福島県富岡町は1955年3月31日の当時の双葉町(現双葉町は別)と合併し、今の富岡町が発足しました。明日(2015年3月31日)で60周年です。お祝いしたいのですが未来は暗そうです。
富岡町は福島県双葉郡の町で人口11,425人で面積68.39平方キロメートルの福島県沿岸部中部にある町です。

※(3)と地図で作成
図―1 福島県富岡町
富岡町は南北に福島県沿岸部を縦断する常磐自動車道、JR常磐線、国道6号があります。南には福島第二原発や産廃処分上があります。また富岡漁港などもあります。

※1(3)と地図で作成
※2 凡例は図―1に同じ
図―2 富岡町の施設
2011年3月の福島原発事故で全域が警戒区域に指定され、全町が避難しました(1)。そして「富岡町」としてはかなり有名な地になりました。しかし2014年に群馬県富岡市の製紙工場跡が「世界遺産」に指定され「富岡町」としては群馬県の方が有名になりました。同町は「花と緑があふれる町」と称していますが(5)、実態は「放射能があふれる町」です。
以下に2010年と2011年の富岡町の生産額を示します。

※(6)より作成
図―3 富岡町の生産額
原発事故前は1千億円程度の生産規模がありました。大部分は「電気・ガス・水道」が占めていました。これは福島第二原発の貢献だと思います。でも福島第二原発は福島原発事故で稼働を停止しています(6)。多分、復活するとはないと思います。仮に町が復旧しても福島第二に代わる「産業」がなくては町の経済は成り立ちません。
以下に富岡町の予算・決算(歳出)を示します。

※(7)にて作成
図―4 富岡町の予算・決算額
福島第一原発事故後に福島県の市町村では予算や決算(歳出)が水ぶくれしているところがあります。

※(8)を集計
図―5 三春町の予算、決算(歳出)額
でも富岡町の予算・決算額は水ぶくれしていません。富岡町は放射能汚染だけでなく「津波」の被害も受けました(9)。

※Google Earthの「¥https://www.google.co.jp/maps/@37.33431,141.022432,3a,75y,119.79h,93.24t/data=!3m4!1e1!3m2!1smIFRWU-ubx-wj4tUWyGSKA!2e0?hl=ja」を引用
図―6 津波で破壊されたJR富岡駅
でも放射能に汚染されて手が出せないようようです。
富岡町役場の除染は終っているそうです。それでも放射線量は1月7日現在で毎時1マイクロシーベルトです(10)。富岡町の復興計画をみると最初の帰還を2017年に目指しています。仮に2017年に帰還したとして、どれだけ被ばくするか(=^・^=)なりに見積もってみました。

※計算方法は(12)による
図―7 富岡町の被ばく線量見積もり(2017年4月帰還)
図に示す通り、帰還21年後の2038年にはICRPが人への健康影響が確認されているとする年間100ミリシーベルト(13)を超えます。放射線のリスクに対しては色々な立場があると思いますが、100ミリシーベルトで健康影響があることは多くの方が一致しているところだと思います。
それでも除染が全てで実施されれば良いのですが、以下に示すように除染は限定的です。

※(13)を引用・加筆
図―8 富岡町の除染の状況(2015年2月末時点)
環境省は福島中間貯蔵施設の他に1キログラム当たり10万ベクレル以下の放射性廃棄物を最終処分する「フクシマエコテッククリーンセンター」を富岡町に計画しています(14)。まだ富岡町は受け入れを決めていないので(15)、この先は分かりませんが仮に受け入れたとすると相当に長期期間に渡り富岡町民は放射性廃棄物と共生することになります。放射性汚染物を識別する制度に「クリアランス制度」があります。それによるとセシウム137で1キログラム当たり100ベクレル以下は放射性汚染物として扱う必要がないそうです(16)。原発事故から4年が経過し、半減期2年のセシウム134(17)は当初の4分の1になっていますが、半減期30.2年のセシウム137(17)はそれ程には減っていません(当初の9割)。運ばれてくる放射能汚染物の主力はセシウム137です。10万ベクレルのセシウム137が1000分の100ベクレルになるのに300年かかります(Log(0,001)÷log(0.5)×30.2(セシウム137の半減期))。受け入れが決まれば富岡町は300年間は放射性汚染物と暮らすことになります。
福島県の地方紙福島民友は3月3日付で「地域に目を向けると、古里から離れた地で生活を余儀なくされた避難中の子どもはもちは<中略>子どもと地域との関係がいっそう希薄になった」などと報じています(18)。一度、町を離れたら子供達も元の町に繋ぎとめるのは難しいかもしれません。一つの方策は、町外に学校を作りそこで「古里」を教えることだと思います。富岡町も町外(三春町)に小中学を作り、「古里」を教える授業をしているようです(19)。でも富岡町立小中学校には生徒が集まりません。小学生が42人、中学生が36人です(20)。多くの富岡町の保護者は避難先の学校を選択したようです。当然「古里」を学ぶことも無いので、子供達から「富岡町」は消えていくと思います。
以下に富岡町町民を対象したアンケート結果を示します。

