平田村のひらた中央など県内三病院で内部被ばく検査を受けた乳幼児ら延べ2707人全員から、放射性セシウムは検出されなかった(1)を受けて、 福島県の地方紙の福島民友は10月10日付の「子どもの内部被ばく/確認重ね不安を和らげたい」との表題の社説で(2)
「子どもたちが日常の食生活で口にする食品や水道水の安全性を再確認できた結果でもある。」
と論じていました。まるで福島産の安全が確認できたような書き方ですが、福島県内の極限られた地域ではこれまで通りの食生活を続ければとの前提が抜けています。
10月9日の福島県の地方紙の福島民報の1面トップに
「乳児ら2707人 検出なし、県産物『安全性』確認」
との表題で福島県内の3の病院(平田中央病院、いわき泌尿器科病院、南相馬市立総合病院)が共同で2707人の0歳から12歳の子供を調べた結果としてセシウムが見つからなかったと報じていました(3)。
※(2)を抜粋
図―1「乳児ら2707人 検出なし、県産物『安全性』確認」を一面トップで報じる福島民報
その元となった論文が平田中央病院のHPに掲載されていたので(4)、概要を記載したいと思います。
身長130cm以下の子供を対象としたホールボディカウンター(体内の放射性物質を測定する機械)BABYSCANを開発し、2707人の子供の内部被ばくを検査したそうです。特に三春町は216名を検査したそうです。三春の学校の子供達については4年間で100%近い(92.6%)の検査をしたそうです。原文は「Close to 100% (96.2% in the 2014 survey) of the Miharu school children have been scanned for four consecutive years,」。以下に(=^・^=)が調べた三春町の小学校の生徒数を示します。
表―1 三春町の小学校の生徒数
表―1 三春町の小学校の生徒数
※(5)より作成
三春学校の子供(原文:Miharu school children)が三春小学校を指すのか、三春町全体を指すのか判然としませんが、三春町全体では1150人の小学生がいるので216名は全体の19%です。三春小学校と解してても69%です。
人間の体にはカリウム40とゆう放射性物質があり、体重60キログラムの大人で400ベクレル程度だそうです(6)。論文ではカリウム40の測定結果も載せています。
※1(4)中の図―4
※2 英文部分は(=^・^=)が日本語に変更
図-2 体重とカリウム40の分布
体重30キログラムで1500ベクレルなので、60キログラムに直せば3000ベクレルで少し少ない気もします。
測定限界値については以下の図を載せています。
※1(4)中の図―5
※2 英文部分は(=^・^=)が日本語に変更
図―3 検出限界値
年齢にもよりますが、体重1キログラム当たり2ベクレル程度でしょうか?そして結果として、
2706人を調べ誰からもセシウムが見つからなかった
としています。
そのあとに父母の食事に対するアンケート結果(福島産をどの程度避けているか)を載せています。検査の時に回答してもららったそうです。
表―1 食事に対するアンケート結果
※1 Nー全体数
※2 w―ボトル入りの水を飲む
※3 r-福島産米は避ける
※4 v-福島産野菜は避ける
※5 南相馬市に住所があり住んでいる方(避難していない方)
※6 相馬市に住所があり住んでいる方(避難していない方)
※7 大子町は茨城県
※8 (4)の表(Table)-1にて作成
次に複数を避けている方と全部を避けている方(水はボトル水を飲み、福島産米や野菜は避ける)の割合を示します。
表―2 複数避けている人数と全部を避ける割合
※1 w∩r―ボトル入り水を飲み、福島産米は避ける
※2 r∩v―福島産米と福島産野菜は避ける
※3 v∩w―福島産野菜を避け、ボトル入り水を飲む
※4 全部―水はボトル水を飲み、福島産米や野菜は避ける
※5 割合―全部を避ける割合
そして、三春町と南相馬市を比較し
①空間放射線量はそれ程変わらない
②南相馬市では57%の方が全部避けているが、三春町は4%である。
とし、共にセシウムが見つからないので、福島産を避けようが避けまいが結果は同じなので、福島産を避けても見つからないとの結果は変らないとしています。
以下に南相馬市と三春町の位置を示します。
※1(7)の数値データを元に(8)に示す手法で10月1日時点に換算
※2 福島からの報道では「いわき泌尿器科病院」なっているが論文は常磐会病院(Tokiwakai Hospital)となっている。
図―4 本記事で取り上げる地域・場所
南相馬市も三春町もそれなりに汚染されていますが、県北地域よりマシです。福島県は果樹王国と呼ばれていますが(9)、福島県で果物ができるのは福島盆地(10)等の県北地域です(11)。図に示す通り県北地域は他に比べ汚染が酷くここの産物について調査しない限り「安全」とは言えません。福島県伊達市は県北地域に属する市です(11)。以下に福島県の柿の生産量を示します。
(11)。以下に福島県の柿の生産量を示します。
※(12)を集計
図ー5 福島県の柿の生産量(2006年)
福島県伊達市がトップです。以下に伊達市産柿のセシウム濃度を示します。
※1(13)を集計
※2 NDは検出限界未満を示します。
図ー6 福島県伊達市産柿のセシウム濃度
基準値(14)未満ではありますが、高い値が続いています。少なくとも汚染リスクの高い福島産果物を調査対象にしない限り、福島産で体がセシウムに汚染されることはないとは言い切れません。
