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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

田村市10周年、未来は暗い

 福島県田村市は福島県中部の市です。2005年3月1日に4町1村が合併してできた市です(1)。3月1日に10周年を迎えました。お祝いをしたのですが、福島県の13の市(福島、二本松、伊達、本宮、郡山、須賀川、田村、白河、いわき、相馬、南相馬、会津若松、喜多方)の中で最低の数字が並ぶ市です。

1.田村市について
 福島県田村市は福島第一原発から20-50kmの圏内の市で、2005年3月1日に田村郡の4町1村が合併して生まれた市です。
避難区域の傍にある田村市
※(2)にて作成
 図―1 福島県田村市

 人口 37,612人(3)
 面積 458.30キロ平方メートル(1)
の市です。
 名前は田村市ですが、旧田村郡の中心地ではありません。田村警察署も田村高校も隣の三春町にあり、旧田村郡を江戸時代に統治したのは「三春藩」であり、居城は現在の三春町にあり、田村市ではありません(4)(5)。
田村の中心は田村市でなく三春町
 ※(2)および地図で作成
 図―2 旧田村郡

 福島原発事故によって、東部の都路地区全域が緊急時避難準備区域および警戒区域に指定され住民の避難しました。緊急時避難準備区域は2011年9月に解除され(6)、2014年4月1日は安全とは言えない状態のまま旧警戒区域の避難指示が強引に解除されました(7)。避難指示は無くなりましたが、今も仮設の入居者667人を含む1776名の方が避難生活を送っています(8)。原発事故から4年近く経過して、仮設も劣化しているので(9)、そのうち住めなくなると思います。でも田村市には仮設住宅からの移転先である「災害公営住宅」の計画はありません(10)。賠償も2015年3月で打ち切られるので(11)、このまま行けば田村市の原発難民はホームレス化する恐れがあると思います。でもお役所の復興には熱心みたいで、2013年1月に市役所の新庁舎の建設を始め(12)、2015年1月からは新庁舎での業務を始めました(13)。
 田村市は「福島県の中通りにあって浜通りとの結節点となる地域です。」などと主張していますが(14)、福島県は「福島県は東西に長い形状をしているが、2つの山地によって浜通り・中通り・会津の3つの地域に分かれており、<中略>地形的に山地で隔てられているために、山越えした地域同士の交流は浅く、気候や文化にも差があり、3地域での同一県として帰属意識は低い」ので(15)、それ程の交流もたく単なる「僻地」です。


2.基準値以下でも「安全」とは言えない田村市産
 田村市の放射能汚染被害は市内でも大きなばらつきがあります。
放射能汚染のばらつきが酷い田村市
※(16)を抜粋
 図―3 田村市の土壌汚染
田村市都路ではその土壌からは最大で1キログラム当たり3,230ベクレルのセシウム137が見つかっています(17)。放射性汚染物とそうでない物を識別するのにクリアランス制度があります(18)。同制度によれば1キログラム当たり100ベクレルを超えるものは「放射能汚染物」とて扱うことを求められます。田村市のカレーに使われる野菜は基準値の30倍以上の土壌で栽培された野菜です。(=^・^=)は心配です。田村市の役人に聞けば確り検査されていると主張するでしょうが、検査されているか調べてみました。厚生労働省の発表(19)を集計すると2014年1月1日以降の田村市産の検査数は
 ニンジン―2件
 ゴボウ ―3件
です。2,3件の検査でセシウム濃度が高い所の野菜も検査されてるとは思えません。
 汚染の酷い所を優先的に検査するなんてことはないと思います。田村市に本社のあるシミズストア(20)が、出荷制限中の大豆を販売していました(21)。その言い訳が
 「(放射能汚染に対する)意識が薄れている」
です(22)。およそ慎重な検査など期待できません。
 米も心配です。福島県は福島県産米は全数が検査されており安全だと主張しています(23)。でもこの検査は福島原発事故後に導入された簡易検査です。従前の精密検査と比較データがあって初めて精度が担保されます。しかし、福島県の担当課のHP(24)や検査風景を紹介したサイト(25)にはこのようなデータはありません。田村市の方が運営される福島米を避けるの「骨髄反射」だと主張されるサイトに「全袋検査と従前の比較データはあるかあとの」コメントが記載されていたのですが、消されていました(26)。不都合な質問なので消したと思いますが、逆にデータがあれば安全性が主張できたはずです。この事からもデータは公開されてないように思います。2014年度産米については1件だけ精密検査結果が公開されています(27)。これによると基準値ギリギリの1キログラム当たり91ベクレルのセシウムが見つかったそうです。他に検査結果がないので最悪を想定するなら、これが福島米の実力と考える必要があります。
 田村市で、地元産の食材を使ったカレーを販売し、観光キャペーンをするそうです(26)。カレーなら肉を入れると思いますが、記事(28)はありませんが仮にビーフカレーならセシウム入りになる可能性があります。田村市産牛肉からは2014年も確りセシウムが見つかっています(29)。まして1項で記載したとおり原材料は住民が戻っていない「都路産」です。
もっと恐ろしいのは除染廃棄物が不法投棄されていることです。田村市都路町の住宅除染で出た土を、別の民家の敷地に不法投棄したとして、除染作業を請け負った業者の方が逮捕されました。除染に関わった男性からの、環境省の通報窓口への通報で発覚したそうです(30)。しかも除染廃棄物を入れる専用の袋でなく、防水が不十分な「土のう袋」にいれて不法投棄したそうです。
除染で出た放射能汚染物が不法投棄された田村市
 ※(31)をキャプチャー
 図―4 除染廃棄物を普通の土のう袋に入れて不法投棄したと報じるローカルTV局(FTV)

