原子力損害賠償・廃炉等支援機構と東京電力は7月28日に新たな東電再建計画(総合特別事業計画)を発表しました(1)(2)。前回の発表が4月15日でしたので(3)(4)、ほぼ100日で再建計画は破綻し、福島原発事故の費用は一兆円近く増え(=^・^=)なりに見積もると福島県民一人当たり1000万円になりました。これからも増えて行くと思います。
福島原発事故は広範囲に放射性物質がばら撒かき(5)、歴史上稀に見る人災となりました。福島県は7つの地域に区分しています(6)。以下に地域区分を示します。

※1(7)の数値データを元に(8)に示す手法で7月1日時点に換算
※2 放射線量は2015年7月1日時点
※3 地域区分は(6)による
図―1 福島県の地域区分
ただし相双地区は広く避難地域があるので(9)、会津・南会津を纏めて「会津」とされるので(10)、相双を除く4地域(県北、県中、県南、会津)の原発事故事故前1年間(2010年3月―2011年2月)に対する原発事故4年目(2014年3月―2015年2月)の死者数の増加率を示します。

※(11)を集計
図―2 原発事故事故前1年間に対する原発事故4年目の死者数の増加率
県北地域では有意に死者数が増えていますが、他地域では有意と言えるほどの死者数は増えていません。以下に県北地域で死者数がこのように増えるとして、偶然に起こる確率の計算結果を示します。
表―1 県北地域の死者数が偶然に起こる確率の計算結果
※(=^・^=)の過去の記事(13)により作成

他地域の偶然に起こる計算結果については記事が長くなるので割愛します。県北地域と他が何が違うかと言えば放射線量と農業です。以下に福島県県民健康管理調査(14)より(=^・^=)が集計した原発事故直後4ヶ月(2011年3月11日から7月10日)の平均の被ばく線量を示します

※(12)を集計
図―3 原発事故直後4ヶ月の平均の被ばく線量
県北地域の被ばく線量は他地域より多くなっています。
以下に2010年の農業生産額を示します。

以下に2010年の農業生産額を示します。
※(15)を集計
図―4 地域別の農業生産額(2010年福島県)
県北地域が最大です。農業が盛んで被ばく線量が高い県北地域で死者数が有意に増えていれば福島を恐れ、避けるのは当然の行為です。
原発事故から4年以上が経過した今も12万人近い方が避難生活を強いらています(6)。

※(16)を抜粋
図―5 福島県発事故の避難者推移
多くの方が正しく福島を避けて、福島産農産物の価格は今も下落し続けています。

※(17)を転載
図―6 各年5,6月のアスパラガスの価格
今も福島の若い女性は新天地を求め福島から逃げ出しています。以下に2015年の1-6月の移動者の増減(社会的動態)を示します。

※(11)を集計
図―7 福島県の社会的動態(2015年1-6月)
図に示す通り20代前半の女性に移動(福島脱出)が顕著です。
当然の結果です。福島は恐怖に満ちています。このままでは福島県域は滅んでしまうかもしれません。これを阻止するためでしょうか?福島には巨額のお金が投じられています。(=^・^=)は従前の記事で総費用を15兆円と記載しましたが、特別事業計画(東電再建計画)は約100日で破綻し、賠償額が約1兆円増えたり今後の復興費用3兆円の見積もりが出てきたので、再度の集計を行いました。そしたら18兆6640億円になりました。内訳は以下のの通りです。
①原発事故の補償金 7兆0753億円(内除染費用9072億円)(1)
以下に賠償見込み額の推移を示しますが、原発事故後に何回も増額されており、今後も増えると思います。以下に推移を示します。
※(1)にて作成
図―8 福島原発事故賠償の見込み額推移
このうち1889億円は、原子力損害賠償補償契約に関する法律に基づき国から交付されたものです。内訳は
福島第一原発分 1200億円(17)
福島第二原発分 689億円(18)
です。このお金は国から支給されたので、(=^・^=)も支払う税金が原資です。残りは、国などが作った「、原子力損害賠償・廃炉等支援機構」(以下機構と略す)が東電に交付しています(19)。ただ機構もお金が無いので、政府保証をうえけて銀行などからお金を借りて渡しています(19)。借りたお金はいつかは返さないといけないので、以下の3つの方法が検討または実施されています。
・一般分担金:全国の電力会社からお金を集めて返済に充ている。これまでに約5000億集めました。でも元を正せば、原発事故後に値上げされた(=^・^=)も払う電気代です(20)。
・特別分担金:東電の機構に支払う。これまでの累計は1,100億円です(20)。
・機構が所有している東電の(株)を売り払い売却利益でまかなう(21)。
でも、額が多くなれば「税金」の投入もありそうな気がします。
②福島県の予算膨張分 4兆1924億円(だだし除染費用を除く) (22)
福島県の予算・決算を見ると福島原発事故前は8千億円台だったものが2兆円程度に水ぶくれしています。しかたがないことです。福島の台地は放射能に汚染された汚染物です。原発事故で破壊された生活環境を事故前以上にすることは急務です。コンビニをつくったりもしています。 こうした予算は、除染費用を除いた水ぶくれ分に含まれると思います。合計で4兆1924億円です(22)。今の所は「復興増税」ですが、今年度で終わりです(23)。福島原発事故からの「復興費用」も「復興増税」で賄われています。
なお報道等によると(23)、あと3兆円必要です。これを合計すると7兆1924億円です。
③東電が払わない除染費用 1兆7139億円
2011年から15年までの国の除染の合計は2兆6211億円です(22)。このうち、9072億円は東電の賠償に組み込まれた」ので(1)、残りは1兆7139億円です。法律(除染特措法)では、国が支出した除染費用は東電が国に支払わなくではならないのですが、東電が支払ったのは1,217億円です(24)。
④中間貯蔵施設関連費用 1兆3610億円
中間貯蔵施設の建設・運営に1兆0600億円(25)、中間貯蔵施設を福島の方に受け入れてもらうたに国が支出する「交付金」が3010億円です(26)。ただ中間貯蔵施設は用地交渉すら上手くいってない状態なので(27)、終わってみないと分からない気がします。
中間貯蔵施設に運びこまれた除染廃棄物は30年以内に福島から撤去することになっていますが、この費用(新たな処分場の建設費、撤去費用)はこの中に含まれていません。
⑤福島第一原発安定化費用 1兆3214億円
東電が決算で福島第一原発の安定化に使ったとする主張している費用は
2010年度 9,204億円(28)―11年3月11日は2010年度―
2011年度 2,871億円(28)
2012年度 402億円(29)
2013年度 267億円(30)
で、合計1兆2744億円です。この他に国が、凍土壁に320億円、高性能ALPSに150億円の合計470億円を使います(31)。
なおこれには福島第一5,6号機廃炉に伴う損失額398億円は入っていません。
⑥まとめ
以下に①~⑤の集計結果を示します。
表―2 福島原発事故費用(2015年7月時点)

