東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、6月2週(6月7日から14日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.改定ロードマップは即日頓挫
6月12日に福島第一原発の廃炉に向けた工程表(中長期ロードマップ)が改定されました(2)。当日にケチがつきました。
福島第一原発では日々汚染水が増えています。

※(3)を集計
図―1 増え続ける汚染水の総量
東電の6月12日の発表(4)を集計すると汚染水の総量は約75万立方メートルで、東京ドームの容量(124万立方メートル(5))の約6割に相当します。
汚染水の増加を抑える事が急務です。福島第一原発で汚染水対策は
①原子炉建屋間近の地下水を海あげて海に流し、原子炉タービン建屋への地下水の流入を抑えるサブドレイン
②海側の壁をと閉じて汚染水の海への流れを止め、海に流れる汚染水は溢れ出ないように汲み上げやはり海に流す海側遮水壁と地下水ドレイン
③原子炉やタービン建屋の山側に氷の壁を作り、地下水の侵入を抑える陸側遮水壁(山側)
④原子炉やタービン建屋の海側に氷の壁を作り、地下水の侵入を抑える陸側遮水壁(海側)
の順番で実施される予定です(6)。

※(6)を転載
図―2 東電が実施を計画している汚染水抑制対策
(=^・^=)の集計では概ね毎日500立方メートル増えている感じです。これを2016年度までに増加量を1日当たり100立方メートル未満に減らすとするものです(7)。その為には「サブドレイン」を実施する必要があります。これを実施するには福島の漁師さんの了解が必要ですが(6)、東電は汚染水漏れを今年もお越し(6)(8)漁師さんに「(東電を)信用できない」と言わしめてしまいました(6)(9)。
同じ6月12日に、福島県いわき市漁協は理事会を開いたら7つの支所の全てから「現時点では容認できない」とする反対意見が出たそうです(9)。

※(7)をキャプチャ
図―3 「これ以上海をよごさせたくない」と話す福島県いわき市の漁師さん
これについて、福島県の地方紙の福島民友は
「(汚染水の増加の抑制策を)政府と東電は、いずれも15年度中に始めたい考えだが、凍土遮水壁は原子力規制委員会が試験凍結しか認めておらず、サブドレン計画については漁業者らへの説明を再開したばかりで、現時点では開始時期のめどが立っていない状況だ。」
と報じています(10)。
2.核燃料プールの取り出しは開始は3年遅れ
2011年12月21日に福島第一原発の「廃炉」に向けた最初の工程表が発表になりました(11)。それによると、核燃料プールからの核燃料取り出し開始は
1号機 2017年末
2号機 2018年4月位
3号機 2014年末
位から始める予定でした。

※(11)を抜粋・編集
図―4 当初の核燃料取り出し予定
6月12日に取り出しスケジュールの見直しが発表されました(12)。それによると
1号機 2017年末 ⇒2021年3月(3年3ヶ月遅延)
2号機 2018年4月位⇒2020年8月(2年4ヶ月遅延)
3号機 2014年末 ⇒2018年1月(3年遅延)
に変更になりました。概ね3年の遅延です。計画が発表されてから3年半後に3年の遅延となる計画の発表です。当初の見込みより倍近い時間が要しています。
でも、デブリ(溶け落ちた核燃料(13))の取り出しは当初予定通りの2021年(原発事故10年後)、廃炉は事故後30-40年と変えていません(7)。今の工程の進み具合からはおよそ考えられません。あと3・4年したらデブリの取り出し計画が、2・3十年したら廃炉の計画が大幅に見直されそうです。
帰還困難区域を除く避難指示は2017年3月までに解除するとのニュースが流れています(14)。避難指示が解除されれば核燃料プールに核燃料が放置されたままの福島第一原発の近くに住民が住むことになります。それでも「国」は「安全」を叫びそうです。
3.1号機で「瓦礫」が落下
5月21日に福島第一1号機の建屋からの放射性物質の飛散を防止するために設置された覆い(東電はバルーンと呼んでおり東電会見ではビニールに空気を入れて膨らませた物だそうですが(15))がずれていりのが見つかりました(16)。ずれた原因について、瓦礫がバルーンの上に落ちてバルーンがずれたそうです(17)。

※(17)を抜粋
図―5 バルーンに落ちた「瓦礫」
1号機は建屋カバー解体の為に飛散防止剤を撒いていたのですが(18)、東電はそのためのよう匂わせています(17)。でも、原発事故から4年たっても「瓦礫」の落下のある福島第一って不安です。
4.ALPS(多核種除去設備)が止まる
ALPS(多核種除去設備)はトリチウムやウラン235以外の放射性物質を福島第一の汚染水を分離する設備です(19)。当初の計画では2012年夏位には設置が完了する予定でした。