通報で発覚したので、通報が無ければ「発覚」しなかった思います。氷山の一角で他に同じような事が多数あると容易に想像できます。不法投棄の除染廃棄物ですから確り管理されている訳がありません。そのうち漏れ出し農地を汚染し、セシウム汚染食品の材料になりそうです。汚染はスポット的になるので、現状の数少ない抜き取り検査では見つけるのはまず不可能です。


3.復興計画の無い田村市
 福島原発事故は過去に例のない「人災」です。「復興」の前例がありません。でも少しでも早い復興が求められます。若い女性の逃走が続くなど(32)、効果はいま一つですが福島県内の各市町村は知恵を絞り、国や県と掛け合い予算を獲得し復興事業を進めていると思います。以下に田村市の隣の福島県三春町の予算・決算(歳出)額の推移を示します。
歳出を確り増やし復興を進める三春町
 ※(33)を集計
 図―5 三春町の予算、決算(歳出)額

でも例外もあります。福島県田村市です。以下に福島県田村市の予算・決算(歳出)額の推移を示します。
原発事故後も歳出が増えず、復興が怪しい田村市
 ※(33)を集計
 図―6 田村市の予算、決算(歳出)額

2013年に少し増えていますが、この年は1項で記載の通り「新庁舎」の建設をしています。当然、除染も進みません。
進まなない田村市の住宅除染
 ※(34)を集計
 図―7 田村市の除染実績

 原発事故から4年近くたっても、完了したのは7割未満です。
 旧避難区域を抱えている田村市は、避難区域がない隣の三春町に比べ予算も取りやすいでしょうし、復興アイテムも多い気がするのですが、実施されている様子がありません。ニュースを見る限り、避難区域だった「都路」に公設民営のコンビニを作ったくらいです。ただし開店したのは都路の緊急時避難準備区域が解除されて3年以上経過した2015年1月です(35)。
 福島県では津波被害にあった市町村や避難区域を抱える市町村では「復興整備計画」を作成しています。
 いわき、相馬、南相馬、川俣、広野、楢葉、川内、大熊、新地などです。
復興整備計画が無い田村市
 ※(36)にて作成
 図―8 福島県内の「復興整備計画」作成市町村

 でも例外もあります。福島県田村市です。

4.市長選挙が無い市
 田村市の市長の「冨塚宥?氏」は、3回連続の無投票で当選しました(37)。前の選挙が2013年4月なので田村市では1回も市長選挙がかなった市です。福島県には平成の大合併で新たに名前が変わった市として誕生しのは、田村市の他に「南相馬市」と「伊達市」がありますが(38)、どちらの市も確り選挙は行われています(38)。
 田村市の市長選の回数が「0」は、もちろん福島県どころか何処と比べても超えることができない最低記録です。

