福島第一原発汚染水の6月3週(6月8日から15日12時発表)の状況を纏めてました。
①外洋から過去最高の全ベータ
②地下水バイパス井戸のトリチウム累積放出量は4,500億ベクレル
③護岸付近の井戸からも過去最高のセシウムが230倍に急上昇・無論過去最高
④排水路から法令限度を超える全ベータ
1.外洋から過去最高の全ベータ
海洋から相変わらず放射性物質が見つかっています。

※1 (4)(5)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
図―1中の南防波堤南側の全ベータの1リットル当たり20ベクレルは、この地点だけでなく図―1に示す外洋の3地点を含め過去最高です。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―2 南防波堤南側の全ベータ濃度
ずっと検出限界未満が続いていたのですが、突然に急上昇しこれまでの外洋の全ての地点の中で最高を記録しました。最近はトリチウムも見つかるようになっています。福島の外洋汚染はどんどん進行中って感じです。
2.地下水バイパス井戸のトリチウム累積放出量は4,500億ベクレル
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(7)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(8)(9)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(10)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (8)(9)(10)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―3 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算できますので、(=^・^=)なりに計算したら約4,500億ベクレルになりました。

※(11)(12)(13)を集計
図―4 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量
トリチウムの厄介な所は概ね「水」として存在すので、蒸発しトリチウム雲となりトリチウム雨を降らせ、福島の台地で育つ米や果物の作物に吸収されることだと思います。トリチウムの安全性には色々と議論があるとおもいます(14)。東京電力は飲んでも安全と主張していますが、食べても安全とは主張していません(15)。
3.護岸付近の井戸からも過去最高のセシウムが230倍に急上昇・無論過去最高
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―5 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりの値で
No1-8井戸 セシウム 760ベクレル
No1-17井戸 セシウム 230ベクレル
No3井戸 全ベータ 8,100ベクレル
で「過去最高」です。最も気になったのがNo1-17井戸のセシウムです。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す。
図―6 No1-17井戸のセシウム濃度
突然に急上昇しています。数値を1リットル当たりの値で示すと
6月 8日採取 0.88ベクレル
6月11日採取 230ベクレル
で、僅か3日で約230倍に急上昇しています。
4.排水路から法令限度を超える全ベータ
5月末に港湾に通じる排水路に高濃度の汚染水が漏れ出る事故が起こりました(16)。

※(17)を転載
図―7 K排水路
全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(6)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(3)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。以下に汚染水が流れ出たK排水路の放射性物質濃度を示します。

※(18)を集計
図―8 K排水路の放射性物質濃度
法令限度に相当する1リットル当たり60ベクレルを殆どの日で確り超えています。セシウム137の法令限度は1リットル当たり90ベクレルですが、6月9日に法令限度の約3,4倍の1リットル当たり310ベクレルのセシウム137が見つかっています。これについて東電は雨の為と言い訳をしていますが(18)、福島ももうすぐ梅雨入りです。雨がいっぱい降り、大量の放射性物質が海に流れ出そうです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
厚生労働省はセシウム以外の検査は必要ないとしています(19)。でも福島第一から流れ出ているのはストロンチウム90に由来する全ベータやトリチウムです。これでは福島の方は不安だと思います。福島県の地方紙福島民友は6月12日付の社説で
「県幹部は『県内で風評を払拭(ふっしょく)することが、県外で自信をもって売り込むことにつながる』と話している。」
と報じ、福島の方が福島産を避けている実態を報じています(20)。
福島県最大の産地の(21)福島市ではサクランボの出荷が始まりました(22)。サクランボ⇒モモ⇒ナシ・ブドウ⇒リンゴと続く、福島の果物シーズン(23)の幕開けです。福島県は福島産サクランボは「安全」だと主張しています(24)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。

※(25)を引用
図―9 福島産のサクランボが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(6月2週)―今週も過去最高!―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を5月11日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(8)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(9)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」
(10)(2)中の「H6エリア周辺観測孔」
(11)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(12)(3)中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果 」
(13)
報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(14)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?(15)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて (16)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―ホースの穴から汚染水漏れ―(17)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月4週)-汚染水1万m3が行方不明-(18)(3)中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」
(19)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(20)
みんゆうNet -社説・福島民友新聞社-(21)
めげ猫「タマ」の日記 今年(2015年)も、福島産果樹はセシウム入り(22)
「佐藤錦」出荷始まる - ブログ(23)
福島 果物狩り | 一般社団法人 福島市観光コンベンション協会公式ページ こらんしょふくしま(24)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(25)
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- 2015/06/15(月) 19:55:33|
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