今日(2015年1月5日)は年末・年始の休みが明け、2015年が始動する日です。今年の福島の課題を(=^・^=)なりに纏めてみました。
①福島県民の健康は守れるか?
②若い女性の脱出は止められるか?
③凍土壁は凍るか?
④中間貯蔵施設の搬入はできるか?
⑤金脈は守れるか?
課題1.福島県民の健康は守れるか?
福島県が発表する数字を見ていると、福島では相変わらず異常なデータが出続けている。以下に福島県の自然死産率を示しますが、原発事故後に急増しています(1)。

※(1)を転載
図―1 福島県の自然死産率の推移
福島原発事故後、急増して全国平均の1.5倍に達しました。
福島県は原発事故から4ヵ月間(2011年3月11日~7月10日)の福島県民の外部被ばく線量を調査しています(2)。 これを元に市町村別の平均の被ばく線量を計算すると以下のようになりました。
1位 飯舘村 3.6ミリシーベルト
2位 二本松市 1.5ミリシーベルト
3位 本宮市 1.4ミリシーベルト
4位 福島市 1.3ミリシーベルト
・
・
43位 いわき市 0.6ミリシーベルト
・
になっていました。このうち、1位の飯舘村では原発事故後に男のが生まれず女の子が特異的に生まれる奇妙な現象がでました。飯館村では原発事故に懐妊した赤ちゃんが生まれる2011年12月以降、男の子が生まれ難い状況が続いています。
以下に飯館村の男女別の赤ちゃん誕生数を示します。

※(1)を集計
図―2 福島県飯館村の赤ちゃん誕生数
ただし2011年6月22日に避難がほぼ完了し、飯舘村村民の被ばく少なくなったと思います。最近の人口統計を見ると(4)、このような現象は解消していますので、初期の福島県第一位の被ばくの影響を考えなければならないと思います。
2位の二本松市は避難区域も特定避難勧奨地点にも緊急時避難準備区域にも指定されておらず、二本松市民は避難する事なく福島県でもっとも酷い被ばくにさらされ暮らし続けたと思います。二本松市では原発事故後に死者数が増えました。

※(5)を転載
図―3 福島県二本松市の各年3~11月の死者数
各年3月~11月の死者数を上位の市と人口30万以上の市で纏めると
2位 二本松市 1.5ミリシーベルト
原発事故前(2010年) 499名
直近(2014年) 597名
増加率 19.6%
3位 本宮市 1.4ミリシーベルト
原発事故前(2010年) 222名
直近(2014年) 251名
増加率 13.1%
4位 福島市 1.3ミリシーベルト
原発事故前(2010年)2、022
直近(2014年) 2、304
増加率 13.9%
43位 いわき市 0.6ミリシーベルト
原発事故前(2010年)2、906
直近(2014年) 2、976
増加率 2.4%
です。本宮市といわき市には統計的な差は認めらませんが、本宮市は人口30,505人で他の市(二本松市56,312人、福島市283,246人、いわき市326,175人)と市の規模が小さく、10%程度の変動では統計的な差は出てこないと思います。いわき市は人口が多いので10%程度の変動があれば統計的な差できます。事実として言えることは
福島県内でも
①被ばく線量が高い二本松市や福島市では、10%以上の死者数の増加がみられ、統計的な差もある。
②被ばく線量が低いいわき市では、2%程度の死者数の増加があるが、統計的な差はないことです。
放射線量の高い場所(二本松市、福島市)の死者数が大きく増えているが、相対的に低いいわき市ではそのようなことはありません。
福島県の今年の課題第一位は、統計的にみて「異常」が散見される福島県民の健康を守ることだと思います。
課題2 若い女性の脱出は止められるか?
福島原発事故から4年間、福島から20代前半の若い女性の脱出が継続しています。

