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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

選挙が終われば原発合格

12月17日の原子力規制委員会で関西電力高浜原発の審査書案が了承されました(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)。(=^・^=)には選挙が終わっての、突然の合格に見えます。
 世論調査などによると、多くの方がが原発の再稼働に反対しているようです(9)(10)。日本経済新聞の世論調査では
 「再稼働を進めるべきではない」は56%が「はい」と答え
  発電コストが上昇して電気料金が上がる可能性を「受け入れられる」は61%と「はい」
と答えています。発電コストが上昇して電気料金が上がる可能性を。「受け入れられない」は31%だったので、多くの国民はコストを負担しても良いから、原発は再稼働すべきでないと考えているようです。
 そのためでしょうしょうが、2014年12月14日総選挙で「自民党は、原発依存度を可能な限り低減させ、自然エネルギーを最大限導入すると公約した。公明党は『原発ゼロを目指す』とはっきりうたっている。」そうです(11)。でも選挙が終わった途端に原発推進の動きが進んできました。

1.原発補助金制度の創設
  12月17日に原発廃炉費用について経済産業省の有識者会議は
   「新規参入の電力小売各社の利用者にも負担を求める」
との方針を決めたそうです(12)(13)。以下にその構図を示します。
原発補助制度の仕組み
※(12)(13)を元に作成
 図―1 新たな「原発」補助金の仕組み

 電力が自由化されても原発代(廃炉費用)を電気料金に上乗せして支払うことになります。その費用は送電会社を通じ原発運営会社に還付される仕組みのようです。これでは「原発補助金」です。原発のコストは廃炉費用を含め設定されるべきです。設定を誤り低い金額にしても、これは電力会社の自己責任です。それで経営が立ち行かなければ、徹底的にリストラをし、それでもだめなら倒産すればいいと思います。その後で国と破産管財人が協力して廃炉を進めるは仕方がないことだと思います。これが市場経済の原則です。
 でもトータルコストのうち廃炉費用が電気料金に上乗せされる(=^・^=)も含む国民負担なら、原発はその分だけ「安く」なります。これでは経済合理性が成り立たず、日本の活力をそぎます。北海道電力が再値上げを実施し(14)(15)、や総選挙後の12月17日に関西電力が再値上げを決めたと発表しました(16)。
 北海道電力も関西電力も原発が再稼働できないためと主張していますが(15)(16)、福島原発事故前は電気の32%は原発で発電していました。原子力発電専門の日本原電の決算を見ると、発電量に関わらず営業費用は変わらないので、原発って動かしても止めてもそれ程には費用は変らないみたいです(17)。
brg140702a.gif
 ※(14)にてを転載
 図―2 日本原電の年間営業費用

北海道電力の再値上げも関西電力の値上げも、原発が再稼働できない為ではなく、電力会社が発電ができない原発に固執して余計な費用がかかった為だと(=^・^=)は思います。福島原発事故前ですら原発の発電コストは1kW当たり11.4円で、天然ガスの10.7円、石炭火力の9.5円を超えています(18)。そして今年(2014年)の夏は原発「0」でも乗り切れました(19)。それでも割高な原発を維持する補助金制度が必要なんでしょうね!

2.大間原発、申請
 12月16日に大間原発の新規制基準適合性に係る審査(原子力発電所)が申請されました(20)(21)(22)。大間原発は青森県大間町に電源開発が建設を進めている原子力発電所です(23)(24)。、
北海道に面する大間原発
  ※(25)より作成
 図―3 大間原発の位置

 最大の特徴は、ウラン燃料だけでなく、MOX燃料を全炉心に装荷できることで、1995年8月の原子力委員会決定によると、「中期的な核燃料リサイクルの中核的担い手である軽水炉によるMOX燃料利用計画を拡げるという政策的な位置付けを持つ。」とされているそうです(24)(27)。MOX燃料はプルトニウムとウランを混合した核燃料で(26)(27)「プルトニウムはウランに比べて中性子を吸収しやすいことから、MOX炉心は、ウラン炉心に比べて相対的に制御材(ほう酸水、制御棒)に吸収される中性子が少なくなり、制御材の効きが低下する傾向があります。また、MOX炉心では異常発生時の圧力上昇が大きくなる傾向があります。」とのことです(26)。これについて電源開発が技術的な対応していると主張します(27)。一方、プルトニウムも燃料とするので、「ワンススルーにするならば使用済み核燃料は数万年間にわたる管理期間が必要だが、使用済み核燃料から、再処理・群分離で、プルトニウムを含む超長半減期核種を分別抽出し、MOXで核分裂させてしまえば半減期30年の核分裂生成物に変換できる。」とのこと(27)。フルのプルトニウム燃料を使う高速増殖炉の行先が不透明の中では(28)(29)、プルトニウムを始末してくれるので、原発推進には欠かせないものだと思います。一方で、あらたなタイプの原発ですので運転実績もなく、福島原発事故もあったので函館市などは大変に危険と考えています(30)。青森県大間町は歓迎なようですが(20)、北海道新聞は12月17日付の「大間原発申請 独り善がりの手続きだ(12/17)」の社説(31)を
「 広範囲の住民の不安を払拭(ふっしょく)できなければ申請取り下げも考えるぐらい、柔軟になるべきだ。」
と結んでいます。
 決して好評とは言えない大間原発の適合性基準審査を総選挙後の12月16日に申請しました。

