(5月11日から16日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.冷却用のポンプに異常な振動
5月12日に福島第一原発5号機の核燃料を冷やすためのポンプが高い(異常な)振動をしているのが見つかりました。原因は「モーター」との事ですが、モーターが何故に高い振動を引き起こしたのは今のところ発表はありません(3)。
2.IAEAから「お叱り」
原子力の平和的利用の促進や原子力の軍事的利用に転用されることを防止を目的とした国連の各機関であるIAEA(国際原子力機関)が(4)、福島第一原発を調査したそうです。その結果がまとまり経産省などから発表されました(5)(6)。その中に15の助言が含まれています。あくまでも「助言」ですが、するべきなのに福島第一でできていない事を指摘しているはずで「お叱り」だと(=^・^=)は思います。「お叱り」の中には
①福島第一原発の関係者の責任を明確にする。最近の福島の状況を見ると、東電だけでも、廃炉カンパニー、福島復興本社、東電本店が関与し(7)、国の機関でも資源エネルギー庁(8)、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(9)、原子力規制委員会(10)の3つが関係し、さらに福島県(主に危機管理部)(11)、事業組合であるIRID(12)などがあります。そして最も大事のは廃炉の実行部隊である下請けさんです。これだけあれば、それぞれの権限と責任、役割を明確しておかないと無用な混乱がおきそうです。
②放射性廃棄物の保管・管理計画を立てる事。福島第一原発の廃炉によって大量の放射性廃棄物がでます。たとえば汚染水から放射性物質を抜き出したカスを保管する容器だけで2000本以上あります(13)。これらの容器を最終的どのようにするかは決まっていないみたいです。
この他にも「当然」と思える「助言(お叱り)」いろいろありました。興味あるかたは原文(5)(6)をみてください。
3.凍土壁って凍るの?
福島第一原発では汚染水対策の一つとして、 東京電力と国(資源エネルギー庁)はやってみないと上手くいくか分からない福島第一原発のタービンや原子炉建屋の回りを氷の壁で取り囲み、汚染水の元となる地下水の流入を抑える「凍土壁」を計画しています(14)。

※(15)を転載
図―1 凍土壁の概要
原子炉やタービン建屋の周りにパイプ(凍結管)設置し、そこに冷たい液体を流し周り土に含まれる水分を凍らせて水が通らないようんして地下水の流れを遮断するものです(16)。

※(16)転載
図-2 凍土壁作成の様子。
また温度を測定するパイプ(測温管)をいれるそうです。大よその工事が終わったので(17)、試験的に何本の凍結管に冷たい液体を流し試験を4月30日より始めました(18)。その途中経過を5月14日に東電が発表しました(19)。いろいろとトラブルがあったようです。
①温度計が故障していた
東電は送った冷たい液体が土や土に含まれる地下水から熱を吸収し、あったまって戻ってくるか確認するために、凍結管に入れる前の液体の温度と戻った後の温度差を記録しています(18)。この差が大きければ土や地下水から確り熱を吸収し周りを凍らせたことになり、小さければ熱の吸収に失敗し周りが凍らなかったことになります。以下にNo15,16井戸の液体の出入りでの「温度差」を示します。

※(19)を抜粋
図―3 入れた時と戻った時の「液体」の温度差
No16のデータが途中からしかありません。会見を聞いていたら(20)、温度計が故障してたような事をいってました。試験を始める前に点検をしないんですかね?
②熱を吸収しない凍結管
以下に凍結管No1の温度差を示します。

※1 (19)を抜粋・編集
※2 源図の縦横比は操作してます。
図―4 凍結管No1の入れた時と戻った時の「液体」の温度差
温度差が殆ど「0」になってます。液体を凍結管に流しても土や地下水の熱を吸収していません。この凍結管の周りではこれ以上の凍結が進むことはないと思います。
③本当に凍るの?
会見(20)で記者の質問を聞いていると確り凍るかに集中したような気がします。東電は福島第一原発タービン建屋から海に延びる地下道(トレンチ)を凍られせ、汚染水を抜き取る試みをしましたが、見事に失敗しています(21)。凍土壁は全長約1600mで(22)、そこに1551本の凍結管を並べます(17)。平均間隔は1032ミリメートルです(1600÷1551×1000)です。単純にいえば半径516ミリメートルの範囲の水が凍れば氷と氷がくっ付き水の流れを止めることができます。以下に凍結管と地中温度の関係を示します。

※1(19)を集計
※2
緑の線は(=^・^=)が解析で求めた近似曲線
図―5 凍結管の距離と地中温度
東電のデータからは凍結管からxミリメートル離れた場所の地中温度y(℃)は
y=(12771÷x)+20.18
なんて感じになりました。516ミリメートルの地点ではー3.6℃で凍らないとは言えませんがきわめて余裕のない値です。事由は以下の通りです。
a)これから夏に向かって気温が上がって行きます。当然ながら地中温度も地下水温も上昇します。
b)地下水だって不純物が混じっていると思います。不純物が混じると水は凍り難くなります(23)。