合計すると18兆6640億円です。福島県の人口が193万人なので、福島県民一人につき967万円(約1千万)です。(=^・^=)が福島県民なら福島復興がしなくて良いから1千万をちょうだい、そしたら福島から出ていくと言いたくなる金額です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
これだけのお金を使って、福島の方の不安が消えるのか(=^・^=)は疑っています。福島県会津地方の特産品にトマトがあります。福島県会津地方のトマトは美味しいそうです(32)。福島のトマトのシーズンは6月から8月だそうです(33)。丁度、今です。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(34)。でも福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(35)を引用
図―8 福島産トマトが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県会津若松市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構(2)
特別事業計画の変更の認定について|東京電力(3)
特別事業計画の変更の認定について|東京電力(4)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原総費用15兆2373億確定―でもまだまだ増える―(5)
福島第一原発事故による放射性物質の拡散 - Wikipedia(6)
[PDF]1 7つの地域 - 福島県(7)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(8)
めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる―(9)
区域見直し等について - 福島県ホームページ(10)
会津 - Wikipedia(11)
福島県の推計人口(平成27年7月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(12)
めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について(13)
第19 回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成27年5月18日開催) - 福島県ホームページ(14)
福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ(15)
ふくしま復興のあゆみ第11版の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。 - 福島県ホームページ中の「第11版 平成27年 4月21日発行 (訂正版)[PDFファイル/8.2MB]」
(16)
めげ猫「タマ」の日記 アスパラガス 全国平均価格は2%アップ、福島産は8%ダウン(17)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原総費用15兆2373億確定―でもまだまだ増える―(18)
原子力損害賠償補償契約に基づく補償金の受領について|東京電力(19)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 - Wikipedia(20)
めげ猫「タマ」の日記 福島賠償一般分担金は5000億円超え―原資は電気代―(21)
2014年8月8日特別事業計画の変更の認定について (22)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の総費用は15兆円確定―でもまだまだ増える―(23)
復興にあと8兆円必要、被災4県が推計 :日本経済新聞(24)
賠償金のお支払い状況|東京電力(25)
中間貯蔵施設 受け入れまでの経緯は | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今(26)
【福島民友新聞】 中間貯蔵交付金/被災地主体の復興に生かせ | THE 社説一覧(27)
環境省、中間貯蔵施設予定地の地権者1割から連絡得られず | 県内ニュース | 福島民報(28)
2012年5月14日 特別損益の計上に関するお知らせ PDF版(PDF:138KB)(29)
2013年4月30日 特別損益の計上及び業績予想との差異に関するお知らせ PDF版(PDF:139KB) (30)
<参考2>特別利益の内訳(単独)(PDF 8.79KB)(31)
政府が原発汚染水対策で国費投入、東電任せ転換 | Reuters(32)
会津トマト2015 | あいづ食の陣公式サイト(33)
福島県産夏野菜シリーズ/東京青果株式会社(34)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(35)
アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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- 2015/07/30(木) 19:42:18|
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