福島について2011年3月から14年9月の間につて、ICRPが提唱しているLNTモデルで(=^・^=)なりに計算したら330人人が外部被ばくに起因する癌で亡くなるとの結果を得ました。一方、福島県の交通事故の死者数(2)を累計したら320人で、外部被ばくによる発癌リスクだけで交通事故のリスクを超えています。
福島県放射線健康リスク管理アドバイザー 高村昇氏が、福島県の地方紙の放射線Q&Aのコーナーに、
Q「放射線被ばくにより、皮膚がんの増加が心配です。影響について教えてください。」
A「外部被ばくによる皮膚がんの増加は考えにくいといえます。」
と寄稿していました(3)。
同コーナーには発癌リスクの質問は「皮膚がん」以外に無いので(4)、福島県の放射線量では発癌リスクを恐れる必要はないようにとれます。(=^・^=)は本当かな?と思いICRPのモデルで計算してみました。
ICRPは「The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection ICRP Publication 103」(5)中で
①1000mSv被ばくすると5.5%の人が癌で死ぬ
②死ぬ割合は被ばく線量に比例する
としています。
福島県を代表するモニタリングポスト県北保健福祉事務所北側駐車場の空間放射線量率(6)から2011年7月11日までの積算線量(一定期間内の放射線の総量)(7)の(=^・^=)が計算した積算線量は6.5ミリシーベルトでした。一方、福島県県民健康管理調査の「県民健康調査 検討委員会」(8)の「基本調査」の資料では、福島県民が平均して0.8ミリシーベルトでした。概ねモニタリングポストの12.3%が福島県民の平均の外部被ばく線量です。
7月末までの積算線量は14.3ミリシーベルトですので、平均の外部被ばく線量は0.87ミリシーベルトです(14.3×0.123)。平均の発がん率は0.0048%です。福島県が発表している人口動態(9)を集計するとこの間の平均人口は約201万人なので、死者数は97人になります。
このような計算を月毎に計算し累計すれば合計の死者数がでいます。ただし、安倍氏が総理に出戻った直後の2012年12月から13年5月に掛けて福島県の県北保健福祉事務所北側駐車場のモニタリングポストには
①引き算を含む計算式の補正
②放射線の低い場所への移動
③モニタリングポストの周りだけを除染
等の人為的な操作が加えられ大幅に低下しました(10)

※(10)を転載
図―1 人的操作によって放射線量が大幅に下がったモニタリングポスト
しかたがないので、そこでそれ以降は半減期に基づく推定値(11)を使用しています。以下に帆空間放射線量率と積算線量を示します。

※(6)(11)に基づき集計、計算
図―2 福島市の長期の空間線量率と積算線量
各月の積算線量と人口の平均値から外部被ばくによる死者数が見積もれます。これを累積すれば累積の死者数がでます。
一方、福島県警は毎月の交通事故死者数を発表しています(2)。これを累積すると交通事故の累積の死者数をが分かります。以下に2011年3月以降の福島県の外部被ばくによる癌での死者数(推計値)と交通事故での者数の累積を示します。

※1(5)(6)(8)(11)で外部被ばくによる癌よる死者数を推計
※2 交通事故死者数は(2)を集計
図―3 福島県の外部被ばくによる癌での死者数(推計値)と交通事故での者数
2014年9月末で、
外部被ばくによる癌での死者数(推計値)230人
交通事故死者数の累計 220人
で、外部被ばくによる癌での死者数(推計値)の方が多くなっています。高村昇氏の主張するような状態ではないと(=^・^=)は思います。
<余談>
最初に断っておきたいのはこの見積もりは(=^・^=)のオリジナルではありません。福島原発事故前に原子力ムラ(原子力関係者)が同じような見積もりをしてます(12)。仮定の同じなので結果のほぼ同じです。福島は危険か安全かなかな直感的には分かり難いと思います。原子力ムラの皆さんが事前に交通事故リスクと同じ(ただし発癌リスクのみについて)ことを評価していました。これ説明すればある程度のリスクを理解して貰うことができたと思います。でもダンマリを決め込んでいます。
第2にLNTモデルに疑問を呈する向きがあります。電力業界は低線量被ばくはむしろ健康に良いと主張してます(14)。一方、低線量被爆ではLNTモデルよりもリスクが大きいと主張もあります(15)。(=^・^=)にはどっちが正しい(たぶんどっちも間違っている)か分かりませんが、LNTモデル自体に不確実さあることです。そのため立場によっていろいろいな主張が出てきます。たとえば高村昇氏は「ICRPは今回のような放射線災害が発生した際には『年間100~20ミリシーベルトの範囲のなるべく低いレベルの被ばく線量で抑える」、いったん災害が収束した後には「年間20~1ミリシーベルトの範囲で徐々に被ばく線量を下げていく』とも勧告しています。」などと紹介しています(16)。
蛇足になりますが、それでは事故から3年半立って年間20ミリシーベルトは徐々に下げているかと言えばそのようなことは実行されていません。10月1日に川内村の避難指示が解除されました。この時、川内村は福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇氏を委員長とする検討委員会を立ち上げました(17)。従前の主張があるのでリスクので、(=^・^=)は基準が下げられていないので「危険」と結論を出すと思いきや「安全」と結論を出し避難指示解除を受け入れてしまいました。でも(=^・^=)が見積もると数年で100ミリシーベルトを超えてしまいます(17)。
第3に癌以外にも影響があることです。放射線影響研究所によれば「(広島・長崎の被爆者を対象とした)寿命調査(LSS)死亡率データ(1950-1997年)の解析により、がん以外の疾患による死亡が被曝線量と共に統計的に有意に増加していることが明らかとなった。過剰症例は特定の疾患に限られてはいないようである。DS86結腸線量が0.005 Gy(5ミリシーベルト)以上の49,114人の中で、18,049人ががん以外の疾患で亡くなっている(血液疾患による死亡はこの中に含まれていない)。循環器疾患がこれらの死亡のほぼ60%を占め、消化器疾患(肝疾患を含む)は全体の約15%、呼吸器疾患は約10%を占めている。」そうです(18)。