5.第二の「夕張」になりそうな観光政策
 田村市は「高原都市」を主張しています(39)。観光客でにぎわいそうな主張ですが、実態は違います。以下に2013年の福島県各市の観光客入込数を示します。
最低ランクの福島県田村市の観光客入込数
 ※(40)にて作成
 図―9 福島県各市の観光客入込数

本宮市についで下から2番目です。本宮市は人口3万人程度(41)の小さな市なので、観光に関しても「最低」の数字を誇る市です。実態は「高原都市」でなく過疎化が進む「山村」です。
 福島県が観光施設としてる3箇所(あぶくま洞、こどもの国ムシムシランド、星の村天文台)は(42)、全てが民営でなく田村市の組織図に記載されています(42)。
 北海道夕張市は閉山。炭鉱から観光へ産業転換を図ってテーマパーク「石炭の歴史村」を建設し、映画祭や名物の夕張メロンをアピールして集客に乗り出したもののうまく行かず、過大な投資による赤字隠しが発覚して破たんしました(43)。第二の夕張になりそうな観光政策です。

6.福島県で一番貧しい「市民」
 田村市にも福島県13市のなかで最高の数字もあります。以下に全生産額に占める政府系サービス(お役所仕事)サービスの構成比を示します。 
お役所仕事に依存する田村市の経済
※(44)で作成
 図―10 福島県内各市政府系サービス構成比

田村市は18.9%で福島県最高です。以下に福島県各市の生産額を示します。
最低の田村市の生産金額
 ※(44)で作成
 図―11 福島県各市の生産額

 約997億円で福島県内の中で最低です。人口が約3万人の本宮市(田村市は約4万人)より少なっています。以下に原発事故前の2010年の福島県各市の一人当たりの所得を示します。
福島県13市中で最低の田村市民の所得
 ※(44)で作成
 図ー12 福島県各市の一人当たりの所得

 201万円で福島県内13市中一番の低さです。経済的に見ても福島県13市中「最貧」です。

7.福島県で一番学力の低い「市民」
 福島県各市や町、そして1部の村にはその市町村を代表する高校があります。田村市は田村高校でなく「船引高校」です(45)。以下に福島県各市を代表するであろう高校の偏差値を示します。
福島13市中で「最低」の田村市船引高校の偏差値
 ※1(46)にて作成
 ※2 安積は郡山市、磐城はいわき市、会津は会津若松市、原町は南相馬市、安達は二本松市、保原は伊達市、船引は田村市
 図―13 福島県各市の高校の偏差値

 田村市の船引高校の偏差値は37で最低です。これがどれだけ低い数字かと言えば、2015年こ高校入試でもっとも倍率の低いのは田島高校(南会津町)の0.09倍だそうです(47)。でも偏差値は44です(45)。
 ここまで低い高校入学時の学力は大学進学率にも表れます。以下に福島県各市の大学進学率を示します。
福島13市中で最低の田村市の大学進学率
※(48)で作成
 図―14 福島県各市の大学進学率

田村市の大学進学率は8.1%で最低です。特に男子の進学率は4.1%で福島県59市町村中最低の数字です。ちなみに最高は会津若松市の女子の63.8%です。

8.人口減少率は実質「最高」
 「貧困/負の連鎖」なんて言葉があるみたいです。親が貧しいと子供の学力が下がり、子供を良い職に就けず親と同じく「貧困」になる概念です(49)。田村市の数字を見る限り、田村市そのものが「貧困/負の連鎖」で、3項に記載したとおりそれを支えるのが無もしない「市政」だと思います。こんな市に住みつけたい人はいないと思います。以下に福島県各市の2011年3月に対する2015年2月の人口減少率を示します。
 福島13市中2番目に高い田村市の人口減少率
 ※(3)
 図ー15 原発事故後の人口減少率(2015年2月時点)

 田村市の人口減少率は△6.5%で福島県第二位ですが、一位の南相馬市は原発事故と津波被害を受けているので(50)、実質1位です。
 田村市が発足した2005年の人口は43,353人です(1)。でも10年った2015年2月の人口は37、612人に減りました。これからも減り続け、やがて消えてしまいそうです。

