めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

ステップ2完了から3年―できた事とできない事

 2011年12月16日に福島第一原発事故のステップ2の完了が宣言されました(1)(2)。
ステップ2の完了を宣言する野田総理(当時)
  ※(2)をキャプチャー
  図―1 ステップ2完了を宣言する野田総理(当時)

そして12月21日に廃炉に向けての工程表が発表されました(3)。それから3年、当初の計画がどの程度、実現できなたのか(=^・^=)なりに検証してみました。そしたら殆どの項目が実現していません。相当な遅れが起こっています。このペースでおくれれば廃炉まで30~40年でなく、数十年~百年超になりそうです。
 当初計画で2014年12月まで完了する予定だった計画が11項目ありました。そのうち計画通りないいしは早めに終わったのは2項目です。表を示します。

 表―1 2014年12月までに終わるはずの計画に完了状況
  ※1(2)等から作成
  ※2 期限が工程表が(=^・^=)が読みましたが、正確でないので
   1Q:1~3月
   2Q:4~6月
   3Q:7~9月
   4Q:10~12月
  で概略を記載します。
当初計画から大幅に遅れる福島第一原発廃炉作業

1.プラントの安定状態維持・継続
  この計画では
   ①格納容器内の部分的観察(2012年1Q開始予定)
   ②循環ループ縮小(2012年4Q完了予定)
   ③多核種除去設備の設置(2012年1Q完了予定)
   ④格納容器ガス管理システム(2012年3Q)
等が期限を迎えています。。
 ①格納容器内の部分的観察(2012年1Q開始予定)
  これについて東京電力の発表をみると
   (a)2012年 1月18日 2号機の内部映像公開(4)。
   (b)2012年10月10日 1号機の内部映像公開(5)および線量測定(6)
で1,2号機は1,2回に内部調査をしていますが、3号機は格納容器の入口のハッチを調査しただけなようです(7)。それでも年間の平均被ばく線量20ミリシーベルト(5年で100ミリシーベルト(7)から換算)の半分近い8ミリシーベルトの被ばくをたった1回の調査でしています。リスクが大きすぎてできるものではないと思います。僅かに覗きましたが、成果に比べ被ばく線量が多すぎるって感じです。(=^・^=)の判定は、被ばく線量が多すぎてダメです。
 ②循環ループ縮小2012年4Q完了予定)
  福島第一原発では汚染水配管が4kmにも及んでいます。
brg130328c.gif
 ※(8)にて作成
 図―2 原子炉冷却のための配管引き回し

 これだけ長いループがあるとパイプをネズミが齧るかもしれなし、イノシシは突っつくかも?東電の資料(9)を見る限り現状維持の感じです。
 ③多核種除去設備の設置(2012年1Q完了予定)
 多核種所設備(ALPS)は汚染水からウランとトリチウム以外の放射性物質を分離する装置で、当初は2012年の早い時期に設置する予定でしが、現在も試運転中です(10)。完了予定も明示されていないので、3年は遅れそうです。

2.放射線量低減・放射性線量の拡散防止
 この計画では
  ①遮水壁の設置(2014年3Q)
  ②港湾内海水告示限度以下(2012年1Q)
  ③敷地境界線量1mSv/年以下(2012年1Q)
  ④格納容器ガス管理システム(2012年3Q)
などが期限を迎えていますがどれも出来てません。
  ①遮水壁の設置(2014年3Q)
  遮水壁は海に壁を作って、汚染水の海への流れを止めるものです(3)。
完成していない遮水壁
 ※(3)を抜粋
  図―3 遮水壁

 でも流れを止めた汚染水の行き場がありません。東電は可能な浄化(完全な浄化ではない)をして福島の海に捨てるサブドレインからの汲み上げプランを考えているようです(11)。
brg140927d.gif
 ※(11)を転載
 図―4 サブドレイン(地下水)汲み上げ放出の概要

