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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(7月1週)―凍土遮水壁 年度内完了困難に―

トラブルいっぱい福島原発(7月1週)―凍土遮水壁 年度内完了困難に―
 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、7月1週(6月29日から7月5日)もしっかりトラブルが起こっています。

1.凍土遮水壁 年度内完了困難に
 福島県地方紙の福島民報は7月4日の1面トップで
  「凍土遮水壁 年度内完了困難に」
と報じていました。
 凍土壁が遅れることを報じる福島県の地方紙・福島民報
※(2)をキャプチャー
 図―1 「凍土遮水壁 年度内完了困難に」と報じる福島県の地方紙福島民報

 福島第一原発では日々、汚染水が増加しています。
日々増加する福島第一原発汚染水
※(3)を集計
 図―2 日々増加する福島第一原発汚染水

 (=^・^=)なりに集計すると1日500立方メートルのペースで増え続け、東京ドームの容量(4)の6割にあたる75万立方メートルの汚染水があります(5)。以下に福島第一の汚染水処理の流れを示します。
結局はタンクにためるしかない福島第一原発汚染水
 ※(6)(7)等により作成
 図―3 福島第一の汚染水処理の流れ

原子炉建屋やタービン建屋に地下水が流れ込み中にあるデブリ(溶け落ちた核燃料)と混じり、汚染水になります(6)。このままでは溢れてしまうので汲み上げていますが、汲み上げた汚染水は
 ①原子炉を冷やすための水(東電は「淡水」と呼んでいます)(6)。
 ②技術的に可能な範囲で放射性物質を分離した汚染水(東電は「処理水」と呼んでいます)(7)
 ③汚染水から分離した放射性物質の塊(東電は「廃スラッジ」と呼んでいます)(8)
に分けられます。このうち②③はこの先の行き場がないので、福島第一原発内に「保管」されます。
 汚染水は汚染水タンクに保管するのですが、このままでは汚染水タンクが一杯になり、汚染水を溢れさすかマシな汚染水から捨てていくしかなくなります。そこで東京電力と安倍出戻り内閣は2016年に汚染水の増加量を1日当たり100立方メートルまで抑える計画を6月12日に発表しました(10)。この計画の柱は
 ①原子炉やタービン建屋に侵入する前に周囲で地下水を汲み上げ海に流すサブドレイン(11)
 ②原子炉やタービン建屋の回りを氷の壁で囲い、地下水の流れそらす凍土壁(12)
です。
凍土壁平面図
 ※1 Google Mapと(13)で作成
 ※2 数字は号機の番号
 図―4 凍土壁の概要

 6月12日の発表では、2016年4月には凍土壁を完成させ2017年4月には汚染水の増加量を1日100立方メートルに減らす計画を発表しました(14)。
来年3月までに凍土壁凍結が完了する現在の計画
 ※1 (14)を抜粋
 ※2 縦横比はいじってます。
 図―5 凍土壁の6月12日時点の計画

 福島県の地方紙の福島民報は「凍土遮水壁 年度内完了困難に」との表題で6月5日に、
「東京電力福島第一原発の汚染水対策の柱となる凍土(陸側)遮水壁は、目標とする今年度末の本格凍結の完了が困難な状況となった。」
と報じました。理由は
 ①凍土壁の試験凍結を初めているが、当初の想定通りに温度が下がらない。
 ②凍土壁に先行して実施する事になっているサブドレインの見通しが立たない。
です(15)。
 4月末より凍土壁では地中に埋められた配管(凍結管)に冷たい液体を流し、一部を凍らせる試験凍結が試みられています(13(16)。
 以下に凍結管から距離と地中温度の関係を示します。
凍結管から離れると直ぐに上昇する地中温度
 ※1(13)にて作成
 ※2 は(=^・^=)の引いた近似曲線
 図―6 試験凍結にからの距離による地中温度

 500ミリメートルでは概ね0℃以下ですが、1000ミリメートルでは0℃を超えています。全部で1、551本の凍結管を設置する計画です(16)。凍土壁の全長は約1,600mですので(17)、平均間隔は1,032ミリメートルです(1600÷1551×1000)。最低でも半分の516ミリメートル付近では0℃を大きく下回る必要があります。図―6に示すように516ミリメートル付近でも0℃ギリギリのポイントもあります。
 以下に(=^・^=)が近似曲線から求めた516ミリメートル付近の温度を示します。
下がらなくなった地中温度
 ※(18)にて作成
 図―7 516ミリメートル付近の温度の推移

