10月8日の原子力規制は放射性物質の拡散を予測するシステムSPDDEIについて(1)「(原発事故の)避難や一時移転等の防護措置の判断にあたって、SPEEDI による計算結果は使用しない。
」と決定しました。福島第一原発事故で役に立たなかったのが理由だそうです(2)。でも改良して使うのと選択はないんですかね?
福島原発事故時にSPEEDIの予測結果は公開されなかったので、公開されていたら効果があったとの意見もありますが、(=^・^=)はSPEEDIが公開されても結果は同じような気がします。
福島県浪江町は原発事故で最初に避難した同町の津島の方が役場のある中心部より放射線量が大幅に高いので、SPEEDIの予測があれば被ばくは避けられたとの議論があります(3)。以下に浪江町の位置を示します。

※(4)で作成
図―1 福島県浪江町
避難は以下のような移動で行われました。

※1(3)(4)で作成
※2 凡例は図―1に同じ
図―2 浪江町の避難経路
図でもわかる通り避難元で役場のある中心部の放射線量は低く、避難先の津島の放射線量は高くなっています。もし、放射線量が高くなることが分かっていたら、避難先を別にしたので、被ばくは防げたとの考えだとは思います。
でも(=^・^=)はSPEEDIが公開されていても同じ事だと思います。以下に当初のSPEEDI予測を示します。

※(5)を引用
図―3 2011年3月12日時点のSPEEDI予測
放射性物質は北に向かっています。浪江町の方は、放射性物質が向かっている北にも、福島第一原発がある南にも逃げる訳にはいかないと思います。東は海にすので、西、すなわち津島に逃げる以外の選択しかなかったと思います。
以下にと浪江町津島の少し北の飯舘村役場の放射線量を示します。

※1 福島第一原発のセシウム放出率は(6)を集計
※2 飯館村の放射線量は従前に福島県HPより取得(現在はリンク切れ)
図―4 福島第一原発のセシウム放出率と浪江町津島と飯舘村役場の放射線量
まず、福島第一原発のセシウムばら撒きは、一定の割合で行われていたのでなく、特に3月15日に大きなバーストがあります。この時、風下になった浪江町津島や飯舘村に大量の放射性物質が流れ込んできました。その事はSPEEDIも計算してます。

※(7)を引用
図―5 2011年3月15日時点の拡散予測
ただ原発がいつ吹き出すが分からないので、正確な予想ができなかっただけです。使う方を工夫し、システムを改良すれば今度、原発事故があった時は大いに活躍できると思います。
<余談>
原子力規制委員会は実際のモニタリングポスト(放射線量の測定点)の値で避難の可否を判断すれば良いと主張しています(3)。それには十分な数のモニタリングポストが必要です。まもなく鹿児島県の川内原発の再稼働しそうです(8)。鹿児島市の避難計画を見ると川内原発30圏内が避難対象になっています(9)。以下に鹿児島県内のモニタリングポストの配置を示します。

※(10)を引用
図―6 鹿児島県内のモニタリングポスト
全体で13か所、川内原発近くを除けば数カ所しかありません。これで避難の判断ができるんですね?事故ったとしたら、誰かが勇気のある人が線量計をもってまわり放射線線量を測って高い・低いを判断し避難を決める必要があります。それまでに大量に被ばくしそうです。それ以前に(=^・^=)は原発事故が起きたら原発に近づきません。放射線量計をもって原発付近を移動し、測定する勇気ある人はいるんですかね?最悪は住民は「放置」されます。
福島原発事故から3年半過ぎて、福島から学ぶ姿勢がどんどん減っている気がします。あれだけの事故です。確り調査すれば学ぶ事はいくらでも出て来ると思います。SPEEDIが福島で役に立たなかったのは事実です。だから何故、役立たなかったを調べ役立つようにすべきです。
今年の5月頃に福島では鼻血が出やすいとの話が流れました(11)。これに対し、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇氏は、広島・長崎の例を引き合いに出し
「事故直後から現在に至るまで、県内の一般住民は急性放射線症が出るような線量の放射線を被ばくしていません。鼻血は種々の原因によって起こることが知られていますが、少なくとも福島県内における鼻血が放射線被ばくによるものであるとは考えられません。」
とコメントしています(12)。でも、福島と広島・長崎では被ばくの原因が違います。福島の被爆は大量にばら撒荒れた放射性物質からの被ひばくです。ばら撒かれた放射性物質の量は広島原爆に比べ異常に多くなっています(13)。広島・長崎で起こらなかかった事が福島で起こっても不思議ではありません。鼻血については
「福島からの避難者の2人に1人ほどが家族などの鼻血を体験している。突然出血し、普段あまり鼻血を出さなかった子どもが多いのが特徴。避難後はほとんどの症状が治まっているという。<中略>金属粒子が鼻の粘膜に付着したのが引き金となった可能性を指摘する。金属粒子は直径数ミクロンで、人体のごく小さな範囲に1日100ミリシーベルトを超える放射線を出し、組織を損傷する。」との学会発表もあったそうです(14)。
福島県県民健康管理調査の項目には「鼻血」はありません(15)。高村昇氏はろくに調べもしないで、放射線による鼻血は考えられないとしています。(=^・^=)は根拠もなく福島は「安心」「安全」と強弁するのでなく、福島から学ぶ努力をすべきだと思います。10月8日の原子力規制委員会の決定は原子力規制委員会も福島から学ぶ努力を放棄した決定だと思います。でもそんなことして変な「事実」が出てきたら、原子力ムラは困る?
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
SPEEDIとは │ SPEEDI │ NNET(2)
第31回 原子力規制委員会|会議|原子力規制委員会(3)
【浪江町の津島避難】 線量情報なく町民孤立 国と県、予測伝えず 安全信じ...空白の4日間 | 東日本大震災 | 福島民報(4)
文部科学省による福島県西部の航空機モニタリングの測定結果について | 原子力規制委員会(5)
旧組織からの情報-文部科学省 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果 SPEEDIによるさまざまな仮定をおいて行った試算例 1号機からの放射性物質の放出を仮定した試算|原子力規制委員会(6)
【120524】東北地方太平洋沖地震の影響による福島第一原子力発電所の事故に伴う大気および海洋への放射性物質の放出量の推定について|TEPCOニュース|東京電力(7)
旧組織からの情報-文部科学省 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果 SPEEDIによる積算線量の試算 放出源情報逆推定 プルーム拡散予測|原子力規制委員会中の「 3月18日計算 : 計算結果 」
(8)
鹿児島の情報は南日本新聞 - 特集・川内原発(9)
鹿児島市ホームページ |「鹿児島市原子力災害対策避難計画」の策定について(10)
東日本大震災関連情報 放射線モニタリング測定結果等 | 原子力規制委員会(11)
美味しんぼ - Wikipedia(12)
放射線 放射性物質 Q&A 放射線被ばくで鼻血は出るのか | 東日本大震災 | 福島民報(13)
東京新聞:福島第一放出セシウム137 広島原爆168個分:福島原発事故(TOKYO Web)(14)
神戸新聞NEXT|医療ニュース|福島の鼻血「内部被ばくか」 神戸の医師、学会で発表(15)
健康診査について - 福島県ホームページ
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