図-4 被曝線量1 Gyの成人健康調査対象者におけるがん以外の疾患発生の相対リスク(1958-1998年)
そういえば5月8日に福島第一原発で働いていた下請けさんが脳内出血を起こし、ドクターヘリで病院に搬送だれています(19)。
このリスクをどう評価するかの中立的なモデルを知りませんので、数値的な評価はできませんが発がんリスクに加算されます。
第4に内部被ばくリスクがあります。福島県の検査結果を(=^・^=)なりに分析した結果では福島県は検査されているので安心・安全と主張しているが、福島県のセシウム検査には
・精密検査は低く出る
・放射性物質汚染の酷い場所の精密検査は避ける
・簡易検査は精度を担保するデータが無い
・基準外が見つかっても、正確な情報は公開しない
・基準外がみつっかても、出荷制限しないことがある。
等の特徴があります(20)。およそ信頼できる検査ではなく、福島産は検査させているからセシウムの心配はいらないとは言えない状態です。
国では福島県産食材などをごちゃまぜにして放射性物質を検査するMB方式の検査では福島県産食材のストロンチウム90が上昇しています(21)。

※(21)を転載
図-5 MB検査によるストロンチウム90濃度推移(福島県)
でも福島県はホームページで食品中の放射性物質の測定結果を発表していますが(22)、そこにはストロンチウム90の検査結果はありません。ストロンチウム90について言えば事実場は野放し状態です。
第5に福島と広島・長崎の質的違いです。福島には広島原爆10個分のセシウムが降り注ぎました。広島や長崎で見つからなかった事が福島で見つかる可能性が否定できません。このような読めない危険も追加されると思います。
福島県飯館村はほぼ全村が計画的避難区域になりました。ただし大方の方が避難を終えたのは福島原発から3ヶ月以上の6月22日です。その間に多くの方々被ばくしました(23)。

※(24)より作成
図―6 福島県飯舘村村民の被ばく線量
そして原発事故に懐妊した赤ちゃんが生まれる2011年12月位から急に男の子が生まれなくなりました。

※(25)を集計
図―7 福島県飯館村の赤ちゃん誕生数(3ヶ月累計)
放射性影響研究所は広島や長崎で遺伝的な障害が発生してない根拠の一つに女の赤ちゃんに対する男の赤ちゃんの割合(性比)に異常が見つけられなかったを上げています(26)。広島や長崎で見つからないことが、福島で起きています。
一方、高村昇氏は「遺伝的な影響を懸念されるかもしれませんが、広島・長崎の原爆被爆者の方の遺伝的影響
(二世調査)をみても、がんや白血病をはじめ病気が増えたという報告はありません。まして県内の現在の放射線量はずっと低く、安心して妊娠、出産をしていただければと思います。」と主張しています(27)。でも遺伝には子供には現れず「孫」に現れる遺伝があります(28)。このような遺伝は「二世調査」では分かりません。このような遺伝も含めれば「分かってない」が事実です。でも高村昇氏は安全と主張してます。
リスク管理ではリスクの洗い出しが大事だと思います。リスクが存在するのにそれを無視をするんは愚策だと思います。だから(=^・^=)は福島のリスクに対して
「行かない」「買わない」「食べない」
のフクシマ3原則で対応しています。でもこれは(=^・^=)だけではないみたいです。