3.高浜原発は事実上合格
 既に記載の通り、12月17日に高浜原発が事実上合格しました。このあとパブコメの募集(6)、地元説明会、立地自治体(福井県および高浜町)、工事計画認可(補正書の申請を含む)、仕様前検査、保安規定認可(補正申請を含む)(32)を経て再稼働に進むと思います。以下に高浜原発の位置を示します。
福井県の西はずれにある審査合格の高浜原発
   ※(25)より作成
 図―4 高浜原発の位置

 福井県の西の外れにあります。地図で見る限り近い所では京都府と福井県の府県境から3km程です。以下に高浜第一原発近くのアメダス観測点の小浜の福島原発事故があった2011年3月の15日から29日の風向き分布を示します。
 brg120525c.gif
 ※(33)を転載
 図―5 大飯原発近傍のアメダス(小浜)の2011年3月15日から29日の風向き分布

 風向きから見る限り、事故たとしても放射性物質は滋賀県や京都府の方に飛んでいき福井県はそれ程には汚染されないと思います。それでも交付金は「福井県」に行くみたいです(34)。福井県にとってはリスクも少なくお金になる美味しい原発だと思います。一方、京都府や滋賀県にしたらお金にならないのにリスクだけ負わされる迷惑施設です。その違いが地元のマスコミの論調に良く出ているともいます。
 福井県の地方紙の福井新聞は「高浜原発で委員『かなり安全側』 地震と津波の想定を厳格に(2014年12月18日午前7時30分)」との表題の記事を配信し(1)、
「担当の石渡明委員が「かなり『安全側』に立った数値。自然災害の対応は満足できるレベル」と言い切るまで、厳格化された。」
と言い切っています。でも石渡明氏は2014年9月に原子力委員に就任した地質学者で(35)、原子力規制員会の資料(36)を見ると、石渡明氏が出席した高浜原発の審査会合は最後のほう3回のみです。また12月17日の原子力規制委で田中委員長は主に担当した方として「更田豊志委員」を上げています(7)。加えて言えば「安全」との言葉を発したのは石渡明委員のみで、審査書案(6)にもその後の会見(7)でも「安全」なんて言葉はありません。また先に合格した川内原発について原子力規制委員会や(37)田中委員長は(38)は説明を行っていますが「安全」との言葉は(=^・^=)が聴いた限り出ていません。多分「安全」という言葉でてきたので、福井新聞は飛びついたともいます。最後の方にほんの少し(3回)、かかわった石渡明氏を担当したと報じ、多くの委員が「安全」ととは言っていないのに「安全」との福井新聞の報道は「朝日新聞」の一連の誤報問題(39)と同じような気がしますが、安倍出戻り総理は知らんぷりを決め込むと思います。
 一方、隣接する京都府の地方紙の京都新聞は「高浜原発「再稼働容認できない」 滋賀県知事、協定未締結なら」との表題で(39)、滋賀県発の記事として
「原子力規制委員会は17日、福井県の関西電力高浜原発3、4号機の『審査書』案を了承し、再稼働に向けた「お墨付き」を与えた。高島市の一部が避難計画を策定する30キロ圏内に入っており、滋賀県の自治体首長や市民団体などからは『再稼働ありきの出来レース』@安全協定も締結していないのに再稼働は容認できない」などと批判の声が上がった。」
とかなり批判的に報じています。
 今年7月13日に原発問題も争点となった滋賀県知事選挙がおこなわれました(41)。これが終わるのをまっていたかのように、7月16日に川内原発の事実上の合格が決まりました。そして12月14日に総選挙が終わると、これを待っていたかのように12月17日に高浜原発の合格が決まりました。これって偶然なんですかね?

