東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、9月3週(9月15日から19日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.今週もタンク堰から汚染水漏れ
福島第一原発は日々、汚染水が発生しこれを汲みあげタンクに保管しています。過去にタンクからの汚染水漏れを起こしており、汚染水漏れが起こっても流れ出ないようにタンクの周りに「堰」を設けています。先週はタンク堰からの汚染水漏れが3回起こっていますが、今週も起こりました。
9月14日午後5時35分頃、福島第一構内H6タンクエリアにおいて堰の3箇所から汚染雨水が漏れているのをタンクパトロール中の下請けさんが見つけました。漏えい箇所は、配管貫通部1箇所と鋼鉄製の堰の平板と平板を接続する補強用の鋼材との接合部2箇所の計3箇所です(2)。
漏れ出る前の汚染雨水からは1リットル当たりで
セシウム137が1.7ベクレル
ストロンチウム90が740ベクレル
見つかったそうです(3)。ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(4)、約25倍です。これについて東京電力は2013年8月19日にこの当たりタンクから汚染水漏れが起こったのですが、その時に漏れた放射性物質が残っていて汚染されたとしています。東電は漏れた汚染水を「核燃料物質等により汚染された水」に該当すると判断と判断したそうです。なお東電の規定では漏らして良い汚染水は法令限度の0.22倍までだそうです(3)。
以下に今週のトラブル発生場所を記載します。

※ リファレンスは各項を参照
図―1 福島第一トラブルマップ(9月3週)
2.3号機タービン建屋で水漏れ警報
9月に入り福島は雨が降りました。以下に福島第一原発近くのアメダス観測点「浪江」の降水量を示します。

※(5)を集計
図―2 福島第一原発近く「浪江」の降水量
このため飯舘村では除染で出た廃棄物を納めた袋が流れ出し(6)、それを探しにいった作業員の方が行方不明になるあってはならない事が起こりました。幸い、作業員さんは無事に救出されましたが、一夜を山の中で過ごしたようです(7)。イノシシとかクマに襲われなくて幸運だったと(=^・^=)は思います。主題と外れますが、本件に関し発注元の環境省の役人は
「遭難することになったとは、どうゆう原因でなったのがが問題」
と他人事のようなコメントをしています。

※(8)をキャプチャー
図―3 他人事のようなコメントをする環境省の役人
でも無理な捜索をさせたのはお前だろうと(=^・^=)は言いたくんなります。普通なら結果として無理をさせるような事になって申し訳ないくらいは言うと思います。徹底的に無無責任です。人の命を危険に曝した自覚がありません。(=^・^=)の記事の基本は感情論は抜きに事実関係を淡々と記述するのが基本ですが、怒りを抑えることができずこんな事を書いたこと読者の皆様にご容赦いただければ幸いです。
9月16日に号機タービン建屋で漏えい検知器が動作しました。このため2号機各建屋から集中廃棄物処理施設高温焼却炉建屋への汚染水の移送が、止まったそうです(3)。この水漏れについて東電は「結露」を主張してますが(3)、図―2に示す様に4、5日前に大雨が降ったので「雨漏り」の可能性もあると思います。
3.汚染雨水は8度目の流出
福島第一原発にはK排水路と呼ばれる排水路があります。

※(10)を転載
図―4 福島第一原発内の排水路
このを流れる排水は高濃度の放射性物質に汚染されています。

※(11)を集計
図-5 K排水路の排水の放射性物質濃度
この排水路の排水先は元々は「外洋」でしたが、汚染水漏れが発覚した後に途中に「揚水機」を設置して、汲み上げ「港湾内」に汚染水を流れるようにしました(12)。それでも時々は「揚水機」の能力を超えて外洋に直接汚染水が流れる事態が発生しています(13)。そこで汚染水を汲みあげる「堰」のかさ上げし、対策を取ったのですが(14)効果がは無かったようです。
福島第一では9月17日深夜から翌未明にかけ1時間当たり10ミリ前後のまとまった雨が降り続いた。溝の出口付近でせき止められた水は、八台のポンプでくみ上げ、港湾内につながる別の溝に流し込んでます。しかし、ポンプの能力が追いつかず、17日23時20分ごろから翌18日午前2時すぎまでの間、三回にわたり堰を越えて外洋にあふれ出たそうです。流出量は不明とのこと(14)。この件は早々と福島では発表したようですが、東京電力がHPで事実を公表したには18日の20時頃です(15)。
このような発表の遅れは東電に対する不信感を生むと思います。東電は柏崎刈羽原発の最稼働を企んでいるようですが(16)、「安全」と信頼されなければ無理なのは当然です。
4.サブドレン稼働2週間、汚染水増加量は加速
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(15)(16)。9月3日に稼働しました(17)。東京電力の当初の見積もりでは、稼働後は直ちに原子炉・タービン建屋の地下水位が低下するとしていたので即効性を(=^・^=)は期待していました。