 福島の漁師さんは反対みたいです。漁師さんを対象とした説明会ではでも不評だだったみたいです。
 「放出される水は汚染されたもの。理由はそれ以上でも以下でもない」
とか
 「安全な水なら他県に持って行ってほしい」
なんて意見が出たそうです(12)。
brg140920c.gif
 ※(13)を転載
 図―5 「安全なら関東、東京湾に捨てたらいい」と発言する福島の漁師さん
  

 (=^・^=)は浄化しても「安全」にはならないのと思うので、(=^・^=)の住む街の海捨てるような動きがあれば徹底的に反対します。漁師さんの了解がとれるまで、「遮水壁」は無理なので先が見えません。

  ②港湾内海水告示限度以下(2012年1Q)
   汚染水について言えば告示限度は「周辺監視区域の外側の境界における水中の放射性物質の濃度」です(14)。東京電力の発表(15)を見ると、港湾内では「港湾中央」と「6号機取水口」の全ベータ濃度が高くなっています。
告示濃度を超える全ベータが見つかった港湾内位置
 ※(15)を元に作成
  図―6 「港湾中央」と「6号機取水口」の位置

 東京電力によれば全ベータの「告示限度」は1リットル当たり30ベクレルだそうです(16)。以下に「港湾中央」と「6号機取水口」の全ベータ濃度の推移を示します。
告示限度を超える福島第一原発港湾内の全ベータ濃度
  ※(15)を集計
  図―7 「港湾中央」と「6号機取水口」の全ベータ濃度

 確り1リットル当たり30ベクレルを超えています。東京電力はいろいろと汚染水対策をしているようですが(17)、当初の目標は達成していません。それでも「港湾内でも水質は改善している。状況はコントロールされている」と述べる嘘つき総理が日本にはいます(18)。

  ③敷地境界線量1mSv/年以下(2012年1Q)
  これも達成されていません。今年1月の第18回特定原子力施設監視・評価検討会の資料(19)にようると、東電はNo1からN100までの100点で評価したら、福島第一原発の敷地境界では高い所で年間8.04ミリシーベルトの放射線が福島第一原発から飛んできているそうです。
敷地境界で年1mSVを超える福島第一原発
   ※(19)より作成
  図―8 敷地境界で年1ミリシーベルト以上の地点

 主原因は汚染水タンクからの放射線で、東電は多核種除去設備等で汚染水と放射性物質を分離する作業をしていますが、終わるのが2015年3月予定(20)なので、3年遅れです。

  ④格納容器ガス管理システム(2012年3Q)
   格納容器ガス管理システムは格納容器からの漏れる放射性物質の放出量を低減するために、格納容器への窒素充填量と同程度のガス量を抽出管理して格納容器内の圧力を大気圧程度にする装置です(21)。2011年10月に2号機、12月に1号機の格納容器ガス管理システムの運用を開始しました。2013年2月に3号機の試運転を開始したので(22)ほほ予定通りだと思います。

格納容器からの漏洩する放射性物質の放出量を低減するために、格納容器への窒素充填量と同程度のガス量を抽出管理して格納容器内の圧力を大気圧程度にする装置


3.核燃料プールからの燃料取り出し
 当初の予定では各々の号機の核燃料プールからの取り出しは2014年時点で以下の通りに進んでいる予定でした(3)。
  ①1号機瓦礫調査開始(2014年2Q)
  ②2号機除染開始(2014年2Q)
  ③3号機燃料出開始(2014年4Q)
  ④4号機燃料取出開始(2014年1Q)

 このうち1号機はまだガーバーに覆われているので(22)、瓦礫調査はできません。今年(2014年)10月の福島からの報道によれば当初計画より3年遅れるそうです(23)。ただし計画なので3年以上の遅れだと思います。2号機は除染作業が始まっている必要がありますが、今の所はいつ始まるかは不明です。3号機は燃料取り出しが開始するはずでしたが、今年8月に瓦礫撤去作業中に瓦礫を核燃料プールに落とすトラブルがあり(24)、瓦礫撤去作業が遅れそうです。4号機の核燃料プールからの核燃料取り出しが2013年11月に開始し、今日(2014年12月16日)時点で残り26本なので、ひょっとしたら今年中に終わるかも知れません。これだけは順調です。

