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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島第一原発汚染水(9月4週)ー港湾内から排水基準超えのトリチウム・地下水ドレンの運用困難?-

 福島第一原発汚染水の9月4週(9月21日から27日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています。
 ①外洋からは相変わらずの見つかる放射性物質
 ②港湾内海水から過去最高のトリチウム、排水基準超えで地下水ドレン運用困難
 ③地下水バイパス井戸や山側井戸から過去最高のトリチウム
 ④護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
 ⑤福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
 ⑥タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇

1.外洋からは相変わらずの見つかる放射性物質
  原発事故から4年半が経過しましたが、外洋からは相変わらず放射性物質が見つかっています。
4年半経っても放射性物質が見つかる福島第一外洋
  ※1 (4)(5)(6)(7)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値
  ※4  全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
 図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度

 以下に5,6号機放水口北側の放射性物質濃度を示します。
下がる気配のない5,6号機放水口北側の放射性物質濃度
  ※(5)を集計
 図―2 5,6号機放水口北側の放射性濃度

 東電は色々と対策を講じているようですが(9)、効果が見えません。

2.港湾内海水から過去最高のトリチウム、排水基準超えで地下水ドレン運用困難
 港湾内からはもっと高濃度の汚染水が見つかっています。
事故から4年半を経ても高濃度の放射性物質が見つかる港湾内
  ※1 (5)(10)(11)で作成
  ※2  数値は1リットル当たりのベクレル数
  ※3  集計期間内の最大値  
 図―3 福島第一港湾内の放射性物質濃度

 このうち1リットル当たりで3,4号機取水口間と4号機スクリーンのトリチウム、それぞれ3,500ベクレルと3,600ベクレルは過去最高(新記録)です。以下に推移を示します。
急上昇し排水の基準値を超えた港湾内のトリチウム濃度
 ※(5)(10)にて作成
 図―4 3,4号機取水口間と4号機スクリーンのトリチウム濃度

 東京電力は海側遮水壁と地下水ドレンの計画を進めています(12)。海岸に水を通さない壁(海側遮水壁)を構築し、汚染水の海への流れをブロックするものです。ただし、汚染水が海側遮水壁の内側に溜まり溢れてしまうので、これを汲みあげ海に流すものです。
海側遮水壁内側の汚染水を汲み上げ海に捨てる地下水ドレン
 ※(12)より作成
 図-5 海側遮水壁と地下水ドレン


 9月24日に東京電力は海側遮水壁海側遮水壁の打設工事が完了したと発表しました(13)。図―3に示す様に3,4号機取水口間と4号機スクリーンは海側遮水壁の内側にあります。海側遮水壁の工事の進展に伴い海水の流れが悪くなりトリチウムが上昇したと考えるのが妥当だと思います。工事がすすめばこれからも上昇するはずです。
 地下水ドレンで汲み上げた汚染水は流す前に簡易的な浄化装置を通すのですが、この装置ではトリチウムは取り除けません(14)。一方、東京電力は1リットル当たり1,500ベクレルを超えるトリチウムを含む汚染水は海に流さないとしています(15)。でも基準値の倍以上の1リットル当たり3,500ベクレルと3,600ベクレルのトリチウムが含まれているので海に流すことができません。地下水ドレン運用は困難になります。

3.地下水バイパス井戸や山側井戸から過去最高のトリチウム
 地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(15)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(16)(17)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(17)。以下に放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染水が見つかる地下水バイパスと山側井戸
 ※1 (16)(17)にて作成
 ※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※3 集計期間内の最大値
 図―6 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度 

 1リットル当たりのトリチウムの値で地下水バイパスNo10(18)の2、100ベクレル、G-1の4、400ベクレルとG-2の17,000ベクレルは過去最高(新記録)です。同じく地下水バイパスNo3の340ベクレルは過去タイです。
 以下にG-2井戸のトリチウム濃度の推移を示します。
突然に急上昇したG-2井戸のトリチウム
 ※(16)を集計
 図―7 G-2井戸のトリチウム濃度

 突然に上がっています。なにか異常な事態が発生している気がします。

4.護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
 東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
高濃度の汚染水が見つかる福島第一の海岸部
※1 数値は1リットル当たりのベクレル数
 ※2 集計期間内の最大値
 図―8 海岸付近の井戸の放射性物質濃度


 このうち1リットル当たりでNo1井戸の全ベータ6,800ベクレル、No1-8井戸のセシウム1,170ベクレル、とNo2-8井戸の全ベータ7,700ベクレルとNo3-4に井戸の全ベータ160ベクレルとトリチウム1000ベクレルは過去最高(新記録)です。
 2項に記載した通り海側遮水壁の打設工事は完成しました。(=^・^=)が気になるのは海岸側の井戸のトリチウムです。No3-4以外にもNo0-1-2井戸は1リットル16,000ベクレルあります。こうした高濃度の汚染水が海に流れてば、海側遮水壁内側の狭いエリアに高濃度で滞留します。
 以下にNo3-4井戸のトリチウム濃度の推移を示します。
突然に上昇したNo3-4井戸のトリチウム
  ※1(5)を集計
  ※2 NDは検出限界未満を示します
 図―9 No3-4 井戸のトリチウム濃度

