福島第一原発汚染水の6月3週(6月16日から21日時発表)の状況を纏めてました。
①外洋6地点から全ベータ、3地点は過去最高
②港湾内の海水からは過去最高のストロンチウム90
③お魚からはセシウムやストロンチウム90
④地下水バイパス井戸から過去最高のトリチウム
⑤護岸付近の井戸からは高濃度の放射性物質、一部は上昇中
⑥排水路から法令限度を超える全ベータ
1.外洋6地点から全ベータ、3地点は過去最高
外洋から相変わらず放射性物質が見つかっています。今週は6地点で全ベータが見つかり、うち3地点が過去最高でした。

※1 (4)(5)(6)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりの全ベータの値で
福島第一港湾口北東側 24ベクレル
福島第一港湾口東側 20ベクレル
福島第一港湾口南東側 16ベクレル
の3地点は過去最高の全ベータ濃度を示しました(8)。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図―2 福島第一原発沖外洋の全ベータ濃度
突然に上昇し、過去最高を記録しました。これからが心配です。
2.港湾内の海水からは過去最高のストロンチウム90
港湾内ではもっと高い濃度の放射性物質が見つかっています。

※1 (5)(9)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 ストロングチウム90はSR90と略す
※5 ストロンチウム90の測定日は5月4日
図―3 福島第一原発港湾内の放射性物質濃度
このうち3,4号機取水口間と4号機スクリーンのストロンチウム90の1リットル当たり1,000ベクレルは共に過去最高です(10)。以下に推移を示します。

※(5)を集計
図―4 3,4号機取水口間と4号機スクリーンのストロンチウム90濃度
急上昇中です。これからが心配です。そして港湾口でも全ベータが見つかっています。
3.お魚からはセシウムやストロンチウム90
福島第一原発の汚染水対策の目標は海洋生物の汚染などの環境負荷を少なくする事だと(=^・^=)は思います。今週福島第一原発港湾内のお魚のセシウム濃度が発表されました(11)。以下にムラソイのセシウム濃度を示します。

※(13)を集計
図―5 福島第一港湾内のムラソイのセシウム濃度
下がっている様子がありません。ムラソイから未だに1キログラム当たり56,000ベクレルのセシウムが見つかっています(11)。
先週に福島第一原発沖等にとれたお魚のストロンチウム90濃度が発表されました(14)。そこにババガレイの検査結果があったので、ババガレイについてストロンチウム90濃度の推移を纏めました。

図―6 福島第一沖のババガレイのストロンチウム90濃度
サンプル数は少ないのですが上昇傾向です。
①2項に記載したように港湾内からは過去最高のストロンチウム90が見つかっています。
②1項に記載したように外洋の3地点からはストロンチウム90由来の全ベータが過去最高を記録しています。
③そして福島第一原発沖のババガレイのストロンチウム90濃度が上昇傾向です。
(=^・^=)はこの先が心配です。
4.地下水バイパス井戸から過去最高のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(16)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(17)(18)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(19)。以下に放射性物質濃度を示します。

※1 (17)(18)(19)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―7 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
このうち地下水バイパス用井戸のNo9で過去最高のトリチウムが見つかりました。以下に推移を示します。

※(19)を集計
図―8 地下水バイパスNo9井戸のトリチウム濃度
今後も上昇が続きそうで心配です。
地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算できますので、(=^・^=)なりに計算したら4,500億ベクレルを超えました。

※(20)(21)(22)を集計
図―9 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量
トリチウムの厄介な所は概ね「水」として存在すので、蒸発しトリチウム雲となりトリチウム雨を降らせ、福島の台地では野菜や果物が育ちそうです。トリチウムの安全性には色々と議論があるとおもいます(23)。東京電力は飲んでも安全と主張していますが、食べても安全とは主張していません(24)。
5.護岸付近の井戸からは高濃度の放射性物質、一部は上昇中
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 SR90はストロンチウム90を示す。
※5 ストロンチウム90は5月4日サンプル
図―10 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
この中でNo1井戸が気になりました。以下に推移を示します。

