政府の原子力災害現地対策本部は、東京電力福島第一原発事故に伴い放射線量が局所的に高いために指定した南相馬市の特定避難勧奨地点を12月28日の解除を、12月21日、同市で説明会を開き、住民に方針を伝えたそうです(1)~(6)。
・現線量でも健康影響は考えにくい(2)(6)
・(指定を解除することで)線量が下がっている事実を全国に伝えることが、風評被害からの脱却、復興本格化のために重要(1)
との理由ですが、(=^・^=)の試算では100ミリシーベルト以上の被ばくが予想され、およそ「安全」とは言えません。

※(3)をキャプチャー
図―1 南相馬市の特定避難勧奨地点の解除を1面トップで報じる福島県の地方紙、福島民報
福島県南相馬市は福島県沿岸部(浜通り)北部にあり福島原発事故によってばら撒かれた放射性物質により市域が汚染され、市内には避難区域が設けられました。原発事故から3年半以上経過しても未だに1万3000人近い方が避難しています(7)。。

※(7)を転載
図―2 南相馬市
避難区域外にも放射線量の高い場所があるので、そこを「特定避難勧奨地点」に設定し(7)、そこからも約152世帯が避難されています(1)~(6)。

※1(8)を転載
※2 凡例は図―2に同じ
図―3 南相馬市特定避難勧奨地点
でも国は住民や市の意向を無視して避難指示解除を決めました(1)。
理由は
「モニタリング調査で、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実となったため、解除を決めた。」
との事です(1)。これについて「国」は
「現線量でも健康影響は考えにくい」(2)(6)
と主張しいます。でも「年間積算線量が20ミリシーベルト」で健康への影響って本当に考えらないんでしょうか?
年間20ミリシーベルトの基準につて、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーの高村昇氏は福島県の地方紙の福島民報に
「これ(年間20ミリシーベルトの基準の事)は100ミリシーベルト以上の放射線を一度に被ばくすると、がん発症リスクが上昇することを踏まえた上で、放射線災害による被ばくを合理的、かつなるべく低い線量に抑えるために作られた基準です。」
と寄稿してます(8)。将来的に放射線量の低減が見込めるなら年間20ミリシーベルトの基準の基準もある程度の合理性はあると思います。でも放射線量が時間とともに下がり難くなります。半減期の短いセシウム134由来の放射線は早くなくなりますが、半減期の長いセシウム137由来の放射線はなかなか無くなりません。セシウム134の半減期は約2年ですので2年で半分、4年で4分の1になりますが、半減期が約30年のセシウム137(10)からの放射線は30年でやっと半分です。福島原発事故から4年近くが経過しているので、セシウム134由来の放射線は当初の3割に減っていますが、セシウム137由来の放射線は殆ど減っていません。これからはなかな下がらいセシウム137由来の放射線が主力になります。
そこで(=^・^=)なりに積算線量が年間20ミリシーベルトの場合にどれだけ被ばくするか見積もってみました。積算線量が年間20ミリシーベルトだとすると1日当たりの被ばく線量は0.055ミリシーベルト(20÷365)になります。1時間当たりでは2.3マイクロシーベルトです(0.055÷24×1000)。
以下に今年(2014年)11,12月のセシウム137に対するセシウム134の割合を示します。

※(12)を集計
図―4 セシウム137に対する134の割合
1平方メートり当たりで100万ベクレルの
セシウム134があると、毎時5.4マイクロシーベルト
セシウム137があると、毎時2.1マイクロシーベルト
の放射線量になるそうです(13)。もしセシウム137が1平方メートル当たり59万ベクレルあるとすると。セシウム137由来の放射線量は1時間当たりで
1.2マイクロシーベルト(59×2.1÷100)
になります。図―4よりセシウム134は20万ベクレルになるので
1,1マイクロシーベルト(20×5.4÷100)
になります。半減期(10)と被ばく線量が積算線量の60%程度になること(13)を考慮すると、今後の放射線量は以下の通り見積もれます。

※(=^・^=)の見積もり
図―5 積算線量が年間20ミリシーベルト地点の放射線量
2030年には、ICRPが発癌リスクが確認されているとする100ミリシーベルト(14)を超えます。高木陽介経済産業副大臣は、「現線量でも健康影響は考えにくい」と言っていますが(2)、健康影響は十分にあり得ます。安倍出戻り内閣は「嘘」をついています。安倍出戻り内閣は国民の安全より原子力ムラの利益が大事みたいです。。
住民の一部からは「宅地の外にまだ線量が高い場所がある」と不安の声が出たそうです。これに対し国は「宅地の中の線量が基準を下回れば指定を解除する」としているそうです(4)。一日中、家の中にいる訳には行きません。これでは外に出たらどれだけ被ばくするか分かりません。安倍出戻り内閣は住民の安全などどうでも良く、避難解除ありきの姿勢です。
<余談>
国は「(指定を解除することで)線量が下がっている事実を全国に伝えることが、風評被害からの脱却、復興本格化のために重要」とも言っているようですが(1)、福島で起こっていることは「風評被害」ではありません。例えば、福島では自然死産率が原発事故後に増加し全国平均の1.5倍に達しました(15)。

※(15)を転載
図―6 福島県の自然死産率の推移
このほかにも死者数の有意な増加(16)、生まれてくる赤ちゃんの男女の割合の異常(17)など不可解なことが起こっています。それでも「安全」だと強弁する安倍出戻り総理を信用できません。だから(=^・^=)は
「行かない」「買わない」「食べない」
のフクシマ3原則を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないみたいです。福島米は大変おいしいそうです(18)。今年はお安くなっています(19)。さらに全袋検査を実施しているので「安全」だと安倍出戻り内閣は主張しています(20)(21)。でも南相馬市のスーパーのチラシには福島産精米は載っていません(22)。

※(22)をキャプチャー
図-7 福島産精米がない福島県南相馬市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
南相馬の避難勧奨地点28日解除 | 県内ニュース | 福島民報(2)
南相馬の避難勧奨、28日解除へ 最後の指定地点:朝日新聞デジタル(3)
福島民報を2014年12月22日に閲覧
(4)
ニュース|福島中央テレビ(5)
福島原発>避難勧奨地点 南相馬28日解除へ 河北新報(6)
南相馬の避難勧奨地点、28日解除 政府「健康影響ない」(福島民友ニュース)(7)
めげ猫「タマ」の日記 南相馬市の特定避難勧奨地点1.8(μSv/h)で解除、2036年には100mSv超え(8)
めげ猫「タマ」の日記 南相馬市の特定避難勧奨地点解除ー3μSvは10年で100mSv、安倍は殺人鬼(9)
放射線 放射性物質 Q&A 「1ミリシーベルトにこだわらない」の意味は | 東日本大震災 | 福島民報(10)
セシウム - Wikipediaセシウム - Wikipedia(11)
報道発表資料 |厚生労働省(12)
空間線量率の計算(13)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(14)
ICRP勧告 日本語版シリーズ PDF無償公開のお知らせ | 刊行物(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島の自然死産率は全国平均の1.5倍(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島産食べて応援、あの世行き(17)
めげ猫「タマ」の日記 食べて応援、不幸な子供(18)
相馬で作る世界一の米(相馬市) | ふくしま 新発売。(19)
めげ猫「タマ」の日記 福島県知事選―「風評被害の根絶」は殆ど公約していません。(20)
福島県産の食品の安全性について -首相官邸ホームページ-(21)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー(22)
Webチラシ情報 | フレスコキクチ
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- 2014/12/22(月) 19:42:28|
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