※(11)を抜粋・編集
図―6 当初のALPS(多核種除去設備)の計画
しかし色々と問題をお越し(19)、3年を経た今も試験運転中です(20)。
6月11日午後2時51分に制御回路で漏電が起きて停止しました。東電は修正した制御プログラムに問題があったと見ています(21)。予定を3年過ぎてもトラブルを起こすALPS(多核種除去設備)って大丈夫?
5.ガス管理設備も止まる
福島第一のガス管理設備は原子炉内のが空気を監視します(22)。ところが、6月12日午前6時10分頃、1号機原子炉格納容器ガス管理設備(B系)の放射線検出器の電圧が低下して監視不能になってしまいました(21)。
6.容器(HIC)30基から汚染水が噴出す。
福島第一原発では汚染水を少しでもまともなものにするため、汚染水から放射性物質を可能な範囲で取り除く作業が行われています。放射性物質を取り除くと言っても、無くすことはできないので、汚染水内の放射性物質を集め別の容器(HIC)に集め、容器(HIC)ごと福島第一内に保管しています。ところが今年4月に4月2日に容器(HIC)から汚染水が噴き出しているのが見つりました(23)。
その後も東電が点検を続けたら6月10時点で567基を検査し30基から汚染水が噴き出しているのが見つかったそうです(25)。ただ今は汚染水が噴き出していなくても、時間の経過と共に新たに汚染水が噴き出す容器(HIC)が出てくるそうです(24)。
7.容器(HIC)の不良部品は12個
東京電力は5月22日に放射能汚染物を収納する容器(HIC)の蓋にガス抜きようの穴が開いていいないももが使われている旨を発表しました(24)。その後、点検を実施した結果
6月10日時点で検査362基中12基でガス抜きの穴が開いていない蓋(不良部品)が見つかったそうです(25)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
廃炉に向けた工程表(ロードマップ)が6月12日に改定されたことに触れ、6月14日の社説を
「政府、東京電力は、福島第1原発の廃炉を成し遂げなければ、本県の復興は成し得ないと、あらためて肝に銘じなければならない。」
と書き出しています(26)。福島復興にとって福島第一原発の安定化は最重要課題なようです。でも本稿で記載した通り、工程は遅れトラブルは続発しています。同社説は
「廃炉自体が遅れるようなことがあってはならない。 」
と結んでいますが(26)、記事に書くのと実行するのでは大変なギャップあると思います。福島からの発信や東電の発表を見ていると、福島第一の下請けさんは頑張っていると思います((=^・^=)の印象です)。

※(27)を転載
図-7 「廃炉に向けてみんが頑張っている」と発言する福島原発難民
それでも結果が出ないのが福島の現実です。これでは福島の皆様は不安だと思います。
福島県の地方紙の福島民友は6月13日の社説で
「 本紙の取材に県幹部は『県内で風評を払拭(ふっしょく)することが、県外で自信をもって売り込むことにつながる』と話している。」
と論じ(28)、今も多くの福島の方が福島産を正しく恐れ、避けている事実を報じています。
福島のサクランボが最盛期を迎え、セシウムも見つかりました(29)。福島県は福島産サクランボは「安全」だと主張しています(30)。福島県いわき市のスーパーではサクランボの予約販売をしています。でも福島産ではありません。

※(31)をキャプチャー
図―8 福島産サクランボの予約販売が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―原子力規制委からお叱り―(2)
中長期ロードマップ|東京電力中の「2015年6月12日(廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議第2回)」
(3)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(4)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第205報)|東京電力(5)
東京ドーム (単位) - Wikipedia(6)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月4週)-汚染水1万m3が行方不明-(7)(2)中の「(資料1)中長期ロードマップ改訂案について(133KB)」
(8)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―ホースの穴から汚染水漏れ―(9)
いわき市漁協、サブドレン容認せず 全7支所が反対意見(福島民友ニュース)(10)
地下水流入100トン未満目標 1~4号機・1日当たり(福島民友ニュース)(11)
東京電力福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ|TEPCOニュース|東京電力(12)(2)中の「(資料2)使用済燃料プールからの燃料取り出しにおける工程見直し(155KB)PDF 」
(13)
福島復興に向けた技術を開発する | 日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所(14)
居住制限、避難指示解除準備区域 28年度まで集中支援 復興指針改定閣議決定 | 県内ニュース | 福島民報(15)
【6月11日】東京電力 記者会見 - 2015/06/11 17:30開始 - ニコニコ生放送(16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―汚染水漏れ容器に不良部品―(17)
2015年6月11日福島第一原子力発電所1号機原子炉建屋3階機器ハッチ開口部バルーンずれ対応状況について(PDF 263KB) (18)
廃炉プロジェクト|東京電力(19)
めげ猫「タマ」の日記 多核種除去設備(ALPS)について(20)
汚染水の浄化処理|東京電力(21)
2015年6月13日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (22)
めげ猫「タマ」の日記 6月3週もトラブル!福島第一原発(23)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月1週)-2週連続火事-(24)
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力(25)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―汚染水漏れ容器に不良部品―(26)
みんゆうNet -社説・福島民友新聞社-(27)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(4月3週)―みんな頑張っている、でもトラブル続発-(28)
みんゆうNet -社説・福島民友新聞社-(29)
めげ猫「タマ」の日記 今年(2015年)も、福島産果樹はセシウム入り(30)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(31)
平尼子店 | マルト - 店舗情報
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- 2015/06/15(月) 06:45:32|
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| コメント:1
頑張って何とかなるような事故じゃない。浪江町にしろ福島県にしろ勘違いしている。イヤ、若しかしたら分かっていて、認めたくないだけ。
そして東電や安倍様に経産省の役人は、頑張ってもしょうがない事故だと分かっているんだな。
- 2015/06/15(月) 14:43:44 |
- URL |
- 武尊43 #mWyI0ZzU
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