 急に上昇しています。今後も上昇し海にながれるとすれば地下水ドレン計画で汲み上げる予定の海水のトリチウム濃度を押し上げます。基準を超えてしまい汲み上げても排水できなければ溜まる一方になります。福島第一の汚染水対策は無理がある気がします。

5.福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
 福島第一原発構内にには幾つもの排水路があります。
福島第一原発排水路
 ※(18)を転載
 図―10 福島第一原発内の排水路

 当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(8)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(2)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。このうちK排水路とC排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。以下に汚染水が流れ出たC排水路の放射性物質濃度を示します。 
 K排水路では9月26日に法令限度を超える1リットル当たりで
  全ベータ    140ベクレル
の汚染水が流れました(19)。C排水路では9月20日に1リットル当たりで
  全ベータ 180ベクレル
が見つかりました(7)。以下にK排水路の放射性物質濃度を示します。
法令限度を超えた汚染水が流れづづけるK排水路
 ※(19)を集計
 図―11 K排水路の放射性物質濃度

 C、K排水路では法令限度を超える汚染水が海に流れています。東電の発表(20)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、2項に記載した「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。

5.タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
福島第一原発のタービン建屋の海の間には地下に埋設された放水路があります。
高濃度の汚染水が溜まる排水路
 ※(20)を転載
 図―12 タービン建屋と海の間の放水路

 ここにも確り汚染水が詰まっています。以下に放射性物質濃度の推移を示します。
高濃度の汚染水が見つかる1号機放水路
 ※(21)で作成
 図-13 タービン建屋と海の間の放水路の放射性物質濃度

 以下に降水量と汚染水濃度を示します。
貼れると濃度が上がり雨降ると下がる1号機放水路の放射性物質濃度
 ※(21)(22)で作成
 図-14 タービン建屋と海の間の放水路の放射性物質濃度と降水量

 概ね雨が降ると濃度が下がり、晴れると上がります。どこからか高濃度の汚染水が絶えず流れ込み、晴れの日は濃度を上げますが、雨がふると雨水で薄まり濃度が下がるようです。汚染水が絶えず流れる込む為には汚染水が絶えず流れ出さなくてはいけません。何処かに汚染水が流出したのは確かです。名前が「放水路」なので海に繋がっているような気がします。

<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
 原発事故から4年半以上も経っても止まらない福島第一からの汚染水漏れ!福島の方は不安だと思います。
 10月もまじかになり福島からは稲刈りのニュースが流れてきます(23)。福島は新米の季節です。特に福島県いわき市では約3万5000袋が全袋検査を終えたようです。
3万5000袋を超えたいわき市のお米の全袋検査数
 ※(24)を9月27日時点で集計
 図-15 福島県各市の全袋検査数(上位5市)

 福島県いわき市は新米モードだと思います。福島県いわき市のスーパーのチラシにも新米が載っていました。
他県産に比べ1割以上安い福島県いわき市産の新米
 ※(25)を引用
 図―16 新米が載っている福島県いわき市のスーパーのチラシ

 いわき市産(Iwaki Laiki)だけが他産地に比べ1割以上安くなっています。福島県いわき市の方は地元産米を低く評価しています。福島県は福島産米は安全でおいしいと主張しているので(26)、理由は想像するしかありませんが、(=^・^=)は当然の結果だと思います。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は低く評価し食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(9月3週)―外洋のストロンチウム90が一気に4倍―
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(9月2週)―港湾内7地点で過去最高―
(2)サンプリングによる監視|東京電力
(3)報道配布資料|東京電力
(4)(2)中の「1.海水(港湾外近傍)」を8月30日に閲覧
(5)(3)中の「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」
(6)2015年8月14日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 255KB)PDF
(7)(2)中の「南放水口・排水路」
(8)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(9)汚染水対策の主な取り組み|東京電力
(10)(3)中の「1~4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング」
(11)2015年9月9日 海側遮水壁閉合作業について(PDF 519KB)
(12)サブドレン・地下水ドレン計画の実施及び廃炉に向けた取組に係る申し入れ - 福島県ホームページ
(13)2015年9月24日福島第一原子力発電所 海側遮水壁打設工事完了について(PDF 541KB)
(14)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(15)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する福島県漁業協同組合連合会からの要望書への回答について|東京電力
(15)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の地下水バイパスについて
(16)(2)中の「H4エリア周辺観測孔」および「H6エリア周辺観測孔」
(17)(3)中の「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果 」
(18)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい福島原発―2週連続で下請けさんがケガ―
(19)2015年9月19日福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果(PDF 13.1KB)PDF
(20)2015年9月15日福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて(PDF 369KB)
(21)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(3月3週)―2週連続で外洋からセシウム―
(22)(3)中の「福島第一原子力発電所構内1号機放水路サンプリング結果」
(23)輝く実り 水田彩る | 県内ニュース | 福島民報
(24)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報
(25)平尼子店 | マルト - 店舗情報
(26)「おいしい ふくしま いただきます!」キャンペーン - 福島県ホームページ
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  1. 2015/09/27(日) 19:38:35|
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