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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(8月4週)―下請けさんが死亡、8月3人目―

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、8月4週(8月16日から22日)もしっかりトラブルが起こっています。

1.今週も作業は停止
 8月8日に下請けさんが亡くなりました。これを受け東電は第1原発構内の全ての作業を当面停止し、安全対策を実施することになりました(1)。今週も作業再開したとの発表はありません(2)。福島第一の廃炉作業は半月近く止まったままです。

2.排水路の汚染水が直接外洋へ
 福島第一原発構内には幾つのの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(3)を転載
 図―1 福島第一原発内の排水路
 
 このうちK排水路を法令限度を超える高濃度の汚染水が流れています。
高濃度の汚染水が流れるK排水路
 ※(4)を集計
 図―2 K排水路の放射性物質濃度

 8月18日にK排水路が増水し、汚染水の一部が堰から溢れだし外洋に直接流れ出しました(5)(6)。
堰から溢れ流出すK排水路の汚染水
※(7)をキャプチャー
 図―3 K排水路の堰から溢れる汚染水

 堰から汚染水を汲みあげ、港湾内に通じるC排水路に汚染水を移しているのですが、汚染水を汲みあげるポンプ8台中2台が動作しなかったそうです。流出量や放射性物質の濃度は不明だそうです(5)。
 ポンプはせき内の水位で稼働する台数が変わる。稼働しなかった2台のポンプはせき内の水位が65センチ以上で起動するように設定されていたが、急激にせき内の水位が上昇したため、水面に揺らぎが生じてセンサーが感知できなかったという。これまでもポンプが全台稼働せずに雨水が海に流出していた可能性があるそうです(5)。
 

3.溶融燃料調査装置が使う者にならず
 福島第一原発の廃炉技術を研究する組織に国際廃炉研究開発機構(IRID)があります(8)。IRIDは宇宙から飛んで来る放射線(宇宙線(9))を利用して福島第一原発内の溶け落ちた核燃料を調べる装置を開発しています(10)。レントゲンなどX線を使って内部を調べる装置(11)は良く目にしますが、X線の変わりに宇宙線を使って福島第一原発原子炉ないの状況を透視する装置です(10)。
 報道によると、この装置で2号機の内部を調べる事が計画されていたのですが、装置が大きすぎて他の廃炉作業の邪魔になるので使えないかとがわかったそうです(12)。

4.下請けさんが死亡―今月3人目―
 8月21日午後1時10分頃、発電所構内の1号機タービン建屋大物搬入口付近で、1~4号機タービン建屋滞留水浮上油回収作業につかう機材を運んでいた下請けさんが意識を失ない救急車で病院に運ばれました。搬送先の病院で亡くなられたそうです(13)。これで下請けさんの死亡は5人目です。いまのところ東電からは原因や病名などの発表はありません。
 本件で今年に入り福島第一、第二の下請けさんのトラブルは13件目、うち本件を含め5件では下請けさんが無くなりました。8月の下請けさんの死亡は3人目です。
 ①1月13日、下請さんが福島第一原発で除染作業をしていたらの頭に、吊り上げ作業中の鉛板が当たり「頭部打撲」、救急車で運ばれました(14)。
 ②1月15日、下請へさんが福島第一原発で汚染水タンク雨水抑制対策工事をしていたら、グラインダーで左手をケガを負い、救急車で運れ、全治2ヶ月のケガ(14)。
 ③1月19日に下請けさんが福島第一の空の汚染水タンクの中に転落し、翌日の20日未明に死亡しました(15)。
 ④1月20日、下請けさんが福島第二の機器を点検中に、機器が動き出し頭を挟まれ死亡しました(15)。
この後で「安全総点検」の為に作業が止まりました(16)。
 ⑤3月 2日、福島第一の化学分析棟で、下請けさん(男性)が作業中につまずいて転び、手首を骨折(14)。
 ⑥4月13日、下請けさんが福島第一で草刈り中にケガをし、ドクターヘリで病院に運ばれ、、入院(14)。
 ⑦4月13日、下請けさんの男性が手足の痺れを訴え、救急車で病院に(14)
 ⑧6月16日、福島第一の多核種除去設備建屋内で、下請けさんが作業中につまずいて転倒し全治3ヶ月のケガ(17)。
 ⑨6月27日、福島第一原発で雨水カバー他設置工事を行っていた下請けさんが指を骨折(18)
 ⑩7月27日午後に福島第一構内で汚染水タンク雨水抑制対策工事にしていた下請けさん(男性)が熱中症(19)
 ⑪8月1日 下請けさんが帰宅途中に東電事務所で死亡(原因が発表されていません)(20)。
 ⑫8月8日 下請けさんがタンクの蓋に頭を挟まれ、死亡(20)
 ⑬8月21日、下請けんさんが福島第一構内の1号機タービン建屋大物搬入口付近で、意識を失い、搬送先の病院で死亡を確認
 なお東電社員様のトラブルの発表を(=^・^=)は知りません。全員、無事なようです。下請けさんの「安全」も守れない東電が原子力の「安全」をまもれるのですかね?

