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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一原発汚染水(7月4週)―今週もあちらこちらで新記録―

 福島第一原発汚染水の7月3週(7月21日から26日12時発表分)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、あっちこっちで過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋の複数個所からセシウム等の放射性物質
 ②港湾内の3地点で、過去最高濃度の放射性物質
 ③地下水バイパス井戸からは高濃度のトリチウム
 ④護岸付近の井戸からは過去最高のセシウムと全ベータ
 ⑤排水路から法令限度を超える全ベータ
 ⑥タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇

1.外洋の複数個所からセシウム等の放射性物質
 海洋から相変わらず放射性物質が見つかっています。
相変わらず放射性物質が見つかる福島第一沖外洋
  ※1 (4)(5)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(6)
  ※5  ストロンチウム90はSR90と略す。
  ※6  ストロンチウム90の採取日は6月1日
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 この中で気になるのが外洋3地点(港湾口東側、北防波堤北側、南防波堤南側)のトリチウム濃度です。以下に推移を示します。
見つからなかったトリチウムが見つかるようになった福島第一沖外洋
 ※1(4)(5)で作成
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 図―2 福島第一原発付近の外洋のトリチウム濃度(2015年)

 今年は3月までは検出限界未満(ND)が継続したのですが4月以降は見つかるようになりました。

2.港湾内の3地点で、過去最高濃度の放射性物質
 港湾内では外洋よりもっと高い濃度の放射性物質が見つかっています。
3地点で過去最高の汚染濃度となった港湾内海水
 ※1 (5)(7)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
 図―3 福島第一原発港湾内の放射性物質

 このうち、物揚場前と1~4号機取水口前の全ベータと港湾中央のセシウムは過去最高濃度(新記録)です。以下に物揚場前の放射性物質濃度を示します。
倍増した物揚場前の全ベータ濃度
  ※1(5)にて作成
  ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
  図―4 物揚場前の放射性物質濃度

 6月中旬までは全ベータは高くても1リットル当たり30ベクレルで収まっていたのですが、6月下旬からは高いと1リットル当たり60ベクレル近くが見つかるようになりました。

3.地下水バイパス井戸からは高濃度のトリチウム
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(8)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(9)(10)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(10)。以下に放射性物質濃度を示します。
高濃度の放射性物質が見つかる地下水バイパス井戸と山側井戸
※1 (8)(9)(10)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―5 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度

 このうち気になったのがNo12井戸のトリチウム濃度です。
再上昇した地下水バイパスNo12井戸のトリチウム濃度
  ※(10)にて作成
 図-6 地下水バイパスNo12井戸のトリチウム濃度の推移

 過去に運用基準の1リットル当たり1500ベクレル(2)を超え、その後は下がったのですが再び上昇しています。図―5に示すようにNo11も運用基準を超えているので、こもまま行けば二つの井戸で運用基準超えが起こるかも知れません。
 地下水バイパスから放流されたトリチウムの総量を濃度×排出量の合計で計算できますので、(=^・^=)なりに計算したら180億ベクレルにを超えました。
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 ※(11)(12)(13)(14)を集計
 図―7 地下水バイパスの累積のトリチウム放出量

4.護岸付近の井戸からは過去最高のセシウムと全ベータ
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
2点で過去最高を記録した護岸の放射性物質濃度
 ※1(5)を集計
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―8 海岸付近の井戸の放射性物質濃度

このうち、No1の全ベータ(1リットル当たり2,300ベクレル)とNo3-3井戸のセシウム(1リットル当たり660ベクレル)は過去最高濃度(新記録)です。No3-3井戸のセシウム濃度の推移を以下に示します。
上昇が続き新記録となったNo3-3井戸のセシウム濃度
 ※(5)を集計
 図―9 No3-3井戸のセシウム濃度

 じわじわと上昇しています。これからも上昇が続くと思います。

5.排水路から法令限度を超える全ベータ
 福島第一原発構内にには幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(15)を転載
 図―10 福島第一原発内の排水路

 当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みそうです。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(6)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(2)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。セシウム137の法令限度は1リットル当たり90ベクレルです(15)。以下に汚染水が流れ出たK排水路の放射性物質濃度を示します。 
法令限度を超える汚染水を流し続けるK排水路
※(16)を集計
 図―11 K排水路の放射性物質濃度

 法令限度に相当する1リットル当たり60ベクレルを殆どの日で確り超えています。7月20日には、1リットル当たりで
 セシウム137 450ベクレル(法令限度の5倍)
 全ベータ    700ベクレル(法令限度の11倍)
の放射性物質が見つかっています。

6.タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
 福島第一原発のタービン建屋の海の間には地下に埋設された放水路があります。
高濃度の汚染水が溜まる排水路
 ※(17)を転載
 図―12 タービン建屋と海の間の排水路

 ここにも確り汚染水が詰まっています。この汚染水濃度が今月(7月)入り急上昇しいています。
最上昇しだした放水路の放射性物質濃度
 ※(18)で作成
 図-13 タービン建屋と海の間の排水路の放射性物質濃度

 上昇・下降を繰り返しているので、何処から放射性物質が流入し、流出したのは確かです。名前が「排水路」なので海に繋がっているような気がします。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 トリチウムの厄介な所は概ね「水」として存在すので、蒸発しトリチウム雲となりトリチウム雨を降らせ、福島の台地で育つ米や野菜などの作物に吸収され、トリチウム米やトリチウム野菜ができそうです。トリチウムの安全性には色々と議論があるとおもいます(19)。東京電力は飲んでも安全と主張していますが、食べても安全とは主張していません(20)。これでは福島の方も不安だと思います。
 今日(7月26日)、福島は梅雨明けしました(21)。いよいよ「夏」本番です。福島も夏野菜のシーズンです。福島を代表する夏野菜に「キュウリ」「トマト」「ピーマン」等があるそうです(22)。福島県白河市は福島県第二位のトマトの産地です。
 brg130921f.gif
 ※(23)を転載
 図―14 福島県のトマトの生産量(2006年)

 福島県白河市のトマトは引き締まったコクのあるぞうです(24)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(25)。でも福島県白河市のスーパーのチラシの福島産トマトはありません。
他県産はあっても福島産トマトが無い福島県白河市のスーパーのチラシ
 ※(26)を引用
図―15 福島産トマトがない福島県白河市にスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県白河市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(7月3週)―ムラソイから26,600ベクレルのセシウム―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を7月20日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(7)(2)中の「3.海水(港湾内)」を7月25日に閲覧
(8)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(9)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(10)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(11)(2)中の「地下水バイパスに関するサンプリング」
(12)一時貯留タンクの運用状況|東京電力
(13)(3)中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果 」
(14)報道関係各位一斉メール|東京電力中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr*)からの排水について 」
(15)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(16)(3)中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」
(17)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(3月3週)―2週連続で外洋からセシウム―
(18)(3)中の「福島第一原子力発電所構内1号機放水路サンプリング結果」
(19)めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?
(20)福島第一原子力発電所でのトリチウムについて
(21)福島など東北南部が梅雨明け 昨年より1日遅く(福島民友ニュース)
(22)福島県産夏野菜シリーズ/東京青果株式会社
(23)めげ猫「タマ」の日記 福島県郡山市の死者数12%増(対原発事故前)、でも増えていないところもある。
(24)管内農畜産物 | JAしらかわ(白河農業協同組合)
(25)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(26)店舗・チラシ検索|ベイシア beisia 豊かな暮らしのパートナー
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  1. 2015/07/26(日) 19:50:27|
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