※1(5)を集計
※2 ストロンチウム90は凡例中ではSR90と略す
図―11 No1井戸の放射性物質濃度
ストロンチウム90も全ベータも上昇傾向です。
6.排水路から法令限度を超える全ベータ
5月末に港湾に通じる排水路に高濃度の汚染水が漏れ出る事故が起こりました(25)。

※(26)を転載
図―12 K排水路
全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(7)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(3)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。以下に汚染水が流れ出たK排水路の放射性物質濃度を示します。

※(18)を集計
図―13 K排水路の放射性物質濃度
法令限度に相当する1リットル当たり60ベクレルを殆どの日で確り超えています。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。長くなってすいません(__)。汚染水漏れひとつをとっても福島第一は様々な問題を抱えています。これでは福島の方も心配だと思います。福島県の地方紙の福島民友は6月21日付の社説で
「心配なのは、福島第1原発の汚染水問題だ。今年に入ってからも汚染雨水の外洋流出などがあり、漁業者らは不信感を募らせた。東電は、漁業再生への動きに水を差さないよう対策を徹底すべきだ。」
と論じています(27)。
福島県会津若松市はサクランボ狩りの季節を迎えたそうです(28)。福島県は福島産サクランボは「安全」だと主張しています(29)。でも福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。

※(29)を引用
図―14 福島産サクランボが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(6月3週)―外洋から過去最高の全ベータ―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「.海水(港湾外近傍)」を6月21日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
2015年6月17日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 408KB)(9)(2)中の「2.海水(港湾内)」を6月21日に閲覧
(10)
2015年6月19日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 294KB(11)
2015年6月17日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内> (12)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中の各月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>
(13)(12)中の各月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所港湾内>」
(14)
魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域>2014年度 第4四半期採取分(PDF 12.3KB (15)(12)中の2014年3,6,9,12月および2015年3,6月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域>201*年度 第*四半期採取分 」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(17)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(18)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」
(19)(2)中の「H6エリア周辺観測孔」
(20)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(21)(3)中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果 」
(22)
報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(23)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?(24)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて (25)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―ホースの穴から汚染水漏れ―(26)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月4週)-汚染水1万m3が行方不明-(27)
みんゆうNet -社説・福島民友新聞社-(28)
ふくしまフォト便り | ふくしま 新発売。(29)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(30)
アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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- 2015/06/21(日) 19:44:02|
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| コメント:1
タマ様へ
ストロンチウム値の掲示、ありがとうございます。意外に少ない。しかし安心していいのか?筋肉の蓄積量なので、骨には沢山たまってたということなんでしょうか。
***タマ様に告げ口のコーナー***
1. 6月16日 東京MX TV 朝7時頃からのニュース
あの堀潤氏が司会をやっている番組
開沼ヒロシが、福島の産品は放射能不検出だと公言し、田中康夫が苦笑、堀は受け流す。
開沼は上野千鶴子の秘蔵っ子じゃなかったっけ?弟子の行状、どう思う?
まるで、最初放射能を叫んでいたのに、いつの間にか桃売りに転じた○合×一みたい。
2. 同日、東京新聞4面
納豆菌によるセシウム浄化策を紹介するなかで、
福島の米は安全だ、2014年度産の米は全て検査され、キロ100bq越えた袋はひとつもなかった。と。
100BQ以下なら出てるかもしれないじゃない。そもそも基準値が高いんだよ!
3. 6月19日付 同紙 8面
高嶋ちさ子の子育て日記
東日本大震災のとき、東京でも精神的な不安を抱えた子どもがたくさんいたそうです。
そういうお子さんのお母さんは、子どもへの放射能の影響を心配するあまり、「水を替えよう」「九州に逃げよう」と反応して、そんな母親の不安が子どもに伝わった面もあったようです。
ですとさ。エートス派かっ?!心配するの、当たり前!!
この女、我が強く 体も頑丈そう。放射能に勝つ自信があるのだな。戦ってみろ。
- 2015/06/22(月) 01:48:21 |
- URL |
- メゲる子 #L1eYb86o
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