※(3)を集計
図―4 20代前半の社会的増減
男性の社会減は改善の傾向にありますが、女性は全く変わりません。若い女性がいなくなるということは、次世代を担う子供も生まれなくなるということです。このままでは福島県は滅びてします。
課題3 凍土壁は凍るか?
福島復興の最大の課題は福島原発にこれ以上の悪さをさせないことだと思います。でも、福島第一原発は昨年も次々にトラブルを起こし、今も放射能を福島にまき散らしています(6)。福島第一原発はとんでもない時限爆弾を抱えていると(=^・^=)は思います。増え続ける汚染水です。

※(6)を転載
図―5 福島第一原発の汚染水総量
東京電力の発表(7)を集計すると67万立方メートルにもなりそうです。いまは汚染水は汲み上げてタンクに保管していますが(7)、このまま行けば保管できなくなります。そこで福島第一原発の1号機から4号機を氷の壁で囲む、凍土壁の工事が進んでいます(8)。

※(8)を抜粋
図―6 凍土壁の概要
当初の日程では今年の1月末から凍結を開始する予定です(9)。

※(9)を抜粋
図―7 凍土壁の日程
流れる水はなかなか凍らないのので(10)、雨が少なく気温が低い冬に凍結をするのが良いと思います。以下に福島第一原発近くの浪江の2014年の月別の降水量と平均気温を示します。

※(11)を集計
図―8 福島第一原発近くのアメダス観測点「浪江」の平均気温と降水量
東電の計画と常に基本は大幅遅れとの感じを持っています。ずるずる遅れて、雨が多く暑い夏に凍結を開始してあえなく失敗なんてことになりそうな気がします。
(=^・^=)は最後を凍らせるのが大変だと思います。凍結が進むと地下水位が上がり、凍結しない隙間の水の流れが速くなります。
課題4 中間貯蔵施設への搬入はできるか?
福島原発事故では広島原爆10個分に相当するセシウムなど、大量の放射性物質がフクシマにばら撒かれました。このためばら撒かれた放射性物質を回収し隔離する「除染」を行っています。隔離した放射性物質(除染廃棄物)はどこかに保管するしなくてはなりません。除染で回収した「放射性物質」を集積する中間貯蔵施設は福島復興のために絶対に必要な施設です(12)。

※(12)を転載
図―9 中間貯蔵施設の配置
当初は今年1月から「除染」で出た廃棄物を運び込む予定でしたが、昨年末のギリギリになって安倍出戻り内閣は1月に運び込む事はできないと言い出しました(13)。
福島では「除染」でた廃棄物が身の回りに放置されています。一昨年末にそこで子供が遊んでいたとのニュースも流れてきました(14)。
遊び場となった放射性廃棄物を以下に示します。

※(14)を転載
図ー10 子供が遊んでいたされる「除染廃棄物置き場」
中間貯蔵施設への搬入開始はこのような状態の解消が見通せることになり、福島県民の微かな希望になると思います。でも、この先は長そうです(15)。
課題5 金脈は守れるか?
福島県の経済は好調のようです(15)。ゆうまでもなくアベノミクスの成果でなく、福島原発事故によって福島に繋がった3本の金脈です。
①復興費用
以下に福島県の予算・決算額を示します。

※1(16)を集計
※2 2009,10、11、12年は決算額(歳出)、13年、14年は補正後の予算総額
図―11 福島県の予算額
福島原発事故以前は9000億前後のもが、事故後は2兆円近くになっています。およそ倍の水ぶくれです。でも仕方がない事です。福島原発事故によて放射能がばら撒かれ、これを乗り越えるには莫大な費用が係ります。でも今年で金脈を無くすか、新たな国民負担をするかを選ばなくてはなりません。福島原発事故後に被災地に財源や人材を集中して投入する5年間の「集中復興期間」が設定されました(17)、今年(2015年)が最後の年です。福島への莫大な支援を続けるには新たな「国民負担」が必要です。福島県の歳出の水ぶくれ分は過去(2009,10年)との比較でおよそ年1兆円です。
②原発賠償
以下に福島原発事故の累積の賠償金額を示します。