※(18)を引用
図-6 サブドレン稼働後の水位予測
以下に近々と昨年の同時期の汚染水増加量を示します。

※(19)を集計
図―7 日々の汚染水増加量
サブドレン稼働前は去年(2015年)とほぼ同じレベルの汚染水増加量で治まっていましたが、その後は汚染水増加のペースが早まり、減少の気配が見えないどころか、逆に増えています。
5.ALPSはまもなく停止
福島第一原発では原子炉やタービン建屋に地下水が流れ込みデブリに触れ汚染水に化けています。このままでは溢れてしまうので、これを汲みあげ汚染水タンクに保管しています(20)。以下に汚染水の処理の流れを示します。

※(20)(21)(22)にて作成
図―8 福島第一原発の汚染水処理の流れ
タービン建屋からくみ上げた汚染水はSARRYと呼ばれる装置に通され、セシウムとストロンチウムが荒どりされます。セシウムやストロンチウムが無くなる訳ではないので、カスとして装置から排出され福島第一の敷地に保管されます。
次に「淡水化装置」と呼ばれる装置に送られ原子炉を冷却する水を取り出します。この過程で残りの汚染水の放射性物質濃度は上がります。その後ALPSと呼ばれる装置にとうされ、さらに汚染水から放射性物質を分離しますが、汚染水から全ての放射性物質が無くなるわけでもありませんし、分離した放射性物質は廃棄物として福島第一原発内に保管されています。ALPSを通した汚染水を東京電慾は「処理水」と命名しています(19)。
以下に処理水の量とこれを保管するタンク容量をしめします。

※(19)を集計
図―9 処理水量とタンク容量
「処理水」の量はどんどん増えているのですが、タンク容量はこのところ増えていません。東電の発表(23)では来週もタンク容量は変りません。このままでは間もなくタンクが一杯になってALPSは停止しなくてはならなくなりそうです。タンク容量―汚染水量を「空き容量」とし、以下に「空き容量」の推移を示します。

※(19)を集計
図―10 処理水タンクの空き容量
どんどん減っています。このままではあと9月末か10月初旬で「空容量」が無くなり、ALPSは運転できなくなります。
6.賠償支払い額の公表は止めます。
東京電力はこれまで週毎に福島原発事故賠償の支払い状況を公表してきました(23)。ところが今週は更新がありません。

※(23)を9月19日にキャプチャー
図ー11 9月4日で更新が止まったままの賠償支払い実績
福島原発事故の賠償見込み額は現時点で約7兆円です(24)。東京電力にはそんなお金は無いので、原子力損害賠償・廃炉等支援機構とゆう組織を経由して「国」の支援で東電にお金を渡してします(25)。東電は「国」のお金で生き延びている会社です。だとしたら、お金の使い道も公表し(=^・^=)を含む税金を支払う国民の監視を受けるべきと思います。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表)を参照ください。
トラブル続きの福島原発、福島の方は不安だと思います。
福島ではリンゴの収穫が始まりました(26)。福島県はリンゴも含め福島産は「安全」だと主張しています(27)。福島県福島市のスーパーのチラシには福島産農産物はありません。

※(28)を引用
図―12 福島産農産物が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月2週)―下請けさんの死亡が今年6人目―(2)
2015年9月15日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (3)
2015年9月16日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (4)
サンプリングによる監視|東京電力(5)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(8月4週)―原子力規制委、東電に怒る-(6)
飯舘の除染用収納袋流出 新たに79袋発見 | 県内ニュース | 福島民報(7)
作業員5人の無事確認 飯舘・南相馬の除染袋調査(福島民友ニュース)(8)
ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ中の「2015年9月18日(金)放送」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―(10)
報道配布資料|東京電力中の「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果 」」
(11)
2015年7月16日強い降雨によるK排水路雨水の外洋側への一部排水について(12)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(8月5週)―またも汚染雨水漏れ―(13)
2015年8月31日K排水路 堰の状況(PDF 125KB)PDF(14)
東京新聞:福島第一 汚染水8回目の流出 排水溝あふれ:社会(TOKYO Web) (15)
2015年9月18日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (16)
めげ猫「タマ」の日記 柏崎刈羽原子力発電所30周年―廃炉しか道はない― 東電発表
(17)
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力(18)
第35回特定原子力施設監視・評価検討会(19)
プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(20)
原子炉の安定化|東京電力(21)
めげ猫「タマ」の日記 SR処理水について(22)
サリー (機械) - Wikipedia(23)
賠償金のお支払い状況|東京電力(24)
特別事業計画の変更の認定について|東京電力(25)
原子力損害賠償・廃炉等支援機構(26)
「早生ふじ」・「緋のあづま」の出荷始まる - ブログ(27)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(28)
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- 2015/09/19(土) 19:41:29|
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