※(29)を抜粋
図―8 福島も実りの秋、でも福島産が殆どない福島県会津若松市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
低線量被曝問題 - Wikipedia(2)
福島県下交通事故情報 | 福島県警察本部(3)
放射線 放射性物質 Q&A 被ばくによる皮膚がん心配。影響は | 東日本大震災 | 福島民報(4)
「放射線・放射性物質Q&A」アーカイブ | 東日本大震災 | 福島民報(5)
ICRP勧告 日本語版シリーズ PDF無償公開のお知らせ | 刊行物中の「ICRP Publ.103 「国際放射線防護委員会の2007年勧告」
(6)
過去の放射線モニタリング結果 - 福島県ホームページ中の「県内7方部 環境放射能測定結果」
(7)
積算線量 - Wikipedia(8)
県民健康調査 検討委員会について - 福島県ホームページ(9)
福島県の推計人口(平成26年9月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島市の放射線量激減―測定器をいじっただけ―(11)
めげ猫「タマ」の日記 長期の空間放射線量の計算方法(12)
原子力発電はどれくらい安全か(13)
がん以外の疾患による死亡 - 放射線影響研究所(14)
放射線安全研究センター(15)
European Committee on Radiation Risk(16)
放射線 放射性物質 Q&A 基準になる「1ミリシーベルト」の意味は | 東日本大震災 | 福島民報(17)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―川内村は生活に不安があるから帰れない、本当は放射線が怖いから―(18)
がん以外の疾患による死亡 - 放射線影響研究所(19)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(5月1週)―鼻血は出ないど脳内出血は起こる福島第一原発-(20)
めげ猫「タマ」の日記 フクシマは食べませんが19.6%に増加―当然です―(21)
めげ猫「タマ」の日記 フクシマ産のストロンチウム90が半年で倍増(22)
モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ(23)
福島第一原発事故報告―健康被害(24)
基本調査について - 福島県ホームページ中の「・これまでに行った推計結果(第15回検討委員会資料) [PDFファイル/490KB]」
(25)
福島県の推計人口(平成26年9月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(26)
原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 - 放射線影響研究所(27)
放射線 放射性物質 Q&A 生まれてくる子供に放射線の影響は 現在の線量では問題なし遺伝的影響も報告されず | 東日本大震災 | 福島民報(28)
隔世遺伝 - Wikipedia(29)
リオン・ドール 会津アピオ店
スポンサーサイト
- 2014/10/06(月) 19:32:01|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:1
広島長崎の調査結果は、「被爆者同士を比較させる」ことによって、影響を小さく見せている、という指摘がありますよね。
http://blog.acsir.org/?eid=21
「放影研の「黒い雨」に関する見解を批判する」
自分の親族の話を聞いても、とても被ばくしていないとは考えられないのに被爆者と認定されていなかったり、本人たちも忘れようとしていて何も話さなかったりと、戦後の混乱や、本人たちも隠す状況の中で一体、被爆者の調査自体がどこまで信じられるものやらと思います。
子孫への影響についても、2012年に、両親とも被爆者の方の白血病のデータが発表されて。
「親の被爆状況で分類すると「父のみ被爆」は1万8087人中6人、「母のみ被爆」は3万577人中17人、「両親とも被爆」は1万4453人中26人が発症していた。」
http://www.47news.jp/47topics/e/229942.php#reading
この様なものも見ました。
http://radiation7.blog.fc2.com/blog-entry-3717.html
最近、家族に原爆を経験した方がいる人と話したけど、「子孫への影響」を話すこと自体を嫌うのです。
それは自分や家族に直接影響することだから、辛いから考えたくないのでしょうね。
考えることをやめたって、減る問題じゃないのに、目をつぶろうとしている風潮を感じます。
こういう状況を見ると、将来どういう影響が出ていくのか、きちんとした調査などまずできてないと思います。
福島についても、同じようになってしまうのではないかと感じています。
子孫への影響と遺伝的影響は厳密には違うかもしれないけど、家族にとっては結局同じようなこと、そんな心配は無いに越したことがありません。
移住したり、食べ物に気をつけたり、廃棄物などを拡散しないようにして、原因をなくすのが一番と思います。
汚染のある関東、東北の、一部の県(茨城、宮城、福島、岩手)で自然死産率が上昇した事を示す論文もあるし(以下論文の図5、図8)、
http://csrp.jp/wp-content/uploads/2014/04/strahlentelex022014_kiji_JP.pdf
原発は事故らなくても、付近には病気が多いなどの記事もよく見かけますし。
http://datsugen-aichi-nagoya.net/?page_id=863
すべて、一つずつ見ていけば、他の災難と変わらない、とか、調査の信頼性が不十分とか、たいしたこと無いことにされてしまう。
けれど、影響には個人差のある中で、たくさんの「まだよくわからない不安」を気にしながら、どうして移住したい人が、移住できないでいるのだろうか、なぜ、こんな不安を抱えながら、安全だと主張する人たちの意見ばかりが、目立つところに掲げられ、宣伝に税金が使われているのか。と思います。
いつも参考になる記事をありがとうございます。
- 2014/10/07(火) 11:37:02 |
- URL |
- 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
- [ 編集 ]