以下に原発事故前の2011年3月から8月の半年間と5年目の3月から8月の死者数の増加率を示します。
※(15)を転載
図―7 2010年3-8月に対する2015年3-8月の死者数の増減
福島県内でも汚染が酷い県北地方では有意に死者数が増えています(15)。統計的にも有意です。詳細は引用先を確認してください。
以下に被験者の居住地を示します。
※1(4)の図―1より作成
※2(7)の数値データを元に(8)に示す手法で10月1日時点に換算
※3 色違いは検査した病院の違い
図―8 内部被ばく検査居住者の住居値
図に示す通り福島県内では比較的放射線量が低い場所の方が多く受験されています。放射線量が低い場所のデータを集め、異常がないからと言って安全とは言えません。この論文で証明した事実は
福島県内でも放射線量の低い場所ならこれまで通りに注意すればセシウムで汚染されることはない。
だけです。さらに、常盤会病院を運営する常磐会によりますと、同病院の検査で36人のからセシウムが見つかっています。うち2人は16歳未満の男の子です(16)。それでも福島民友はあたかも福島産が安全であるかのような書き方です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(
ブログ図表 )を参照ください。
最初にこの調査を実施された方および調査にご協力された方(含む検査を受けた方およびご両親)に敬意を表したいと思います。この調査で福島県内でもセシウム汚染がマシな場所ならこれまで通りに注意すればセシウムで体が汚染されることはないのは事実として明らかになりました。暇があれば論文(4)を読んでいただきたいと思います。原文は英文ですが、(=^・^=)の英語力は中学生レベルと自認していますが、すらすらと読めました。素晴らしいと思ったのは、殆ど専門用語を使っていません。それでいて増丁度がありません。これは(=^・^=)の想像ですが、この論文の筆者が一番に読んで欲しいのは福島の方なのかもしれません。でも福島のマスコミは違うようです。
福島民友社は読売系ですが(17)、同じく読売系の福島のローカルTV局(18)のFCTが福島の川で採れた鮭から放射性セシウムが見つからなかったことについて
「サケは放射線の影響を受けない」
と放送していました。
※(19)をキャプチャー
図―9 「サケは放射線の影響を受けない」と放送する福島のローカルTV局(FCT)
これでは放射線が移るような放送です。ゆうまでも無く放射線が移ることはあり得ません(20)。こんな報道をしたらいわれのない福島差別を生みそうです。図-4に示すように福島県ではいまだに国が除染が必要とする毎時0.23マイクロシーベルト(21)を広い場所で超えています。福島の方は放射線に曝されています。放射線が移るなどが信じられたら、多くの方が福島県民を避けるようになってしまいます。無論、放射線が移ることは絶対にないので、福島県民を避ける方にも大きなデメリットをもたらします。福島県の女性はお隣の茨城や宮城に比べても大変に綺麗です。
※(22)をキャプチャー
図―10 福島県の綺麗な女性(アナウンサー)
放射線が移る話を信じて福島の方を避けたら綺麗な福島県女性に出会う機会が無くなります。
原発事故から4年7ヶ月近くたっても、福島のマスコミの放射線理解はすすまないようです。これでは福島の方は不安だと思います。
10月8日に皇太子ご夫妻が福島県を訪れいわき市のトマト園をご視察されたそうです(23)。いわきはトマトのシーズンのようです。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(24)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
※(25)を引用
図―11 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
【10月10日付社説】子どもの内部被ばく/確認重ね不安を和らげたい:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet (2)
乳児ら2707人放射性セシウム検出なし 県内3病院内部被ばく検査 | 県内ニュース | 福島民報 (3)
福島民報 を10月8日に閲覧
(4)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ (5)
● 平成27 年度「三春町学校教育の重点」 (6)
カリウム40 - Wikipedia (7)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会 中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成26年9月1日~11月7日測定) 平成27年02月13日 (CSV)」
(8)
めげ猫「タマ」の日記 福島避難区域再編3年目―放射線量はこれからどうなる― (9)
果樹王国 - Wikipedia (10)
PDF]くだものづくりがさかんな福島盆地 (11)
県北地域の概要 - 福島県ホームページ (12)
統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103 (13)
報道発表資料 |厚生労働省 (14)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省 (15)
