそうです(2)。以下に「亀裂」の位置を示します。

※(4)を引用・加筆
図―2 弁の亀裂位置
このタンクはGoogle Mapで見るとまだ映ってないので、タンクとしては新しいタンクだと思います。それでも「弁」に亀裂が入り汚染水漏れ!古いタンクはどうなんですかね?
2.地下水バイパスの水位低下は20cm、当初想定は3m
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです。4月9日に地下水の汲み上げを開始してから(2)、5ヶ月が経過しました。

※(5)を転載
図―3 地下水バイパスの概要
地下水バイパスが稼働する前に東京電力は地下水バイパスが稼働すれば3mの地下水位の低下が起こり毎日400トンずつ増えている汚染水を300トンに減らせると主張していました(5)(6)。

※(6)を転載
図―4 地下水バイパス稼働前に提示した地下水位低下予測
東京電力は地下水バイパスによって、原子炉建屋近くの地下水位が20cm下がり、50~80トンの地下水の流入を減らせたと発表しました(7)。以下に(=^・^=)が集計した週毎の1日当たりの汚染水増加量を示します。

※(8)を集計
図―5 1日当たりの汚染水増加量推移
過去一ヶ月の平均では日量467トンです。およそ50トンから80トン減っていようには見えません。
水の流速は落差の√(平行)に比例するそうです(9)。地下水バイパス稼働前の落差は6mなので(5)、(=^・^=)なりの計算結果をしまします。

※ (=^・^=)の見積もり
図―6 地下水バイパスの水位低下量と汚染水増加の減少量
どうみても数トンです。東電は20cmの水位低下からシミュレーションの結果で50~80トン減ったと主張していますが(7)、どんなシュミレーションをしたんですかね?
3.サブドレンによる汲み上げ説明会で「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」
「海側遮水壁」は汚染水が溜まっているタービン建屋の海側に「壁」を作って汚染水の流れを止めるものです。

※(6)より作成
図―7 海側遮水壁の概要
そんな事をしたら、内側に流れ込んだ地下水が溜り噴出していまいそうです。

図―8 遮水壁設置後の水の流れ((=^・^=)の想像)
「サブドレンによる汲み上げ」の概要を以下に示します。

※(11)を転載
図―9 「サブドレンによる汲み上げ」の概要
原子炉建屋に近い分だけ汚染が酷いと思います。
福島県の漁業関係者への説明会が9月18日にいわき市で開かれました(12)。そしたら「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」との発言が出たそうです。

※(13)をキャプチャー
図―10 「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」と発言する福島の漁師さん
福島の方のお立場を考えれば当然の意見だとの思います。福島原発事故処理は福島県の問題でなく、日本の問題です。まして福島第一原発の電気は放射性物質で汚染された福島でなく、関東・東京へ送られていました。汚染水だって送りたくなります。
でも(=^・^=)の街の海に捨てるのは絶対に反対です。原子炉近くの汚染水を汲み上げるのでそれだけ汚染が酷いと思います。東京電力は放射性物質を取り除いた後で、地下水バイパスと同じ基準で海に流すと主張しているそうです(12)。以下に「サブドレンによる汲み上げ」の放射性物質を取り除く設備の概要を示します。

※(14)を抜粋
図-11 「サブドレンによる汲み上げ」向けの放射性物質除去設備
図に示す通り、セシウム、ストロンチウム、アンチモンの3種類以外は取り除く事を予定していません。一方、べつの浄化設備である多核種除去設備(ALPS)は62種の放射性物質を取り除くことを予定しています(15)。でも東京電力は風評被害を主張しています。

※(13)をキャプチャー
図―12 「風評被害」を主張する東京電力
<余談>
東京電力は9月17日に多核種除去設備(ALPS)について、増設した設備の試運転を開始したと発表しました(16)。これについて、福島県の地方紙の福島民友は
増設ALPSの試運転開始 東京電力「トラブルはなし」
との表題で報じています(17)。いまの福島第一はトラブルが無い事がニュースになる「異常」な状態です。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月2週)―二週連続汚水漏れ―(2)
2014年9月18日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (3)
2014年9月17日福島第一原子力発電所G4エリアA5ーA6タンク連結弁の破損状況(PDF 171KB) (4)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所G4エリアA5ーA6タンク連結弁の破損状況(5)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(6)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス効果無し!3mの水位低下のはずが30cm(7)
2014年9月18日地下水バイパス稼働に伴う地下水の状況について(PDF 389KB) (8)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(9)
水力発電所の出力と有効落差の関係(10)
1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力(11)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―今週も下請けさんが倒れる―(12)
海洋放出に漁業者反発 第一原発サブドレン水 説明会再度開催へ | 県内ニュース | 福島民報(13)
スイッチ20140918 (14)
海側汚染水問題に関する対策について 【資料5】 - 東京電力(15)
多核種除去設備 (ALPS)|東京電力(16)
2014年9月17日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (17)
増設ALPSの試運転開始 東京電力「トラブルはなし」(福島民友ニュース)
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- 2014/09/20(土) 19:44:53|
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| コメント:3
反対というのも大人げない。
塩分を取り除いて東電の社員・安倍自民や稼働賛成派議員と官僚に飲ませましょう。
え!?飲み切れないって?
溺れてもいいんじゃない。
toshitomiってアンポンタンも「海に捨てても拡散して安全。被害は出ない」って言っているから、そいう賛成派の家にも送り付けて飲んでもらいましょう。こいつ今中国に出張中なんだけどね。
- 2014/09/20(土) 21:43:25 |
- URL |
- hotaka43 #mWyI0ZzU
- [ 編集 ]
hotaka43様
コメントありがとうございます。
Q> 塩分を取り除いて東電の社員・安倍自民や稼働賛成派議員と官僚に飲ませましょう。
A>この水で、米などの農作物や畜産飼料(Ex牧草)を作ってできた牛乳や牛肉を食べていただくのはどうでしょうか?もちろん毎日!これ以上の「風評被害対策」ないと思います。彼らの言葉を信じれば「安全」なので、なにも起こらないと思います。東電の社員・安倍自民や稼働賛成派議員と官僚だけでなく、彼(女)等の子供さんにも!
- 2014/09/20(土) 22:09:10 |
- URL |
- mekenekotama #-
- [ 編集 ]