※(24)を編集・加筆
図―6 不純物が混ざると下がる凍結温度
c)氷の壁は重なる部分がないといけない。仮に正六角形の外側の部分を重ねるとすると約600mミリメートル(516×2÷√3)です。このあたりの温度が(=^・^=)の近似式からは-0.1℃で凍るか凍らないか分からい温度です。
d)凍結して水の流れを止めるには全てを凍らせなくてはいけないが、ばらつき(凍結管の間隔、地質や地下水の流速などの地中の条件による温度)がり今の状態で吸収できるか不明
e)凍結が進むと地下水位が上昇し、地下水の流速が増し凍り難くなる(流れる水は凍りません)(16)。
東電はもう少しやってみないと分からないと主張してます。今後も東電のデータを解析して、お伝えしたいと思います。
3.放射性物質容器(HIC)からの汚水漏れは合計20個
福島第一原発では汚染水を少しでもまともなものにするため、汚染水から放射性物質を可能な範囲で取り除く作業が行われています。放射性物質を取り除くと言っても、無くすことはできないので、汚染水内の放射性物質を集め別の容器に集め、容器ごと福島第一内に保管しています。 東電は放射性物質を詰め込んだ容器を「高性能容器(HIC)」と呼んでいます(8)。この容器は島第一原発南東側に纏めておかれています。東電の発表によると、4月2日に容器(HIC)から汚染水が噴き出しているのが見つかったそうです(25)。
5月14日現在、157基の容器(HIC)の点検したら、合計20基の容器(HIC)にから、汚染水が容器外に漏れだしたのが見つかったそうです。この容器は全部で663基あるそうです。残りは526基です(26)。4月から1ヶ月半か掛けて157基の点検ですから、月100基程のペースです。点検が終わるのは10月頃になりそうです。その中に酷い汚染水漏れ起こしているのもが有るのではないかと心配です。何しろ放射能のカスを収めた容器です。漏れ出る汚染水も強烈です。1リットル当たりの値ですが
セシウム(134と137の合計) 9、000ベクレル程度
全ベータ 2個の検査では300万と390ベクレル
です(25)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
トラブルが続く福島原発では福島の方も大変に心配していると思います。福島県川俣町は原発事故前まで約1万頭を飼育する養豚場があったそうです。ただ原発事故で避難区域内になり休止を余儀なくされたそうです(27)。川俣町は約5000世帯なので(28)、一世帯当たり2頭の豚が暮らす養豚が盛んな町でした。川俣町の特産品に鶏肉があるそうです(29)。福島県は福島産豚肉も鶏肉も安全だと主張しています(30)。でも福島県川俣町のスーパーのチラシには福島産の豚肉も鶏肉もありません。

※(31)を抜粋
図―7 福島産豚肉も鶏肉も無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県川俣町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月2週)―汚染水漏れタンクを再利用して汚染水漏れ―(2)
2015年5月12日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (3)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(4)
国際原子力機関 - Wikipedia(5)
国際原子力機関(IAEA)による東京電力(株)福島第一原発1~4号機の廃炉に向けた取組に関する第3回レビューの最終報告書を受領しました(METI/経済産業省)(6)
2015年5月14日国際原子力機関(IAEA)による福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉に向けた取り組みに関する第3回レビューの最終報告書とりまとめについて(PDF 157KB)PDF (7)
組織図|企業情報|東京電力(8)
資源エネルギー庁 - Wikipedia(9)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 - Wikipedia(10)
原子力規制委員会 (日本) - Wikipedia(11)
危機管理部 - 福島県ホームページ(12)
国際廃炉研究開発機構 - Wikipedia(13)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第201報)|東京電力(14)
海側遮水壁|東京電力(15)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(3月3週)-汚染水処理の目途立たず-(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の凍土壁は税金の無駄遣い?(17)
2015年5月14日福島第一原子力発電所陸側遮水壁凍結管設置作業の進捗状況について(PDF 89.7KB)PDF (18)
2015年4月30日福島第一原子力発電所陸側遮水壁の試験凍結開始について(PDF 233KB)(19)
2015年5月14日福島第一原子力発電所陸側遮水壁試験凍結の状況について(PDF 1.09MB)PDF (20)
【5月14日】東京電力 記者会見 - 2015/05/14 17:30開始 - ニコニコ生放送(21)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月4週)―地下道は凍結できないので、詰め物をします―(22)
March 2014:特集「安定化へ向けて 東京電力福島第一原子力発電所」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社(23)
凝固点降下 - Wikipedia(24)
塩が融氷雪剤に利用される理由は?!(25)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月1週)-2週連続火事-(26)
2015年5月16日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (27)
http://www.town.kawamata.lg.jp/data/kouhoushi/pdf/201206-07.pdf(28)
町の平成27年5月の人口 - 川俣町公式ホームページ(29)
川俣シャモ - 川俣町公式ホームページ(30)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(31)
チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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- 2015/05/16(土) 19:42:31|
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