東京電力のホームページによると11月9日にも福島第一原発2号機でキセノン135が見つかったそうです(1)。原子力保安院は、キセノン135はウランやプルトニウムが各分裂したのではないと言っています(2)が、「猫」はとっても心配です。保安院の発表では、キュリウム(キュリー夫人にちなんで命名された元素)の放射能の濃度は
キュリウム242由来が 0.046 Bq/cc
キュリウム244由来が 0.12 Bq/cc
とありました。でも、計算過程が記載されていないので、不安になり、キュリム244由来の濃度を猫なりに計算してみました。すると
0.014Bq/cc
にしかなりません。保安院計算の0.12Bq/ccとは、一桁違います。東京電力や原子力保安院が信じられなくなりました。
以下に詳細を記載します。
1.核燃料に含まれるキュリム244の重量
キュリム244の生成過程はとても複雑です。
ウラン238が1個の中性子吸収して、プルトニウム239になります。
プルトニウム239がさらに4個の中性子を吸収して、アメリシウム243になります。
アメリシウム243が1個の中性子を吸収して初めてキュリム244ができます(3)。
ウラン238が結局6個の中性子を吸収しないと、キュリム244にはなりません。
燃焼度は、核燃料がどれだけ燃えたか(核分裂でエネルギーをどれだけ出したか)を示す指標です(4)。福島第一原子力発電所では27.5MWd/kgです(5)。でも、更の燃料は0なので、平均は約半分の14MWd/kgだと思います。
燃焼度とプルトニウムの割合、あるいわプルトニュウム中に占めるプルトニウム242の割合の図をネットで見つけました。燃焼度14GWd/tで
a)全プルトニウムの割合 0.68%
b)プルトニウム中プルトニウム242の割合 1%
c)プルトニウム中プルトニウム240の割合14%
で(6)、全体では0.68÷100=0.0068%です。キュリウム244になるには、さらに2回の中性子の吸収が必要ですので、b)とc)の割合程度にはなると思います。すると
キュリム244の割合は
0.0005%(0.0068÷14)
です。
2.核燃料棒1本が出す中性子数
核燃料棒1本のウラン燃料の量は221Kg(福島第一原子力発電所2号機)です(5)。1の計算より、
キュリム244の量は
約1g(221、000g×0.0005%÷100)
です。キュリム244の半減期は18.1年です(7)。ここから、ベクレル数を計算すると
0.693×1(g)×アボガドロ★÷(18.1×365(日)×24(時間)×3600(秒))÷244(原子量)
=3兆ベクレル
になりす(7)。キュリム244は殆どがα線を出して、プルトニウム241になります。自発核分裂を起こすのは僅か100万回の崩壊に対したった1.4回です(7)。この割合補正すれば
キュリウム244の自発核分裂に由来する放射能の量は
420万ベクレル=(3兆ベクレル×1.4÷100万)
です。これを格納容器の気相容量3,000m
3で割ると
420万÷3,000÷100万(1m
3は100万cc)
=0.014Bq/cc
です。
★アボガドロ数=6.02×10
23 原子量と同じg数に含まれる原子の数
<余談>
原子力保安院が信じられないので、「猫」なりに原子力発電所について
「猫」的原子力発電所論にまとめてみました(9)。よかったら見てね!
―参考させていただいたサイト様―
(1)
11月10日 東北地方太平洋沖地震による影響などについて【午前9時現在(2)
東京電力株式会社福島第一原子力発電所第2号機の格納容器からのXe135の検出に係る報告書への評価について(3)
Curium - Wikipedia, the free encyclopedia-英文-
(4)
燃焼度 - ATOMICA -(5)
福島第一原子力発電所 - Wikipedia(6)
社団法人 原子燃料政策研究会(7)
Isotopes of curium - Wikipedia, the free encyclopedia(8)
ベクレル - Wikipediaに示す計算方法による
(9)
「猫」的原子力発電所論
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- 2011/11/11(金) 20:23:48|
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