東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、10月4週(10月19日から25日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.今週も油漏れ
福島第一原発ではこのとこる「油漏れ」が続発しています(2)。今週も確り「油漏れ」が起こりました。
10月21日14時38分頃、福島第一原発の「Gエリアの吸着塔一時保管施設」で、吸着塔運搬用トレーラーのパワーステアリング用のオイルが漏れだしましました。下請けさんが見つけました。漏れた油は道路に約20mにわたって広がっていました。消防署に通報したそうです(3)。
「Gエリア」は東電資料(4)でみると、福島第一原発の海岸沿い南側に有るエリアでそこのは汚染水から分離した放射性物質を纏めて保管する施設があります(5)。

染水から分離した放射性物質を纏めて保管する施設があります(5)。
※GoogleMapに(4)(5)で示された位置を加筆
図―1 福島第一原発のGエリアと保管設備
東電用語は常に分かり難い(たぶん重大さを誤魔化すため)のですが「Gエリアの吸着塔一時保管施設」とは、汚染水から集めた大量の放射性物質を保管している場所です。もし漏れた油に火がついて火事になったらと思うと恐ろしさを感じます。それにしてもこのところ、福島第一原発構内では油漏れが頻発しています。
①5月29日、福島第一発電構内の免震重要棟駐車場に戻った際に、車から油(エンジンオイル)が漏れ、その後、消防署に通報したそうです。
②5月29日、福島第一発電構内企業厚生棟駐車場で、車から油漏れ、その後、消防署に通報
③6月6日、福島第一原発構内登録センター西側道路上で、下請けさんが使っている車が燃料配管からのガソリン漏れ
④6月17日、5号機残留熱除去系海水ポンプ(A)のモータ下側の軸封部から油が漏れ、消防署に通報したそうです。
⑤7月3日午前6時頃、福島第一発電所内協力企業厚生棟前の路上で、下請けさんが使ってしいる車がエンジンオイル漏れ
⑥7月7日午前10時43分頃、固体廃棄物貯蔵庫第3棟付近において、仮置きされている発電機から油が漏れ(本稿)
⑦7月12日午前11時51分頃、福島第一原子力発電所構内の体育館付近に置いてある車の下から油漏れ
⑧8月12日午前9時55分頃、J4タンクエリアに置いてあるトラッククレーンから油が漏れ(以上(4))
⑨8月23日 福島第一原発構内の3号機タービン建屋に向か道路を走行中の車から油漏れ。運転手は気づかず
⑩9月26日 下請けさんが、追突事故に会い、載っていた車からエンジンオイルが漏れた
⑪10月10日 雑固体廃棄物焼却設備建設現場の300トン・クレーンから制御用の油が漏れているのを下請けさんが発見。その後、消防署に通報(以上2)
⑫10月21日 放射性物質の保管施設近くの道路で放射性物質運搬用のトレーラーから油漏れが起こり、消防署へ通報(本稿)
2.1号機の建屋カバー解体開始!でも1年遅れ
福島第一原発の1号機の建屋カバーの解体作業が10月22日から始まりました(3)(6)(7)。

※(8)を10月23日に閲覧
図―2 1号機建屋カバー撤去を1面トップで報じる福島県の地方紙「福島民報」
当初の予定では2013年年度の中頃から開始し、2015年度中ないしは16年度早々に瓦礫撤去を終える予定でした(9)。

※(9)を抜粋
図―3 1号機燃料取り出し当初計画
でも、実際に始まったのが2014年10月末ですので、当初計画より1年遅れの開始です。でも瓦礫撤はもっと遅れます。最新の計画を見ると2016年度でも瓦礫撤去が終わりません。

※(6)を抜粋
図―4 最新の1号機の瓦礫撤去計画
現状の計画通りにでも終了は1年半は遅れそうです。なんでそうなかったとえば、昨年の8月に3号機の解体作業中に放射性物質を飛散させ農作物などが汚染された可能性が指摘されています(6)。その為に東電は放射性物質の飛散防止策を徹底するために工期が長くなっています。でも、「福島」では効果を疑問視する声もあるのも事実です(10)。