<余談>
 総選挙が終わって、安倍出戻り総理は好き放題みたいです。この前の総選挙で「自民党は、原発依存度を可能な限り低減させ、自然エネルギーを最大限導入すると公約した。」はずです。でもここ2,3日の動きを見ていると
 12月16日 大間原発安全審査申請
 12月17日
   ①原発補助金の創設
   ②原発が再稼働しないから、電気代を上げると(=^・^=)を含む「国民」を脅す
   ③高浜原発の事実上の合格
です。加えて言えば、再生エネルギーの買い取り制度も転換します(43)。安倍出戻り総理の動きを見ていると「原発依存度を可能な限り低減させ、自然エネルギーを最大限導入する」ではなく「自然エネルギーを最大限導入を可能な限り低減させ、原発依存度を可能な限り最大限」との感じです。
 選挙が終われば公約を忘れるのが安倍出戻り総理の生業です。そういえば前の選挙の時も「選挙制度改革」、「日米関係を重視」とか「わが国の主権と領土・領海を断固して守る」とか言いていたような気がしましたが、「選挙制度改革」などせずに衆院を解散し違憲状態のまま選挙を強行しました。「日米関係を重視」といっていたのに靖国に参拝してアメリカを怒らせてしまいまいた。「わが国の主権と領土・領海を断固して守る」と言っていたのに尖閣の小島には名前をつけても、韓国が不法占拠している「竹島」には名前を付けませんでした。竹島の日にも行っていません。

 
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)浜原発で委員「かなり安全側」 地震と津波の想定を厳格に 原発再稼働問題 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト
(2)東京新聞:事故時拠点不備でも「適合」 高浜も審査書案了承 規制委:社会(TOKYO Web)
(3)高浜原発、事実上の合格 | 国内外ニュース | 福島民報
(4)高浜原発、事実上の合格 規制委「新基準に適合」 (12/17 11:43)minyu-net ニュース
(5)原子力規制委員会|会議|原子力規制委員会中の「平成26年12月17日第46回」
(6)関西電力株式会社高浜発電所3号炉及び4号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について
(7)平成26年度 第46回原子力規制委員会 (平成26年12月17日) NRA Janapn
(8)原子力規制委員会 定例記者会見 (平成26年12月17日) NRA Janapn
(9)原発再稼働「反対」59% 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル
(10)原発再稼働「進めて」32% 本社世論調査  :日本経済新聞
(11)信濃毎日新聞[信毎web] 原発回帰 「依存度低減」はどこへ
(12)東京新聞:廃炉費用転嫁を容認 全利用者が負担:経済(TOKYO Web)
(13)自由化後も原発廃炉費転嫁を検討 | 国内外ニュース | 福島民報
(14)めげ猫「タマ」の日記 北海道電力、再値上げ決定―原発の維持・管理費用を捻出のため!
(15)電気料金の値上げについて-ほくでん
(16)電気料金の値上げの準備について [関西電力]
(17)めげ猫「タマ」の日記 いよいよ原発0の夏!
(18)めげ猫「タマ」の日記 北海道電力、再値上げ決定―原発の維持・管理費用を捻出のため!
(19)めげ猫「タマ」の日記 原発0でもこの夏は乗り切れた!
(20)<大間原発申請>歓迎と批判が交錯 河北新報
(21)使用済みMOX原則再処理/大間原発審査申請/Web東奥・ニュース20141217095553
(22)新規制基準適合性に係る審査(原子力発電所)|政策課題|原子力規制委員会
(23)J-POWER | 電源開発株式会社 | 事業・サービス | 原子力発電事業 | 大間原子力発電所の建設計画
(24)大間原子力発電所 - Wikipedia
(25)地理院地図
(26)J-POWER | 電源開発株式会社 | 事業・サービス | 原子力発電事業 | フルMOX炉心の特性
(27)MOX燃料 - Wikipedia
(28)めげ猫「タマ」の日記 もんじゅについて(上)―高速増殖炉ってなんですか?
(29)めげ猫「タマ」の日記 もんじゅについて(下)―維持費は年間200億円!その価値はあるの
(30)大間原発の建設凍結のための提訴について | 函館市
(31)大間原発申請 独り善がりの手続きだ-北海道新聞[社説]
(32)設計・建設段階の安全規制 概要|政策課題|原子力規制委員会
(33)めげ猫「タマ」の日記 福島の教訓が生かされていない大飯原発-少なくともオフサイトセンターは
(34)電源三法 - Wikipedia
(35)石渡明 - Wikipedia
(36)高浜発電所 3・4号炉 関連審査会合|政策課題|原子力規制委員会
(37)川内原発適合性審査結果に関する住民説明会(さつま町) NRA Japan
(38)川内原子力発電所の審査書案について田中俊一委員長によるブリーフィング (平成26年7月16日) NRA Japan
(39)めげ猫「タマ」の日記 報道の干渉し、民主主義を危険に曝す安倍出戻り総理
(40)高浜原発「再稼働容認できない」 滋賀県知事、協定未締結なら : 京都新聞
(41)2014年滋賀県知事選挙 - Wikipedia
(42)原子力規制委員会|会議|原子力規制委員会中の「平成26年7月16日第17回」
(43)東京新聞:再生エネ 全量買い取り転換 再稼働前提に出力抑制:経済(TOKYO Web)
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  1. 2014/12/18(木) 19:40:08|
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