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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

川俣町60周年―未来は暗い―

 福島県川俣町が1955年3月1日に、1町7村が合併し誕生しました(1)。60周年なので、お祝いしたいのですが、未来は暗そうです。

1.川俣町とは
 福島県伊達郡川俣町は、福島県北部の山の中にある町で、人口14,210人、世帯数5,067世帯(共に2015年2月1日)面積127.66平方kmの町で(2)、1955年3月1日に、1町7村が合併してできた町です。耕土は小規模な川の流域にややまとまるほかは、山間をぬう傾斜地が多く、標高500m以上の高冷地型も少なくありません、国道114号線(福島~浪江)・主要地方道(原町~川俣線)は、県都と太平洋沿岸を結んでいましが(3)、福島原発事故によって太平洋岸方面が通行止めになりました(4)。今、福島県川俣町は行き止まりの町です。
放射能に汚染された川俣町と福島市
 ※(5)で作成
 図―1 福島県川俣町

平安時代から始まった養蚕業・絹織物業により「絹の里」として知られていたが、今は面影がありません。人口は1955年(昭和30年)に約2万6千人だったが2010年(平成22年)9月で1万5,558人となり、原発事故前から人口減少の激しい町でもあります。

2.原発事故の被害
 2011年3月の原発事故で、同町東部の山木屋地区が「計画的避難区域」に指定され2015年2月1日時点で、1,196人の方が避難され、そのうち725人が川俣町内に、471人が川俣町以外に避難されています。これとは別に236人の方が町外に自主避難されています(6)。一方で595人の避難者を主に他の市町村の「避難区域」から受け入れています(7)。
放射能汚染で一部は人が住めない川俣町
 ※1(5)で作成
 ※2 凡例は図―1に同じ
 図―2 川俣町の避難区域

 川俣町も放射能で酷く汚染されました。以下に川俣町の土壌中のセシウム濃度を示します。
全てが放射能汚染物となった川俣町の土壌
 ※(8)にて作成
 図―3 川俣町の土壌のセシウム濃度

 放射能汚染物とそれ以外の物を識別するクリアランス制度があります。同制度によるとセシウム137を1キログラム当たり100べクレル以上含む物は「放射能汚染物」として扱う事になっています(9)。図―3に示すように、全ての場所で1キログラム当たり1000べクレル以上で、酷い場所は1キログラム当たり1万ベクレルを超えます。福島原発事故後に川俣町の土壌は全て「放射能汚染物」になりました。
 いまも原乳・野菜類(山木屋地区のみ)、原木シイタケ、野生キノコ、タケノコ、山菜類(コゴミ、コシアブラ、ゼンマイ、タラノメ等)、野生動物(イノシシ、クマ、ノウサギ)、野鳥(カルガモ、キジ、ヤマドリ)等が出荷制限されています(10)。以下に川俣町産のイノシシのセシウム濃度の推移を示します。
なかなな下がらないイノシシのセシウム濃度
 ※(11)を集計
 図―4 川俣町産イノシシのセシウム濃度推移

 なかなか下がりません。福島の台地を汚染したセシウムには134と137が合いますが、原発事故直後はセシウム134と137の割合は1:1程度でした(12)。セシウム134の半減期は約2年ですが、137は約30年です(13)。セシウム134は4年で4分1になりますが、セシウム137は9割は残ります(12)。川俣町の台地にはこれからもセシウム137の汚染が続きます。

3.健康被害の兆候
 「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、(福島)県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図る」
 ことを目的として福島県は県民健康管理調査を実施しています(14)。その一つの項目に基本調査があります(16)。これを元に原発事故後4ヶ月(2011年3月11日から7月10日)の福島県59市町村の平均の被ばく線量を計算すると、川俣町は1.7ミリシーベルトで、飯舘村についで第二位です。
第2位の川俣町民の平均被爆線量
 ※(16)にて作成
 図―5 原発事故後4ヶ月の平均の被ばく線量(上位5市町村)

 飯舘村はその後は全村避難をしているので(17)、多くの方がとどまった市町村としては川俣町の汚染が最も深刻です。
 福島県県民健康管理調査には原発事故時に概ね18歳以下の福島県民を対象に、甲状腺(超音波)検査があります。甲状せん検査は、チェルノブイリで、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんの増加であったので実施されることになりました(18)。川俣町の結果を見ると「悪性または悪性の疑い」の方は
 検査2221人中2名(0.090%)
で、福島県の平均の0.039%(298、577人中117名)で(18)、統計的な差が無いのは事実ですが、倍以上の罹患率です。甲状せん検査は2次検査の必要のないA判定と2次検査が必要なB判定に分かられます。2012年と2014年に川俣町を含む13市町村で甲状腺検査(1次)が実施されています(14)(18)。それによると
 2012年の検査で原発事故当時16-18歳の方(検査時年齢17-19歳)
   1.08%(検査8,733人中94人がB判定)
 2014年の検査で検査時に13-17歳の方
   1.31%(検査24,282人中317人がB判定)
で、2014年で13-17歳の方のBランク割合が多くなっています。加齢では説明できないので、放射線の影響を考える必要があります。
 川俣町には男の子が生まれないとゆう奇妙な現象が原発事故後に起こりました。
 以下に川俣町の男女別の赤ちゃん誕生数を示します。

