福島第一原発汚染水の6月4週(6月22日から28日時発表)の状況を纏めてました。
①外洋4地点から全ベータ
②港湾内の海水からは過去最高の全ベータやセシウム
③地下水バイパス井戸から過去最高のトリチウム
④護岸付近の井戸からは過去最高のトリチウム
⑤排水路から法令限度を超える全ベータ
1.外洋4地点から全ベータ
外洋から相変わらず放射性物質が見つかっています。今週は4地点で全ベータが見つかりました。

※1 (4)(5)(6)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(7)
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
このうち福島第一港湾口北東側、福島第一港湾口東側、福島第一港湾口南東側の3地点はこれまで全ベータが検出されることはありませんでしたが、最近は見つかるようになりました。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図―2 福島第一原発沖外洋の全ベータ濃度
福島の海洋汚染は着実に進行しているようです。
2.港湾内の海水からは過去最高の全ベータやセシウム
港湾内ではもっと高い濃度の放射性物質が見つかっています。

※1 (5)(9)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―3 福島第一原発港湾内の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりで物揚場前の全ベータ52ベクレルと1号機取水口のセシウム56ベクレルは過去最高です(9)。以下に物揚場前の放射性物質濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図―4 物揚場前の放射性物質濃度
港湾口でも全ベータやトリチウムが見つかっているので、港湾内の高濃度の汚染水は確実に外洋に流れ出ており、港湾内でブロックされている事などありません。
3.地下水バイパス井戸から過去最高のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(10)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(11)(12)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(13)。以下に放射性物質濃度を示します

※1 (11)(12)(13)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
このうち地下水バイパス用井戸のNo10で過去最高のトリチウムが見つかりました。以下に推移を示します。

※(13)にて作成
図―6 地下水バイパスNo10井戸のトリチウム濃度
今後も上昇が続きそうで心配です。
地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算できますので、(=^・^=)なりに計算したら約176億ベクレルになりました。

※(14)(15)(16)を集計
図―7 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量
トリチウムの厄介な所は概ね「水」として存在すので、蒸発しトリチウム雲となりトリチウム雨を降らせ、福島の台地では野菜や果物が育ちそうです。トリチウムの安全性には色々と議論があるとおもいます(17)。東京電力は飲んでも安全と主張していますが、食べても安全とは主張していません(18)。
4.護岸付近の井戸からは過去最高のトリチウム
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。

※1(5)を集計
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
図―8 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
この中でNo3井戸のトリチウム濃度の1リットル当たり8、400ベクレルは過去最高です。

※(5)を集計
図―9 No3井戸のトリチウム濃度
ずっと上昇傾向が続いています。この先が心配です。
5.排水路から法令限度を超える全ベータ
福島第一原発構内にには幾つもの排水路があります。

※(19)を転載
図―10 福島第一原発内の排水路
当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みそうです。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(21)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(3)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。以下に汚染水が流れ出たK排水路の放射性物質濃度を示します。

※(22)を集計
図―11 K排水路の放射性物質濃度
法令限度に相当する1リットル当たり60ベクレルを殆どの日で確り超えています。高い濃度の放射性物質が見つかると東電は「雨」の為と言い訳をしていますが(22)、福島も梅雨入りしました(23)。これから大量の放射性物質が海に流れ込みそうです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
先週も幾つかの過去最高汚染水濃度が見つかりましたが(1)今週もです。福島第一原発の汚染水漏れは収束するどころか酷くなってる気がします。福島の方も心配だと思います。6月28日に福島産をPRするイベントが千葉県習志野市で開かれ福島産「トマト」がPRされたそうです(24)。福島はトマトの季節のようです。福島県は福島産トマトは安全だと主張しています(25)。でも福島県郡山市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(26)を引用
図―12 福島産トマトの無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(6月3週)―外洋6地点から全ベータ、3地点は過去最高―(2)
サンプリングによる監視|東京電力(3)
報道配布資料|東京電力(4)(2)中の「.海水(港湾外近傍)」を6月28日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)(2)中の「タンクの水漏れに関するモニタリング⇒南放水口・排水路」
(7)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)(2)中の「2.海水(港湾内)」を6月21日に閲覧
(9)
2015年6月28日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 263KB)(10)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて(11)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」
(12)(2)中の「H6エリア周辺観測孔」
(13)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(14)(3)中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果 」
(15)
一時貯留タンクの運用状況|東京電力(16)
報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(17)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?(18)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて (19)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―(20)(2)中の「地下水バイパスに関するサンプリング」
(21)(3)中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」
(22)
2015年6月28日福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果(PDF 63.6KB) (23)
気象庁|平成27年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)(24)
県産の夏野菜、首都圏でPR | 県内ニュース | 福島民報(25)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(26)
平尼子店 | マルト - 店舗情報
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- 2015/06/29(月) 19:47:59|
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