※(10)を転載
図―5 東電の飛散防止策の効果に疑問を報じる福島県の地方紙(福島民報7月18日朝刊)
何がおこるか分からないと思います。
3.地下水バイパスダウン!
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(11)。地下水バイパス用の12本の井戸の一つのNo.11で、藻のような生物が大量に汲み上げてしまい、10月15日よりポンプの汲み上げを停止したそうです。ポンプについては分解清掃を行う予定。なお、作業期間は2週間程度を予定しているので(3)(12)、この間は止まりそうです。以下に井戸の位置を示します。

※(11)を転載
図―6 地下水バイパスの平面図
地下水バイパスの停止は10月15日に起こったのですが、東電がその事実をHPにアップしたのは1週間後の10月22日です(3)。福島第一原発は毎週、毎週トラブルをお越し不安定なのに、トラブルが直ぐに公表されないこともあると思います。報道や東電の発表(13)を見てなにもないと安心して「福島」に遊びにいって後でとんでもないことが起こっていたなんて事になりませんように!
4.結線が外れていました!どうして
10月17日午前11時30分頃、西門可搬型モニタリングポストによる放射線量の測定が止まりました。原因を調査したところ、データーケーブルのジョイント部が外れているのが見つかりました。コンセントからケーブルが抜けるような事が起こったと思います。東電の発表には何故に外れたかの発表がありません(14)。
似たような事に、今年(2014年)2月起こったH6エリアタンクの汚染水漏れがあります(15)。何時のまにか満水のタンクに汚染水が流れるように「弁」の設定が変えられていました。何故に変わったかは不明ですが、だれかが意図的設定を変えた可能性も指摘されています(16)。だったら今回だって、誰かが意図的に結線を外した可能性があると思います。福島第一原発の中って、悪い事が簡単にできる?
5.多核種除去設備(ALPS)に新たな構造的な欠陥
多核種除去設備(ALPS)は色々な種類の放射性物質を汚染水から分離する設備ですが、少なくともトリチウムは分離できません。当初は2012年夏くらいには完成予定でした、最新の日程では2014年12月になっています。2年半程度の大幅遅れです。

※(17)を転載
図―7 多核種除去設備(ALPS)の概要
ところが9月11日に東京電力は
「既設多核種除去設備のホット試験で確認された不具合について大きく7項目の事例として抽出しており、これらは予期せぬ不具合などについても、汎用性をもって対応可能なものと考えている。」
との自身たっぷりの発表をしました。ALPSにはA系、B系、C系の系統がありますが、過去に処理水がフィルタの欠陥で白濁するトラブルを起こしています。そして、9月26日もトラブルを起こし止まってしまいました(17)。その原因が発表になりました。
多核種除去設備(ALPS)ではスラリーと東電が呼んでいる「粉」に放射性物質を吸着させ、粉を回収することで放射性物質を回収しようとするものです。そのためにはスラリーと汚染水を分離する必要があります。そこでフィルターを設け、スラリー(粉)は装置の中に残り、汚染水は外に出る仕組みなっています。フィルターはガスケットと呼ばれる器具で装置に固定されていますが、そのガスケットに「隙間」ができたそうです。

※(18)を抜粋
図―8 隙間ができたガスケット
その隙間から、汚染水と一緒にスラリーも漏れて停止せざるを得なくなったのですが、隙間ができた原因は、汚染水から放射性物質を吸収したスラリー(粉)を回収容器(バックパルスポット)に送る時は逆方向の流れつるのので、カスケットは後ろからも前からも圧力がかかるので、流れがが変わる度に変形し壊れてしまったとのことです。1985年に飛行機の墜落事故がありましたが、原因は機体が膨れたり萎んだりを繰り返し、修理が不十分な部分に疲労が溜り、最後は壊れてしまい墜落した(19)のと同じみたいです。