※(18)を集計
図―12 福島第一原発の賠償費用
福島原発事故からもうすぐ5年ですが、増加が止まる気配がありません。福島県民より東電が大事な安倍出戻り内閣は、圧縮を試みているようです。

※(19)を転載
図―13 「国民を守るのか東電を守るのか」と話す福島県民
まずは強引な避難指示解除です。昨年は4月に福島県田村市都路の20km圏内の地域で(20)、10月に川内村の一部で(21)、12月末には南相馬市の特定避難勧奨地点で(22)で避難指示の解除が行われました。伝えらっる情報や発表を見た限りではおよそ安全になったとは(=^・^=)には思えません。避難解除の基準は年間20ミリシーベルトですが、これでは 2030年には、ICRPが発癌リスクが確認されているとする100ミリシーベルトを超えます(20)。

※(20)を転載
図―6 積算線量が年間20ミリシーベルト地点の放射線量
それでも安倍出戻り内閣は避難指示を解除しました。避難指示を解除すると賠償が打ち切れます(23)。
安倍出戻り内閣の下部組織の経済産業省資源エネルギー庁と東京電力は25日、福島第一原発事故に伴う商工業者らに対する営業損害賠償について、原発事故から5年となる平成28年2月分で終了する素案を明らかにしたそうです(24)。
安倍出戻り内閣は一向に減らない賠償を減らそうと試みています。この金額は2014で約1兆2500円になりました(18)。
③福島原発の安定化費用
東京電力は(=^・^=)の知る限り、福島第一原発の安定化にいくらお金をつぎ込んでいるかを明確にしていないと思います。推定するしかないのですが、以下に福島第一原発で働く方の人数を示します。
以下に福島第一原発で働く人数を示します。

※(25)を集計
図―6 福島第一原発で働く人数
昨年末には下請けさんだけで1万人程度です。一方、福島県の平均賃金は年間400万円程度です(26)。東電はその他に設計上の単価として人件費を1日に2万円上乗せするとしています(27)。年240日働くとして480万です。合計で約900万で、この方が1万人いると900億になります。他に資材などもあるので少なく見積もっても1000億はつかっていると思います。
以上を合計すると
①福島復興費用 1兆円
②福島原発賠償 1兆2500億
③福島第一原発安定化費用 1000億
合計で 2兆3500億年のお金が福島に流れ込んでいます。福島県のGDPがおよそ6兆8千億ですので、3分1以上が福島原発事故関連です。このお金の流れが止まれば、福島の経済は滅びます。そして安倍出戻り内閣は減らそうとしていると思います。
<余談>
福島の課題はまだまだ沢山あるとおもいますが、記事が長くなるので(=^・^=)が気になった5つをピックアップしてみました。今年の年頭訓示で福島県の内堀知事は、「福島の復興を前に進める使命感と情熱を持ち、行動して形にして欲しい」と述べたそうです(29)。