概ね―10℃で一定してきました。これ以上の温度低下は見込めない状況です。東京電力は試験凍結に併せ地下水の流れに異常がないか確認するために、地下水水位を測っています(20)。以下にその結果を示します。
異常な低下かもしれないCi-1の地下水位
 ※1(20)より作成
 ※2 小名浜港(福島県いわき市)の海面を基準とした「海抜」
 図―8 凍土壁試験凍結前後の地下水位

 このうち図-4に示すCi-1の場所で他に比べ地下水位が大きく低下しました。いまのところ原因不明だそうです。7月1日開かれた「第36回特定原子力施設監視・評価検討会」(19)を聞いていると、通常のばらつきの範囲である可能性もあるそうです。無論、そうでない可能性もあります。矢も無く近くの凍結管No7の冷却を停止したそうです(19)(20)。
 このような状況について
  「東電の担当者は『どの程度地中が凍結しているかは目視できない。現在はまだデータを集めている状況』と説明。今後、原因究明や対策などを進めるとしている。試験凍結は数週間で完了する計画だったが、『終了時期の見通しは立たない』という。」
とのことです(15)。
 サブドレインは原子炉やタービン建屋に侵入する前に周囲で地下水を汲み上げ海に流すものです。詳しくは(=^・^=)の過去の記事を見てください(21)。サブドレインといいても所詮は福島第一原発の水であり確り放射性物質に汚染されています。東京電力はある程度は浄化してから海に流すと説明していますが(21)、汚染水は汚染水です。これを流すには福島の漁師さんの了解が必要です(22)。
「東電は地元の漁協関係者らに海洋放出を認めるよう求めているが、汚染雨水の流出などのトラブルが相次ぎ、理解を得られていない。」そうです(15)。
原子力規制委はサブドレンを先に実施後に凍土壁を凍結を開始すべしとしているので(23)、サブドレインが始まらないと次の凍土壁には勧めません。
 6月12日に発表した計画が1ヶ月も経たずに頓挫した感じです。

2.福島第一原発1号機の吹き抜けは塞ぎません
 東京電力は1号機の建屋カバーの解体を計画しています(24)。ところで、福島第一原発には大物搬入口から屋上に抜ける巨大な「吹き抜け」があります(25)。
原子炉建屋内にある大きな吹き抜け
 ※(25)にて作成
 図―9 福島第一原発1号機の「吹き抜け」

 建屋カバーを解体すると、この「吹き抜け」から放射性物質が飛散することを心配して巨大な「風船」(バルーン)でここを塞ぐ計画を立てていました。ところが建屋カバー解体の為に飛散防止剤を撒いたら、風船がずれてしまいました(26)。上に瓦礫が落ちてずれたのが原因です(27)。
 その後、東電は「吹き抜け」を塞がなくても放射性物質は飛散しないとし、「吹き抜け」を塞がずに建屋カバーを解体する計画に変更しました(27)。また原子力規制に対し「認可申請」も出したようです(28)。7月1日に「第36回特定原子力施設監視・評価検討会」が開かれたのですが、この問題は審議されませんでした(17)。以下に現時点の計画を示します。
5月末には始まるはずだった1号機のカバーの解体
 ※(27)より作成
 図―10 1号機建屋カバー解体の計画

 5月末に始まるはずの屋根パネルの取り外しが始まっていません。今のとこでは7月12日までは、特段の作業は予定されていません(24)。原子力規制委員会の審査に「合格」しないと始められないので、それなりに遅れそうです。

3.福島第一2号機、原子炉格納容器の前は1000ミリシーベルト以上
 東京電力は福島第一2号機の格納容器の中に空いている観測用の「孔」(ペネ)から内部を観察する計画をたてています。それに先立ち、格納容器の前の放射線量を測定しました。そしたら毎時1000ミリシーベルト以上であることが分かりました。以下に測定場所の概要を示します。
格納容器の観測孔(ペネ)当たりの断面
 ※(29)にて作成
 図―11 2号機格納容器外側の孔(ペネ)付近の断面

 以下に「奥側」の測定結果を示します。
1000ミリシーベルト以上の高線量が測定された2号機観測孔(ペネ)付近
※1(29)にて作成
 ※2 線量測定器の保証測定範囲は~999.9mSv/hであることから1000mSv/h以上は参考値
 図―12 2号機格納容器園側の孔(ペネ)付近の放射線量