※(18)に抜粋・加筆
図―9 多核種除去設備(ALPS)のトラブル部分
かけた圧力は設計上の許容さ範囲内であったそうなので、設計で想定した圧力より低い圧力で壊れる装置でした(14)(18)。なんか構造的な欠陥がまた一つ明になったみたいです。
以下に多核種除去設備(ALPS)のトラブル履歴を示します。
3月17日 B系統の出口から処理水を回収
3月18日 処理水から1リットル当たり、1400万ベクレルと1100万ベクレルのストロンチウム90等に由来する全ベータを確認、処理を停止
3月19日 移送先のJ1タンク群も汚染されていることを確認
3月24日13時頃 A系、C系の運転を再開
3月24日19時頃 サンプルタンクCより汚染水漏れを確認(サンプルタンクCには3月18日発見された処理されない汚染水が混じっている)。
3月24日19時頃 A系、C系の運転を停止(運転全面停止)
3月25日 A系、C系の運転を再開
3月27日 A系出口の処理済みの水の「白濁」を確認、A系の運転を停止
3月29日 C系での汚染水処理を停止して、ポンプの洗浄を行ったのですがポンプの流用が元に戻らず。
4月16日 見張りをせずに洗浄作業を行い水をあふれさす。
5月20日 定例のサンプリングにおいて、C系統の水に白濁があり停止。
6月18日 新たな「隙間」が見つかる(以上(17))
9月26日 B系統の処理水から「白濁」が見つかり運転停止
10月23日 B系統運転再開(14)(18)。
おまけ-柏崎刈羽で下請けさんが怪我
今週は福島第一、第二ではけが人は発生しませんでしたが、柏崎刈羽では確り発生しました(20)。10月23日に原発の安全審査の為にボーリング作業していた下請けさんが、ボーリングマシーンに左手薬指を挟まれ、骨折し救急車で運ばれ手術のあとそのまま入院したそうです(20)。10月17日に福島第一で下請けさん(男性)が、作業中に右手小指の指先を切断ばかりなのに(2)。
<余談>
しばらくは福島第一原発から突然に放射性物質がばら撒かれ、また福島の台地を汚染する危険が続きそうです。(=^・^=)は怖いので
「行かない」「買わない」「食べない」
の「フクシマ3原則」を守りますが、(=^・^=)だけではないみたいです。福島も美味しいお米がとれたそうですが(21)、スーパーのチラシを見たら「他県産」のお米が載っていました(21)。

※(22)をキャプチャー
図―10 福島産だって新米の季節、でも福島産米が載っていない福島市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月3週)―下請けさんが右手小指の指先を切断―(2)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月2週)―パソコンがウイルスに感染しました―(3)
2014年10月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (4)
第20回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会中の「資料2汚染水貯留タンク増設設計について [東京電力]【PDF:437KB】」
(5)
中長期ロードマップ|東京電力中の「2014年8月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第9回事務局会議)⇒【資料2】中長期ロードマップ進捗状況(概要版)(7.58MB) ⇒11ページ目」
(6)
1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力(7)
建屋カバー解体着手 第一原発1号機 溶融燃料取り出しへ一歩 | 県内ニュース | 福島民報(8)
福島民報(9)
実施作業と計画|東京電力中の「諸計画の取り組み状況」
(10)
めげ猫「タマ」の日記 飛散対策の効果は不透明―福島第一1号機建屋カーバー解体(11)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(12)
地下水バイパスが停止 東京電力福島第一原発の南側1カ所 大量の異物くみ上げ | 県内ニュース | 福島民報(13)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(14)
2014年10月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (15)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(2月3週)―汚染水対策で汚染水100トン流出-(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(3月1週)―ALPSまた停止-(17)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月4週)―9月は4人のけが人・病人―(18)
2014年10月22日福島第一原子力発電所多核種除去設備B系統処理再開について(PDF 180KB) (19)
日本航空123便墜落事故 - Wikipedia(20)
2014年10月24日発電所構内(屋外)におけるけが人の発生について(21)
収穫の喜びと自然への感謝。ふくしまのおいしいお米の季節がやってきました! | ふくしま 新発売。(22)
チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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- 2014/10/25(土) 19:26:36|
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