女の子が多く生まれる川俣町
 ※(19)を転載
 図―6 福島県川俣町の赤ちゃん誕生数

2013年7月くらいから女の子の誕生数が男の子の誕生数を上回るようになりました。2013年7月から15年1月で集計すると
  男の子 37人
  女の子 58人
で女の子が多くなっています。通常は男の子が多く生まれるので、異常な事態です(19)。
男の子が生まれなくても、女の子が生まれれば問題ないと多くの方が考えると思います。まして、福島県の女性は隣の宮城や茨城の女性に比べても綺麗です。
フラピーィ-チゴパンを知事に説明する福島県の綺麗な女性
 ※(20)を転載
 図―7 フラピーィ-チゴパンを知事に説明する福島県の綺麗な女性

でも他に影響がないか心配です。放射線影響研究所は、放射線による遺伝的欠陥が生じてないことの根拠の一つとして、広島・長崎では赤ちゃんの男女の比率(出生性比)や自然死産率に異常が認められなかったことを挙げています(21)。通常は男の子の方が多く生まれます(19)。でも福島県川俣町は逆転現象が起こっています。福島県全体でも自然死産率も福島では有意に上昇しています(22)。

3.出遅れた復興
 川俣町の復興計画を見ると(23)、安全の確保、雇用の確保、地域の繋がりの維持を基本理念としています。この中で最優先されていrのが「安全の確保」です。「安全の確保」とある以上は、川俣町の皆さんは、川俣町は「安全」とは言えないと考えていると思います。住民の安全に係る復興は急がなくてはならないはずです。
 以下に川俣町の予算・決算額(歳出)を示します。
2011年は増えなかった川俣町の歳出
 ※(24)より作成
 図―8 川俣町の予算・決算額(歳出)の推移

 復興による大幅増になったのは原発事故後1年が過ぎ板2012年度からです。予算・決算額を見る限り原発事故のあった2011年は、復興に手がつけられていなかった事にります。 
 除染は避難区域の山木屋地区は国が、その他に地区は町が除染をしています。山木屋地区の住宅除染は完了しましたが、1時間当たりで平均で0.53マイクロシーベルト、最大で1.75マイクシーベルトだそうです(25)。その他の地区は町が除染を担当しています。除染廃棄物を長期に保管する仮置き場が無いわけではありませんが(26)、除染計画(27)を見ると、住宅や公共施設の除染廃棄物はそのまま敷地に放置されます。以下に川俣町の住宅除染の進行状況を示します。
4年近くなっても終わらない川俣町の除染
 ※(27)にて作成
 図―9 川俣町の住宅除染の進行状況

 原発事故から4年を経ても除染は終らないかもしれません。そして忘れてならないのは除染の効果は限定的です。場合によっては放射線量が逆に上昇する場合もあります(29)。川俣町の総面積のうち65%は森林ですが(30)、森林は除染の対象外です(29)。たとえ除染が終わっても、原発事故前のように山菜やイノシシ等の山の恵みは享受で来ません。

4.減らないイノシシの被害、減ってしまった農業生産額
 原発事故前の2009年に川俣町の農業はイノシシによって745万円の被害をうけました。これを2013までに372万円に減らす計画をたてましたが(31)。2012年の被害額は611万円で、上手く行きませんでした(32)。
 一方で農業生産額は減っています。以下に川俣町の農業生産額を示します。
減り続ける川俣町の農業生産額
 ※(33)より作成
 図―10 川俣町の農業生産額


 原発事故前から減少傾向が続いていました。2006年には36億円程度あった農業生産額が5年後の2011年には、半分の18億円程度に減っています。川俣町の農業はいずれ滅びる運命だったのは間違いと思いますが、原発事故によって寿命が短くなりました。


5.若い女性の逃げて行く町

 以下に原発事故直前の2011年3月1日時点の年齢別の人口を示します。
 原発事故直前の川俣町の人口構成
図―11 2011年3月1日の年齢別、男女別人口

この時は20代後半の女性の人数が前半の方を超えていました。以下に2015年2月時点の年齢別人口を示します。
 20代後半女性にくびれが生じた原発事故4年目の川俣町の人口構成
※(34)にて作成
 図―12 2015年2月1日の年齢別、男女別人口

 20~24歳の女性 215人
 25~29歳の女性 181人
で、20代後半の女性が少なくなっています。この結果、男女のバランスが大きく崩れました。女性100人に対する男性の人数を性比と呼びます(35)。以下に年齢別の「性比」を示します。
原発事故後20代後半で150を超えた川俣町の異常な性比
 ※(34)にて作成
 図―13 川俣町の年齢別性比

