福島第一原発事故では放射性物質は福島県外にも広がり多くの地域で行き場のない放射能入りのゴミ(指定廃棄物)が出ました。現時点では宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県に一箇所つづ最終処分場をつくり各県で処理する計画になっています(1)。しかし候補になった市や町は激しく反対しています(2)~(6)。その打開策として出てきたのが、福島に集約する「福島集約論」です。論点は
①福島から出たゴミだから福島に持って行くべき(6)
②高線量地帯で集中的に管理すのが合理的
③分散して管理するより1箇所に集めた方が良い
なのです。これに対する反論は
①これ以上の負担を福島に強いるべきでない
②そもそも福島第一の電気は関東地方で使っていた
等だと思います。
(=^・^=)なりにどちらに合理性があると言えば、どちらも正しいと思います。結局は「最後は金目でしょ」で解決するしかないと思います。
1.指定廃棄物とは
福島原発事故によって、福島県に限らず福島の隣県にも多くの放射性物質がばら撒かれました。放射性廃棄物は放置すると危険なので集めて管理する必要があります。国は1キログラム当たり8000ベクレル以上のセシウムを含む「ゴミ」を指定廃棄物と命名し、各県(宮城、福島、栃木、群馬、千葉)に一箇所つづ最終処分場をつくり各県で処理する計画になっています(1)。しかし候補となった市や町は激しく反対しています(2)~(7)。
福島では富岡町と楢葉町の境界付近あるエコテックフクシマクリーンセンターを候補地に挙げています。

※ (8)を転載
図―1 フクシマエコテッククリーンセンター
一応、設置する場所である富岡町への説明ではそれなりの理解が得られたようですが(8)、隣接する楢葉町に対する説明ではかなりの反発が出たようです。いわく
・近くに人が生活する場所に指定廃棄物の処分場を設けることは理解できない
・国が責任を持つといっても信用できない
・住民が納得できるような説明をすべき(以上(7))
・なぜ、人家の近くに処分場を造るのか
・処分場によって帰町の意欲が低下する。計画を白紙に戻すべきだ(以上(8))
などの反対意見が出たそうです。
当然です。楢葉町は現在はほぼ全町が避難指示区域になっていますが、9月には避難指示を解除する予定です(9)。でもあまり人気はないようです。避難指示に先立ち申し込みをすれば楢葉町で暮らせる「準備宿泊」を始めたのですが、申込者は全住民7,401人中(11)の1割以下の692人です(12)。多くの住民が安心して戻って貰うためにもこのような施設は邪魔です。
このような状況で出てきた意見は、指定廃棄物を大熊・双葉町で計画されている「中間貯蔵施設」に(12)集約する「福島集約論」です。
2.福島から出たゴミだから福島へ
指定廃棄物の最終処分場の候補地となった栃木県塩谷町では「福島集約論」を主張しています(6)。その論拠の一つに、出たゴミは「発生源」が引き取るべきとの考えです。簡単に言えば「福島から出たゴミは福島へ」です。
ニュースを見る限り福島原発事故の責任を「個人」で取った方は皆無です。福島原発事故の責任は組織としての「東京電力」や「国」の管理体制などと言われても、ミスジャッジした方がいらっしゃるわけです。福島原発事故は(=^・^=)を含む多くの方を危険に曝し、処理には莫大な費用を要します。(=^・^=)の集計では確定しただけで15兆円を超え、これからも増え続けます(14)。ミスジャッジした方の「個人」の責任は重大であり処断されるべきです。
「原発のように巨大で、一歩間違えば危険なシステムの責任者には一般人とは比較にならない高度な注意義務があるはずだ。責任をうやむやにする社会では、再稼働した原発が再び重大事故を起こし、国民は再度『想定外』の言い訳を聞くことになるだろう。倫理の欠如を許さない責任の明確化が必要だ。」(15)の様に再発防止の為にも責任を明確化すべしとの意見もあります。
気になるのは、福島原発事故の責任が「福島県」に無いのかです。福島第一原発は福島県が誘致して、東京電力とは安全協定も結んでいます。地元の双葉町は
「原子力正しい理解で豊かなくらし」
なとの看板も掲げていました(16)。

