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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一原発汚染水(3月4週)―あっちこっちで過去最高―

 福島第一原発汚染水の3月4週(3月17日から22日)の状況を纏めてました。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
 ①港湾内の港湾中央で全ベータが過去最高
 ②地下水バイパス上流の2つの井戸のトリチウムも過去最高
 ③海岸近くの2つの井戸の全ベータも過去最高
 ④排水路からは法令違反の汚染水が外洋へ
あっちこっちの汚染水で過去最高濃度の放射性物質が見つかっています。

1.港湾内の港湾中央で全ベータが過去最高
  先週に続き今週も海水から全ベータ等の放射性物質が見つかっています。
放射性物質が見つかる福島第一原発沖の海
 ※1  (4)(5)(6)にて作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
  ※5  赤字は過去最高を示す。
 図―1 福島第一原発近傍の海、排水路の放射性物質濃度

 ①5,6号機放水口北側(3月16日採取)(4)(5)
   全ベータ 12ベクレル
 ②南放水口(3月16日採取)(4)(5)
   全ベータ 11ベクレル
 ③港湾中央(3月20日採取)(5)
   セシウム  12.2ベクレル
   全ベータ  82ベクレル(過去最高)
 ④排水路C-2-1地点(3月19日採取)(6)
   セシウム 8.6ベクレル
   全ベータ 36ベクレル
が見つかっています。このうち「港湾中央」の全ベータ濃度が過去最高を記録しました。以下に港湾中央の放射性物質濃度を示します。
過去最高の全ベータが見つかった福島第一原発港湾中央
 ※(5)にて作成
 図―2 「港湾中央」の放射性物質濃度

東京電力の発表(8)では過去最高は明示してませんが、過去のデータと比べ過去最高です。

2.地下水バイパス上流の2つの井戸のトリチウムも過去最高
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(9)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。さらに、地下水バイパスより山側(上流)の井戸から高濃度の放射性物質が見つかっています。
過去最高を記録した地下水バイパス山側井戸
 ※1 (10)(11)(12)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 ※4  赤字は過去最高を示す。
 図―3 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

 このうちE-13とG-1井戸のトリチウム濃度が過去最高を記録しています。この中で気になるのがG-1井戸です。以下にG―1井戸のトリチウム濃度の推移を示します。
急上昇し過去最高を記録したG-1井戸のトリチウム
 図―4 G-1井戸のトリチウム濃度推移

 以下に1リットルの当たりで、トリチウム濃度の数値を記載します。
   2月24日 検出限界未満
   3月 3日 検出限界未満
   3月10日  200ベクレル
   3月17日 3900ベクレル
   3月19日 1900ベクレル
   3月20日 3100ベクレル
で、図―4に示すようにこれまでは低い値(1リットル当たり500ベクレル未満)で安定していたのですが、3月17日の観測で前回観測の1リットル当たり200ベクレルの20倍近い1リットル3900ベクレルを記録しました。その後3日からデータがありませんが、高い値が継続しています。
 そして 地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算したら約4、900億ベクレルに達しました。
約3900億ベクレルとなった地下水バイパストリチウム放出量
 ※(13)(14)を集計
 図―5 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量

 トリチウムの安全性については、いろいろと議論があるようです(15)。福島第一原発のトリチウムは概ね「水」として存在します(16)。蒸発して雲になり雨になり、農作物を育むと思います。トリチウム米やトリチウム飼料ができ、それを食べた牛さんからはトリチウム牛肉ができそうです。東京電力はトリチウムは飲んで「安全」と主張していますが(15)、食べて「安全」とは主張していません。
 
3.海岸近くの2つの井戸の全ベータも過去最高
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。
過去最高を記録した福島第一沿岸部のセシウム濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 ※4  赤字は過去最高を示す。
 図―6 海岸付近の放射性物質濃度
 
 このうちNo1-11井戸とNo1-8井戸で過去最高濃度のセシウムが見つかりました。この中で(=^・^=)が心配なのはNo1-8井戸です。
急上昇し過去最高を記録したNo1-8井戸のセシウム濃度
※1(5)集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図ー7 No1-8井戸のセシウム濃度推移

 1リットル当たりのセシウム濃度は
  3月 2日  63ベクレル
  3月 9日  65ベクレル
  3月16日 303ベクレル
  3月17日 302ベクレル
で、3月16日の観測(採水)で5倍近くに急上昇したあと、今の所は下がることはありません。海の側にあるので、そのまま海へ流れ出しそうです。

4.排水路からは法令違反の汚染水が外洋へ
 福島第一原発には外洋に通じる2本の排水路があります。
つぎつぎと汚染水が見つかる福島第一排水路
  ※(16)を転載
  図―8 A,C,K排水路
 
