東京電力は1月10に日に「RO濃縮水処理設備」の運転を開始しました(1)(2)。この結果、汚染水からセシウムのストロンチウムをある程度は分離した「SR処理水]なる物が登場します。新しい汚染水処理系と「SR処理水」なる物を説明したいと思います。
福島第一原発ではタービンや原子炉建屋に地下水が流れ込み、また原子炉冷却のために水を注いでいます。ほうっておくと溢れるこれを汲みあげ1部は原子炉冷却用の「水」として取り出し、あとは処理してタンクに貯めこんでいます。最終段の処理設備を通過したものを「処理水」と東京電力は命名していますが(3)(4)(5)、放射性物質は確り残っています。

※(3)(4)(5)で作成
図―1 福島第一原発汚染水処理系
汚染水処理系は何段かでできています。東京電力は年末から年始にかけて、従前は1段目の処理装置はセシウムのみを荒取りしていましたが、これにストロンチウム90を機能を加えるました(4)(5)。これで汚染水の処理系は二つに大きく分かれます。
①新たにタービン建屋からくみ上げた汚染水
②既に汲み上げいる「濃縮塩水」としてタンクに残っている汚染水
です。
以下に新たにタービン建屋からくみ上げた汚染水の処理系を記載します。

※(3)(4)(5)(6)で作成
図―2 新たにくみ上げた汚染水の処理系
タービン建屋には地下水や原子炉冷却に使用した水が流れ込みます。ごれが原子炉内に放置されている溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて酷い汚染水になります。ほおっておくと溢れ出るので、汲み上げます(4)。汲みあげた汚染水は1段目の処理装置で、セシウムとストロンチウムが荒取りされます。荒取りされたセシウムやストロンチウムが無くなる訳ではなく、カス(東電は使用済みベッセルと呼んでいます)として保管されます(4)。たぶん、どこも引き受けるところがないと思うので福島第一に置きっぱなしになると思います。
このあと汚染水は「淡水化装置」に送られます。装置の名前は「淡水化装置」ですが、全ての汚染水が「淡水」になる訳ではありません。汚染水から原子炉冷却に使用する「淡水」を取り出す装置で、残りの水は「SR処理水」となって保管されます。
以下に既に汲み上げいる「濃縮塩水」としてタンクに残っている汚染水の処理系を記載します。

※(3)(4)(5)(6)で作成
図ー3「濃縮塩水」の処理系
「濃縮塩水」は1段目の処理装置にストロンチウム90の荒取り機能ない時にタンクに保管された汚染水です。東電の計画では(7)、これもストロンチウムを荒取りする装置に通し、一部をSR処理水にします。その他に従前から続けている多核種除去設備(ALPS)による処理も並行するそうです。
<余談>
SR処理水の処理計画は今のところありませんが、将来においてはトリチウムやウラン235以外の放射性物質を汚染水を分離する多核種除去設備(ALPS)(8)で、処理されると思います(1)(2)。ただし、 多核種除去設備(ALPS)は試験運転中であり、性能は完全ではありません。処理水(ALPSで処理した汚染水)から1リットル当たりで
セシウム134 4.3ベクレル
セシウム137 14ベクレル
全ベータ 47ベクレル
トリチウム 50万ベクレル
の放射性物質が見つかりました(9)。トリチウムは別にしても、セシウム、全ベータもそれなりに見つかっています。
この汚染水を将来どうするかは「議論」になると思いますが、(=^・^=)の住む街や近くに捨てるのは絶対に反対です。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
ストロンチウム除去設備が運転開始 第1原発(福島民友ニュース)(2)
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力(3)
原子炉の安定化|東京電力(4)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第182報)|東京電力(5)
多核種除去設備 (ALPS)|東京電力(6)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップ|東京電力⇒2014年12月25日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第13回事務局会議)⇒【資料3-2】滞留水処理(11.9MB)」
(7)
第30回特定原子力施設監視・評価検討会|会議|特定原子力施設監視・評価検討会中の「資料3福島第一原子力発電所における廃炉作業に伴い追加的に上昇する敷地境界実効線量(評価値)の制限達成に向けた対策について[東京電力]【PDF:2.6MB】」
(8)
めげ猫「タマ」の日記 多核種除去設備(ALPS)について(9)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(12月3週)―お漏らしが大好きな東電―
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- 2015/02/11(水) 19:37:47|
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