 20代後半で増加しています。25歳から29歳はの性比を見ると
   原発事故直前の2011年3月  115
   原発事故4年後の2015年2月 154
で大幅に上昇しています。福島県女性の初婚年齢は27.9歳で、全国で一番の若さです(35)。福島の女性は茨城や宮城に比べても大変綺麗なので当然の結果ですが、結婚を考える川俣町の男性にとっては「悲劇」です。
 以下に20代後半の人口を示します。
原発事故後に減少が始まり止まらない川俣町20代後半の女性人口
 ※(34)にて作成
 図―14 各年3,9月の20代後半の人口

 原発事故前には男女とも一定していました。町はそれなりの努力をしたと思います。原発事故が起こると女性が減り始めました。減少傾向は止まっていません。なにかイベントがあると、町を出て行くようです。20代後半の女性に最も起こりやすいイベントは「結婚」だと思います。


<余談>
 (=^・^=)は川俣に住む方が、豊かな未来を得られるなら川俣町が滅んでも構わないと思います。川俣町の為に町民がいるのでなく、町民の為に「町」があるからです。可能なら故郷に残る選択肢も用意すべきだと思います。でもそれは大変厳しいと思います。川俣町は原発事故によって「東」が封鎖され、西の福島市の付属品のなった感じあります。福島市には鉄道等の川俣町に無い物が沢山ありますが、川俣町あるものは放射能をはじめ、殆どが福島市にもあります。しいていえば先祖伝来の「農地」ですが、図―10に示すように価値を失っています。
 それにしても、これはまずいと思います。こんなことしたら「フクシマ産」を正しく恐れる川俣町の女性はますます逃げていくと思います。
地元産だらけの川俣町の給食
 ※(37)に加筆
 図―15 「地元産」がいっぱいの川俣町の給食
 
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)川俣町 - Wikipedia
(2)川俣町について - 川俣町公式ホームページ
(3)川俣町について - 川俣町公式ホームページ
(4)福島県通行規制情報
(5)東日本大震災関連情報 放射線モニタリング測定結果等 | 原子力規制委員会
(6)避難先・避難者数一覧 - 川俣町公式ホームページ
(7)[PDF]川俣町中心市街地活性化基本計画書 [PDFファイル/8.47MB]
(8)農林水産技術会議/農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて中の「川俣町」
(9)日本のクリアランス制度 (11-03-04-10) - ATOMICA -
(10)食品中の放射性物質の検査結果について(第917報) |報道発表資料|厚生労働省中の「(参考3) 原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等(PDF:612KB)」
(11)報道発表資料 |厚生労働省中の「食品中の放射性物質の検査結果について」
(12)めげ猫「タマ」の日記 下がらない福島の放射線量
(13)セシウム - Wikipedia
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島甲状腺 B判定 80%増
(15)第18回福島県「県民健康調査」検討委員会 資料の掲載について(平成27年2月12日開催) - 福島県ホームページ
(16)(15)中の「資料1 県民健康調査「基本調査」の実施状況について [PDFファイル/282KB]」
(17)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(18)(15)中の「資料3-1 県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要【暫定版】 [PDFファイル/1.43MB]pdf
および
 資料3-2 県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 [PDFファイル/1.02MB]pdf

(19)めげ猫「タマ」の日記 2015年も女の子が多く生まれる福島県川俣町
(20)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2015年1月)―出荷制限しても販売される福島産ー
(21)原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 - 放射線影響研究所
(22)めげ猫「タマ」の日記 福島の自然死産率は全国平均の1.5倍
(23)川俣町復興計画 - 川俣町公式ホームページ
(24)市町村財政課 - 福島県ホームページ
(25)宅地線量0.53マイクロシーベルトに半減 川俣・山木屋除染報告 | 県内ニュース | 福島民報
(26)除染計画 - 震災・原子力災害関連情報 - 川俣町公式ホームページ
(27)福島県 川俣町|除染実施区域の概要・進捗|除染情報サイト:福島県・環境省
(28)環境省、川俣町長に延長要請 除染廃棄物仮置き場保管 | 県内ニュース | 福島民報
(29)めげ猫「タマ」の日記 除染したら放射線量が上がった福島県二本松市
(30)PDFファイル/85KB - 川俣町
(31)川俣町鳥獣被害防止計画 [PDFファイル/ 25KB]
(32)川俣町鳥獣被害防止計画 [PDFファイル/296KB]
(33)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(34)福島県の推計人口(平成27年2月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(35)性比 - Wikipedia
(36)女性初婚年齢 [ 2010年第一位 東京都 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
(37)「いただきます。ふくしまさん」事業を行いました。 - 川俣町公式ホームページ
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  1. 2015/03/01(日) 21:51:12|
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