 今年の2月から3月にかけて、二つの排水路(A,K)から法令の定める値を超える高濃度に汚染された汚染水が直接に外洋に廃棄されていたことが分かりました(1)(17)。
東京電力が排水路の新たなサンプリングデータを発表しました(18)。相変わらず法令超えの汚染水を直接外洋に流しています。以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法例限度を超えた汚染水が流れるK排水路
  ※1(18)を集計
  ※2NDは検出限界以下を示す。
  図―9 K排水路の放射性物質濃度

 ストロンチウム90の法令限度(告示限度)は1リットル当たり30ベクレルですが(3)、全ベータの約半分がストロンチウム90ですので、全ベータに換算すると1リットル当たり60ベクレルです。K排水路を流れ海に出る汚染水から3月10日に1リットル当たりで
  セシウム134 21ベクレル
  セシウム137 78ベクレル
  全ベータ   150ベクレル
みつかっています(18)。基準の60ベクレルの2.5倍の全ベータが外洋に直接出されています。それでも安倍出戻り総理は「(影響は第1原発の)港湾内において完全にブロックされており状況はコントロールされている」と、従来通りの見解を繰り返したそうです(19)。

<余談>
  図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 3月20日福島県では春の訪れを告げる魚として親しまれているコウナゴの今季の漁がはじまりました(20)。
4年間もストロンチウム90の検査がされないまま始まった福島のコウナゴ量
 ※(21)をキャプチャー
 図―10 コウナゴ漁の始まりを報じる福島のローカルTV(FCT)

 (=^・^=)は心配です。コウナゴはカルシュウム豊富なお魚です。カルシュウムを多く含むお魚はストロンチウム90濃度が高くなります。
カルシュウムに比例する福島のお魚のストロンチウム90濃度
 ※1 (22)を転載
 ※2 同一地点(福島第二原発沖2km:T-S7)を集計
 図-11 セシウム137とストロンチウム90の相関(T-S7地点)

 でも(=^・^=)はコウナゴのストロンチウム90の検査結果を知りません。福島第一ではセシウムよりもストロンチウム90に由来する全ベータが高濃度で見つかっています。本当に大丈夫か(=^・^=)は心配です。
「放射性セシウム対放射性ストロンチウムが10対1で含まれていると仮定して、規制値を決めています。」とのとですが(23)、厚労省の資料(24)を見ると結果は書いてあるのですが、もととなったデータや文献、解析過程の記載は一切ありません。これではこの主張が正しいか判断ができません。
 安倍出戻り総理は外国の脅威から守ることは熱心に進めていますが(24)、福島原発の放射能から(=^・^=)等の「国民」を守ることは、基準超えの汚染水が直接外洋5流れる事実があっても「(影響は第1原発の)港湾内において完全にブロックされており状況はコントロールされている」(19)などとし、あまり熱心ではありません。
 これでは福島の方は大変に不安だと思います。福島県郡山市の牛の肥育頭数は福島県随一であり(26)、福島県最大の牛肉の産地です。福島牛は美味しく、徹底した安全管理体制のもとで飼育されており、また、すべての牛を対象に放射性物質検査を受けています(27)。福島県は福島牛は「安全」だと主張しています(28)。でも福島県郡山市のスーパーのチラシにには福島県産牛肉はありません。
他道県産はあっても福島産牛肉が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(29)を抜粋
 図―12 福島産牛肉が載っていない福島県郡山市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の方を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―

(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(3月3週)―2週連続で外洋からセシウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を3月22日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(8)2015年3月21日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 313KB)PDF
(9)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(10)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」
(11)(2)中の「H6エリア周辺観測孔」
(12)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(13)一時貯留タンクの運用状況|東京電力
(14)報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(15)めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?
(16)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(3月1週)―安全総点検してもけが人―
(17)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(2月4週)―高濃度の汚染水漏れは1年間隠します―
(18)2015年3月20日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 328KB)
(19)「港湾内汚染されている」 第1原発で宮沢経産相が見解(福島民友ニュース)
(20)松川浦漁港に“春”の使者 今期のコウナゴ試験操業開始 | 県内ニュース | 福島民報
(21)ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2015年3月20日(金)放送」
(22)めげ猫「タマ」の日記 福島・コウナゴのストロンチウム90は推定12ベクレル
(23)牛乳のストロンチウム測定について - 専門家が答える 暮らしの放射線Q&A
(24)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(25)首相、安保法制整備へ決意 防大卒業式で訓示 上毛新聞ニュース
(26)めげ猫「タマ」の日記 福島の魚、基準値超はゼロ 2月検査と報道―でも3月は別―
(27)JA全農福島/JA全農福島オンラインショッピング
(28)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(29)イトーヨーカドー 郡山店
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  1. 2015/03/22(日) 19:48:45|
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