東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、11月3週(11月16日から22日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.トレンチの止水失敗
福島第一原発にはタービン建屋から海に向かって地下道(トレンチ)が伸びています。

※(2)を転載
図-1 海側に延びる地下道(トレンチ)
そこには高濃度の放射性物質に汚染された水が詰まっています。放っておくと海に流れ出す危険があるので水の流れを止め汚染水を抜く計画でした。でもなかなか上手く行きません。最初にトライしたのは凍結管をタービン建屋とトレンチの間に入れて水を凍ての止水は、失敗しましした。次にドライアイスや氷を入れて凍結させようとしましたが失敗しました(3)。最後の手段としてセメントの壁を作って流れを止めることを試みました(4)。

※(3)(4)にて作成
図―2 地下道(トレンチ)止水の失敗履歴
セメントの壁が完成したので、試験的に地下道(トレンチ)からの水を汲み上げてみました。そしたら、地下道(トレンチ)の水位も下がったのですが、タービン建屋の水位も下がりました。汲み上げを止めたら、地下道(トレンチ)の水位は上がり、タービン建屋の水位も下がりました。以下に2号機タービン建屋とそれに繋がる地下道(トレンチ)の水位を示します。

※1(4)にて作成
※2 水位はO.P(小名浜港を基準とした海抜)
図―3 2号機タービン建屋とそれに繋がる地下道(トレンチ)の水位
結局はタービン建屋と地下道(トレンチ)は繋がっており、タービン建屋の汚染水を地下道(トレンチ)の流れないように堰き止めることに失敗しました。
仕方がないので地下道(トレンチ)をセメントで埋めることにしました。でもセメントは汚染水を吸い込むので東電の試算では1kg当たりで
セシウム134 3万6000ベクレル
セシウム137 12万ベクレル
セシウム合計 15万6000ベクレル
の汚染コンクリートが出来上がるそうです。
原子力規制員会の議論(5)を聞いているともっと厄介な問題として、セメントが地下道にキッチリ入るかどうか不明みたいです。以下に地下道(トレンチ)にセメントを詰める様子を示します。

※(4)を抜粋・加筆
図―4 地下道(トレンチ)にセメントを詰める様子
手順は
①汚染水を汲み上げる。
②セメントを入れながら、水位を見ながら汚染水を汲み上げる
ですが、形状が複雑でありしかも地下道(トレンチ)の底には津波で流された砂礫が堆積しており上手く埋まるか不明みたいです(5)。最悪の場合は海とタービン建屋の間の水路が残るかも知れません。そしたら、タービン建屋から海に汚染水が直接流れます。
どのみち大変な工事になりそうです。(=^・^=)が下請けさんにいいたいのは工事は失敗しても良いからけが人・死人だけは出さないでください。
2.1号機内部は瓦礫が散乱
福島第一原発の1号機は水素爆発を起こしました(6)。

※(6)を転載
図-5 水素爆発する福島第一原発1号機
でもその後で建屋カバーに覆われ中を覗くことができなくなりました。東電は核燃料を取り出す為に建屋カバーの解体作業に着手しています(7)。隙間ができたので東京電力は中を調査し、写真を公開しました(8)(9)。以下に東電が公開した写真を示します。

※(9)を抜粋
図―6 瓦礫が散乱している福島第一原発1号機
瓦礫が散乱しています。これについて福島県のローカルTV局FCTは
「そこに写っていたのは、爆発でむき出しになった鉄骨。散乱したガレキは使用済み燃料プールに覆いかぶさっていた。さらに、この写真では写すことができないものがある。それは高い放射線量。」
と報じています(10)。

※(10)をキャプチャー
図―7 福島第一原発1号機内部の様子を配信する福島のローカルTV局FCT
3.新たな汚染水を海に流す?
東京電力は地下水バイパス井戸より近い原子炉建屋に近いサブドレン井戸からも地下水を汲み上げて海に流す計画を進めています(11)(12)。

※(11)を転載
図―8 東電が提案した新たな汚染水排出ルート
これについて、11月19日に国と東電は福島県の漁業組合長に申し入れをおこなったそうです(12)(13)。そしたら組合長からは「海洋放出は避けて通れない道だ」との意見が出たそうです(13)。そのうち、新たな汚染水の放流が始まりそうです。
以前に福島の漁師さんは「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」との発言しています。

※(14)を転載
図―9 「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」と発言する福島の漁師さん
本当に安全なら福島より他都道府県で放流した方が「風評被害」の証明になると思います。でも福島の海に流すことになりそうです。どこも福島原発から出る汚染水は「安全」だとは思わないみたいです。すると「安全でない汚染水」が流れる海を抱える福島は「安全」とは言えないと思います。
<余談>
東電は汚染水対策として
①地下水バイパス(15)
②地下道(トレンチ)の止水(3)
③サブドレン井戸からも地下水を汲み上げ(11)(12)
④氷の壁で原子炉やタービン建屋を囲み、地下水を遮断する凍土壁(16)。
などを進めています。このうち地下水バイパスは半年たっても効果があらわれず「失敗」です。地下道(トレンチ)の止水も本稿に記載した通り「失敗」です。サブドレン井戸からも地下水を汲み上げは福島県の漁師さんと交渉中なので、計画段階です。残る凍土壁は現時点(2014年11月)は工事中です(17)。東電は違うと主張していますが(5)、失敗した地下道(トレンチ)の止水と同じく、凍らせて地下水の流れを止めるものです(16)(17)。同じように失敗する可能性が高いと思います(16)。凍土壁には安倍出戻り内閣が税金で作る事を決めました(16)。予定では来年1月に工事が完了し、凍結を始めます(18)。そうすれば「失敗」が明瞭になると(=^・^=)は思います。そしたら税金で作らせた安倍出戻り内閣の責任が問われると思います。安倍出戻り内閣は衆院を解散しました(19)。ひょっとして「嘘がバレル前の解散」って感じです。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(11月2週)-セメント投入も トレンチ止水せずの可能性-(2)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月1週)―9月は5人のけが人・病人―(3)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月4週)―地下道は凍結できないので、詰め物をします―(4)
第29回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会中の「資料1海水配管トレンチ建屋接続部止水工事の進捗について[東京電力]【PDF:1.4MB】」
(5)
第29回 特定原子力施設監視・評価検討会 (平成26年11月21日) NRAJapan(6)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(10月1週)―汚水漏れが大盛況―(7)
1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力(8)
2014年11月19日福島第一原子力発電所1号機ガレキ撤去計画策定に向けたオペレーティングフロアの調査について(PDF 621KB)(9)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所1号機ガレキ撤去計画策定に向けたオペレーティングフロアの調査について(10)
ニュース|福島中央テレビ(11)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―今週も下請けさんが倒れる―(12)
2014年11月19日福島県漁連組合長会議説明資料(PDF 382KB)(13)
第1原発・地下水放出、漁協全組合員を対象に説明へ(福島民友ニュース)(14)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月3週)―弁が壊れていました―(15)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス稼働半年―いまだ効果見えず―(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の凍土壁は税金の無駄遣い?(17)
陸側遮水壁|東京電力(18)
[PDF]凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(708KB) - 東京(19)
めげ猫「タマ」の日記 集団的自衛権、守るのは「韓国」?
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- 2014/11/22(土) 19:31:03|
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