 1時間当たり1000ミリシーベルト以上の放射線量が測定されました。ただし、測定器の保証測定範囲は毎時1000ミリシーベルトですので、毎時1000ミリシーベルト以上としか言えないみたいです。
 男性の原発作業員の被ばく限度は最大で年間50ミリシーベルトです(30)。3分間で限度に達します。およそ人が作業できる場所ではありません。

4.不良の「蓋」は7個
 図ー3に示すように汚染水を処理装置に通すと高濃度の放射性物質を含む「カス」がでます。カスは東電がHICと呼んでいる容器に保管しますが、放射線が高いと水等を分解し水素ガスがでます。ガスがたまると危険なので容器(HIC)には穴を空けることになっています。ところが「穴」の無い蓋が見つかったことから東電は調査を実施しています(27)。
 今週、調査結果が発表になりました(31)。それによると全478個のうち17個のHICの蓋で設計と合わないものが見つかり、17個のHICの蓋を取り外し、再度、孔の数を確認したら、孔不足の蓋が6個、孔過多の蓋が1個見があったそうです。
 また1個の蓋はせっかくの孔が「遮蔽ゴムマット」で覆われているのが見つかり、遮蔽ゴムマットに孔をあけたそうです。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 トラブル続きの福島第一原発、福島の方も心配だと思います。
 7月に入り福島ではモモのシーズン入りです(32)。収穫も始まりました(33)(34)。福島のモモはバランスがとれたおいしさが特徴だそうです(35)。福島県は福島のモモは安全だと主張しています(36)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産モモはありません。
他県産はあっても福島産モモが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
 ※(37)を引用
 図-13 福島産のモモが載っていない福島県いわき市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(2)福島民報
(3)プレスリリース|東京電力中の「2015年6月12日(廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議第2回)⇒福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(4)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(5)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第208報)|東京電力を集計
(6)原子炉の安定化|東京電力
(7)汚染水の浄化処理|東京電力
(8)廃スラッジ|電気・電力辞典|東京電力
(9)中長期ロードマップ|東京電力
(10)(6)中の「2015年6月12日(廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議第2回)⇒(資料1)中長期ロードマップ改訂案について(133KB)」
(11)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ(計画)|東京電力
(12)陸側遮水壁|東京電力
(13)2015年7月2日福島第一原子力発電所陸側遮水壁試験凍結の状況について(PDF 1.38MB)
(14)(6)中の「2015年6月12日(廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議第2回)⇒(資料3)東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(案)(1.43MB)」
(15)凍土遮水壁 年度内完了困難に | 県内ニュース | 福島民報
(16)2015年7月2日福島第一原子力発電所陸側遮水壁凍結管設置作業の進捗状況について(PDF 89.8KB)
(17)March 2014:特集「安定化へ向けて 東京電力福島第一原子力発電所」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社
(18)報道配布資料|東京電力中の「福島第一原子力発電所陸側遮水壁試験凍結の状況について 」
(19)第36回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(20)(19)中の「資料1 試験凍結実施状況・建屋内外水位が逆転した場合の影響検討【PDF:9MB】」
(21)めげ猫「タマ」の日記 福島第一サブドレイン汲み上げについて
(22)<福島第1>サブドレン放水 いわき市漁協容認へ 河北新報-2015/06/25
(23)サブドレン稼働が条件 第一原発の凍土壁運用で規制委 | 県内ニュース | 福島民報
(24)1号機原子炉建屋カバー解体作業|東京電力
(25)[PDF]福島第一原子力発電所 1号機オペレーティングフロア 再調査
(26)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―汚染水漏れ容器に不良部品―
(27)(6)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2015年6月25日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第19回事務局会議)⇒【資料3-2】使用済燃料プール対策(5.09MB)」
(28)(19)中の「参考1 実施計画の変更認可申請の審査状況【PDF:114KB】⇒整理番号89」
(29)2015年6月29日「原子炉格納容器内部調査技術の開発」2号機原子炉格納容器内部 A2調査(X-6ペネ周りの状況について)(PDF 762KB)
(30)放射線業務従事者 - Wikipedia
(31)2015年6月30日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】
(32)福島 果物狩り | 一般社団法人 福島市観光コンベンション協会公式ページ こらんしょふくしま
(33)「早生種モモ」収穫始まる JA伊達みらい、糖度・着色十分(福島民友トピックス)
(34)「はつひめ」出荷始まりました - ブログ
(35)バランスのとれたおいしさ!ふくしまのモモ! | ふくしま 新発売
(36)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(37)平尼子店 | マルト - 店舗情報
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  1. 2015/07/05(日) 20:19:29|
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