福島第一原発の12月2週(12月15日から12月21日12時)の状況を纏めてました。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
①外洋からセシウム、トリチウム等の放射性物質(4)(5)。
②地下すバイパスからのトリチウム排出量が累計約3,000億ベクレル超え
③海岸付近の井戸のからは高濃度の放射性物質(5)
④港湾口のアイナメのセシウム濃度は下がらず。
1.2週連続で外洋からトリチウム
今週も先週に続き、外洋から放射性物質が見つかっています。また排水路からも放射性物質が見つかっているので、海に流れ込み汚染を酷くすると思います(4)(5)。

※1 (4)(5)(6)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発近傍の海および排水路での放射性物質濃度
採取日と1リットル当たりの値は以下の通りです(4)(5)。
①5,6号機放水口北側(12月15日採取)
セシウム137 0.76ベクレル
全ベータ 10ベクレル
トリチウム 3.7ベクレル
②南放水口(12月15日採取)
全ベータ 10ベクレル
トリチウム 2.2ベクレル
③排水溝出口(C-2-1)(12月17日採取)
セシウム137 3.1ベクレル
全ベータ 21ベクレル
以下に5,6号機放水口北側の放射性物質濃度の推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図―2 5,6号機放水口北側の放射性物質濃
さがっている様子がありません。もっと気になるのはトリチウム濃度です。以下に外洋の2地点のトリチウム濃度の推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図―3 外洋2地点のトリチウム濃度推移
トリチウムは見つかったり、見つからなかったりしているのですが少なくとも2週連続で見つかっています。トリチウムについては色々な議論があると思います(8)。(=^・^=)は「安全」と言えないものは、「危険」だとして対応するのがリスク管理の基本だと思います。
2.地下バイパスからのトリチウム排出量が累計で3,000億ベクレル突破
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(9)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。
地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算したら約3、034億ベクレルで3,000億ベクレルを突破しました。

※(10)を集計
図―4 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量
(=^・^=)には心配なことがあります。地下水バイパスより山側(上流)の井戸から高濃度の放射性物質が見つかっています。

※1 (11)(12)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
この中で最も気になったのが海に最も近いE-10井戸です。

※(11)を集計
図―6 E-10井戸のトリチウム濃度推移
原子力規制庁はタンクから漏れた汚染水の海洋汚染の可能性はないと主張しています(13)。でも放射性物質が消えて無くなるわけがありません。図―6に示す通り海に近いE-10井戸では確りトリチウム濃度が上昇しています。図―1に示すように外洋からもトリチウムが見つかっています。
3.海岸付近の井戸の放射性物質濃度が急上昇
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 海岸付近の放射性物質濃度
この中で(=^・^=)が一番気になったのはNo1-14井戸のトリチウムです。以下に過去2ヶ月のトリチウム濃度の推移を示します。

※(5)を集計
図―8 No1-14井戸のトリチウム
どんどん上昇しています。
東京電力は汚染水が海に流れないように「地盤改良」を実施したと主張しています(15)。No2-6とNo-27井戸は地盤改良した地中の壁を挟んで対向しています。

※(5)とgoogle mapで作成
図―9 No2-6、No2-7井戸の位置
地盤改良による遮蔽効果があるなら海側のNo2-7井戸の放射性物質濃度は大幅に下がるはずです。以下にNo2-6とNo2-7井戸のトリチウム濃度の推移を示します。

※(5)を集計
図ー10 No2-6,No2-7のトリチウム濃度推移
図に示す通り殆ど差がありません。たとえ地盤改良しても長期的にはすり抜けます。海側井戸で見つかった高濃度に汚染された地下水は地盤改良部をすり抜け、福島の海を汚染します。
4.港湾口のアイナメのセシウム濃度は下がらず
汚染水対策の最終目的は海洋生物への放射性物質汚染を減らすことだと思います。これについて東京電力は会見(15)で全体としては下がっている旨のことを発言していました。今週になって「港湾口」のお魚のセシウム濃度が発表になりました(16)。そこで「港湾口」のアイナメのセシウム濃度の推移を纏めてみました。

※(16)(17)にて作成
図ー11 福島第一原発、港湾口のアイナメのセシウム濃度
(=^・^=)には下がっているようには見えません。福島第一の汚染水流出防止対策は成果を上げていません。
<余談>
トリチウムの厄介な所は、性質は「水」と同じなので海流れても蒸発し陸にトリチウム雨になることだと思います(10)。

※ (10)を転載
図―12 トリチウム入り農作物の想像図
福島で採れた農作物がトリチウム入りだったり、飼料を食べた牛さんの肉もトリチウム入りだったりするかもしれません。(=^・^=)は検査結果を探しているのですが、まだ見たことがありません。(=^・^=)は不安なので
「行かない」「買わない」「食べない」
のフクシマ3原則を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないみたいです。牛肉の全頭検査の数を調べると、福島県では郡山市がトップです(18)。多分、郡山市は福島県で最も肉用牛の生産が多い市だと思います。福島県は福島牛は大変に美味しいと主張しています(19)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには福島牛はありませんでした(20)。

※(20)を抜粋
図ー13 福島牛が載っていない福島県郡山市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月2週)―外洋からセシウム、トリチウム―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を11月30日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?(9)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(10)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(11)(3)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒H4エリア周辺観測孔」
(12)(4)中の「揚水井の分析結果」
(13)
第45回 原子力規制委員会|会議|原子力規制委員会中の「資料2東京電力株式会社福島第一原子力発電所汚染水貯留設備RO濃縮水貯槽からの漏えいに係る同社からの報告等に対する評価等について(案)【PDF:10.7MB】」
(14)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所1・2号機取水口間の護岸における地盤改良工事(薬液注入)について(15)
【12月15日】東京電力 記者会見 - 2014/12/15 17:30開始 - ニコニコ生放送(16)
2014年12月17日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>(PDF 9.84KB)(17)(3)中の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(18)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月2週)―2014年は1年12ヶ月、下請けさんに「トラブル」(19)
とっておきのごちそうに、福島牛はいかが?! | ふくしま 新発売。(20)
イトーヨーカドー 郡山店
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- 2014/12/21(日) 19:44:57|
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| コメント:2
アイナメがこんな数値ならホヤなんて食えない数値だろう?どおりで何処のスーパーにもホヤが並ばないわけだ。三陸沖のホヤが食べたい!、、、北海産が出ないかな?
- 2014/12/22(月) 10:27:49 |
- URL |
- 青森の狸 #mdgUF9TI
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のど元過ぎれば、というのがこの国の大勢の国民性だと思いますが、
きちんと追いかけている方もいらっしゃるのを見ると心強いですね。
がんばってください。
拝見しています。
- 2015/03/06(金) 10:44:07 |
- URL |
- KUUU #E6kBkVdo
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