4.まとめ
 今年(2014年)12月に完了ないし開始していなければならない11項目中、予定通り終わったのは「格納容器ガス管理システム」と「4号号機からの燃料取り出し」の2項目です。のこりの9項目は大幅な遅れです。従前に記載下通り遅れが読めるものでも3年の遅れです。計画開始から3年で3年の遅れがでるということは、予定の倍の期間が係っています。このペースで遅れたら廃炉まで計画では30~40年ですので(3)、60~80年になります。もっともこれからはより困難な作業がありそうなのでもっと遅れると思います。このペースで行けば100年かかるかも知れません。


<余談>
 福島第一原発の廃炉作業がどの程度に「大変」かは完了してみないと分からないと思います。ひとつ言えることは、当初の想定より大変な作業になることです。明日、高浜原発に事実上の安全審査合格がでるそうです(27)。このまま行けば再稼働だと思います。川内原発に関する規制委会の説明を見ていると(29)(30)、原発の事故の発生確率は大幅に低くなったとか、事故っても福島規模の放射性物質漏れは起こらないような説明はありましたが、福島みたいに大変な廃炉作業にはならないとの説明はありませんでした。合格が出れば福井県や高浜町に再稼働の判断がゆだねられると思います。(=^・^=)は安全審査に無かった項目(避難計画の成立性、廃炉作業)なども含め総合的に判断すべきだと思います。


―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況(12月16日)について|TEPCOニュース|東京電力
(2)平成23年12月16日 野田内閣総理大臣記者会見 | 平成23年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
(3)東京電力福島第一原子力発電所1?4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力
(4)東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所2号機 原子炉格納容器内部調査状況 ダイジェスト版動画
(5)福島第一原子力発電所1号機原子炉格納容器内部調査
(6)福島第一原子力発電所1号機原子炉格納容器内部調査結果について
(7)福島第一原子力発電所3号機原子炉格納容器機器ハッチの調査について(PDF 126KB)
(8)http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-08
(9)福島第一原子力発電所の現況|東京電力
(10)中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2014年11月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第12回事務局会議)⇒【資料3-2】滞留水処理(5.56MB)」
(11)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月4週)―9月は4人のけが人・病人―
(12)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月2週)―2014年は1年12ヶ月、下請けさんに「トラブル」
(13)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月3週)―弁が壊れていました―
(14)旧組織からの情報-原子力安全・保安院 > 告示濃度限度|原子力規制委員会
(15)報道配布資料|東京電力中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(16)サンプリングによる監視|東京電力
(17)汚染水対策|東京電力
(18)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(10月1週)―井戸水のから高濃度のストロンチウム90、しかも上昇中―
(19)第18回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会
(20)中長期ロードマップ|東京電力中の「汚染水処理対策委員会⇒2014年11月13日(第14回)⇒【資料2】福島第一原発の最近の状況(2.03MB」
(21)格納容器ガス管理システム|電気・電力辞典|東京電力
(22)2. 福島第一原子力発電所の現状とこれまでに実施してきた対策|東京電力
(23)1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力
(24)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(10月5週)―1号機デブリ取り出しは5年遅れ―
(25)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月5週)―核燃料プールに落し物
(26)4号機燃料取り出し作業|東京電力
(28)17日に高浜原発合格証案公表 規制委発表 | 沖縄タイムス+プラス
(29)川内原発適合性審査結果に関する住民説明会(さつま町) NRA Japan
(30)川内原子力発電所の審査書案について田中俊一委員長によるブリーフィング (平成26年7月16日) NRA Japan
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  1. 2014/12/16(火) 19:46:10|
  2. -
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