2月17日に「福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」が福島県と東京電力の間で開かれました。その東電資料で東電はサブドレイン稼働後のトリチウム排出量を1日当たり10億ベクレルになりとしています。でも地下水バイパスだけで1日当たり13億ベクレルです。東京電力は「嘘」を主張しています。
東京電力は福島第一原発で汚染水の抑制対策を進めています(4)。

※(3)(4)(5)等で作成
図―1 東電が進めている汚染水対策
汚染地下水を原子炉建屋手前で汲み上げて海に流す地下水バイパスは(5)2014年5月に本格稼働してから(6)9ヶ月が経ちますが、未だ効果を上げていません(7)。
原子炉やタービン建屋の周囲を氷の壁で取り囲む凍土壁は(8)、現在、工事中ですが遅れそうですし(9)、効果を疑問があります(10)(11)。
原子炉やタービン建屋の側から地下水バイバスより酷い汚染地下水を汲みあげて海に流すサブドレインは(12)、福島の漁師さんの了解が得られず目途がたっていません(13)。
福島県では、国とは別に福島の原発の安全対策を行っています(12)。2月17日に福島県と東京電力の会合がひらかれました(1)(2)。そこに提示した東電の資料にサブドレインが実現できれば、福島第一原発からのトリチウムの排出量を現在の15分の1の1日当たり10億ベクレルに下げることができるとありました(3)。

※(3)を抜粋
図―2 サブドレインによってトリチウムの排出量を1日当たり10億ベクレルできると主張する東京電力
(=^・^=)が知る限り、現時点で福島第一からのトリチウム漏えいルートは5つあると思います。
①タービン建屋の汚染水が地下を伝い海に流れる(15)。
②タンクから漏れたり、フォールアウトした敷地内のトリチウムが海に上がれたり蒸発して外へ(16)。
③タンク脇の「堰内」の汚染水の散水(蒸発したり海に流れたりして外へ)(16)
④5,6号機に浸水した汚染水を「散水」(いわゆるひまわり散水)(17)
⑤地下水バイパスの汚染水を海に排出するとときに流されるトリチウム(16)
などがあります。このうちサブドレインで改善される見込みのあるは①のタービン建屋から海に流れる汚染水のトリチウムだけだと思います。
地下水バイパスについては、排水量とトリチウム濃度を東電は公表しています(6)(18)。そこで排水量×濃度で、地下水バイパスの放出を始めた2014年5月21日から2015年2月6日までの累積のトリチウムの放出量を集計してみました。

※(8)(18)を集計
図―3 地下水バイパスの累積トリチウム放出量
同区間の271日間で3,620億ベクレルです。1日当たり13.3億ベクレル(3,620÷271)で、地下水バイパスだけで東電が主張する1日10億ベクレルを超えています。東電は福島県に嘘の報告をしています。
<余談>
普通でしたら、福島県がクレームを出さなければならないと思います。でも(=^・^=)が見た限りでは福島のマスコミ各社のHP(19)(20)(21)(22)(23)(24)ではこのようなニュースは配信されていないので、福島県はクレームを出さなかったと思います。福島県も東京電力も福島原発事故の影響を低くみせ「風評被害」主張したいようです。すくなくとも東電も福島県も「風評被害」を主張しています(25)(26)。そして福島県の放射線に対する情報発信は不正確です(27)。
「風評被害」には
①噂の中でも、正確に事実や正確な情報を伝えていない噂が広まったことで、被害を蒙ったと考えられる場合に、その被害や一連の事象を呼ぶためにもちいている呼称
②、たとえ情報が正確であっても、当事者にとって都合の悪い情報であった時には、その情報の不正確性を主張するプロパガンダ目的のためにも使用される(言葉)
との二つの意味があるそうです(28)。福島の方がどちらの意味で「風評被害」を理解しているか興味のあるところです。福島県のお米は大変に美味しく(29)、福島県はテレビCMを流し福島県民に勧めています(30)。そして「安全」だそうです(31)(32)。しかも価格もお手頃になっています(33)。福島県福島市のスーパーの担当者が「風評被害」を①の意味にとれば「福島産米」を載せると思います。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには「福島産米」はありません(34)。

※(34)をキャプチャー
図―4 福島米が載っていない福島県のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島の方を見習い「風評被害」を「たとえ情報が正確であっても、当事者にとって都合の悪い情報であった時には、その情報の不正確性を主張するプロパガンダ目的のためにも使用される(言葉)」と理解します。蛇足ですが、隣の「豆腐」も福島県産でなく「群馬県産」のようです(35)。福島も大豆は取れるんですが(36)。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
第29回廃炉安全監視協議会 - 福島県ホームページ(2)
「平成26年度第11回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について|東京電力(3)(2)中の「・海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 2.28MB)PDF」
(4)
汚染水対策|東京電力(5)
地下水バイパス|東京電力(6)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(7)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(1月5週)―福島第一廃炉作業は停止中―(8)
陸側遮水壁|東京電力(9)
凍結開始は4月以降に 凍土壁施設を初めて公開(福島民友ニュース)(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の凍土壁は税金の無駄遣い?(11)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(2月2週)―タービン建屋からの汲みあげ停止―(12)
サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ(計画)|東京電力(13)
<サブドレン放出>いわき市漁協が結論見送り | 河北新報(14)
原子力行政のあらまし - 福島県ホームページ(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発のタービン建屋汚染水は外に繋がっている(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(2月2週)―散水される汚染水のトリチウム濃度が上昇中―(17)
[PDF]構内散水に使用している福島第一原子力発電所 5 ... - 東京(18)
サンプリングによる監視|東京電力中の「地下水バイパスに関するサンプリング⇒排水に関する分析結果」
(19)
福島民報(20)
みんゆうNet : 福島民友新聞社-福島県のニュース・スポーツ-(21)
ニュース|福島中央テレビ(22)
TUFテレビユー福島(23)
県内ニュース:ニュース天気|FTV 福島テレビ(24)
福島県内ニュース :: KFB福島放送(25)
2015年1月16日(いわき市漁協組合員説明会資料)風評被害対策について(PDF 325KB)(26)
東日本大震災関連情報ページ一覧 - 福島県ホームページ中の「風評被害対策・ふくしまの元気発信」
(27)
めげ猫「タマ」の日記 福島県の危険な広報(28)
風評被害 - Wikipedia(29)
福島米の特長|JA全農福島 ふくしまの米(30)
福島県が制作したTOKIOの国分さんがご出演の「天のつぶ」TVCMを紹介します。 | ふくしま 新発売。(31)
県産食品の安全・安心を確保する取組み | ふくしま 新発売。(32)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月)―福島全袋検査はデタラメ満開ー(33)
14年産米 概算金暴落/東北の農家懸念 減反廃止でさらに下落 河北新報(34)
チラシ情報 | スーパーマーケットいちい(35)
相模屋食料株式会社|とうふは相模屋(36)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2015年1月)―出荷制限しても販売される福島産ー
スポンサーサイト
- 2015/02/19(木) 19:40:14|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0