※Google Earthよりキャプチャー
図―2 双葉町に掲げられた看板
福島県の沖合で巨大地震が発生し東京電力福島第1原発を高さ8メートルの津波が襲った場合、1~4号機の建屋が浸水するとの予測図を福島県が受け取っていたとのニュースも流ました(17)。この予測図に従い福島県は東電に対し「安全対策」を求めるべきだったが、求めなかったので 「国」や「東電」に比べれば軽いが、ある程度の責任はあってしかるべきだととの主張も可能だと思います。だとしたら原発事故の責任者として、福島から他県に漏れ出た放射性廃棄物は「福島」が引き取るべきだし、「福島に戻せ」との主張は当然です。
一方、原発の安全は「国」と「東電」が全責任があり、「国策だった原発推進の結果である」との考えもあります。国会事故調(18)や政府事故調(19)の報告書では福島県の責任については触れていません。この考えにたてば「福島に戻せ」などとの主張は成立しません。
3.高線量地帯で管理するのが合理的
二つ目の考えは「土地」の効率的利用です。残念ながらは福島第一原発周辺の土地は福島原発事故によって人が住めないほどに汚染されました(20)。経済合理性を考えれば、除染して再利用するよりも放射性物質汚染を前提にした土地利用に合理性があるとの主張です(21)。
中間貯蔵施設への試験輸送が2015年3月13日に始まったので、30年後の(23)、2045年3月13日は中間貯蔵施設は「消滅」していなくてはなりません。その時に中間貯蔵施設の周辺で人が住めるか予想してみました。
以下に2045年3月13日に帰還した場合に、それ以降の50年でどれだけ被ばくするかの見積もりを示します。

※1(24)(25)とGoogle Mapで作成
※2 将来の放射線量は(26)により算出
※3 被ばく線量と放射線量の換算は(27)よる。
図―3 2045年3月13日より50年間の被ばく線量(中間貯蔵施設周辺)
ICRPは100ミリシーベルト以上の被ばくがあると癌が有意に増えるとしてます(28)。中間貯蔵施設の運用が終わるとされている翌日に帰還したとして50年暮らしたら大部分で倍の200ミリシーベルト以上の被ばくをします。これでは人が住めません。他に使い道があるかは分かりませんが、少なくとも相当な期間は人が住めません。
だた逆の考えもあります。福島は福島原発事故で大変な負担を強いられました。そこに放射性廃棄物の集積場を作り、さらなる負担をかけるのは好ましくないとの意見です(29)。
4.分散管理するより一箇所で
纏めて管理した方が「安全」で「効率的」との考えもあると思います。福島の除染廃棄物は580カ所の仮置き場で管理されています。安全であるはずの仮置き場でトラブルが発生しています(30)。2013年12月に子供が除染廃棄物の傍で遊んでいたとの事件がおこりました(31)。今年(2015年)の6月に半数以上の310カ所で袋やシートの破損などの不具合が見つありました(32)。仮置き場が沢山あっては管理がゆきどどかないと思います。だったら1カ所にまとめて確り管理した方が「安全」です。
ただ、福島第一原発の電気は関東地方で使っていました。電気で恩恵を受けたのにゴミは引き取れなど無茶な話です(33)。
5.環境省の見解
この件について環境省は以下の見解を記しています(34)。
Q22.各県にある指定廃棄物を福島県において集約しするべきではないですか?
A22.指定廃棄物は、一時保管がひっ迫しており、早期に処理するため、それぞれの県内で処理する方針です。この方針は放射性物質汚染対処特措法の基本方針に明記されています。
福島県においても、福島県内の指定廃棄物等の処理のため、地元との調整を実施しています。地域による帰還の差異はあるものの、現在避難されている多くの方が帰還を望んでいる中、福島県にこれ以上の負担をさらに強いることは到底理解が得られない状況です。
このため、放射性物質汚染対処特措法の基本方針に基づき、各県内において指定廃棄物の処理を進めていきますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
ただし「多くの方が帰還を望んでいる」とゆうのは嘘です。既に記載した通り楢葉町では届出れば今でも戻れる状態ですが、大部分の方は「届出」を出していないのは1項に記載の通りです。
6.最後は金目でしょ
指定廃棄物福島集約論も各県で処分すべしとの考えも正しいと思います。なにが間違っていたかと言えば、事故が起こらない前提で「原発」を運営したことです。そのような事を言っても放射能汚染ゴミはなくならので、どうにかしなくてはならないと思います。(=^・^=)の結論は
「最後は金目でしょ」
です(35)。各県に処分場をつくるにしても、福島に集めるにしても受け入れ先となる地域が、「最終処分場」を受け入れるマイナス以上のメリット(人参)を提示するしかないと思います。ひょっとすると数兆円になるかも知れませんが仕方がない事です。もっとも(=^・^=)住む街に作るなら10兆円でいやです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
もうすぐ原発が再稼働しそうです(36)。再稼働の是非については色々な意見があると思いますが、再稼働するなら「福島で学んだこと」を確り反映させるべきとの考えに異論を唱える方は少ないと思います。福島の教訓の一つに万が一にも事故が起こった時の「放射性廃棄物」をどのように処理するかが定まっていない事です。事故を起こした原発の立地自治体が引き取るのか、廃棄物が出た先で最終処分するかです。もし、福島原発事故前に決めておいたら、ここまで「指定廃棄物・最終処分」の問題はこじれなかったと思います。でも安倍出戻り内閣はこの問題に何の答えもださず「再稼働」に踏み切りました。こんな無責任な方が「福島は安全だ」とし福島を避ける行為を「風評被害」と非難しても(37)、福島の方は不安になるだけだと思います。
福島のモモは旬を迎えました(38)。

