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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

トラブルいっぱい福島原発(9月4週)ー汚染水処理は危機的状態-

 東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、9月4週(9月20日から19日)もしっかりトラブルが起こっています。汚染水処理が危機的状態です。

1.サブドレンの効果は見えず
 サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(2)(3)。9月3日に稼働しました(4)。東京電力の当初の見積もりでは、稼働後は直ちに原子炉・タービン建屋の地下水位が低下するとしていたので即効性を(=^・^=)は期待していました。
サブドレン稼働後に直ぐ下がるはずだった地下水位
 ※(4)を引用
 図-1 サブドレン稼働後の水位予測

 以下に近々と昨年の同時期の汚染水増加量を示します。
サブドレン稼働後も去年より多い汚染水増加量
※(5)を集計
 図―2 日々の汚染水増加量

 サブドレン稼働前は去年(2015年)とほぼ同じレベルの汚染水増加量で治まっていましたが、その後は汚染水増加のペースが早まり、いまの所は昨年同時期よりも早いベースで汚染水が増加しています。いまの所は「効果」が見えません。


2.ALPS処理の一系統を追加で停止
福島第一原発では原子炉やタービン建屋に地下水が流れ込みデブリに触れ汚染水に化けています。このままでは溢れてしまうので、これを汲みあげ汚染水タンクに保管しています(7)。以下に汚染水の処理の流れを示します。
福島第一汚染水処理の流れ
 ※(7)(8)(9)にて作成
 図―3 福島第一原発の汚染水処理の流れ


 タービン建屋からくみ上げた汚染水はSARRYと呼ばれる装置に通され、セシウムとストロンチウムが荒どりされます。セシウムやストロンチウムが無くなる訳ではないので、カスとして装置から排出され福島第一の敷地に保管されます。
 次に「淡水化装置」と呼ばれる装置に送られ原子炉を冷却する水を取り出します。この過程で残りの汚染水の放射性物質濃度は上がります。その後ALPSと呼ばれる装置に通され、さらに汚染水から放射性物質を分離しますが、汚染水から全ての放射性物質が無くなるわけでもありませんし、分離した放射性物質は廃棄物として福島第一原発内に保管されています。ALPSを通した汚染水を東京電慾は「処理水」と命名しています(6)。
 多核種除去設備には(普通の)多核種除去設、増設多核種除去設備と高性能多核種除去設備が3種類があります(10)。このうち(普通の)多核種除去設備は既に止まっています。そして9月26日20時前より、高性能多核種除去設備も止めると発表がありました。理由は前段のSR処理水の処理がある程度は完了したとの事です(11)。
 以下にSR処理水の水量とタンク容量を示します。
たっぷり残っているSR処理水
 ※(9)を集計
 図-4 SR処理水の(汚染)水量とタンク容量

 9月24日時点でタンク容量約23万立方メートルに対しSR処理水は15万立方メートル残っています(12)。タンクには容量の7割近いSR処理水が残っています。まだまだ処理は必要です。おかしな話です。
 以下に処理水の量とタンク容量を示します。
タンク容量に迫る処理水の量
 ※(9)を集計
 図―5 処理水量とタンク容量

 「処理水」の量はどんどん増えているのですが、タンク容量はこのところあまり増えていません。タンク容量―汚染水量を「空き容量」とし、以下に「空き容量」の推移を示します。
どんどん減っていく処理水タンクの空き容量
 ※(9)を集計
 図―6 処理水タンクの空き容量
 どんどん減っています。このままでは10月には「空容量」が無くなり、ALPSは運転できなくなります。


4.タービン建屋水位は3m超えのまま
 東京電力は福島第一のタービン建屋内の汚染水の水位について小名浜を基準とした海抜(OP)で3m程度であれば、タービン建屋から汚染水が漏れ出す事はないと主張しています(13)。以下に福島第一ダービン建屋の汚染水の水位を示します。
3m(OP)を超えた汚染水の水位
 ※(9)を集計
 図―7 タービン建屋内の汚染水水位

 今年に入り上昇に転じ、8月位から3mを超えることが常態化しました。
 東京電力は9月28日に海側遮水壁の海側遮水壁打設工事が完了したと発表しました(14)。海側遮水壁は海に「壁」を作り汚染水が海岸から海に流れ出るのを阻止するものです(15)。
閉じた海側遮水壁
  ※(14)を引用
 図―8 打設工事が完了した海側遮水壁

 ただし海の水の流れを止めるので放置すると、海岸に汚染水が溜ります。そこで海岸に溜まった汚染水を汲みあげ、サブドレンと同様に海に放出する計画がなされています(16)。この汚染水は浄化装置で処理した後に規定の濃度を満たしていれば海に流して良い事になっています(16)。汚染水を溢れさせればこれを回収した後に海に流すことができます。
汚染水を溢れさせる抑制可能
 ※(16)の規定より想像
 図―9 新しい汚染水抑制手段


<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 汚染水タンクを無限に増設することはできないので、いつかは汚染水の量がタンク容量を超える日がやってきます。汚染水問題は福島第一に仕掛けられた時限爆弾です。今週の状況を見ると間もなく爆発しそうです。これでは福島の方は心配だと思います。
 福島県は福島産トマトのCMを流しています(17)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(18)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
他県産はあっても福島産トマトがない福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(19)を引用
 図―10 福島産トマトが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発(9月3週)ーサブドレン稼働2週間、汚染水の増加は加速-
(2)2015年9月18日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】  
(3)めげ猫「タマ」の日記 柏崎刈羽原子力発電所30周年―廃炉しか道はない― 
(4)(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について|東京電力
(5)第35回特定原子力施設監視・評価検討会
(6)プレスリリース|東京電力中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について 」
(7)原子炉の安定化|東京電力
(8)めげ猫「タマ」の日記 SR処理水について
(9)サリー (機械) - Wikipedia
(10)多核種除去設備(ALPS) - 福島県ホームページ
(11)2015年9月25日 福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】
(12)2015年9月25日福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第220報)
(13)2. 福島第一原子力発電所の現状とこれまでに実施してきた対策|東京電力
(14)2015年9月24日 福島第一原子力発電所 海側遮水壁打設工事完了について(PDF 541KB)
(15)海側遮水壁|東京電力
(16)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する福島県漁業協同組合連合会からの要望書への回答について|東京電力
(17) TVCM(ふくしまプライド。「南郷トマト 30秒」篇)
(18)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(19)チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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  1. 2015/09/26(土) 19:42:39|
  2. -
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

>東京電慾
ワロタ
  1. 2015/09/27(日) 20:56:44 |
  2. URL |
  3. 武尊43 #-
  4. [ 編集 ]

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