福島第一原発汚染水の4月4週(4月20日から27日)の状況を纏めてました。
①港湾から過去最高のトリチウム
②地下水バイパス井戸から先週に続き過去最高のトリチウム
③海岸近くの井戸で高濃度のトリチウム
④外洋に繋がる排水路から法令限度を超える全ベータ
⑤タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
先週に続きのあっちこちで過去最高濃度の放射性物質が見つかっています(1)。
1.港湾から過去最高のトリチウム
福島第一原発沖の外洋や境界の港湾口からトリチウム等の放射性物質やセシウム汚染魚が見つかっています。

※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
※5 魚は1キログラム当たりの値
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
数値は図―1を見てください。この中で気になったのは「港湾中央」のトリチウム濃度です。

※1(4)(5)にて作成
※2 NDは検出限界未満を表す
図―2 港湾中央のトリチウム濃度
この場所のトリチウム濃度が、今週は過去最高を記録しました。福島第一原発による海洋汚染は確実にに広がっています。
2.地下水バイパス井戸から先週に続き過去最高のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(8)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。さらに、地下水バイパスのNo10井戸から2週連続で過去最高濃度のトリチウムが見つかっています。

※1 (9)(10)(11)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―3 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
このうち地下水バイパスNo10井戸のトリチウムが過去最高を記録しました。以下に推移を示します。
※(9)(11)を集計
図―4 地下水バイパスNo10井戸のトリチウム濃度
地下水バイパスNo10井戸のトリチウムはこれからも上昇しそうです。
地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算したら約4、200億ベクレルに達しました。

※(12)(13)を集計
図―5 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量
3.海岸近くの井戸で高濃度のトリチウム
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。

※1 数値は1リットル当たりのベクレル数
※2 集計期間内の最大値
図―6 海岸付近の井戸と海水の放射性物質濃度
このうちNo0-4井戸のトリチウム濃度が上昇しています。

※1(5)にて作成
※2 NDは検出限界未満を表す
図―7 No0-4井戸のトリチウム濃度
4.外洋に繋がる排水路から法令限度を超える放射性物質
福島第一原発には外洋に通じる2本の排水路があります(14)。

※(15)を転載
図―8 福島第一原発排水路
今年の2月から3月にかけて、二つの排水路(A,K)から法令の定める値を超える高濃度に汚染された汚染水が直接に外洋に廃棄されていたことが分かりました(16)。ポンプでくみ上げて港湾内に流そうとしたのですが、ポンプが一時故障してしまいました(17)。
東京電力が排水路の新たなサンプリングデータを発表しました(14)。相変わらず法令超えの汚染水を直接外洋に流しています。以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。

※1 (18)を集計
※2 NDは検出限界以下を示す。
図―9 K排水路の放射性物質濃度
セシウム137の法令限度は1リットル当たり90ベクレルで、ストロンチウム90の法令限度(告示濃度限度)は1リットル当たり30ベクレルですが(3)、全ベータの約半分がストロンチウム90ですので、全ベータに換算すると1リットル当たり60ベクレルです。
K排水路を流れ外洋に排出される汚染水から4月15日に1リットル当たりで
セシウム137 120ベクレル
全ベータ 210ベクレル
の放射性物質が見つかっています。基準を超えのままの汚染水が直接外洋に流されています。
5.タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
福島第一原発のタービン建屋の海の間には地下に埋設された放水路があります。

※(19)を転載
図―10 タービン建屋と海の間の排水路
ここにも確り汚染水が詰まっています。この汚染水濃度が2月下旬くらいから急上昇し、いったん下がったのですが再び再上昇をはいじめました。

※(20)で作成
図-11 タービン建屋と海の間の排水路の放射性物質濃度
一度は下降しているので、何処に放射性物質が流れ出したのは確かです。名前が「排水路」なので海に繋がっているような気がします。東京電力はタービン建屋と海を繋ぐみずみち(水路)を塞ごうとしていますが上手くいっていません(17)。そして再上昇しているので、何処からか放射性物質が流れ込んでいるのも確かです。この放射性物質も何処かに流れだすのは確かです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
トリチウムの安全性については色々と議論があるとおもいます(21)。福島第一原発内では概ね水として存在します(22)。水ですので蒸発し、トリチウム雲となりフクシマの台地にトリチウム雨を降らせそうです。降ったトリチウム雨は農作物を育みトリチウム米やトリチウム野菜ができそうです。東京電力はトリチウムは飲んでも安全だと主張していますが、食べても「安全」だとは主張していません。これでは福島の方は大変に心配されると思います。
福島県最大のキュウリの産地の須賀川市のキュウリの出荷が始まりました(23)。福島県は福島産キュウリは確り検査されており「安全」を主張しています(24)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産キュウリはありません。

※(25)を引用
図ー12 福島産キュウリが載っていない福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(4月3週)―外洋から過去最高の全ベータ―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を4月5日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(9)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」
(10)(2)中の「H6エリア周辺観測孔」
(11)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果
(12)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(13)
報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(14)
2015年4月24日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 322KB)(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(3月5週)―今週も過去最高―(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(2月4週)―高濃度の汚染水漏れは1年間隠します―(17)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月4週)-汚染水1万m3が行方不明-(18)(3)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて」
(19)
(20)(3)中の「福島第一原子力発電所構内1号機放水路サンプリング結果」
(21)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?(22)
[PDF]福島第一原子力発電所でのトリチウムについて 平成 ... - 東(23)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(4月2週)―福島・須賀川市はキュウリの出荷開始、でも検査はありませんー(24)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(25)
チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
スポンサーサイト
- 2015/04/27(月) 19:49:50|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0