※(30)をキャプチャー
図ー7 年頭訓示する福島県知事
でも福島県が抱える課題をみるとどれ一つとっても、簡単には解決できそうもない課題のような気がします。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島の自然死産率は全国平均の1.5倍(2)
基本調査について - 福島県ホームページ中の「・これまでに行った推計結果(第15回検討委員会資料) [PDFファイル/490KB]」
(3)
飯舘村 - Wikipedia(4)
福島県の推計人口(平成26年12月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(5)
めげ猫「タマ」の日記 福島県二本松市の2014年11月の死者数1.4倍(対2010年)―でも増えていない所もある―(6)
めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島原発十大トラブル2014(7)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第182報)|東京電力(8)
陸側遮水壁|東京電力(9)
PDF]凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(708KB) - 東京(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の凍土壁は税金の無駄遣い?(11)
気象庁|過去の気象データ検索(12)
めげ猫「タマ」の日記 先が見えない福島の中間貯蔵施設(13)
<中間貯蔵施設>1月搬入断念 地元「国は説明尽くせ」河北新報(14)
めげ猫「タマ」の日記 福島は6割賛成 沖縄は6割反対―安倍出戻り内閣の迷惑施設(15)
非製造、復興需要で好調続く 今年の県内経済展望 製造業は外需が回復の鍵 | 県内ニュース | 福島民報(16)
予算・決算 - 福島県ホームページ(17)
集中復興期間の延長を 再生協議会で知事が政府に要望 | 東日本大震災 | 福島民報(18)
賠償金のお支払い状況|東京電力(過去分を含む)
(19)
めげ猫「タマ」の日記 「学校の除染廃棄物は放置します」と安倍出戻り内閣(20)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道 ―福島県大熊町で桜咲く-(21)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―川内村は生活に不安があるから帰れない、本当は放射線が怖いから―(22)
めげ猫「タマ」の日記 南相馬市の特定避難勧奨地点強制解除―本当に安全なの?―(23)
東京新聞:年のおわりに考える 見ず、聞かずの原発被害:社説・コラム(TOKYO Web)(24)
営業損害賠償28年2月終了 原発事故から5年 エネ庁、東電が素案 | 県内ニュース | 福島民報(25)
めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島原発十大トラブル2014(26)
福島県 平均年収(平成24年版)-年収ラボ(27)
平成26年1月4日付(夕刊)毎日新聞1面「福島原発作業 東電、日当「中抜き」容認」について|東京電力(28)
福島県県民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ(29)
ニュース|福島中央テレビ(30)
福島のニュース 福島テレビ(1月5日ひる放送)FTV8
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- 2015/01/05(月) 19:49:25|
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| トラックバック:1
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| コメント:1
こんにちは。
いつも読んでいます、ありがとうございます。
課題4の中間貯蔵施設に関係していることなのですが、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案」(仮称)及び「中間貯蔵に係る廃棄物処理の特例」に対する意見の募集(パブリックコメント)があります。
(案件番号195140065 締切1/20)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=195140065&Mode=0
この改正案と、特例を見ると、除染や除染廃棄物のあつかいが、今までよりもっといい加減になってしまうようで恐ろしいです。
今までは自治体が除染、運搬、保管などを業者に委託するときは孫請けはできないことになっていたのに、条件を付けて何次請けまでもできるようになってしまうんです。
今でも廃棄物の近くで子供が遊んでいたり、知らないうちに勝手に埋められていたり、袋が破れていたりするのに、これ以上責任の所在が分からなくなってどうするんでしょうか。
今年の一月中に改正を施行するって書いてあります。
「中間貯蔵に係る廃棄物処理の特例」のほうは、産廃や特別管理産業廃棄物の収集、運搬、焼却等の処理を委託する時、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が要らなくなるんです。
マニフェストは不法投棄とかずさんな管理なんかを防止する大事な制度ですよね。5年間書類を保管するのでもし不法投棄などあったら書類をたどればどの業者に責任があるかはっきりするので大事なシステムです。
しかも、廃棄物を燃やして減容化するのを当然のように書いているのですが、本来こんなものを燃やしていいんでしょうか。
孫請け以降になってマニフェストも無くなって、燃やす時にちゃんとフィルターなんてつけてやるでしょうか?そのフィルターだってそもそも効果が怪しいところに来て、更に監視の目も届きにくくなり、どこに持って行ってどこで燃やしているかもわからなくなります。
10万ベクレル/kg超えるようなものも扱うらしいんですが、作業をする方、近所に住んでいる方はちゃんと危険性を教えてもらえるんでしょうか。日高市長の例もあるし。
恐ろしくなってきます。
是非パブコメの内容を読んでくださるようお願いいたします。
- 2015/01/18(日) 11:25:03 |
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- 身内に被爆者がいたもの #YOiJM49g
- [ 編集 ]
二本松市エージェント:あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。ご訪問をお待ちしています。
- 2015/01/06(火) 08:43:56 |
- ケノーベル エージェント