東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、1月5週(*1月25日から31日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.福島第一廃炉作業は停止中
1月19日、20日と福島第一、第二原発では連続死亡事故をおこしました(2)。これを受けて東電は福島第一、第二原発の「安全点検」をすることになり、作業がほぼ停止しました(3)。福島第二原発の作業は1月28日に再開しましたが、福島第一原発の作業は止まったままです(3)。今日(1月31日)も止まっているので、福島第一では10日以上も作業が止まったままです。

※(4)をキャプチャー
図―1 福島第一原発の作業停止を伝える福島のローカルTV(FTV)
安全点検で色々と危険な場所が見つかったようです(5)。その中で(=^・^=)が驚いたのは、半空のマンホールが放置されていたことです。

※(6)を引用
図―2 放置されていた「半空」のマンホール
これまで下請けさんが躓いたり落ちなかったのが不思議です。
2.廃炉作業は「工程」優先
東京電力の数土(すど)文夫会長が1月29日、福島第1原発の廃炉作業を視察したそうです。そこで一次下請けさんと懇談したそうです(7)(8)。

※(9)を引用
図ー3 下請けさんと懇談する東電会長
そしたら、1日7000人が働く原発作業員や現場を監督する責任者の熟練度や技量が人手不足などにより高まっていないことや、国などが決めた廃炉工程の実行に追われ、作業の準備が十分にできていない点などが課題としてあがったそうです。そしたら東電会長さんは「国や東電の日程で作業スケジュールが決まり、これに追いつくためにやってきた」と述べたそうです(7)。事実上、「安全」より「工程」優先を認めた感じです。改めるみたいですが出来るんですかね?福島第一の汚染水は今も増え続けています。汚染水の増加に合わせタンクを増やす工程が守られなければ、汚染水が溢れだすんですが!
また、東京電力では、現場のパトロールを強化し、安全対策に努めるよう、元請け企業の現場責任者に求めたいとしているそうです(10)。

※(10)をキャプチャー
図―4 「安全対策に努めるよう、元請け企業に要請」と報じる福島のローカルTV(FCT)
安全対策には東電の責任は無いみたいな言い方で、(=^・^=)は驚きました。「安全」は下請けさんに丸投げでは、福島第一は「安全」にはならないような!
3.地下水バイパス効果なし
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです。2014年4月9日に地下水の汲み上げを開始してから(11)、10ヶ月がたちましたが効果が見えません。
東京電力は地下水バイパスを開始するまえに、地下水バイパス稼働後の地下水位の見積もりを出しています(12)

※1(12)を転載
※2 小名浜港を基準とした海抜(OP)で示す
図-5 地下水バイパス稼働後の水位予測
それによると地下水バイパスの効果を観測するために水位を観測する3本の井戸(観測孔A,B,C)の当たりでは6メートル位に低下するはずでした。
東京電力は近々の観測孔の水位を1月29日に発表しました(13)。そこで各観測孔水位を調べてみました。

※1(13)より作成
※2小名浜港を基準とした海抜(OP)で示す
図―6 地下水バイパス用観測孔の水位
ほとんど下がっている様子がありません。以下に福島第一原発内の汚染水の総量を示します。

※(14)を集計
図―7 福島第一原発汚染水総量
相変わらずどんどん増えており、地下水バイパスの効果が見れません。それでも東電は1日当たり100立方メートルの削減効果があったと主張しています(13)。

※(13)を転載
図―8 地下水バイパスは効果があったとする東電
4.トレンチの止水失敗
福島第一原発にはタービン建屋から海に向かって地下道(トレンチ)が伸びています。タービン建屋の汚染水がこの地下道(トレンチ)を通り外にでると危険なので、水の流れを止めようとしていましたが、何度も失敗しました。

※(15)を転載
図―9 タービン建屋から延びる地下道(トレンチ)
そこで最後の手段でセメントで埋めてしまうことを試みました。効果を見るために、立坑Aと立坑Cの水を抜いて試験したら、他の立坑の水位が下がってしまいました。立坑と立坑を繋ぐ地下道(トレンチ)には埋まってないのが明らかになりました。

※1(15)を転載
※2 OPは小名浜港を基準とした海抜
※3 立坑C,Dは二個の水位計があり
図―10 第1回水抜き試験時の「水位」
ただこの時は立坑Aと立坑Cからほぼ同時に汚染水を抜いたので、全部が繋がっているか、1部はセメントが上手く入り完全に(水が流れないほどに)埋められたのが分かりませんでした(15)。
そこで1月20日に今度は立坑Aだけから水を抜く試験をおこないました。

※1(13)を抜粋、加筆
※2 OPは小名浜港を基準とした海抜
※3 立坑C,Dは二個の水位計があり
図―11 第2回水抜き試験時の「水位」
そしたら立坑Bの水位も一緒に下がりました。これについて東電は「トンネルAの連通量は、1回目と同様、ごくわずかと推定」と主張していますが(13)、立坑AとBを繋ぐトンネルAは、何処かで繋がって汚染水が流れるようになっているのは事実です。
<余談>
福島の復興には福島第一を治めることは必要です。でも東電の対応をみているとできるかどうか(=^・^=)には分かりません。福島の方も不安なようです。福島県いわき市は福島県最大のネギの産地です。

※(16)にて作成
図―12 福島県の「秋冬ネギ」の生産量
いま(12月末から1月)が収穫の適期だそうです(17)。でも福島県いわき市のスーパーのチラシには「福島産ネギ」はありません(18)。

※(18)を引用
図―13 福島産ネギがのっていない福島県いわき市のスーパーのチラシ
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月4週)―2週連続、けが人・死人―(2)
めげ猫「タマ」の日記 福島原発で死んだ下請けさんは「国策」の犠牲者―でも何もしない安倍出戻り総理―(3)
「安全が確認された」 福島第2原発で作業再開(福島民友ニュース)(4)
福島のニュース 福島テレビ(1月28日ひる放送) FTV8(5)
2015年1月26日福島第一原子力発電所における安全点検是正処置の実施状況について(PDF 247KB) (6)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所における安全点検是正処置の実施状況について(7)
「工程より安全重視」 数土東京電力会長が第1原発視察(福島民友ニュース)(8)
2015年1月29日当社会長による福島第一原子力発電所の現場視察について(PDF 202KB)(9)
東京電力 写真・動画集| 当社会長による福島第一原子力発電所の現場視察について(10)
ニュース|福島中央テレビ(11)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(12)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス効果無し!3mの水位低下のはずが30cm(13)
中長期ロードマップ|東京電力中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年1月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第14回事務局会議)⇒【資料3-2】滞留水処理(5.09MB)」
(14)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(15)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―トレンチの止水失敗―(16)
統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103(17)
いわき一本太ねぎ - いわき市(18)
ヨークベニマル/お店ガイド
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- 2015/01/31(土) 19:52:32|
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