<余談>
 数字を見る限り福島県田村市は「貧困/負の連鎖」が続き、住民はこれからも逃げ出していくと思います。負の連鎖を支えているのは「復興」すらしない行政だと(=^・^=)は思います。

 
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)田村市 - Wikipedia
(2)東日本大震災関連情報 放射線モニタリング測定結果等 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 」
(3)福島県の推計人口(平成27年2月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(4)三春藩 - Wikipedia
(5)三春町 - Wikipedia
(6)区域見直し等について - 福島県ホームページ
(7)めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道 ―福島県大熊町で桜咲く-
(8)平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報 - 福島県ホームページ
(9)仮設劣化、補修に本腰 被災3県、復興遅れ入居長期化 - 河北新報
(10)建築住宅課(復興住宅担当) - 福島県ホームページ中の「 平成27年1月31日現在の進捗状況 [PDFファイル/612KB]」
(11)都路地区の慰謝料打ち切り、原賠審会長は妥当との見解:朝日新聞デジタル
(12)本庁舎建設事業 - 福島県田村市ホームページ
(13)田村市、新庁舎で業務開始 議場や市教委などを集約 | 県内ニュース | 福島民報
(14)田村市の概要 - 福島県田村市ホームページ
(15)福島県 - Wikipedia
(16)農林水産技術会議/農地土壌の放射性物質濃度分布図等のデータについて中の「田村市」
(17)田村市における土壌調査の結果について - 福島県田村市ホームページ中の「都路町- 都路 [PDFファイル/42KB]⇒No58 」
(18)日本のクリアランス制度 (11-03-04-10) - ATOMICA -
(19)報道発表資料 |厚生労働省中の「食品中の放射性物質の検査結果について」
(20)シミズストア
(21)全袋検査前の大豆を販売 県が撤去、回収を指示(福島民友ニュース)
(22)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2015年1月)―出荷制限しても販売される福島産ー
(23)県産食品の安全・安心を確保する取組み | ふくしま 新発売。
(24)全量全袋検査 - Wikipedia
(25)水田畑作課 - 福島県ホームページ
(26)天のつぶ | ここは原発最前線の町
(27)食品中の放射性物質の検査結果について(第911報) |報道発表資料|厚生労働省の「2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果⇒検査結果(PDF:187KB) ⇒No699」
(28)田村発八彩カレーDC向け来月誕生 飲食店と農家連携 地元野菜を使用 | 東日本大震災 | 福島民報
(29)食品中の放射性物質の検査結果について(第884報) |報道発表資料|厚生労働省中の「2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果⇒PDF 検査結果(PDF:159KB)中のNo455,457 」等
(30)除染土不法投棄容疑で2人逮捕 | 県内ニュース | 福島民報
(31)福島のニュース 福島テレビ(2月24日ひる放送) FTV8
(32)めげ猫「タマ」の日記 若い女性の福島脱出は止まらない2014年
(33)市町村財政課 - 福島県ホームページ
(34)福島県 田村市|除染実施区域の概要・進捗|除染情報サイト:福島県・環境省
(35)2015年01月16日田村都路店|トピックス|FamilyMart
(36)復興整備計画について - 福島県ホームページ
(37)みんゆうNet : 2014年の福島県内選挙ニュース-福島民友新聞社-
(38)みんなの知識【ちょっと便利帳】 - 平成の大合併・都道府県毎の足跡 - 福島県
(39)福島県田村市ホームページ トップページ
(40)福島県観光ホームページ 統計資料一覧 - 福島県ホームページ
(41)福島県本宮市公式ウェブサイト - トップページ
(42)組織でさがす - 福島県田村市ホームページ
(43)財政破たんから7年、夕張市のいま 「夕張予備軍」はどれくらいある? | THE PAGE(ザ・ページ)
(44)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(45)福島県立船引高等学校 - Wikipedia
(46)福島県 高校偏差値 一覧 2015
(47)最終志願倍率は「1.06倍」 県立高校入試2期選抜(福島民友ニュース)
(48)平成26年度学校基本調査(全文) - 福島県ホームページ中の「卒業後の状況調査(高等学校) [Excelファイル/180KB]   」
(49)社説|子どもの貧困/負の連鎖を断つ取り組みを | 河北新報
(50)震災関連情報 - 南相馬市
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  1. 2015/03/14(土) 21:08:07|
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