4.HICから汚染水漏れ
福島第一では汚染水中の一部の放射性物質を分離し東電がHIC(High Integnty Container)と名ずけた容器に保管しています。
汚染水処理系-全体-
 ※(21)を転載
 図―4 福島第一原発汚染水処理系

 汚染水を処理装置の一つに多核種除去設備(ALPS)があります。多核種除去設備で汚染水を処理すれば、汚染水のカスがどんどん出て来ます。これをHICと呼ばれる容器に保管しています。
 4月2日に容器(HIC)の蓋から汚染水が噴き出していることが発覚しました。この原因について東京電力は
  放射線によって水などが分解し、ガスが発生し容器内の汚染水が押し出された
にのが主原因であると原子力規制委に報告しました。この考えのから導かれる結論として、線量が低く今漏れていない物も日が経てばガスが増え汚染水が漏れ出すとしています。そして以下のような図を出してきました。
 時期が来ればすべての容器から汚染水が漏れ出すとする東京電力
 ※1(21)を転載
 ※2青線の右上では汚染水漏れが起こる
 図―5 表面線量と保管日数により漏れ出す閾値

 図に示す通りこれから保管日数はどんどん増えます。
 そのため7月22日より2回目の点検をしているようです。その結果について東京電力は
 「8月19日時点で232基の点検を実施しているが、新たに2基のHICについて、吸水ブロックに水が染み込んでいることを確認。このことから、1順目の点検にて、水溜まりが確認されたHIC(30基)とは別に計4基のHICから水溜まりが確認されたこととなる。」
と発表しました(14)。これからも3回目、4回目と永遠に点検繰り返すことになりそうです。

付1 川内原発でもトラブル
 九州電力川内原子力発電所はこの夏に稼働している唯一の原子力発電所です(22)。そこでも確りトラブルが起こりました(23)。川内原子力発電所はPWR呼ばれる構造で、2次冷却水を原子炉建屋に送り、原子炉から出てきた1次冷却水で蒸気を発生させタービンを回し電気を作ります。蒸気は復水器に送られそこで海水で冷やされて、また原子炉建屋の中に戻って行きます(24)。
 ※1(23)中の「PDFファイル (添付)川内原子力発電所概略系統図 」などで作成
 ※2 だいぶ省略しているので、詳しくは(23)を見てください
 図―6 PWR型の原発
 
 九州電力は8月21日に「8月20日14時19分に、パラメータの揺らぎであるレベル1に該当する、放射性物質を含まない2次系の復水ポンプ出口の「電気伝導率高低警報」が発信しました。」
と発表しました。原因は2次冷却水に海水が混入したためだそうです。これについて九州電力は
「(混入した海水の塩分は)復水脱塩装置で除去できており、運転継続に支障はありません。」
と主張しています(23)。でも図-6に示す通り、海水と二次冷却水は本来は、パイプで分けられているものです。パイプに隙間(孔、ヒビ、パッキンの緩み等による)がでて海水が混入したはずです。(=^・^=)はパイプの隙間が問題だと思います。


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
一向にトラブルが無くなる気配の無い福島第一原発、福島の方は不安だと思います。
 8月21日は福島県民の日でした(25)。福島県民の日に合わせ、福島県郡山市のショッピングモールフェスタでは福島県の復興シンボルキャラクター・キビタンの20歳の誕生日会開かれました(26)。
未来は暗いキビタンのお誕生会
 ※(27)をキャプチャ
 図―7 福島県郡山市で開かれたキビタンの誕生会

またモスバーガーでは福島県南会津町の特産品のトマト(28)を利用したハンバーガーを販売するそうです(29)。福島はトマトの季節です。福島県は福島産は安全だと主張しています(30)。でもキビタンの誕生会が開かれたショッピングモールフェスタのスーパー(31)のチラシには福島産はありません。
他県産はあっても福島産トマトが無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(32)を引用
 図―8 福島産トマトが無い福島県郡山市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県郡山市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月3週)―作業中止もトラブル―
(2)東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
(3)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(4)報道配布資料|東京電力中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」
(5)福島原発の汚染雨水が外洋流出 構内ポンプがフル稼働せず | 県内ニュース | 福島民報
(6)福島第一原子力発電所K排水路雨水の外洋側への一部排水について|東京電力
(7)東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所K排水路雨水の外洋側への一部排水について
(8)国際廃炉研究開発機構 - Wikipedia
(9)宇宙線 - Wikipedia
(10)公表資料・プレスリリース | 技術研究組合 国際廃炉研究開発機構 - IRID中の「12月 25日原子炉内燃料デブリ検知技術の開発進捗報告(2014年12月25日 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第13回)報告資料)」
(11)X線撮影 - Wikipedia
(12)【福島第1原発の現状】(2015年8月17日)溶融燃料調査のめど立たず 2号機、装置が巨大 : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)
(13)2015年8月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力
(14)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(4月3週)-ロボット回収諦めた-
(15)めげ猫「タマ」の日記 福島原発で死んだ下請けさんは「国策」の犠牲者―でも何もしない安倍出戻り総理―
(16)中長期ロードマップ|東京電力中の「2015年7月30日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第20回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策スケジュール(9.55MB)」
(17)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(6月3週)―下請けさんがケガ―
(18)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(19)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月1週)―下請けさんは熱中症―
(20)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月2週)―下請けさんがWで死亡―
(21)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(5月4週)―汚染水漏れ容器に不良部品―
(22)川内原子力発電所 - Wikipedia
(23)九州電力 川内原子力発電所1号機の出力上昇の延期について(復水ポンプ出口の電気伝導率の上昇)
(24)加圧水型原子炉 - Wikipedia
(25)めげ猫「タマ」の日記 福島県のマスコットキャラクタは20歳―でも未来は暗い―
(26)キビタン20歳おめでとう! 県のキャラクター誕生日会 | ホッとニュース | 福島民報
(27)スイッチ20150821 TUFchannel
(28)南郷トマト |観光情報|福島県南会津町
(29)“モスバーガーに南郷トマト” 21日から福島県内全店舗で(福島民友ニュース)
(30)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(31)ショッピングモールフェスタ :: ショップニュース一覧
(32)AEON | 店舗情報 | イオン郡山フェスタ店
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  1. 2015/08/22(土) 19:42:12|
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