※(21)(22)で作成
図―9 富岡町民の帰還意向
2012年7,8月のアンケート調査では
・居住地を自ら選択し、帰れるまで待つ
・行政が建設する災害公営住宅に居住し、帰れるまで待つ
を合わせ、50%の方が帰る以降をしめしていました(21)。それが2014年8月のアンケートでは
・現時点でもどりたいと考えている
と答えた方は11.9%に減っています(22)。避難指示が解除されてもどれだけの方が戻るか不明です。
福島第一原発事故後に「緊急時避難準備区域」が設定され2011年9月に解除されました。福島県広野町の全域と川内村の大部分がここに含まれていました(23)。それから3年半以上が経過しましたが、帰還は進んでいません。広野町に帰還された方は2015年2月時点で全人口5130人中の4割以下の1938人です(24)。2015年1月の時点で川内村に帰還された方は全人口2539人(25)中の4分1の639人です(26)。たった半年の避難でこの数字ですので、6年の避難となったらもっと少ないはずです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
富岡町の南隣の福島県楢葉町では来月(4月)から避難指示解除の前段階となる「長期宿泊」が開始されます(27)。どれだけの方が利用するかで、今後が分かると思いますが、広野町や川内村の数字からあまり期待はできないと思います。原発事故で放射能に汚染された地域の「復興」は(=^・^=)には無理な気がします。だったら「地域」の復興はあきらめ、「住民」の復興を考えても良いと(=^・^=)は思うのですが…
無理な地域の「復興」は農業を放射能に汚染された地域に広げる効果があり、福島産の放射能汚染リスクを上昇させます。(=^・^=)は心配です。福島の方はもっと心配だと思います。
福島県伊達市は福島県最大のイチゴの産地です(28)。今が旬です(29)。福島のイチゴは美味しく(30)、安全(31)だそうです。でも福島県伊達市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。

※(32)を抜粋
図―10 福島産イチゴが載っていない福島県伊達市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県伊達市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
富岡町 - Wikipedia(2)
双葉町 (福島県双葉郡旧上岡村) - Wikipedia(3)
東日本大震災関連情報 放射線モニタリング測定結果等 | 原子力規制委員会中の「東日本大震災関連情報 放射線モニタリング測定結果等 | 原子力規制委員会」
(4)
富岡製糸場と絹産業遺産群 - Wikipedia(5)
福島県富岡町|花と緑があふれる町(6)
福島第二原子力発電所 - Wikipedia(7)
市町村財政課 - 福島県ホームページ(8)
めげ猫「タマ」の日記 田村市10周年、未来は暗い(9)
富岡町 - 災害図上演習DIGを活用した防災対策の推進 BCP、マンション防災(10)
町内の放射線量(平成27年1月測定分)(平成27年2月13日更新)|放射線対策情報【各種手続き・申請・お知らせについて】 | 富岡町役場(11)
富岡町災害復興計画(第1次) 全文 (H24,10/9更新)|富岡町災害復興計画【各種手続き・申請・お知らせについて】 | 富岡町役場(12)
長期線量の計算方法(13)
ICRP勧告 日本語版シリーズ PDF無償公開のお知らせ | 刊行物(14)
町内の除染実施進捗図、除染進捗率について(平成27年3月11日更新)|新着【各種手続き・申請・お知らせについて】 | 富岡町役場(15)
管理型処分場計画案に対する国の回答について議論(平成27年2月23日更新)|議会からのお知らせ【富岡町議会】 | 富岡町役場(16)
日本のクリアランス制度 (11-03-04-10) - ATOMICA -(17)
セシウム - Wikipedia(18)
古里へ高まる関心 子どもたちの「育ちの場」縮小に拍車(福島民友ニュース)(19)
富岡ふるさと心染め - 富岡町立富岡第一中学校・富岡第二中学校【三春校】(20)
富岡町小中学校(21)
町民意向調査結果報告について(H24,9/18更新)|富岡町災害復興計画【各種手続き・申請・お知らせについて】 | 富岡町役場(22)
町民意向調査結果について (平成26年10月29日更新)|新着【各種手続き・申請・お知らせについて】 | 富岡町役場(23)
緊急時避難準備区域の解除について(METI/経済産業省)(24)
広野町(25)
過去の結果(福島県の推計人口 福島県現住人口調査月報) - 福島県ホームページ(26)
各課別ご案内|福島県川内村役場ホームページ(27)
楢葉の長期宿泊「4月早々から」 政府示す | 県内ニュース | 福島民報(28)
めげ猫「タマ」の日記 福島県の危険な広報(29)
いちご - みらいのフルーツ - JA伊達みらいのホームページ(30)
福島県オリジナル品種「ふくはる香」をお見逃し無く! | ふくしま 新発売。(31)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(32)
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- 2015/03/30(月) 19:41:36|
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