※(38)をキャプチャー
図―4 福島のモモが旬を迎えたと報じる福島のローカルTV局(TUF)
福島のモモは、糖度が高く濃厚な味わいだそうです(39)。福島県は福島のモモは「安全」だと主張しています(40)。福島県福島市は福島県最大のそして全国2位のモモの産地です(41)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産モモは載っていません。

※(42)を引用
図―5 福島産のモモが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
指定廃棄物について|放射性物質汚染廃棄物とは|放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト|環境省(2)
千葉市:指定廃棄物長期管理施設の詳細調査候補地選定にかかる再協議について(申し入れ)(3)
- 栃木県塩谷町 - 指定廃棄物最終処分場候補地選定までの経緯と現状(4)
<指定廃棄物処分場>「国対応で候補地返上も」栗原市長 ...(5)
指定廃棄物最終処分場候補地選定について - 加美町(6)
- 栃木県塩谷町 - 《指定廃棄物》塩谷町長の指定廃棄物の福島原発周辺土地での集中管理発言に対する意見(7)
反対意見相次ぐ 指定廃棄物最終処分計画の楢葉町民説明会で | 県内ニュース | 福島民報(8)
めげ猫「タマ」の日記 フクシマエコテッククリーンセンターについて(9)
<指定廃最終処分場>楢葉住民「計画撤回を」2015年07月20日月曜日 河北新報(10)
<避難解除>楢葉の学校再開に難題山積 2015年07月21日火曜日 河北新報(11)
楢葉町公式ホームページ(12)
準備宿泊に関するお知らせ|楢葉町公式ホームページ(13)
みんゆうNet 原発災害・「復興」の影-【4】「双葉郡」にしか頼めず 県内外の他への建設“非現実的”(福島民友ニュース)(14)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原総費用15兆2373億確定―でもまだまだ増える―(15)
【IAEA報告書】もっと調査が必要だ(6月12日) | 県内ニュース | 福島民報(16)
双葉町、原発推進の看板保存を | 国内外ニュース | 福島民報(17)
<福島第1>8m津波で建屋浸水 99年予測 河北新報(18)
国会事故調 | 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会のホームページ(19)
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(20)
福島第一原発事故による放射性物質の拡散 - Wikipedia(21)
- 栃木県塩谷町 - 《指定廃棄物》第6回栃木県指定廃棄物処理促進市町村長会議での町長の発言要旨(22)
指定廃棄物最終処分場関連情報(23)
【連載・動きだした中間貯蔵施設】(下)「30年以内」守れるのか | 東日本大震災 | 福島民報(24)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(25)
中間貯蔵施設受け入れを表明 福島知事「苦渋の決断」:朝日新聞デジタル(26)
めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる―(27)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(28)
ICRP: ICRP Publication 103(29)
<衆院選>指定廃棄物の福島集約 割れる見解 | 河北新報(30)
めげ猫「タマ」の日記 中間貯蔵関連施設がトラブル(31)
めげ猫「タマ」の日記 福島は6割賛成 沖縄は6割反対―安倍出戻り内閣の迷惑施設(32)
仮置き場半数で不具合 環境省調査 | 県内ニュース | 福島民報(33)
<指定廃棄物>周辺県の「福島集約論」に反発 | 河北新報 ...(34)
よくあるご質問|放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト|環境省(35)
石原環境相「最後は金目でしょ」 中間貯蔵施設巡り発言:朝日新聞デジタル(36)
鹿児島の情報は南日本新聞 - 特集・川内原発(37)
首相官邸 - タイムラインの写真 | Facebook(38)
スイッチ20150720 TUFchannel(39)
フルーツを食す - 福島市ホームページ(40)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(41)
桃の産地と生産量(収穫量)について~福島の桃・あんぽ柿(干し柿)の産直販売=大武農園(42)
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- 2015/07/21(火) 19:45:08|
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安倍様信者が集まるサイトで、一人百億円って書いたら消されちゃった(笑)
それなら信者やってるな!て言いたいよね。自分達に都合の悪い事には嘘を付いてでももみ消す奴らってなんなんだ!?
- 2015/07/21(火) 21:38:23 |
- URL |
- 武尊43 #mWyI0ZzU
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