めげ猫「タマ」の日記 福島県県北地域の死者数は8%増、会津は別(対2010年3-8月) (16)
乳幼児用の内部被ばく検査機器「ベビースキャン」いわき泌尿器科に導入|ときわ会グループ|福島県いわき市 (17)
福島民友 - Wikipedia (18)
福島中央テレビ - Wikipedia (19)
ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビ 中の「2015年10月9日(金)放送」
(20)
放射線や放射能はうつりません!!正しく理解しましょう/京都府ホームページ (21)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について (22)
スイッチ20151007 TUFchannel (23)
皇太子ご夫妻ご来県 お言葉に 胸熱く 復興への決意新た ふたば未来学園高 | 県内ニュース | 福島民報 (24)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ (25)
イトーヨーカドー 平店
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2015/10/10(土) 21:30:58 |
-
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| コメント:2
こんにちは。
いつもありがとうございます。
(16)を見てみたら、こんな文章がありますね。
(引用開始)
「内部被ばく検査の役割
・内部被ばく検査で「異常有り」 → 健康被害が起きる可能性が高くなります
・内部被ばく検査で「異常なし」 → 起きた健康被害は放射能の影響ではないということが出来ます
現在は、検出される方はほとんどおりませんが、ホールボディカウンター検査を定期的に受診し検出されなければ、今後お体が病変されたときにその原因が放射線によるものではないという見方も出来ます。」(引用終)
これを読んで、怖くなりました。まるでアリバイ作りの様に感じます。
この検査で出なかったら健康被害が出ても、ストレスとか運動不足、他のせいにされるのでしょうか。
病変しても、WBC内部被ばく検査で出てなかったから訴訟起こしても負けるとか、ならなきゃいいですけど。
尿検査の方がよいという意見もありますね。
2015/10/10(土) 23:08:30 |
URL |
身内に被爆者がいたもの #.xeeFnek
[ 編集 ]
(2)乳児ら2707人放射性セシウム検出なし 県内3病院内部被ばく検査 | 県内ニュース | 福島民報
ここにはこう書かれてる。
「体の小さな乳幼児向けWBCの放射性物質検出限界値は50ベクレル。通常のWBCに比べて5倍から6倍ほど精密に測定可能だが、受検した乳幼児らから検出限界値を超える放射性セシウムは検出されなかった。」
と、検出限界は50Bqみたいです。
しかし、(4)中の図―5を見ると、例えば6歳で検出限界が1.5Bq/kgとなってる。
6歳の平均体重は以下のサイトによると21.4kgですんで、
http://xn--tqqs7qm6fqu1d.com/108.html
1.5Bq/kg×21.4kg=32.1Bqが検出限界だったということになります。
50Bqが検出限界だと言いながら、実際は約30Bqの検出限界で測定していた?
彼らがそんな事をするわけがない(彼らからすれば検出されたら大変、と思うでしょう)。
と思ったが、彼らは面白半分、出世欲半分で原子力界のために奉仕しているわけだから、
実際は約30Bqの検出限界で測定していたのかも。
それで30~50Bqの範囲で検出されてしまった場合は「50Bqが検出限界でした」と嘘をついて「検出なし」で公表するつもりだったのだろう。
それがうまい具合に約30Bqで設定した検出限界で検出されなかったので、そのまま公表した。とこれが真相のような。
しかし測定しているのはセシウムのガンマ線だけですんで、
実際の被曝はこの7倍とも言われています。
いずれ、人工放射性核種のセシウムだけで、
全身のどこか特定の場所に限定して1秒間に200回も放射線を放出され続けているとは、
将来的にどうにもならない訳はないわな。
相変わらず天然核種のカリウム40を引き合いに出しているところ、
彼らも福島県民は馬鹿だと決め込んでいるようだ。
天然核種=原子がバラバラ
人工放射性核種=数億以上の原子の集まり
同じベクレル数でも危険性は人工の方が遥かに大きい。
なぜなら人工核種ば、人工核種に隣接する特定の細胞だけを狙って、
放射線を浴びせ続けるから。
天然核種は一箇所から放出する放射線は1回だけ。
外部被ばくとなんら変わらない。
身内に被爆者がいたものさんが書かれている
「まるでアリバイ作りの様に感じます」
には激しく同感です。
アリバイ作りと言えば伊達市のダイアログセミナーも同じだね。
おしどりがそのセミナーに出席して、こんな記事を書いてたっけ。
「この会議に出席していた良心的な学者さまはそのことを「アリバイ作り」と呼んでいましたけどね。」
http://www.magazine9.jp/oshidori/121206/index.php
2015/10/11(日) 10:08:14 |
URL |
ふく #2B3L1McM
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